気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツが知らないうちに世界が動く。

 それぞれが動き出した時、悟空は神様の力によって肉体がある状態で天国か地獄かの審判をする閻魔大王の元へ来ていた。

 

「ーーと言うことがありまして、界王様のところへ修行をさせたく生身のままで連れてきたわけです。どうか、閻魔大王様、此奴を界王様のところへ連れて行くことの許可をいただきたいのです」

 

 閻魔大王は少し考え込む。

 天国へ行けるものをわざわざ危険を冒してまで行かせることに躊躇いがあるのだ。

 

「孫悟空か……確かにお前の功績は素晴らしい。わざわざ天国行きのものをのぉ」

 

 閻魔大王様は考え込む。

 蛇の道は長く、いけるかもわからない。途中落ちてしまったら強制的に地獄に落ちる。

 今まで到達できたのは閻魔大王ただ一人。

 自分の経験から、今から悟空がやろうとしていることに許可を出すかを考える。

 

「良かろう。……そんなに行きたければ界王様のところへ行くが良い。案内人を呼んでやる。あっちにいって待っておれ」

「うん!」

 

 もう勝手にしろ。

 それが閻魔大王が出した答えだった。

 閻魔大王様の許可がおりて悟空は言われた通りの出入り口に向かう。

 

「ただし!蛇の道から落ちてもワシは知らんからな」

「うん?」

 

 自己責任。もう知らん。閻魔大王の言葉に悟空は意味は分からないものの、とりあえず返事をする。

 

 

「では、頑張るのじゃぞ。この一年が勝負だからな」

「ああ!なんのことかよくわからないけど、とにかくオラ……その界王様って人に会えばいいんだろ?」

「うん」

「ありがとう!ミスターポポにもよろしくな!」

 

 神様と悟空はこうして別れた。

 

 神様は地球の危機に焦る。

 悟空が界王の元でどれだけ強くなるのか。神龍の願いでもサイヤ人の抹殺は難しいということ。そして、唯一の希望である悟飯、ピッコロによってどれほどの実力になるのか。

 

「どうなってしまうんだ地球は」

 

 そして、最も危険な存在のラディッツ。

 神様はラディッツの謎の多い行動に疑問をもち、地球は大きな爆弾を抱えている状態に焦る。

 

 何故あの時悟飯を助けたのか、何故すぐに悟空にとどめを刺さなかったのか。ピッコロを生かしたのか。

 

 考えても答えはラディッツにしかわからない。

 だが、もしもラディッツが地球侵略を開始し、修行中のZ戦士たちを殺してしまったら。

 ドラゴンボールを奪われてしまったら?

 

 考えたらキリがない不安要素。

 

「今はできることをしよう」

 

 神様は出来る限りのことをしようと考える。

 少しでも戦力を増やすため。

 一年後来るサイヤ人を迎え撃つため。

 

 神様は行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっさと目を覚ませ、孫悟空の息子よ……チ!」

 

 ピッコロは悟空の死後、悟飯を連れて移動した。

 場所は先ほどの戦闘をした場所よりも離れていて、今は水深が浅い湖にいた。

 

 ピッコロは気絶からなかなか起きない悟飯に苛立ち、湖へと落とす。

 

「……ゴホ!……はあ…はあ…はあ」

「話がある……水から上がれ」

「いぇ!」

 

 湖に落ち、目を覚ました悟飯は急に話しかけてきたピッコロに怯える。

 

「誰なの……お父さん……あれ?……あれ?……お父さーん、怖いよ!」

「……チッ、世話をやかすな!」

 

 悟飯はすぐに悟空に助けを求めるが返事はなく、湖の中を走り回り父の名を叫ぶ。

 

 だが、その反応に見かねたのか、ピッコロは悟飯を摘み無理やり湖から連れ出す

 

「うぇーん……ぐす……ぐす」

「喚くな!静かにしないと首の骨をへし折るぞ!」

「ひぇ」

 

 ピッコロの言葉に悟飯は怯え、メソメソしているものの、泣き止む。それを確認すると話始める。

 

「いいか、俺の話をよく聞け……お前の父は死んだ」

「にぇ!」

「少しは覚えているだろう?あの男を倒すために……犠牲になったんだ……結果は無駄死にに終わったがな」

 

 悟飯はその事実を告げられ思い出す。

 目の前で自分の父親が死んだことを。

 気絶していたから記憶はあやふやだが、なんとなく心当たりがあったのだろう。

 

「……お父さんが……」

「おおっと!泣き喚くなよ!本当に首の骨をへし折るぞ!……ふん」

 

 ピッコロは悟飯が泣くのをまたも脅して泣き止ませる。

 

「ドラゴンボールのことは父親から聞いているな?……今お前の仲間がそれを集めている。……いずれは生き返らすだろう……だが!」

 

 悟空はいずれは生き返る。

 そのことを悟飯に聞かせ安心させる。

 

 もっと重要なことがあるため。

 

「だが、問題は他にある。……今回お前をさらった奴は未だに生きていて、いつ地球で暴れるかわからんし、一年後にさらに恐ろしい奴が2人もくる。……仮に孫悟空が生き返ったとしても、俺と奴だけでは勝ち目はない」

 

 3人のサイヤ人に立ち向かう。

 それは現実的にいって不可能。

 

「そこでお前の力が必要だ。修行で戦術を身につけ、この地球を守れ!」

「え……僕が?……僕なんて全然戦えないよ」

「ほう……自覚がないらしいな。自分の秘めたる力のことを。だからその力を修行で引き出せるようになり、有効活用できるようにしろ」

「僕にそんな力ない」

「証拠が見たいか?」

「え?何するの?…痛い!痛い痛いよ!やめてよ!」

 

 ピッコロは悟飯の頭を掴み、そして。

 

「ふん!……そら!」

 

 近くにあった岩山に投げつける。

 そして。

 

「あああああ!」

 

 生命の危機反応を自覚した悟飯は力を解放。

 岩山を含め後方まで一面消し飛ばした。

 

「こ…これは」

 

 ピッコロは自分の想定していた以上の力に驚く。

 

「これ……僕がやったの?」

「なんとなく自覚したようだな。お前は感情が高ぶった時にだけ力を解放する。だが、それは一瞬だけだ。それでは使いものにならん」

「え?」

「この俺がお前を鍛え最強の戦士にしてやる」

 

 将来自分の障害になり得る敵を自分で育てる。

 その複雑な想いを抱くが、それでも、ピッコロの決意は変わらない。

 

「でも僕……武闘家なんてなりたくない。えらい学者さんになりたいの」

「ふ、ならなるといいさ。だが、それはサイヤ人たちを倒してからだ。奴らは地球人を絶滅させる気だ。そうしたら将来もクソもないだろう?」

「でも僕怖い」

 

 まだ4歳の子供。だが、こいつはサイヤ人の息子。サイヤ人どもを倒すためなら使えるものはなんでも使う。

 それが例え子供であっても。

 

「ガタガタ抜かすな!今すぐぶっ殺されたいか!時間はないんだ!早速始めるぞ!上着を脱げ!」

 

 ピッコロは怒鳴り、悟飯の上着を脱がす。

 そして、最初の指示を出す。

 

「……何をすればいいの?」

「まずは何もせんでいい。生きるんだ」

「生きる?」

「六ヶ月たって生き残っていたら戦い方を教えてやる」

 

 まずはサバイバルで生き残り、タフさと強い精神力を身につけさせる。

 まずはそれから。

 

「いやだよ……僕、寂しくて一人でいられないよ」

「甘ったれるな!地球の運命はお前が握っていると言っても過言ではない!自分のパワーを信じ、その使い方を自分で学ぶんだ」

「だって僕……」

「じゃあな」

 

 ピッコロは泣き喚く悟飯を置いて空に飛んでいく。

 今ピッコロ自身も忙しい。

 自身の修行をしなければいけないし何より、地球にいるラディッツの警戒をしなければいけない。

 

「……チッ自分の運命が嫌になるぜ」

 

 ピッコロは一人呟く。

 

 この時のピッコロは自分の変化に気づいていない。

 以前ならばガキを育てることはしない。

 

 昔ピッコロはピッコロ大魔王として世界を征服しようとした。

 だが、今はずる賢い粗暴さが失せていることに。

 

 あと一年……それがピッコロの寿命。

 本人はそれを自覚している。

 

 それが自分がサイヤ人に殺されるのか、それとももう一人の自分である神様の寿命なのかはわからない。

 

 二人の命は共通している。

 ピッコロの死は神様の死で神様の死はピッコロの死でもあるのだから

 

 ピッコロはこの世に何かを残したいと思ったのかもしれない。

 それが孫悟空の息子でも。

 

 神様が死ねばドラゴンボールも使えなくなる。

 残り使えるのはあと一回。

 

 世界の運命はどう動くのか……。

 それはわからない。

 

 原作にはないイレギュラー。ラディッツの存在がこの世界にどう影響するのかは一年後……全てがわかる。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
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