気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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ラディッツ、約束す。

 界王星で数日過ごし、俺は悟空がヤードラット星に到着した後、再び界王様に頼み心に話しかけていた。

 

(カカロット!……聞こえるか)

『にいちゃん……飯まだなんか……むにゃむにゃ』

 

 こいつ……寝てやがるのか?

 

(起きんかカカロット!)

『ふぇ!……いってぇ!……あれ?今にいちゃんの声が聞こえたような?』

(カカロット、俺だ。ラディッツだ!)

『に……にいちゃん!生きてたんか!』

 

 ……どうやらやっと起きたらしい。

 

(いや、残念ながらナメック星消滅と共に死んだ。今、偉大なる界王様のお力を借りて話しかけている)

『そうなんか……オラだけ助かっちまって……すまなかったな』

(こちらこそすまなかったな。お前だけヤードラット星に行かせてしまった。それでどうだ?……うまくやれているか?」

 

 悟空はそこまで怒っている様子はなく、元気になっていた。

 お互いに謝罪を済ませた。これ以上なにもいう気はない。

 

『でぇじょうぶだ。……ヤードラット星人のみんなと仲良くなってよ……よくしてもらってんだ』

(そうか……よかったな。そういえば、ヤードラット星人は奇妙な技を使うらしいが……まさか)

『ああ!まだ見せてもらったばっかだけどな!それに、オラ……すげぇ変身できるようになったんだ』

 

 すごい変身……まさか。

 

(その変身というのは……髪が金色になるやつか?)

『知ってたんか!……ああ。今ヤードラット星人たちの技を学びながらその変身になれるよう修行してんだ』

(そうか……お前もなれるようになったんだな……スーパーサイヤ人に)

『ほぇ!おでれぇた。まさかにいちゃんもか!』

(ああ)

 

 どうやら懸念しすぎたらしい。悟空は次に向けて前進しているようだ。  

 俺もうかうかしてられないな。

 

『オラぜってぇ強くなるかんな……にいちゃんよりも』

(そうか)

『あ!そうだ。界王様のとこいるんなら、みんなに伝えてくれねぇか?地球にはそのうちけぇるって』

(わかった。伝えておこう。満足行くまで修行しろ)

『あんがとな!』

 

 その後は少し話をしてまた地球で再会しようと伝え終えた。

 

 

 

 

 悟空と一度会話した後はそれ以降は話すことはなかった。

 ライムとの定期的な会話を界王様に協力してもらいつつ、ヤムチャ達と修行をする生活をした。

 

 界王星の10倍の重力にヤムチャや天津飯の達人たち。

 

 気を可能な限りヤムチャや天津飯たちと合わせての互角の組手、休憩時間では一人で瞑想でのイメージトレーニング、感謝の正拳突きを繰り返す。

 

 

 フリーザとの戦いは俺の財産だ。未だにフリーザとの戦いは頭から離れることがない。

 

 死人だから特に睡眠とかは必要ないのだが、生きていた時の癖で一定時間睡眠をとっている。

 だが、寝たら必ず夢に出てくる。

 フリーザとの戦いの光景が。

 

「俺は……もっと強くなれる」

 

 これからフリーザ以上の敵がいる。そのためには力をつけなければならない。

 

 まだ、足りない。技の練度、戦術、攻防……修行次第で向上できる。

 

 特に合掌拳を極めれば格上相手に戦える。

 何倍もあった実力差も数分であるが持ち堪えられたのだ。

 

 それに合掌拳の原理を応用する身体能力向上もできるようになれば戦いの選択肢も増えてくる。

 

 フリーザの時は体が持たずに一度しか使えなかったことを克服できれば……。

 

 課題が山積み、スーパーサイヤ人になるための制御もしなければいけない。

 

 ナメック星のドラゴンボールは120日で使えるようになる。それまでに可能な限り訓練しなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は進み、ナメック星のドラゴンボールが使用可能となった。

 叶えられる願いは三つ。

 

 もちろん残るのは俺だ。

 

 俺が残るのが妥当だ。正直まだスーパーサイヤ人の制御が完璧じゃない。スーパーサイヤ人の制御は死んだ状態の方が効率がいい。

 

 生きているときは肉体の負担がかかってしまうが、死んだ状態なら気にせずに修行ができる。

 

 まぁ、ずっと死んだままでいたいわけじゃないが。

 

「世話になった……先に行く」

「ああ、今度は現世でな」

 

 ヤムチャ、餃子とドラゴンボールで生き返り、天津飯の順番となる。

 

 生き返った人たちは俺と界王様に礼を言って去っていった。

 

「ラディッツ、最後に一つ頼みがある」

「なんだ?」

 

 だが、天津飯だけは違った。俺に一言別れを告げた後話を続ける。

 

「一度……スーパーサイヤ人になり、全力で戦ってほしい」

「なぜだ?」

「お前との差が知りたい……今後の励みにするために」

 

 天津飯の言葉に感心する。

 物語に初期から出てきたキャラはインフレについていけずに引退する人が多い。

 

 餃子然り、ヤムチャ然り、クリリン然り。

 

 過去に悟空の敵、ライバルと立ち塞がったものたちは引退していく中、天津飯だけは研鑽を続けそのインフレに食らい付いていた。

 

「……いいだろう」

「感謝する」

「はぁぁぁ」

 

 俺は未だに制御できていないスーパーサイヤ人に変身する。

 なるまでに時間がかかる。

 変身に10秒の時間を要した。

 

「はぁぁぁ!………いくぞ」

「……ああ」

 

 変身を終え、天津飯に向かい合い、相互構える。

 隙がない天津飯の構えに感心するも、スーパーサイヤ人になった俺と天津飯には埋められない差がある。

 

「は!」

「………まさかこれほどまでとは」

 

 俺は天津飯の背後に回り込み寸止めで拳打する。

 だが、天津飯が気がついたのは寸止めをされた後、反応が遅れていた。

 今までスーパーサイヤ人は制御の練習をしただけで本気で動いたことはない。

 

「ありがとうラディッツ……では今度は現世でな」

「ああ」

 

 その後天津飯はドラゴンボールで蘇っていった。

 

「界王様、後130日世話になる」

「随分と寂しくなったのぅ」

 

 界王様は少し寂しがっていたが、長く生きていく中で界王様の星に人が頻繁に出入りするようになったのは悟空がきてからだったな。

 

 今まではゴリラのバブルス、虫のグレゴリーが一緒にいたが、新しい来客というのはあまりなかったのではないだろうか。

 

 あくまで予測の範疇に過ぎないが、あながち間違いではないかも知れない。

 

 今の界王様を見ているとそう思えてならなかった。

 

 その日から一人になった俺はスーパーサイヤ人の制御訓練、気の消費を抑えるためスーパーサイヤ人で生活をした。

 

 そして時は流れ130日が経過、無事に復活を果たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これから地球に向かうよ……パパ」

 

 戦いで死んだ人たちが生き返る中、地球に迫る脅威。

 それは倒されたと思われていたフリーザの存在。

 フリーザは父コルドの助けにより一命を取り留め、欠損した体を機械で補い復活を果たした。

 だが、復活した直後、すぐにコルドに次なる目的を掲げたのだった。

 

 


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