内定から早数ヶ月が経過した。
早朝に仕事が終わり次第クリリンと修行、午後からは個人の修行をする生活を続けた。
充実した毎日を送る中、突然事件は起こった。
「な……お…おいラディッツ……この馬鹿でかい気は」
「……フリーザの気だな……もう一つは知らん」
「何呑気にしてるんだ!フリーザだぞ!もう一つはそれ以上の気を感じる……ああ……終わりだ」
確かに気を感じることができる。だが、残念ながら今の俺にとっては敵になり得ない。
それに物語なら未来からトランクスが来るはずだ。
「そんなに慌てることないだろうに。俺がいるんだぞ?……対処は大丈夫だ」
「……二人同時に相手できるのか?」
ああ、クリリンが心配していたのはそのことか。
そういえばクリリン相手にスーパーサイヤ人の状態に慣れるため組手をしていたが、全力を出したことなかったな。手加減して相手をするとは言った。
手加減ミスってうっかり殺さないように二割くらいを意識していた。
「安心しろ。お前も俺の強化は身に染みてわかるだろう?……それにお前相手に二割しか出していない」
「ば……バケモンかよ。あんなに死にかけたのにまだ上があるって」
「死にかけたって大袈裟だ。精々骨にヒビが入るか骨折したくらいだ。その程度で大袈裟すぎだ」
ブルマがナメック星から持ち帰ったメディカルポッドの液体、まだ研究の段階で、ブルマから試作品を大量にもらった。治癒能力を飛躍的に上げるその液体は骨折やヒビ程度なら数時間漬けていれば完治してしまう。そのおかげで俺が手加減の微調整を気にしないで修行できた。
「お前を基準にするな!」
「………すまん」
なんか怒られたので一応謝罪をした。だが、今のやりとりのおかげで緊張がなくなったようだ。
「よかったじゃないか。緊張……解けたようだな」
「あ……確かに。……だが、どうするんだ?一回みんなと合流した方がいいんじゃないか?みんなの気が移動し始めてるし」
わかる範囲でだが、ベジータを含め複数の気が一つに集まっている。
「いや、俺とお前は直でフリーザの元へ向かうぞ」
「……は?ラディッツはわかるがなんで俺まで?」
「なぜだと?修行の成果を試しに行くだけだ」
「……まさかと思うが……フリーザと戦えってわけじゃないよな?」
「ふ……」
察しが良くてなによりだ。
だが、俺はそんなに鬼じゃない。トランクスがフリーザたちを片付けるなら問題なし。
もしもフリーザ戦に間に合うようなら少し実戦でクリリンの成果を試そうと思ったのだ。
「雑魚処理と少しフリーザと対峙してもらうくらいだ」
「……俺、一回生き返ってるから地球のドラゴンボールじゃ生き返れないんだけど」
「大丈夫だ。本当に初撃だけだ。無理なら俺が守ってやる。大船に乗ったつもりでやれ」
「……えぇ」
こいつ何言ってんだみたいな顔はしないで欲しい。
せっかくきつい修行で自信をつけた。実戦で試してさらに自信をつけさせたいと思った。
「……近づいてきたな……これで降りてきそうな場所の予想がつく。よし、急ぐぞクリリン」
「………」
フリーザの宇宙船が着陸しそうな場所がわかったので、向かおうとするも……何故かクリリンから返事がない。
振り返りクリリンを見ると呆れていた。
「どうした」
「いや……無茶苦茶なところはお前も悟空と似ているんだなって思っただけだ」
「はぁ……なにを言っているんだか……モタモタしているとフリーザたちが到着してしまう、さっさと行くぞ」
「あ、ああ」
時間もないので急いでクリリンと共に向かった。
「……フリーザたちが現れたか。もうすぐラディッツさんがくるはず」
フリーザの乗ってきた宇宙船が着陸し、多くのフリーザ軍兵士と、フリーザ、フリーザの父コルドが地球に現れた。
だが、剣を背負った青髪の青年は何もすることなく気配を断ち、岩陰に隠れていた。
「悟飯さんはフリーザたちが到着するタイミングで現れたって言ってたけど……いや、今二つの気が近づいている」
青髪の青年は近づく気を感じ取り、さらに気配を殺すことに専念する。
「あの長髪……あの人がラディッツさん。すると近くにいる人がクリリンさんか」
現れた二人、白いTシャツに黒いジーンズを履いている長髪の人物、オレンジ色の胴着を着ているスキンヘッドの人物を見て青髪の青年は目的の人物がきたことに安心する。
「さて……見させてもらいますよラディッツさん。あなたの実力を」
青髪の青年は期待に胸を膨らませ陰から今から起こる戦闘を見始めた。