気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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前書きから失礼します。

基本的にアニメ沿いで話を進めますので、三話、四話のように原作キャラの描写を投稿することが今後あります。
指摘を受けた通り可能な限りあらすじで進めたと思います。

今回は主人公視点です。


ラディッツ 、助けられる。

 ピッコロたちと別れた後、俺はできる限り出せる速さで飛んでいた。

 下に映る景色は変わり荒野から森林へ。

 

 

 よし!これでどうにかなった。

 墓穴は掘っていない……はず!この後どうなるんだよ。

 

 第一関門は突破した達成感といつZ戦士たちが今後襲ってくるかの不安感が心の中で右往左往していた。

 

「ん……あれ?」

 

 その異変は突然起こる。

 お……おかしい、体の痛みそんなに大きくなかったよな?さっきまで普通に空飛んでたし、平気なはずなんだけど。

 

 どんどん体が痛みだし、俺は飛ぶ速度を抑える。

 

「く……くそ!」

 

 だめだ。

 気力がもたない。

 もしかしてアドレナリンが出てたから行動できたのか?

 

 多分それかもしれない。

 安心した瞬間から体が痛み出したし。

 

 ……もうダメか。

 

 一応ピッコロたちから可能な限り距離をひらいてある。

 ……大丈夫か?

 いや、無理は良くない。

 

 俺はゆっくりと下へと降りて行く。

 なるべく人目につかなそうな場所を選んで。

 そして、しばらく飛び続けると、近くにある村から目算でちょうど草木で覆われ身を隠せそうなところを発見

 

 ゆっくりと着地した。

 

「ち……畜生」

 

 俺はついに気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?……ここは?」

 

 目が覚めるとあたりは森ではなく、どこかの一室だった。

 木造の家で暖炉が焚いてあるシンプルな作りであった。

 俺はあの時……森では倒れたはずだが……。もしかして、全て夢だったのか?

 

「起きたかね」

「誰だ!……く」

 

 突然扉が開いて突然声がかけられる。俺は驚いて警戒体勢をとるも、身体中が痛み蹲る。

 

 この痛みは……気のせいじゃなければ今までと比じゃない痛み。

 

「そんなに警戒せんでもいい。ワシはラオ・チュウ。しがない老人だ」

 

 そう笑って俺に名前を名乗った老人は半袖のワイシャツに青いパンツを履いている鼻の下に髭を生やす白髪の老人であった。

 

「怪我をしておるようだし無理はせんほうが良いだろう」

 

 そう言ってきたラオ・チュウは持っていたトレーを近くの机に置くと、近づいてきた。

 

 目の前にはいる老人は多少武術の心得があるようだが、俺がその気になればすぐに殺せる。

 だが、俺はそれをせずにただただラオ・チュウと名乗った老人に言われるがままにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はどうやら本当にラディッツになってしまったらしい。

 もしかして、これは夢だった。その期待はもうない。

 

 ラオ・チュウと話をしているうちに確定してしまった。

 

 ここはチャズケ村という名前らしく、ラオはこの家で雑貨屋を営み孫1人とその両親の4人で暮らしているらしい。

 

 俺はラオが薪を取るための木を取るため、森を散策しているときに俺を見つけて介抱してくれ、今に至るとか……。

 だが、一つ思うのが。

 

「ラオ……何故俺を助けた?」

 

 ラオさんなんで俺を助けてくれたんですか?

 人と話していて分かったことだが、俺の口調や精神は元々のラディッツの性格の影響を受けているらしく、敬語が使えない。

 

 生意気な奴と思われてるかもしれないが、ラオは気にしていないようで、そのまま話を続ける。

 

「何、困っている人を助けるのは当たり前のこと」

 

 その一言でラオは人が良すぎることがわかる。

 

「俺が悪人だったらどうするつもりだったんだ?着ているものも怪しいとは思わなかったのか?」

「それを聞く時点でお前さんは悪者ではないじゃろ?」

「それは」

 

 何も言い返せない。

 俺は悪者だった。ラディッツになってからはもう人を殺したいとかは思っていない。

 だが、過去は消せない。

 今までラディッツがやってきた行い。それは払拭できない。

 

 今のラディッツがあるのは俺が成り代わったからに過ぎない。

 

「感謝をしておこう。おそらくお前に助けられなければ俺はどうなっていたか分からん」

「人に礼を言える、お前さんは悪い人間には見えない。……ここで会ったのも何かの縁なのかもしれん。怪我が癒えるまでゆっくりしていきなさい」

 

 そういえばラオ・チュウとかチャズケ村ってどっかで聞いたことある名前なんだよなぁ。

 アニメで聞いたことが。

 

 だが、うろ覚えの部分があり、うまく思い出せない。

 

「……世話になる」

 

 とりあえず、せっかく助かった幸運に感謝しお言葉に甘えることにする。

 

 俺はその後、ラオが持ってきてくれた食事を食べて寝ることにした。

 

 その後、着ていた戦闘服を脱ぎ、用意してくれた服を着る。

 どうも、俺が寝ていた間にわざわざ用意してくれたらしい。

 至れりつくせりだな。

 

 全てを終えるとラオは俺の手当てをしてくれた。

 体の痛みが少し和らいだ気がする。

 その日はしっかりと寝ることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?」

 

 窓から差してくる光で目が覚める。

 ……痛い。

 体が痛む。

 もう自覚したほうが良い。もう、俺はもうラディッツになってしまったらしい。

 ここは夢ではなく現実。

 

 トントントン!

 

 ふと、考えの途中でドアからノックが聞こえる。

 

「なんだ?」

 

 俺が返事をするとガチャッと扉があく。

 すると赤髪の少女が入ってきた。

 年は4歳くらいか?

 

「おじいちゃんに見てくるように言われて……」

 

 あーあ、俺の顔ってそんなに怖いのか?

 怯えちゃってるよ。

 

「そうか」

「……うん」

 

 あれ、これだけ?もっと他に話すことない?怯えられてしまった。

 

「なんだ?他にあるのか?」

「いえ!」

 

 少女は逃げるように出ていった。 

 ヤベェ。心が痛い。

 

「起きるか」

 

 俺は寝ていたベッドから立ち上がる。

 

「ほう。一日寝ただけで……ここまで」

 

 戦闘民族サイヤ人の体の体を甘く見ていた。

 まだ体は痛いものの一日寝ただけで、昨日の体の痛みが和らいだ。

 これがサイヤ人の体か。

 

「いくか」

 

 起き上がり、赤髪の少女が言った方向に向かう。

 

「起きたのか。どうじゃ具合は?」

「昨日よりはマシだ」

「それはよかった」

 

 ラオはそういうと、すでに食事が用意されていた。

 

「あら、おはようございます!」

「父さんから話は聞いているよ。ゆっくりしていってください」

 

 この二人がラオが言っていた夫婦か。

 この家族は皆人が良すぎるのか、悪人面の俺に警戒心がない。

 むしろ歓迎してくれている。

 

 俺は黙って頷き座るように促された椅子に座り4人と食事をとった。

 

 少し多くの量を用意していたらしいが、俺はあまりの空腹に並べられていた料理をほとんど食べてしまった。

 

 赤髪の少女……ライムは少し悲しい顔をしていて、両親の二人、母親のキウリと父親のレンモはそれを慰めていた。

 

 いや、すまん。

 だから泣かないでほしい。

 後でちゃんとお詫びするからね。

 

「……メソメソするな」

「えぇぇん!」

 

 ライムはそれを聞き泣いてしまう。

 

 本当にごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまないな、ラディッツさん。ライムを許してあげてほしい。あの子はまだ幼い」

 

 あの後、夫婦二人は泣き喚くラウラを連れて部屋を出ていき、俺とラオが残された。

 

 いや、言って良いんですよ。

 俺が悪いって。

 さっさと出ていけって。

 

 でも、可能なら体が完治するまでここにいたい。

 右も左もわからない。

 だが、今俺はなにもしなければ穀潰しで終わる。

 何もしない居候。

 これだけはどうにかせねば。

 

 俺ができることは戦闘民族サイヤ人の力だけ。

 なら、俺がやることは食糧確保と力仕事くらいだな。

 

「気にしていない」

 

 なぜだ!何故話したい言葉と実際に話す言葉が一致しない。

 今はいい顔してくれているが、これが続くと心証が悪くなるかも。

 さっさと退室しよう。

 

「…どこへ行くのじゃ?」

 

 どこってちょっと森に行って動物の肉とか果物とか取ってくる。

 

「俺がどこへ行こうと勝手だろう?文句があるのか?」

 

 …………。

 

「いや、すまんかった。……気をつけてな」

 

 ……はい。行ってきます。

 

「ああ」

 

 俺はそう言うと、家を出て森に行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森に着くと、俺は鹿がいたから適当に仕留め、適当に毛皮を剥ぎ、食べれる部分を分ける。

 

 森の深くまで行き、果物や薬草、キノコを取れるだけとる。

 

 正直俺には毒か、どんな効力があるのかわからないので、匂いを嗅いだり、食べてみて体に異常がないものだけを厳選した。

 

 少し気分が悪くなったり、ハイテンションになったりしたのはここだけの話。

 

「こんなものでいいだろう」

 

 後の仕分けはお願いしよう。

 わからなかったら捨てればいいしね。

 

 

 俺はでかい布で採取したものを包み、空を飛んで村へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ラディッツさん、帰ってきたのか」

 

 帰るとラオが薪割りをしていて、俺を見ると笑顔で迎えてくれる。

 ラオは俺が背負ってきた大きな袋に気づく。

 

「ラディッツさん、それは?」

 

 俺はその場に袋を置き、持っていた肉と皮もその場に置く。

 どうぞ先ほどのお詫びです。食べてください。そう言おうとすると。

 

「お前たちで処理しろ」

「こんなにたくさん」

 

 ラオは袋の中身を見て驚く。

 

「俺は寝る。飯ができたら声をかけろ」

 

 俺は黙って家のドアに手をかける。

 何様なのだろう。

 

 家に置いてもらっている立場なのに。

 

 なんかこのままだとまずいな。

 ……何かできることは。

 

「おいラオ!」

「なにかな?」

 

 そういえばラオは薪割りをしていた。

 まだ、量もあるし、やってあげよう。

 

「お前は効率が悪すぎる」

 

 ラオは俺の言葉の意味がわからないらしい。

 うん、俺もわからない。

 俺は黙ってまだ割っていない薪の塊に近づき、空になげる。

 

「ディア!」

「?!」

 

 俺は素手で薪を割った。

 ラオは目の前で起こった光景に驚いている。

 

「……すごい」

 

 ラオは感心している。午前中にライムを泣かしてしまった手前、少しでも恩返ししたい。

 

 できることをしよう。

 体が癒えるまでは。

 

「俺は寝る」

 

 俺はラオに一言断り、家に入った。

 

 今は一人になって考えたい。

 これからのことを。

 

 まず強くなるための修行について、Z戦士たちが俺の動向をどう思っているのか、どう行動してくるのか。

 

 最後にベジータたちとの戦闘について。

 




ラオ チュウとライムは人造人間編に登場したアニオリキャラ

キウリとレンモはオリキャラです。


補足説明。
ラディッツの言動は憑依したばかりで原作ラディッツとオリ主の心と体がまだ一致していないからあのような口調になってます。

また、前の話であったラディッツが暴れてもある程度の被害には目を瞑るのは今は戦えるZ戦士たちの強化や己の実力を上げるための判断です。

魔人ブウ編でやっていた対応と同じと考えてもらえると。

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