気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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無印編ラストになります。

前話の補足説明。
ドラゴンボールの設定ですが……悟空の病気は治せなかったことにします。
17号と18号は研究所を破壊後すぐに交戦してきて、ら聞く耳持たずだったので破壊した。
ゲロによる人格調整が中途半端だったので、人格そのものがなかった。


ラディッツ、さらなる高みを求めて

「おったまげたなぁ!」

「ああ……意外だ」

 

 俺と悟空はベジータの方へ向く。

 俺は知っていた。だが、見るのは自然の流れだろう。

 

 チラチラと見たので、ベジータの機嫌がさらに悪くなったのは見なかったことにしよう。

 

「それで……その話が俺への頼みとなんの関係があるんだ?」

 

 そこが話の肝だ。

 俺はこのままだと話が進まないと判断したので、質問した。

 

「実は……当時僕を産む前の母さんはラディッツさんに好意を持っていまして。……既にヤムチャさんと別れていたこともありまして……その」

「いちいち気にすることはない。はっきりと言え」

「はい……実は。母さんとラディッツさんは一時期恋人関係にあったそうで」

「は?!」

「ひょえぇぇ!え!にいちゃんとブルマが!」

 

 ひょえぇぇ!

 え?俺が……ブルマと?

 俺はつい声を出してしまい、悟空は再び驚く。

 

「……すまないが、聞き間違いじゃなければ俺とブルマが恋人と聞こえたが……間違いないか?」

「ええ……本当です」

「すまないが……可能ならどういった経緯があったか説明を頼む」

 

 落ち着こう……冷静さは大切だ。

 俺は大きく深呼吸をした。

 

「えっと……ヤムチャさんと別れた当時……というよりナメック星にいた時から母さんはラディッツさんに好意を抱いていたそうです。悟空さんが病気で亡くなった後、消沈しているラディッツさんに寄り添ったのがきっかけで」

「……は…はぁ」

 

 ……今の俺からすると絶対にしない行動だ。物語崩壊、特にドラゴンボールキャラが生まれなくなる禁忌を犯すのは絶対にしないはず。

 未来の状況から察するに……精神的に参っていたらしい。

 確かにその状態で優しくされたらコロッといってしまうかもしれない。

 

「えーと……それでどうなったんだ」

「はい……恋人になったまではいいのですが、その……付き合ったあと、少し経ったら心境の変化があったのか、ラディッツさんは修行や仕事ばっかりで全然母さんと連絡は取らず……自然消滅してしまったと聞いてきます」

「は……はぁ。……えーと。うん」

 

 どう話せばいいのだろう?

 

「ちなみにだが、未来の俺はそのことをなんと言っていたんだ?」

「詳しくは教えてくれませんでした」

「そうか」

 

 おそらく未来を大きく変えるのと、トランクスが生まれなくなる世界を気にしたんだな。だが、ならなんで一時的とはいえブルマを受け入れたんだ?

 ……わからん。

 

「そして、ラディッツさんとの関係があやふやになったあと……寂しそうにしている父さんを見て……その後なんとなく、くっついたそうです」

「なるほどなぁ。……世の中わかんねぇもんだなぁ」

 

 トランクスが話を終えたあと、悟空がブルマ達をみながら言う。

 どう反応すればいいんだ?

 

「それで……俺はどうすればいいんだ」

「可能なら母と関係を持つのはやめていただきたいのです。それを嫌がる人がいるというか……僕が関わった影響で僕が未来で生まれなくなるかもしれないので」

「俺がブルマと関係を持つのを嫌がる……だれが?」

「あ、それは……すいません。僕が未来を教えてしまったので、大きく未来が変わると思います。なので、少しでも僕が生まれなくなる可能性を摘んでおきたいのです」

「……わかった。ブルマと関係を一切断ち切って過ごせばいいんだな」

 

 そうすれば万事解決だな。

 

「え?いえ。そこまでしなくても……そこそこの距離感でお願いします。逆に怪しまれるかもしれないので……あと、このことは絶対に母さんと父さんには」

「……わかった。いいなカカロット」

「わかってる」

 

 これからの立ち振る舞いを考えなきゃいけないな……うん。

 

「これ以上は何も聞かん。だが、いくつか確認したいことがある」

「なんでしょう?」

 

 一番気になるのはなぜ俺以外に会ったかだ。話すだけなら会う必要はない。

 

「なぜ、他のやつらにも会ったんだ。話すだけなら俺だけでもよかったろうに」

「いえ、これも悟飯さんの指示です。そうした方が話も進めやすいし、クリリンさん達にも話してほしい内容だったので、その方がいいって言ってました」

「なるほどな……ということは悟飯は生きているのか?」

「ええ。重症になってしまいましたが、ラ……いえ、知り合いに腕の良い医者がいたのが幸いしてか、命に別状ありません。今は療養していて、学者を目指して勉強しています」

「それはよかった。未来の悟飯に頑張れと……治った後も研鑽も続けろと伝えてくれ」

「わかりました」

 

 

 俺の存在で唯一救えたことは悟飯の存在だろうな。物語でも未来悟飯の不遇っぷりには同情していたのだ。

 

「伝えたいことは話せましたので、僕はこれで失礼します。早く帰って未来の母さん達を安心させたいですし」

「おう!これ、助かったって伝えといてくれ」

「はい……ではまた未来で会いましょう。僕もタイムマシンのエネルギーが溜まり次第駆けつけます。三年後に」

 

 そう言ってトランクスは飛んで行った。

 

「それにしても驚くことばかりだな……にいちゃん」

「まぁな……俺は人造人間のことよりも今話したブルマとのことの方が気になりすぎているところだ」

 

 今後のことを考えるとわからないことが多すぎる。

 

「早く皆に伝えるか」

「そうだな」

「……いや、すまないトランクスにまだ聞きたいことがある、先に行っていてくれ」

 

 このまま向かおうと思ったが、気がかりのことがある。

 セルの存在だ。

 

 念のため伝えておくか。

 俺は飛んで行ったトランクスの元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トランクス」

「ラディッツさん、どうしたんですか?」

「いや、一つお前に伝えておこうと思ってな」

 

 俺が向かうとトランクスはタイムマシンを出して空へ飛び立つ寸前であった。

 間に合って良かった。

 このことを他の人に教えるわけにはいかない。

 俺は懐から紙とペンを取り出し記入する。

 それはセルについての情報。俺が転生者ということは隠して、嘘を交えながら書き記す。

 俺はなるべく知っている知識を外部に出す気はない。物語に沿って行動しようとするし、対策もする。

 

 

 もしかしたら未来にまだセルが存在し、次に未来から過去に来る時に狙われるかもしれない。せっかく未来の俺が守った世界、壊させてたまるか。

 

「……これは?」

「未来に帰った後、読め。これはお前の胸のうちに留めておいてほしい内容だ」

「わかりました」

 

 トランクスは胸ポケットにしまい、タイムマシンに乗り込み帰って行った。

 

 俺も皆の元へ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はトランクスについて大切なことだけ隠して要点を伝えた。

 

 それでも、みんなの反応は好戦的であった。

 新たな敵の存在に闘志をもやし、修行をすると意気込む。

 ブルマはゲロを倒してしまおうと俺の両手を握り泣きながら頼んで来るが、トランクスに言われたこともあるので、突き放すように否定した。

 若干ショックを受けていたが、こういうのはしっかりと線引きしておいた方がいい。

 

 その後ブルマは他の人の意見を求めるも皆否定、三年後に向けて修行し再開しようと約束する。

 

「おい!カカロット、ラディッツ!」

 

 だが、今まで黙っていたベジータが急に話しかけてくる。

 

「スーパーサイヤ人になったからって調子に乗るなよ。俺はそのうち貴様らを叩きのめして見せるぞ……サイヤ人No. 1は俺だと言うことを忘れるな」

 

 そう言ってベジータは去っていった。

 

 ……だが、敵認識はしているらしい。いいように解釈すればライバルだと認めてもらえたと言うことだろうな。

 

「ピッコロ…にいちゃん、オラと悟飯と一緒に修行しねぇか?」

「いいだろう。望むところだ」

「わぁーい!」

 

 ベジータが去った後、悟空は俺とピッコロを修行に誘ってくる。

 ピッコロは了承、それを悟飯は喜んでいる。

 

「すまないな。修行はお前達3人でやってくれ。俺はクリリンとする」

「え?……そんなら一緒にクリリンもすりゃいいだろう?」

「いや、俺たちのペースがある。三年もあるんだ。段階を踏んで修行をしたい」

「すまないが悟空、俺はラディッツの言う通り、段階を踏みたい」

 

 俺の発言にクリリンも賛同する。

 

「……なるほどな。クリリン、おめぇにいちゃんと修行してたんか。……確かにナメック星にいた時に比べ強くなってんな」

「お!やっぱりわかーーいってぇ!なんで叩くんだよラディッツ!」

 

 悟空はクリリンを見て褒めるも俺はクリリンが調子に乗る前に頭をペチンッと軽く叩く。

 

「調子に乗りすぎだ馬鹿者……この分なら修行の量を倍にしても大丈夫そうだな」

「そ……そんなぁ」

 

 俺とクリリンのやり取りを見てみんなは笑う。

 ま、自信を持つのは大切なことだが、調子に乗るのはいけない。

 ここいらでもう一回その自信をへし折っておこうか。

 

「わかった。にいちゃんはクリリンとか……ヤムチャ達はどうする?」

 

 悟空は納得するとヤムチャと天津飯、餃子に聞く。

 

「俺は遠慮する……正直、お前達の修行にはついて行けそうにないからな」

「俺達も遠慮する……ラディッツ」

 

 ヤムチャ、天津飯と悟空の誘いを断った。

 だが、天津飯は俺に話しかけてきた。

 

「俺達もお前達の修行に混ぜてもらえないか?」

「別にいいが……理由は?」

「界王様のもとで共に修行してお前から学べることは多かった。……何より短時間でクリリンがここまで強くなった。……俺も正直限界を感じていたところで……何か新たな刺激が欲しい」

「餃子も一緒か?」

「ああ」

「構わん、勝手にしろ」

「感謝する」

「そんな畏まらんでもいい」

 

 こうして、天津飯と餃子の修行加入が決まった。それにしても天津飯がこうまで言うとは意外だ。

 常に修行は一人で行っているイメージがあったが。何か俺が関わって心境に変化でも起きたか?……まぁ、どうでもいいが。

 修行仲間が増えるのは悪いことじゃないしな。

 

「よし、じゃあ3年後のえーと…なんだっけ?」

「5月12日、午前10時だ」

「……と、そうそう。自信のある奴だけ集合ってことで」

 

 悟空が再度確認の意味も込めてそう言って別れた。

 だが、その前に言っておくか。

 

「悟飯」

「何伯父さん?」

「カカロットの病気のこと……気にかけてやって欲しい。少しでも症状が出たらすぐに薬を飲ませるんだ。……いいな」

「うん!任せてよ!」

 

 最後に悟飯に伝えて置いた。

 これで悟空の病気の件は大丈夫なはずだ。

 

 ここから先の未来は俺の知識が全く使えない未知の領域。

 知っていれば対策もできるし、未然に防ぐこともできるだろう。

 ナメック星編はフリーザの存在や性格を知っていたからこそ悟空と共闘して事前に策を練ることができた。だが、人造人間編はそれが全くできない。

 

 強くなって行動するしかないのだ。

 だから、強くなろう。どんな強敵が現れても戦えるだけの術を身につけようと思う。

 

「お前ら、いくか」

「ああ」「おう!」「うん!」

 

 俺の一声で天津飯、クリリン、チャオズが返事した。

 俺は3人を連れ、悟空達と別れた。

 

 三年後……運命の日に再会を約束して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠、あなたの願い……無事に達成しました」

 

 トランクスはタイムマシンで未来に戻る前、腕を組むラディッツを見ながら一人呟く。

 その表情は悲しみなど一切なく、ある種の達成感があった。

 そして、タイムマシンが光り出し、ワープする寸前に遠くでこちらを見ているベジータが視界に入る。

 

「………パパ」

 

 トランクスは一縷の涙が頬に垂れる。

 その直後、タイムマシンは光となり消えたのだった。

 

 

 

 

 

 




無印編終了。

次は人造人間編になります。

人造人間編……長すぎる。
今までに比べて戦闘描写が多め、オリジナル展開になるので、構想やプロットができていてもなかなか書き出す気になれず。

でも、いざ書き始めようとしても書きたいように書けず……。

次の投稿まで時間がかかりそうです。

気長にお待ちください。


一応書き溜めの中に未来ラディッツの独白みたいなものあるんですけど、投稿するか迷ってます。ネタバレになりますし。
突然フラッと投稿されてるかもなのでその時は読んでくださると幸いです。





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