気がついたら死亡寸前だった件について   作:花河相

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前話の補足です。
追記です。
ご指摘があり、神様のポポの会話を一部訂正しました。
内容は神様たちがラディッツが人間と暮らしていることを認識しているという点です。
話には影響はありません。


ラディッツ 、修行を始める。

 俺の残留が決まったその日の朝、今日から修行をしようと思っている。そして、朝食を食べた後、準備をして家を出ようとすると。

 

 

  

「あ!おじさんおはよう!」

「ああ。よく眠れたか?」

「うん!おじさん今日から修行?行くんでしょ?私もいく!」

「来るんじゃない」

 

 ライムに絡まれる。

 懐かれるなら嬉しいが少し面倒くさい。

 

「こらライム、ラディッツさんを困らせてはいけません!」

「えぇ!でもママ!」

 

 お、キウリがきたか。

 なら、話は早い。

 ライムのことをお願いして外に出よう。

 

「すいませんラディッツさん。あ、今日は帰り遅くなりますか?」

「……ああ。行ってくる」

「お気をつけて」

 

 俺は空を飛び、森まで移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……どうするか」

 

 森に着くと修行の方針を考え始める。修行といっても何すれば良いのだろう。

 

「まぁ、まずやることといったら」

 

 俺はまず自分の尻尾を抜いた。

 少し痛かった。サイヤ人の誇りだが、月を見て大猿になるのは避けたい。ベジータは悟空との戦いで人工的に月を作り出していた。ベジータは大猿になっても理性を保てる。

 しかし、俺は多分無理だ。戦況がどう転ぶかわからない不安要素は無くしておくに限る。

 ライムは気に入っていたが、後で謝っておこう。

 

 さて、これから修行に入るわけだが、俺に武術の心得はない。

 サイヤ人は生まれ持っての戦いのセンスがあり、訓練しなくてもある程度の実力がある。

 俺もそうだ。

   

 センス任せの戦闘では限界がある。

 

 

 武術は一朝一夕で身につくものじゃない。

 

 ……どうするか。

 

 今は武術や技を身につけるのはやめよう。

 

 とりあえず手っ取り早く強くなるには身体能力向上と気を操れるようになること。

 身体能力は筋トレか?

 可能なら原作でもあった重力室でやりたいが、無理だ。

 なんせ、それを作るのはカプセルコーポレーションのブルマの家族だけ。

 

 人が良いブルマの両親ならば俺が今行ったとしても、注文通りの内容を作ってくれるかもしれない。

 だが、リスクは負いたくない。

 

「この辺には大きい岩あるし、それを持ち上げれば大丈夫か」

 

 筋トレはこれで少しはマシになる。

 だが、それは問題は気のコントロール。

 ……まずは。

 

「気を感じるところからか」

 

 修行と言ったら……やっぱり。

 

 感謝の正拳突きだな。

 ハンターハンターのネテロの代名詞。

 己の肉体に限界を感じたわけではないが、気のコントロールのやり方、身につけるための方法はある。

 

 この一ヶ月で考えついたやり方が。

 

 まずは足を横に両肩くらい開き、合掌。この時に体内で気を最大に溜める。

 自分の最大の気を溜められたら次にゆっくりと膝を曲げ重心を下げ、両腕を腰につける。

 最後に拳を空間に打ち込む。

 その時にゆっくりと体内で溜めた気を拳を移動させ、打ち切る。

 

 ここまで10秒かかる。

 

 すごく違和感があり、やりづらい。

 この方法が正しいのかわからないが、まずは慣れることが大切だろう。

 

 気のコントロールを繊細にできるようになれば自分より戦闘力が上の連中に一矢報いれる。

 

 これもハンターハンターからのアイデアだが、念の攻防力がヒントだ。

 細かい説明は省くが、強者からの一撃を受ける時、受ける部位に気を集めることでダメージを軽減できるのではと仮説づけた。

 

 これに関して、まずは気を繊細に操れるようにならなくてはいけない。

 

「とりあえずやるか」

 

 俺は修行の方針を固める。

 やらないことには始まらない。

 だって気のコントロールは誰にも教われない。

 自力でできるようにならないといけないのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ!……もう気のコントロールが乱れてきた」

 

 気のコントロール修行を開始して数時間が経過した。

 残念ながら気のコントロール正拳突きは長時間やっても集中力が続かず、気を練れなくなる。

 

 戦闘に支障はないが、コンディションは悪い。

 

 こんな時に相手の気を探れればいいのだが、残念ながら相手の気を探るとかは無理だ。

 何がいけないんだ?

 

 ……理由は後で考えよう。

 

 それにしても。

 

「腹減った」

 

 気を使うと腹が減る。

 そういえば空腹の時ってなんか気の減り遅いんだよなぁ。

 

 帰るか。

 昨日取りにいった肉や魚はラオの家に置いてあるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、ラディッツさん、早い帰りだ。用事があるとキウリが言っていたが何をしていたのだ?」

 

 帰ると出迎えてくれたのはラオだった。

 ラオは最近店が空いている時間や休憩時間には、以前薪割りをしている家の裏でゆっくりと過ごしていた。

 俺がくる前はその時間を使い、力仕事をしていたのだが、今は俺が全てやってしまっている。

 

「……鍛錬をしていた」

「ほう」

 

 俺が端的に答えると感心するよう俺を見る。

 いや、何見てんだよ。なんか言えよ。

 

「なんだ?」

「いやなに……実はワシも昔武術をやっていてな。前々からラディッツさんが強いことは分かっていたのでな」

「それがなんだ?」

 

 武術の経験者か。知ってる。

 なるほどな。

 

「なに……よかったら手合わせでもどうかなと思ってな」

 

 ……いや、やったら殺しちゃうよ。

 単なる気まぐれか?もしかして俺と交流を持とうとしてくれてるのか?

 せっかくの申し出だが……どうしたものか。

 

「ワシは武術家を引退しておるが、昔は天下一武道会にも参加したことがある」

「……いいだろう。死んでも知らんぞ」

 

 そう言ってラオは腰を下ろし構える。

 俺は構えは特にない。

 脱力し、唯立つだけ。

 出来るだけ手加減して勝とう。

 

 気が減って疲れているが、力の加減を。

 

「はああああ!」

 

 ラオは俺にかかる。

 ああ、遅い。

 一撃目、右ストレート。

 最小限の動きで躱す。

 ラオは躱されると思ったのか、右の拳が空を切ると体勢を整え左の蹴りを。

 俺は右腕で容易く受け流し左拳を寸止めで止める。

 

「……はは。ここまでとは」

「満足したか?」

「いやはや、並のパワーの持ち主じゃないと思っていたがここまでとは」

 

 ラオはどこか満足していた。

 だが、今の動きは洗練されていたと思う。

 拳の打つ角度、体重移動。

 

 ……ただの人間だが、この人は間違いなく武術の達人だ。

 

 殺さないように戦うのは気のコントロールの一環にもなるし、この人と手合わせして動きの観察をするのはメリットになる。

 どうにか、毎日やってくれないだろうか。

 

「いい動きをしていた。

 老いても体が覚えているのだな」

「おお、ラディッツさんのような人に褒められるのは嬉しいものだな」

 

 ラオは笑顔で答える。

 

「よければ偶にでいいから手合わせをお願いしてもいいかな?ワシも最近はまともな運動をしていないせいか、なまってしまってな」

 

 お、これは都合がいい。

 

「……いいだろう。毎日この時間、お前がやりたい時に声をかけろ、いつでも相手をしてやる」

「わかった」

 

 この人はいい人だ。

 俺はもらうだけで何も返してもらってない。

 

 ……出来る範囲で恩を返している。

 しかし、還元できていない。

 

 考えても仕方ない。

 こういう小さいことをコツコツとやっていこう。

 

 こうして修行は開始された。

 


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