「ポケットモンスター」。縮めてポケモン。この世界にはそう呼ばれる摩訶不思議な生き物が数多く生息している。
果てしなく広がる草原に、鬱蒼と木々が生い茂る森林に、高く険しい荒れ果てた岩山に、光すら届かない深い海中に、全てを凍てつかせる極寒の凍土に、青く澄み渡る大空に、そして人間が暮らす街中に……。ありとあらゆる場所に、ポケモン達は生息している。
そして人間もまた、時に助け合いながら、時に対立しながら、この世界でポケモンと共に暮らしている。
しかし、この世界はとてつもなく広い。人間が把握している場所というのは、この星のほんの僅かな部分に過ぎない。
そして我々が知らない場所には、当然のようにポケモン達が山のように存在している。その中には、私達がよく知る姿とは全く異なる姿をしたポケモンも居るのだ。
そのような、環境の影響によってそれまで発見されてきた姿と全く異なる姿を持ったポケモンのことを、「リージョンフォーム」と呼んだ。
広大な海の上にポツンと浮かぶ一つの島。
中心にはまるで剣山のように反り立つ岩山があり、その周囲を緑の木々が円状に連なっている。
この島はかつて鳥ポケモン達の楽園だった。周囲が海で囲まれているため、天敵となる地上性のポケモンにタマゴを狙われることが無い。水中のポケモンも、この島の周囲の海流の勢いが激しすぎるために上陸することは出来なかった。さらに食料となる木の実も豊富にあったため、オオスバメやチルタリス、オドリドリと言ったポケモン達が、子育ての為に訪れる場所となっていた。
しかしそんな鳥ポケモン達の楽園は、現在は見る影もない。
島を取り囲む分厚い雷雲。絶えず稲光が瞬き、突風も吹き荒れる、そのような険しい環境へと変化してしまっている。
何故、これほどの変化が起きてしまったのか。その理由は、とあるポケモンがこの島を縄張りとしてしまったからだ
―ギヤーオ!―
全身を黄色い羽毛で包まれたそのポケモンは、甲高い鳴き声を上げ自らの存在をアピールしながら、悠々と空を飛ぶ。近くで雷鳴が轟いても、気にすることなく飛行するその姿を見れば、誰もが畏怖するだろう。
そのポケモンの名は「サンダー」。でんげきポケモンの異名を持つ、伝説の鳥ポケモンの一体である。
サンダーが訪れたことにより、その力の影響でこの島は暗い雷雲に包まれた島へと変わってしまった。一部のポケモン達が縄張りを奪われまいと勝負を挑んだが、その圧倒的な力の前に最後には逃げ出すほかなく、結果として多種多様な鳥ポケモンが暮らしていたはずのこの島は、見る影もない、サンダーの島へと変わってしまっていた。
しかしながら、今もなおこの島に残り続け、サンダーと絶えず縄張り争いをする鳥ポケモンが居た。さらにそのポケモン達は、この激しい雷が絶えない島の環境に適応し、新たな力を獲得するまでになっていたのだ。
―チュチュンッ!―
空を飛ぶサンダー。その姿を視認した瞬間、そのポケモンの群れは森の中から姿を現した。
そのポケモンは黄色い羽毛に包まれた胴体とオレンジ色の翼を持ち、遠目から見ると手乗りサイズのサンダーに見えるかもしれない。
しかしそのポケモンはサンダーではない。それはカントー地方等、多くの場所で見られることのあるありふれた鳥ポケモンだ。
そのポケモンの正体は、ことりポケモン「オニスズメ」。
このオニスズメ達もまた、かつてこの島で暮らしていた鳥ポケモン達の一種だ。そしてサンダーがこの島に降り立ったことで、他の鳥ポケモン達が逃げ出す中、唯一島に残ったポケモンでもある。
通常、ひこうタイプのオニスズメ達にとって、雷を操るサンダーは文字通り手も足も出ない相手である。しかし、自らの縄張りを守らんがために、幾度となくサンダーに立ち向かったオニスズメ達は、世代交代を経ていく中で、新たな姿へと変化した。
この島の新たな環境に適応したリージョンフォームのオニスズメ。便宜上、
Rオニスズメは、サンダーの影響で常に雷が鳴り響くこの島で暮らし続けたことにより、タイプがノーマルからでんきへと移行した。羽毛は帯電性を持つようになり、周囲の静電気を吸収して自らのエネルギーへと変化させることが可能となっている。
また性格は、サンダーとの縄張り争いの影響か原種以上に好戦的になっており、もし仮にこの島に他のポケモンや人間が訪れるようなことがあれば、真っ先に襲い掛かって来るだろう。それも群れでだ。その脅威は計り知れない。
そんなオニスズメ達の群れ。しかしその群れのチームワークを、サンダーは圧倒的な力で蹴散らしていく。その身から放たれる雷は、いくら耐性を付けたオニスズメでも受けきることは出来ず、飛ぶ力すら失った個体がどんどんと落ちていく。
いくら数が居るとしても、その力の差は果てしなく広い。それが僅か一瞬の間に証明された。
しかし、これだけでただやられるのであれば、Rオニスズメは誕生していない。そう、オニスズメがリージョンフォームを得たのであれば、あのポケモンもまた当然リージョンフォームへと変化していた。
―ピューイッ!!―
突然、森の中から現れた影。それが目にも留まらぬスピードでサンダーを貫いた。
サンダーは僅かに体勢を崩すものの、ダメージは小さかったようですぐに持ち直すと、その影を睨みつける。
Rオニスズメと同じ体色でありながら、二回り以上大きな体。敵を威嚇する鶏冠。鋭く突き出た嘴。大きく広げた翼。
さらにそれと同じ姿のポケモン達が一斉に森の中から姿を現し、甲高い声を上げると同時に、Rオニスズメ達が一斉に陣形を組んでサンダーに相対する。それは、このポケモンがRオニスズメ達を指揮していたことを物語っていた。
この突如として現れた鳥ポケモン。それはRオニスズメが進化した姿。つまりくちばしポケモン「オニドリル」、そのリージョンフォームだ。
Rオニスズメ達がサンダーの動きを誘導し、Rオニドリルが攻撃を仕掛ける。統率された抜群のチームワーク。これが長きに渡る縄張り争いによって培われた戦術だ。
伝説の鳥ポケモンという強大な力に対し、群れと言う数の力で立ち向かう。そう珍しくは無いただの鳥ポケモンでありながら、その姿はどこか泥臭く、しかし気高く見えた。
―ギヤーオ!―
サンダーもまた、自らに立ち向かう者達を歓迎するかのように再び大きく叫ぶと同時に、より一層嵐が強くなる。
吹き荒れる風と瞬く稲光。
そんな中、一羽のサンダーと、鳥ポケモンの群れの姿が交差した。
激しい嵐が巻き起こる島。その中で行われる荒々しい縄張り争い。必死に自らの居場所を守ろうとする、ポケモン達の日常。
その光景を人類が見ることになるのは、まだ遠い先のことだ。
| オニスズメ | |
|---|---|
| ぶんるい | ことりポケモン |
| タイプ | でんき・ひこう |
| たかさ | 0.3m |
| おもさ | 2.0kg |
| とくせい | するどいめ(エレキスキン) |
| 種族値 | |
| HP | 40 |
| こうげき | 60 |
| ぼうぎょ | 30 |
| とくこう | 31 |
| とくぼう | 31 |
| すばやさ | 70 |
| 合計 | 231 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | つつく |
| 1 | なきごえ |
| 4 | にらみつける |
| 8 | でんじは |
| 11 | みだれづき |
| 15 | でんきショック |
| 18 | つばさでうつ |
| 22 | とっしん |
| 25 | スパーク |
| 29 | じゅうでん |
| 32 | はねやすめ |
| 36 | ドリルくちばし |
↓Lv20で進化
| オニドリル | |
|---|---|
| ぶんるい | くちばしポケモン |
| タイプ | でんき・ひこう |
| たかさ | 1.3m |
| おもさ | 38.2kg |
| とくせい | するどいめ(エレキスキン) |
| 種族値 | |
| HP | 65 |
| こうげき | 95 |
| ぼうぎょ | 60 |
| とくこう | 56 |
| とくぼう | 56 |
| すばやさ | 110 |
| 合計 | 442 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | エレキドリル |
| 1 | ちょうはつ |
| 1 | つつく |
| 1 | なきごえ |
| 1 | にらみつける |
| 4 | にらみつける |
| 8 | でんじは |
| 11 | みだれづき |
| 15 | でんきショック |
| 18 | みだれづき |
| 23 | とっしん |
| 27 | スパーク |
| 32 | じゅうでん |
| 36 | はねやすめ |
| 41 | ドリルくちばし |
| 45 | エレキドリル |
| わざ名 | タイプ | 分類 | 威力 | 命中率 | PP | 範囲 | 優先度 | 直接攻撃 | 効果 |
| エレキドリル | でんき | 物理 | 70 | 100 | 15 | 1体選択 | 0 | ○ | 30%の確率で相手の防御を下げる |
特性欄の括弧内は隠れ特性です。
わざは第八世代をベースとしました。