まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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太古より続く秘境のみつりんポケモン

 周囲を険しい断崖絶壁に囲まれた孤島が存在していた。1年を通して温暖な気候が続くこの島の周囲には他の島が無く、険しい岩壁は陸上に上がろうとする他のポケモン達を寄せ付けない。そのため、この島全土に広がる巨木の森は、大昔からの景観がほとんど変わらず残っており、生きた化石とも言えるポケモンが多数生息している。

 例えば幾重もの蔦が絡まり合ったかのような見た目を持つ「モジャンボ」。高速で空をホバリングし、獲物を狩り取る「メガヤンマ」。灼熱の翼を持つ太陽のような姿の「ウルガモス」。他にも現代では極めて珍しいポケモン達がこの島に生息していた。

 そんな貴重なポケモン達の住処でもあるこの島だが、四方を断崖絶壁に囲まれていると言う天然の要塞とはいえ、外敵が全く侵入しないというわけでは無い。そう、この島唯一の侵入口である空から、様々なポケモンがこの島へ入り込もうと試みていた。

 

ガアアァァァ!

 

 轟くような雄叫びを上げているのは、きょうぼうポケモン「サザンドラ」。進化前の「ジヘッド」は洞窟で暮らす地上性のポケモンだが、進化したことによって六枚の翼を得て、自由に空を羽ばたくことが可能となっている。その性格は異名通り凶暴で、視界に入った動くものは全て敵と認識し、三つの頭で攻撃を加えようとする、極めて危険なポケモンであり、熟練のトレーナーですら制御するのは難しい。

 そんなサザンドラは、新たな縄張りを求めて飛行している最中、この島を見つけた。温暖な気候によって木の実が豊富に成り、外敵からも身を守りやすい、まさに絶好の場所だ。

 サザンドラはこの島を自らの縄張りにすべく、まずは足掛かりとしてこの島で最も高い巨木に住処を作ろうと近づいた。しかし、そんなサザンドラの侵入を拒もうとしたものが居た。

 

シャアッ!

 

 それはこの秘境の主とも言うべきポケモン。そのポケモンはサザンドラが発するエネルギーの息吹(りゅうのはどう)を、木々の隙間を目にも止まらぬ速度で駆け抜け躱す。

 サザンドラは三つの頭部を利用して攻撃を仕掛けるが、幾つも生えた巨木を利用して自らの姿を隠し、死角から近づいては擦れ違いざまに攻撃を仕掛ける秘境の主の動きには、まるで追いつけていない。それだけの速度の差が、この二体の間にはあった。

 しかしサザンドラもただやられているわけでは無い。相手のポケモンに無くて、自分に有る強み。そう、制空権だ。自由に空を飛び回ることの出来る翼を持つからこそ、出来る攻撃方法がある。

 サザンドラは一度攻撃の手を止めると、翼を羽ばたかせて急上昇し、森の中から抜け出す。逃げたわけでは無い。サザンドラは空の上から森を見下ろすと、再び強力な衝撃波(りゅうのはどう)を眼下に向けて放出した。

 空中からでは、森の中に居るポケモンの姿を認識することは難しい。しかしこれは相手にダメージを与えるためではない。

 倒れる木の枝から別の木へと移動しようとする秘境の主。その瞬間をサザンドラは捉えた。

 

ガアッ!

 

 三つの頭から同時に放たれた火炎の冷気と雷撃(トライアタック)。渦を巻き混ざり合ったその一撃は、空中で身動きの取れないポケモンに確実に命中する。

 

ドォンッ!

 

 舞う砂埃が地面を覆う。必殺の一撃を受けてただで済むポケモンは居ない。事実、砂埃の中からあのポケモンが姿を現すことは無く、反撃の気配も無い。

 

ガアアァァァ!

 

 自らの勝利を確信し、勝利の雄叫びを上げるサザンドラ。主を倒した以上、この島の新たな支配者は自分であると、高らかに宣言する。

 

シィアッ!

 

 しかし、この程度で倒れるのであれば、この島の主になどなれはしない。そう、戦いはまだ終わってはいないのだ。

 ふと感じた気配。それと呼吸音。それに気付いてサザンドラが振り向こうとしたその瞬間、

 

シャアァッ!

グゥアッ!?

 

 背後から強烈な一撃を受け、サザンドラの体勢が崩れる。

 その攻撃を放ったのは勿論、渾身の一撃を受けたはずのあのポケモンだった。何故、地上に居たはずのそのポケモンが自分と同じ高度に居るのか。薄れゆく意識の中、サザンドラはあるものを視界に入れる。

 それは大きく広げた相手の腕、そこから伸びる刃、いや葉。それが展開され、まるで羽のような形状と化している。羽ばたいて空を飛ぶことには不向きな形状はしているものの、風を捉えて滑空することは難しくは無い。そのポケモンはサザンドラの攻撃(トライアタック)が命中する寸前にその葉を広げることで、紙一重で回避し、さらにその衝撃で巻き起こった突風に乗ってサザンドラの背後まで上昇して見せたのだ。

 油断したところに強烈な一撃を受けたサザンドラは一瞬で意識を狩り取られ、そのまま地面へと落下していく。その光景を秘境の主は、滑空しながら見下ろしていた。

 

 この秘境の主の正体。それは一部の地域のトレーナーにとってはそう珍しい存在ではない。しかし隔絶された環境による変化により、その姿は元から大きく変化している。僅かに面影が残るのは顔つきや体型、尻尾の形状くらいだろうか。

 そのポケモンの名はみつりんポケモン「ジュカイン」。そう、ホウエン地方で新人トレーナーが最初に手にするであろうポケモンの一体である「キモリ」の進化系である。

 一般的に知られているジュカインも、このR(リージョン)ジュカインも、どちらも森の中で生活しているという点では全く同じだ。しかし通常のジュカインがより地上に適応した姿であるのに対し、空中から訪れる外敵に対抗するべく、腕に生えた葉が羽のように変化し、滑空能力を獲得したのがこのRジュカインである。タイプもひこうタイプを獲得しており、地上戦を得意とする原種とは真逆に、空中戦に特化した変化をしたことが分かる。

 

 地面に墜落したサザンドラは、落下の衝撃によってボロボロになった体を何とか起こす。

 そんなサザンドラの前に、Rジュカインが降り立つと、口を大きく開けて叫び声を上げた。

 

シャアァァッ!

 

 去れ、二度とこの島に近づくな、と言っているかのような相貌。

 サザンドラも負けじと威嚇しようとするものの、深い傷を負った体では滑稽なだけだ。そう、サザンドラは縄張り争いに負けたのだ。

 自らの敗北を認め、サザンドラはRジュカインを一瞥した後、フラフラと飛行しながら島を後にする。その後ろ姿をRジュカインはただじっと睨みつけていた。

 

 Rジュカイン。それは島を侵そうとするものには決して容赦しない、島の主であり守護者だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


キモリ(原種)

 

↓Lv16で進化

 

ジュプトル(原種)

 

↓Lv36で進化

 

ジュカイン
ぶんるいみつりんポケモン
タイプくさ・ひこう
たかさ2.0m
おもさ54.6kg
とくせいしんりょく(かぜのり)
種族値
HP70
こうげき125
ぼうぎょ60
とくこう75
とくぼう80
すばやさ120
合計530

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1アクロバット
1れんぞくぎり
1みねうち
1シザークロス
1エナジーボール
1はたく
1にらみつける
1このは
1でんこうせっか
5メガドレイン
12みきり
15ファストガード
20ダメおし
25ギガドレイン
30たたきつける
35かげぶんしん
42リーフブレード
49いやなおと
56がむしゃら
63ドレインカッター
進化アクロバット

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
ドレインカッターくさ物理80100101体選択0相手に与えたダメージの1/2だけ自分のHPを回復する。急所に当たりやすい。




ジュカインは個人的に一番好きな御三家です。
あのシュッとした顔、良いですよね。
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