まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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先週に続き、御三家シリーズ第二弾です。


謀略巡らせるキツネポケモン

 ポケモンはこの世界で生き残るべく、時代の流れと共にその能力を変化させてきた。あるポケモンは剛力を獲得し、戦闘に特化した。あるポケモンは遊泳能力を得ることで、水中の生活に適応した。あるポケモンは巨大な翼を持ち、自由自在に空を羽ばたき移動できるようになった。

 そんな中、人類のように知能を高め、策略を駆使して他のポケモンを出し抜こうとするものが現れるのもまた当然だった。幻覚を見せて相手を化かす「ゾロアーク」。スーパーコンピュータを超える速度の計算によって行動の予測を行う「メタグロス」。優れたリーダーシップで統率された群れを率いる「ドンカラス」。

 そしてここにもまた、自らの知能を十全に扱うポケモンが存在する。

 

ガアアアァァ!!

クオオオォォ!!

 

 とある森の中、そこで二体のポケモンが争っていた。

 片方は大きな口を開き鋭い牙を敵に向けて突き立てようとする、強面のようせいポケモン「グランブル」。もう片方は、素早い動きで相手を翻弄しながら、時にダイナミックな技を披露するレスリングポケモン「ルチャブル」。その二体が目に怒りを滾らせ、周囲の木々を砕きながら激しく戦っている。

 その光景だけを見れば、ただの縄張り争いにも思えるだろう。しかし本来であれば、この二体が争うことはまず無い。グランブルは非情に憶病な性格であり、敵に襲われたとき以外にその力を発揮することはまずなく、これほど果敢に戦おうとすることはあり得ない。またルチャブルも、自身や仲間が傷つけられる状況下であれば積極的に戦おうとするが、それ以外ではむしろ温厚で自分から攻撃を仕掛けることは無い、平和主義なポケモンだ。

 そんな二体が森の中で、周りの被害も気にせず戦っているのには、実はとあるポケモンの存在が有った。

 

ククッ……

 

 木の影から二体の様子を伺いながら、密かに笑う赤紫色のポケモン。手にした木の杖には妖しい炎が扇のように広がっている。このポケモンこそ、グランブルとルチャブルの二体が争っている原因である。

 

 今から数日前。この赤紫色のポケモンは、森で平和に暮らしていたグランブルの前に穏やかな様子を装い姿を現した。見知らぬポケモンに当初は警戒していたグランブルだったが、そのポケモンは敵対する様子が無く、むしろ自ら集めてきた木の実を渡そうとするといった行為に、徐々に心を許していった。それがそのポケモンの計略であることも知らずに。

 そして今朝のことだ。今日もまたそのポケモンが、共に食事をしようと木の実を携え姿を現した。そんなポケモンにグランブルも何も疑わずに近づく。まさにその時、突如としてそのポケモンはグランブルの眼前に手を掲げたかと思うと、そこからサイケデリックな閃光(あやしいひかり)が瞬く。

 まともにその光を浴びたグランブルは、意識が混濁し、湧きあがる衝動のまま暴れ始めた。その逞しい腕で目の前に居たポケモンを突き飛ばし、訳も分からぬまま攻撃を繰り出そうとする。臆病ながら強力なパワーを有するグランブルの攻撃。混乱していることでリミッターが外れているも同然のその一撃を受ければ、ただでは済まない。無情にもそのグランブルの大顎による噛みつきが赤紫色のポケモンへ迫ろうとしていた。

 

ケエェッ!!

 

 しかし寸前でその攻撃は食い止められる。グランブルの攻撃から赤紫色のポケモンを守ったそれは、鮮やかな羽毛に包まれた鳥ポケモンのルチャブルだ。

 何故、ルチャブルがこんなところに居り、赤紫色のポケモンを庇ったのか。実は赤紫色のポケモンが持ってきた木の実は、ルチャブルの縄張りに生えた木から取ってきたものである。無論、ルチャブルは自分の縄張りで勝手な真似をしようとしたそのポケモンを止めようと立ちはだかったのだが、テクニカルなそのポケモンの攻撃を受け、その場で取り逃してしまう。しかしルチャブルはあることに気付いていた。赤紫色のポケモンが戦いながらも、どこか苦しそうに涙を流していたということに。

 そこからルチャブルは、木の実を奪ったのはあのポケモンの本意では無いのではないか。何か事情があるのではないかと考え、そのポケモンの足取りを追った。正義感に溢れる種族であるルチャブルにとって、同じ森で生活している仲間を見て見ぬふりは出来なかった。

 そしてルチャブルは、その赤紫色のポケモンがグランブルに突き飛ばされる光景を目にする。彼からすれば、その赤紫色のポケモンがグランブルに奴隷のように扱われているように見えただろう。そんな非道を許すことが出来ず、ルチャブルはグランブルと争い始めた。

 しかし、ここまで完全にその赤紫色のポケモンの計画通りである。そう、最初からこの森で頂点の実力を持つグランブルとルチャブルの二体を争わせるために、用意周到に準備してきたのだ。

 最後の一押しと言わんばかりに、そのポケモンは二体が争っているその場に向けて、再び閃光(あやしいひかり)を放つ。組み合う二体がそれを防ぐことは無論叶わず、グランブルとルチャブルは揃って混乱し、周囲を顧みることなく争い始めた。

 

 赤紫色のポケモンは、戦い続ける二体を横目に、音もなく木々の間を駆け抜けていく。そんなポケモンの目的は、ルチャブルの縄張りに生えた木に、たわわに実った木の実。そのポケモンが遠吠えを上げると、どこで見ていたのか、小型のキツネポケモンである「フォッコ」やその進化系である「テールナー」が姿を現す。そして赤紫色のポケモンの指示に従い、垂れさがる木の実を端から端まで、抱えられる限界までもぎ取っていく。

 そう、この赤紫色のポケモンは、フォッコやテールナーの最終進化系。自由自在に炎を扱うとされるキツネポケモン「マフォクシー」のリージョンフォームである。

 全ての木の実を手に入れると、もうこの場に用は無いと言わんばかりに、R(リージョン)マフォクシーが率いる群れはさっさと逃げ出す。後に残されたのは、混乱しながら暴れ続ける二体のポケモン。それが及ぼす被害など知ったことではない。

 原種も知性が高いポケモンであることで有名だが、狡猾さという点ではこのRマフォクシーに並ぶものはそう居ないだろう。しかしこれも彼らが野生で生きるための手段。Rマフォクシーは自らの群れを守るために、他のポケモンを出し抜くという方向性に生態を変化させてきたのだ。

 しかしそれによって多くのポケモンが被害に遭っていることには変わりない。狡猾なる策略家は今日もまた、次なる獲物を探している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


フォッコ(原種)

 

↓Lv16で進化

 

テールナー(原種)

 

↓Lv36で進化

 

マフォクシー
ぶんるいキツネポケモン
タイプほのお・あく
たかさ1.4m
おもさ36.2kg
とくせいもうか(かちき)
種族値
HP75
こうげき69
ぼうぎょ67
とくこう104
とくぼう110
すばやさ109
合計534

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1あくのはどう
1サイコショック
1わるだくみ
1すりかえ
1うそなき
1あやしいひかり
1ひっかく
1しっぽをふる
1ひのこ
1とおぼえ
14ニトロチャージ
18サイケこうせん
22ほのおのうず
28ひかりのかべ
38まどいのほのお
45かえんほうしゃ
51おにび
57ちょうはつ
62にほんばれ
68れんごく
74だいもんじ
進化あくのはどう

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
まどいのほのおほのお特殊90100101体選択0×20%の確率で相手をこんらん状態にする。




モチーフは妲己。
本話のデータ欄では第九世代のデータをベースとしました。

次回はみずタイプの予定。
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