まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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初の第九世代ポケモンのリージョン化。


熱気纏うハンマーポケモン

 ハンマーポケモン「デカヌチャン」。

 主にパルデア地方で見られるフェアリータイプのポケモンであり、その可愛らしい外見に惹かれ、ゲットしようとするトレーナーは少なくない。

 しかしこのポケモンにはとある特徴がある。それは異名の由来にもなっている巨大なハンマー。身の丈以上の大きさを誇るそのハンマーの重量は、優に100kgを超えている。このハンマーは彼女らにとってとても大事なものであり、触れようとすれば、逆にそのハンマーで殴りつけられることは間違いない。寝る時ですら手放そうとはせず、強い執着心があることが伺える。

 彼女らは自分にとって理想のハンマーを作り上げるために、常に材料となる鉱物や金属片が無いか探しているのだが、それは時に他のポケモンへの襲撃という形で現れることとなる。その最たる例が「アーマーガア」である。

 空の王者として有名なアーマーガアは、空飛ぶタクシーに用いられるポケモンとして有名である。その優れた飛行能力と持久力に加え、高い知能と戦闘力によって他の鳥ポケモンから人を守りながら、街から街へと運ぶ。移動手段としてこれほど優れたポケモンは珍しい。

 しかしパルデア地方を始めとした、「デカヌチャン」が生息している場所では話が変わってくる。はがねタイプを持つアーマーガアの羽は、彼女らにとってはハンマー作りに都合の良い材料だ。デカヌチャンは上空にアーマーガアが居るのを発見すると、そのハンマーによって近くの岩石を殴りつけ、アーマーガアを撃ち落とそうとしてくるのだ。

 そのためパルデア地方などでは、「イキリンコ」といった他の鳥ポケモン達が空飛ぶタクシーで働いている。

 

 さてそんなデカヌチャンなのだが、とある高原に生息している群れは危機に陥っていた。

 その理由がアーマーガアが軒並み姿を消したことにある。他の地方の個体と同様に、アーマーガアを襲撃してハンマーを作っていたこの群れなのだが、この地にはデカヌチャンの天敵が居らず、徐々に数を増やしていき、それと反比例するようにアーマーガアが数を減らしていった。そしていつの間にか、この地に数多く生息していたはずのアーマーガア達は、デカヌチャンの魔の手から逃れるために別の地へと渡り、その姿を消していった。

 これにデカヌチャン達は大いに慌てた。何故ならこの地に生息しているはがねタイプのポケモンは、アーマーガアしか居なかったからだ。鉱石も取れないこの地では、アーマーガアは文字通り彼女らの生命線とも言うべき存在。それが消えたということは、彼女らはハンマーを作れなくなったことを表す。

 こうなった以上、彼女らに取れる選択肢は二つ。ハンマーを捨てるか、新たな材料を求めて別の地へ移動するか……。

 そして選ばれたのは後者だった。ハンマーを作るのに適した材料を探し、雨の日も風の日も、荒野や森、雪山を、携えたハンマーがボロボロになりながらも、彼女らは進み続けたのだった。

 

 

 

 それからおよそ数十年後の話である。

 とある地方に聳える、真っ赤に燃え滾るマグマが流れる火山地帯。この地にはほのおタイプのポケモンだけでなく、出土する鉱物を求めてはがねタイプのポケモン達が生息している。マグマの中には希少な鉱石が混ざっており、冷え固まった溶岩を食べることで、彼らはその表皮をより強固にするのだ。

 しかしそんな彼らを狙うポケモンが居た。

 

ングゥ

 

 今日もエサとなる鉱物を、もしゃもしゃと一心不乱に食べるメタング。サイコパワーと鋼鉄の爪という二つの武器を持ち、攻防共に隙の少ないポケモンである。本来、はがねタイプのポケモンにとって不利な相手であるほのおタイプのポケモンが多いこの地でも、難なく生息出来ているという時点でその実力は想像がつくだろう。

 

ヌチャン……

 

 そんなメタングを高所から見下ろす幾つもの目。その瞳に宿るのは、獲物を見つけた捕食者に通じる獰猛さ。

 その中の一体が手にした道具を大きく振りかぶると、地面に転がっていた溶岩の塊へと叩きつけた。

 

ゴッ!!

 

 鈍い音と共に殴りつけられた溶岩の塊は、猛烈な勢いでメタングへと向かっていく。いや、ただそれだけでは無い。冷えて固まっていたはずの塊が炎を纏い、灼熱の球となってメタングに襲い掛かる。

 

グッ!?

 

 しかしメタングは溶岩が撃ち出された際の音に気付き、すぐに食事を止めたことが幸いして、その攻撃を回避することに成功する。

 そしてメタングが、食事の邪魔をしたのが誰かと顔を上げると、そこに居たのは小柄な数体のポケモン。

 

 このポケモン達の正体は、ハンマーを作るための材料を求めて放浪していたデカヌチャン達の子孫である。燃え滾る火山の熱。豊富な鉱石。多数生息するはがねポケモン。ハンマー作りに適した環境とも言えるこの地は、まさにデカヌチャン達にとっての理想の新天地。そして彼女らはこの地に住み着き、長い時を経て、新たな力を得る(リージョンフォーム)に至った。

 かつて桃色だった表皮は、火山の炎を映したかのように真っ赤になり、長い髪も煤のような灰色へと変色している。そして頭部の頂点には、ゆらゆらと灯る炎。体に火が付いているにも関わらず、彼らは一切動じた様子は無い。そう、彼らはリージョンフォームとなったことで、ほのおタイプへと変化していた。

 そんな彼女らの最大の武器であるハンマーにも変化は起きている。この火山の地に生息しているはがねポケモンの外殻を利用しているためか、R(リージョン)デカヌチャン達の高い体温にも耐えることができ、さらにハンマー自体が高温を持つことで、殴りつけた物体を発火させるという性質を有するようになったのだ。

 

 そんな渾身の火球を避けられたものの、Rデカヌチャンは慌てる様子は無い。メタングは時に時速100kmを超える速度で飛行するポケモン。躱されても何の不思議も無い。だがそれがどうしたと言わんばかりに、Rデカヌチャンはハンマーを高く掲げる。

 

ヌチャッ!

チャンッ!

カチャッ!

 

 その号令と共に、進化前である「カヌチャン」と「ナカヌチャン」が一斉にメタングに向かって走り出した。

 一体一体はそう強いポケモンでは無い。メタングからすれば大きなダメージにもならず、容易に躱せる相手だ。しかしそれが十、二十、あるいはそれ以上となるとどうなるか。

 視界一杯、いやそれどころか視界の外からも放たれる攻撃を完全に躱すことは難しい。中にはその体にしがみ付いて動きを封じようとしてくるRカヌチャン達をメタングは必死に振り払おうとする。

 そしてその動きが一瞬止まったのを、Rデカヌチャンは見逃さなかった。

 

ヌチャアッ!!

 

 赤熱化したハンマーによる強烈な一撃(ヒートスタンプ)が、メタングの頭部へと叩きつけられた。急所へと命中した重い一撃は、いとも容易くメタングの意識を刈り取り、その体は地面に転がっていく。

 そうして瀕死となったメタングに対し、近づいて行くRカヌチャン達。その先の光景は、かつてアーマーガア達がその身に受けた悲劇と全く同じである。

 環境が変わろうとも、その本質が大きく変わることは無いのかもしれない。少なくとも彼女らはもしこの地を離れることになろうとも、また別の地で同じように生きていくのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


カヌチャン
ぶんるいかなうちポケモン
タイプフェアリー・ほのお
たかさ0.4m
おもさ9.1kg
とくせいかたやぶり・やるき(はがねつかい)
種族値
HP50
こうげき50
ぼうぎょ45
とくこう35
とくぼう59
すばやさ58
合計297

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1ひのこ
1ようせいのかぜ
5つぶらなひとみ
8メタルクロ―
11ほしがる
14いわくだき
17ニトロチャージ
21てんしのキッス
24ぶんまわす
27たたきつける
31ほのおのパンチ
35じゃれつく
39ねこだまし
43おにび
47ヒートスタンプ
52はたきおとす

 

↓Lv24で進化

 

ナカヌチャン
ぶんるいハンマーポケモン
タイプフェアリー・ほのお
たかさ0.7m
おもさ64.9kg
とくせいかたやぶり・やるき(はがねつかい)
種族値
HP65
こうげき65
ぼうぎょ50
とくこう45
とくぼう77
すばやさ78
合計380

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1ひのこ
1ようせいのかぜ
5つぶらなひとみ
8メタルクロ―
11ほしがる
14いわくだき
17ニトロチャージ
21てんしのキッス
24ぶんまわす
27たたきつける
31ほのおのパンチ
35じゃれつく
39ねこだまし
43おにび
47ヒートスタンプ
52はたきおとす

 

↓Lv38で進化

 

デカヌチャン
ぶんるいハンマーポケモン
タイプフェアリー・ほのお
たかさ0.7m
おもさ122.5kg
とくせいかたやぶり・やるき(はがねつかい)
種族値
HP85
こうげき90
ぼうぎょ72
とくこう65
とくぼう100
すばやさ94
合計506

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1かえんボール
1ひのこ
1ようせいのかぜ
5つぶらなひとみ
8メタルクロ―
11ほしがる
14いわくだき
17ニトロチャージ
21てんしのキッス
24ぶんまわす
27たたきつける
31ほのおのパンチ
35じゃれつく
39ねこだまし
43おにび
47ヒートスタンプ
52はたきおとす
進化デカハンマー

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