深海。光届かぬその場所は、広大な海の中でも独自の生態系が発展してきた世界であり、未だ人類の想像が及ばぬ未開の地である。
この深海はポケモン達にとっても過酷な環境である。地上からの光が届かないということは、周囲の外敵を見つけることも、餌を探すことも困難であるし、常に周囲には強烈な水圧が掛かるため、自由に動くにも相応の力が求められる。
そのため深海に生息しているポケモンは、いずれも独自の生存戦略を持っている。ライトポケモンの「ランターン」は自ら強力な光を発することが可能であり、ただ視界を確保するだけには留まらず、これを目くらましとすることで獲物を捕獲している。
ドラゴンポケモン「キングドラ」は普段はじっと動かずにいることで体力を温存しているが、狩りや縄張り争いの際にはその見た目からは信じられないほどの速度で敵に近づくと同時に、口から発する息吹によって渦潮を巻き起こし、攻撃を行う。
2まいがいポケモン「パールル」は水圧や周囲の天敵から身を守るべく、頑丈な殻によって本体を守っており、生半可な攻撃では傷一つつかないほどの防御力を持つ。
人間の手の届かない深海は、これらの特異な能力を持ったポケモン達によって、毎日のように生存競争が行われてきた。
しかしそんな深海にも、弱者と呼ばれるポケモンが存在する。外敵を圧倒する攻撃力も、あらゆる脅威から身を守る防御力も、自由自在に動き回る素早さも持たない。そんなポケモンが存在する。
そのポケモンの名はそうこうポケモン「コソクムシ」。
一般的にコソクムシは海辺や湿った洞窟などで見られるポケモンであるが、実は深海にも生息していることはあまり知られていない。
コソクムシは異名に反し防御力は高くなく、むしろその逃げ足によって天敵から身を守ろうとすることで有名である。しかし深海では高い水圧によって満足に動くことが出来ず、その逃げ足も真価を発揮することが出来ない。
では彼らは深海でどのように暮らしているのだろうか。
コソクムシが集まるのは、主に他のポケモンの死骸の周りである。寿命によって、あるいは外敵に襲われ力尽きたポケモンの亡骸は、この水底へと沈んでいく。力が弱く他のポケモンと争う力をほとんど持たないコソクムシにとって、それは貴重な食料だ。
例え10メートルを超える巨体を持つ「ホエルオー」であったとしても、何百匹にも及ぶコソクムシの群れにかかれば、数時間であっという間に骨しか残らなくなる。
深海における掃除屋ともいえるこのコソクムシであるが、同時に彼らは他のポケモンからすれば絶好の獲物であることを忘れてはならない。鋭い牙を持つ「ハンテール」や触手から毒を放つ「メノクラゲ」など、多くのポケモンにとって、コソクムシは捕食対象となる。
少しでも遅れれば食べられるため、天敵を見つけるや否や、コソクムシ達は砂地に潜り込んだり、細い足を必死に動かして逃亡する。それでも多くのコソクムシが日々獲物としてその命を散らしていく。その姿はこの深海の生態系における底辺そのものと言わざるを得ない。
しかし中には、幾重もの襲撃に対して幸運にも生き残ることが出来た個体も存在する。群れの仲間達が命を散らしていく中、必死に足搔き続けたコソクムシ。そんな個体のみ至ることが出来る段階が存在した。
ある日のこと。海底を一体の「ネオラント」が泳いでいた。体を発光させ、鰭をたなびかせながら泳ぐ姿は、さながら天使のようにも見える。そんなネオラントだが、見た目とは裏腹に攻撃的な面があり、時に相性が不利なランターン相手にも餌の奪い合いを仕掛けることがある。
そんなネオラントの好物は「スターミー」。砂地に隠れていることが多いスターミーを、レーダーの役目を持った胸鰭を使って探索するのだ。
そんなネオラントの優れたレーダーが、近くの砂地に潜る何かを感じ取った。それを餌と考えゆっくりと近づくネオラント。しかしそれは大きな間違いであることに気づく様子はない。
近づいてきたネオラントの気配を感じ取って砂地から飛び出したのは、一体のコソクムシ。天敵を前に慌てて逃げ出すが、その動きはネオラントよりも遅い。
好物のスターミーでは無かったことを残念に思いながらも、せっかく見つけた獲物を逃すほどこのネオラントは優しくは無い。徐々にコソクムシへと迫り、その口で噛みつこうとする。
このままではコソクムシは捕食されることだろう。しかしネオラントは気づいていなかった。自分のレーダーが感じ取れる領域よりも下に、一体の悪鬼が潜んでいることに。
―ーッ!!―
―ラァッ!?―
突如として砂煙を巻き上げながら現れた何かが、ネオラントの体を羽交い絞めにした。
いきなり現れた襲撃者にネオラントが混乱する中、襲撃者は腹に並んだ爪をネオラントに食い込ませ、鋭い牙で噛みつく。その力は強く、どこか怒りや恨みが込められているようにも感じる。
ネオラントはどうにか逃げようと体を暴れさせるが、襲撃者は離すどころかより一層力を籠め、さらに鋭い爪でネオラントの体を引き裂いていく。
身動きの取れないまま、一方的にダメージを受け続けるネオラントの動きは徐々に弱くなり、ついには力尽きる。
そんなネオラントの体を襲撃者は容赦なく貪っていく。
この突如として現れた襲撃者の正体。それはこの光の届かない深海にのみ生息するコソクムシの進化系、「グソクムシャ」のリージョンフォームである。
現在発見されている通常のグソクムシャも深海に生息し、海底洞窟や沈没船を住処としているのが分かっているが、この
甲殻は刺々しくなり、原種よりもスマートな印象を抱かせる。口元から伸びる髭からは、何かのエネルギーが揺らめいているのも印象的だ。
また戦い方も原種とは異なり、原種のグソクムシャが硬い装甲で敵の攻撃を受け止めつつ、隙を見つけると素早く攻撃を仕掛けるカウンタータイプであるのに対し、Rグソクムシャは砂地などに隠れて敵が近づくのを待ち、その時が来ると素早く必殺の一撃で仕留めるという戦い方を行う。
どちらも深海に生息しているにも関わらずこのような生態の違いを持った理由は、進化前のコソクムシの段階における環境が大きく影響している。
原種へと進化するコソクムシは、隠れ場所が多い浅瀬の岩場、あるいはすでに進化したグソクムシャの縄張り内など、言うなれば比較的安全な環境に生息している。進化へと至る個体も多く、グソクムシャによる群れも珍しくはない。
対してRグソクムシャが生息しているのは、周囲を外敵に囲まれ、隠れ場所も少ない深海の砂地である。日々、仲間が捕食されていく中で、僅かに残った個体だけが進化することが出来る。そのためRグソクムシャはその個体数は非常に少ない。
かつて命を狙われた怒りによるものか、散っていった仲間達の無念によるものか、はたまた捕食してきたポケモンの死骸に宿った残留思念によるものか、そうして積み重なった恨みの感情こそが、グソクムシャをリージョンフォームへと変化させた大きな要因といえる。
強い執念によって進化したRグソクムシャは、獲物を捕らえるためには一切の容赦はしない。それによって甲殻は原種よりも薄くなりつつも、高いスピードを獲得し、敵を瞬く間に仕留める非情なポケモンへと変化したのだ。
自然界において、コソクムシは間違いなく弱いポケモンである。しかしそれが絶対とは限らない。時に弱者と呼ばれる存在が強者を打ち倒すこともあり得るのだ。
今日もまた、かつて天敵だったポケモン達に対し、Rグソクムシャはその身に秘めた強い恨みをぶつける。
コソクムシ(原種)
↓Lv30で進化
| グソクムシャ | |
|---|---|
| ぶんるい | おちむしゃポケモン |
| タイプ | むし・ゴースト |
| たかさ | 2.1m |
| おもさ | 83.0kg |
| とくせい | ききかいひ |
| 種族値 | |
| HP | 75 |
| こうげき | 125 |
| ぼうぎょ | 90 |
| とくこう | 60 |
| とくぼう | 70 |
| すばやさ | 110 |
| 合計 | 530 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | であいがしら |
| 1 | むしのていこう |
| 1 | すなかけ |
| 1 | まるくなる |
| 1 | うらみ |
| 4 | おどろかす |
| 8 | れんぞくぎり |
| 12 | かげうち |
| 16 | むしくい |
| 20 | ナイトヘッド |
| 24 | ふいうち |
| 28 | きりさく |
| 32 | シャドークロー |
| 36 | ミサイルばり |
| 40 | つるぎのまい |
| 44 | ゴーストダイブ |
| 進化 | であいがしら |