まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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枯れた砂原のりくくじらポケモン

 りくくじらポケモン「アルクジラ」。このポケモンはたまくじらポケモン「ホエルコ」と共通の祖先を持ち、かつては海中で生活していたということが知られている。環境の変化の過程で、海中生活を続けたものがホエルコ、陸上へと進出したものがアルクジラだ。

 地上へと進出したアルクジラのほとんどは、生きるために必要なミネラルが豊富に含まれる雪や氷を求めて、寒冷地帯へと生息圏を移した。だが中には、それらの通常種とは異なる地へ移り住み、その環境に適応した種も存在する。

 

 強い日差しが差す砂原。時折強風によって巻き上げられた砂が視界を奪う。

 水もほとんどないこの地域だが、こんな場所にもポケモンは生息している。砂地に点在する「マラカッチ」は吹き付ける風に合わせ体を揺らし、地面に掘られた巣穴から頭を出した「サンド」が周囲を見渡す。「ワルビアル」と「サイドン」は互いの縄張りを守るべく、その牙と角をぶつけ合う。

 そんな荒涼とした砂原だが、真夜中になると姿を大きく変える。

 日が落ちたことで気温は一気に下がり、昼間とは異なるポケモン達が姿を現す。眠りから目を覚ました「サダイジャ」は鼻から砂を吐き出しながら地面から這い出す。「ドラピオン」は獲物となる「エリキテル」を執念深く追い回している。そんな光景を遠くから「メテノ」がふわふわと浮きながら見つめていた。

 

 昼と夜、全く違う光景を見せる砂原。そんな場所にそのポケモンは生息していた。

 岩肌を思わせるゴツゴツとした表皮に丸い体。額から生える一本の角。側面から伸びた鰭のような腕。そんなポケモンが星明りが照らす地面を飛び跳ね、時折夜風に吹かれて転がりながら移動している。

 このポケモンこそ、砂原に住処を移したアルクジラのリージョンフォームとしての姿である。

 このR(リージョン)アルクジラは、原種とは真逆と言っても良い環境で暮らしているにも拘らず、その生態は原種とほとんど変わらない。群れを作りながら、地面を転がったり飛び跳ねたりして暮らしている。ただし原種のアルクジラが雪の中をまるで水中のように泳ぎ、かつての水中生活を思わせる活動が見られるのに対し、このRアルクジラは完全に陸上生活へ変化しているため、尾鰭が原種よりも小さく、足が太くなっているのが特徴だ。

 さて、なぜわざわざこんな過酷な乾燥地帯にRアルクジラは暮らしているのだろうか。その理由はRアルクジラが向かおうとしている場所にある。

 短い足で地面を踏みしめながら移動すること数時間。Rアルクジラの群れが辿り着いた場所。そこは一面が砂とは異なる白い結晶によって覆われた地。そこには他のRアルクジラだけでなく、進化系の「ハルクジラ」の姿まであった。

 この白い結晶の正体は塩。そう、Rアルクジラ達はこの塩を求めてやってきたのだ。

 

 実はこの砂原は、地下の奥底に流れる水脈によって海と繋がっている。普段であればその水脈を流れる海水が地上へ上ってくることは無いのだが、数百年に一度大規模な地殻変動が起きた場合、割れた地盤の隙間を縫って、まるで間欠泉のように海水が噴出してくる。この時噴出した海水が乾いた風や強い日差しによって蒸発した跡こそが、砂原の一帯に広がる塩の大地なのだ。

 海から直接噴出して作られたこの塩は、ミネラルを始めとする栄養素が豊富に含まれている。この砂原はそんな栄養豊富な塩が産出される世界的にも貴重な場所だったために、Rアルクジラの祖先はこの砂原へと定着することが出来たのだ。

 

 しかしリージョンフォームへ至った現在でも、強い日差しはRアルクジラ達にとって辛いことには変わりは無かった。動きが鈍いため、日光の当たる場所で長時間活動するのは彼らにとって命に係わる。そのため日中は洞窟や他のポケモンが掘った巣穴などに潜り込んで休息し、日が落ちた夜になってから活動を行っている。

 しかし夜にはまた別の危険が存在する。塩の塊を口を大きく開けて舐めるRアルクジラ。それを狙う影が頭上に一つ。

 それは鋭い爪と大きな翼を持つ「バルジーナ」。普段は弱った獲物を狙うバルジーナだが、元来性格が攻撃的であることもあり、たまにこうして自ら獲物を狩ることもある。そして今日の獲物は眼下に群れを作っているRアルクジラだった。

 その姿に気づいた一部のRアルクジラが警戒の声を上げ、近くに居たRハルクジラの許へと避難する。そして他のRアルクジラ達も慌てて逃げ出すが、そのうち一匹が段差に躓いて逃げ遅れた。そのRアルクジラに目を付けたバルジーナは猛スピードで急降下する。

 

ルアァッ!!

 

 最早逃げる暇もない。狙われたRアルクジラはその場で体を縮こまらせる。

 そしてその鋭い爪がRアルクジラへと突き立てられ……

 

ガキィッ

 

……ることは無かった。

 バルジーナの一撃は確かにRアルクジラの胴体へと命中したが、それは僅かに表皮に傷をつけた程度で大きなダメージにはなっていない。

 

ルアッ!?

 

 全力の攻撃がほとんど効いていないことに驚くバルジーナは何度も爪や嘴でRアルクジラを攻撃するものの、その全てが弾かれる。

 それでも必死に攻撃を続けていたバルジーナ。それはあまりにも隙だらけであった。

 

ジィラァッ!!

ルァーッ!?

 

 いつの間にか近づいてきたRハルクジラの強烈な突進を受け、大きく地面に叩きつけられる。気が付くと複数のRハルクジラ達がバルジーナを包囲していた。

 このバルジーナはまだ若く、経験が不足していたのが悪かった。Rアルクジラの表皮は岩のように硬く、そうそう傷つくことは無いため、好んで襲うような相手では無いこと。そしてRアルクジラ達は仲間意識が強く、一匹でも攻撃されれば仲間が集まって助けようとすること。これらを知らなかったために、このバルジーナは群れのRアルクジラを襲うという愚行をしてしまったのだ。

 バルジーナを追い払おうと突進してくるRハルクジラに驚いたバルジーナは、慌てて羽ばたいてその場から逃げ出す。その後ろ姿へ向け、威嚇の意味を込めてRハルクジラは砂を吹き上げた。

 

 氷雪地帯と乾燥地帯。全く異なる場所へ辿り着きつつも、互いに繁栄したアルクジラ達。彼らは今日もそれぞれの場所で日常を過ごしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


アルクジラ
ぶんるいりくくじらポケモン
タイプいわ
たかさ1.1m
おもさ44.0kg
とくせいいわはだ・いしあたま(ちからずく)
種族値
HP108
こうげき68
ぼうぎょ45
とくこう30
とくぼう40
すばやさ43
合計334

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1たいあたり
1いわおとし
6まるくなる
9エコーボイス
12ころがる
15ねむる
19とっしん
25じたばた
27いわなだれ
31とびはねる
36のしかかり
40ドわすれ
44すなあらし
49すてみタックル
53もろはのずつき

 

↓とてもなかよしな状態でレベルアップすることで進化

 

ハルクジラ
ぶんるいりくくじらポケモン
タイプいわ
たかさ4.3m
おもさ672.5kg
とくせいいわはだ・いしあたま(ちからずく)
種族値
HP170
こうげき118
ぼうぎょ70
とくこう40
とくぼう50
すばやさ73
合計521

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1たいあたり
1いわおとし
6まるくなる
9エコーボイス
12ころがる
15ねむる
19とっしん
25じたばた
27いわなだれ
31とびはねる
36のしかかり
40ドわすれ
44すなあらし
49すてみタックル
53もろはのずつき

 

 

 

とくせい名効果
いわはだ天候がすなあらしのとき、ぼうぎょが1.5倍になる。

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