未だ人が立ち入らぬ場所というものは、その全てが火山や砂漠、氷雪地帯といった厳しく過酷な環境ばかりというわけではない。いや、むしろ人の手が入らないことにより、木々が立ち並び色取り取りの花が咲き誇る美しい光景が残る場所もまた存在しているのだ。
その一つである森林地帯。この周囲は険しい山々によって囲まれ、空には強い風が吹き抜けることによって遥か昔から人間の到達を阻み続けていた。
この森に流れる川は山から流れる雪解け水が源だ、濁り一つない清らかなその水は、山の土壌から溶け出した栄養素が豊富に含まれることもあり、この森林地帯に住まう多種多様なポケモンを支えていた。
その川へと近づく一匹のポケモン。黄色い体毛に透けるほど薄い四枚の羽、丸い頭の頂点から生えるリボンのような触角。ツリアブポケモン「アブリボン」だ。
アブリボンの主食は花粉。この地帯には他の地域には見られない固有の花が幾つも生えている。その花粉を求め、朝から夜まで森のあちこちを飛び回る。
そんなアブリボンの一匹が、どこからか発せられる匂いによって川の近くへと引き寄せられていた。その匂いは甘く香しい香り。どの花よりも強い匂いがアブリボンの好奇心を刺激し、少しずつその匂いがする方向へと近づいていく。
しかしそれは、とあるポケモンが仕掛けた罠であった。
匂いにおびき寄せられたアブリボンが見つけたのは、たっぷりの甘い蜜が入った、緑と水色のグラデーションが美しい大きな袋。思わずそれにフラフラと引き寄せられる。そんなアブリボンの背後から近づくものがあった。
―ッ!!―
鋭く風を斬る音に気が付いたアブリボン。しかしそれを躱す暇もなく、アブリボンの小さな体を何かが絡みついた。それはねばねばとした粘液を滴らせた蔦。蔦からも甘い匂いが強く発せられ、その粘液がアブリボンの眼前にある袋の中にある蜜と同じものであることが分かる。
ふとごそごそとその袋が身じろぎをする。そう、その袋の正体は他のポケモンをおびき寄せ捕食する狡猾なポケモンであった。
袋の口には牙が生え、縁には周囲を睨む鋭い目。蓋のように生える葉の根本から伸びる蔦は、先端が枝分かれし、自由自在に動く腕の代わりを為している。
このポケモンは、この隔絶された地にのみ生息する、ハエとりポケモンの異名を持つ「ウツボット」の
Rウツボットの蔦に捕らえられたアブリボンは拘束から抜けようと藻掻くが、べたついた粘液のせいでうまく動くことが出来ない。
―リィッ!!―
それならばと羽を振動させ
―ボトゥ……?―
しかしその攻撃をまともに受けたはずのRウツボットは全く動じず、それどころかダメージを受けた様子すら見られない。
そう、このRウツボットはむしタイプの技を無効化する特性を有しているのだ。
元々、多くの地域で見られる通常種のウツボットとRウツボットの共通の祖先である原種は、虫ポケモンを捕食するためにむしタイプの技に対する耐性を有していた。そこから時が流れるにつれ、虫ポケモン以外の獲物も捕食するようになり、それらを仕留めるための毒を獲得したのが通常種。対してむしタイプに対する耐性を持ちつつも、この森林地帯に適応したことで水を活かした生態を獲得したのがRウツボットである。
反撃すら封じられたアブリボンに最早抵抗の手段は残されていなかった。少しずつRウツボットの袋の中、消化器へと引きずられていく。このままアブリボンは捕食されてしまうのだろうか。
そんな時だった。
―ズシンッ……―
地面が揺れる、何かが動く音がする。その音は木々を砕きながら一歩、また一歩と近づいてくる。
思わずRウツボットもアブリボンも互いの状況を忘れ、その音がした方向へと視線を向ける。そしてそれは姿を現す。
―ゴォン……!!―
欠伸をしながら現れたのは、でっぷりとした腹部を持つ巨大なポケモン、いねむりポケモン「カビゴン」だ。カビゴンは常日頃から空腹であり、起きている間はずっと食料を見つけては食べ、満腹になると眠る。そして起きるとまた食料を探して、食べ、眠る。そんなサイクルを繰り返すことで有名なポケモンだ。
このカビゴンも起きたばかりでお腹が空いているようで、まるで地鳴りのような腹の虫が響いている。
Rウツボットはそのカビゴンの乱入に泡を食う。そう、アブリボンにとってRウツボットが天敵であるように、Rウツボットにとってもカビゴンは天敵なのである。とはいっても、カビゴンはRウツボットをそのまま捕食するわけではない。
Rウツボットはせっかく捕らえたアブリボンを放り出して、慌てて逃げ出そうとする。しかし逃げるにはタイミングが遅すぎた。カビゴンはRウツボットの蔦を掴んで引き寄せると、その体を両手でがっしりと捉える。そして大きな口を開いたかと思うと……
―ゴォ~ン……―
がぶがぶと袋の中に詰まった粘液を飲み始めた。Rウツボットの袋の中に溜まった粘液はモモンの実よりも甘い。しかし消化液でもあるため、普通であれば他のポケモンが飲めるような代物ではないのだが、どんなものでも食べてしまうカビゴンは例外だ。まるで極上のジュースであるかのように、Rウツボットをコップ代わりにして粘液を飲み込んでいく。
そうして数分後には、甘いジュースで腹を満たしたカビゴンと粘液が空になったRウツボットだけが残されるのだ。
Rウツボット自体に大きなダメージは無いが、獲物を捕まえるにはまた時間を掛けて粘液を作らなくてはならない。
どこか悲し気にRウツボットは満腹となって寝そべるカビゴンを背に、その場からゆっくりと離れていくのだった。
| マダツボミ | |
|---|---|
| ぶんるい | フラワーポケモン |
| タイプ | くさ・みず |
| たかさ | 0.7m |
| おもさ | 4.0kg |
| とくせい | しょくちゅう(あめうけざら) |
| 種族値 | |
| HP | 50 |
| こうげき | 75 |
| ぼうぎょ | 55 |
| とくこう | 50 |
| とくぼう | 30 |
| すばやさ | 40 |
| 合計 | 300 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | つるのむち |
| 7 | せいちょう |
| 11 | まきつく |
| 13 | ねむりごな |
| 15 | みずびたし |
| 17 | しびれごな |
| 23 | アクアウィップ |
| 27 | はたきおとす |
| 29 | あまいかおり |
| 35 | いえき |
| 39 | はっぱカッター |
| 41 | あまごい |
| 47 | たたきつける |
↓Lv21で進化
| ウツドン | |
|---|---|
| ぶんるい | ハエとりポケモン |
| タイプ | くさ・みず |
| たかさ | 1.1m |
| おもさ | 6.8kg |
| とくせい | しょくちゅう(あめうけざら) |
| 種族値 | |
| HP | 65 |
| こうげき | 90 |
| ぼうぎょ | 80 |
| とくこう | 55 |
| とくぼう | 50 |
| すばやさ | 50 |
| 合計 | 390 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | つるのむち |
| 1 | せいちょう |
| 1 | まきつく |
| 7 | せいちょう |
| 11 | まきつく |
| 13 | ねむりごな |
| 15 | みずびたし |
| 17 | しびれごな |
| 24 | アクアウィップ |
| 29 | はたきおとす |
| 32 | あまいかおり |
| 39 | いえき |
| 44 | はっぱカッター |
| 47 | あまごい |
| 54 | たたきつける |
↓リーフのいしで進化
| ウツボット | |
|---|---|
| ぶんるい | ハエとりポケモン |
| タイプ | くさ・みず |
| たかさ | 1.9m |
| おもさ | 20.6kg |
| とくせい | しょくちゅう(あめうけざら) |
| 種族値 | |
| HP | 80 |
| こうげき | 115 |
| ぼうぎょ | 100 |
| とくこう | 60 |
| とくぼう | 75 |
| すばやさ | 60 |
| 合計 | 490 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | パワーウィップ |
| 1 | たくわえる |
| 1 | のみこむ |
| 1 | はきだす |
| 1 | つるのむち |
| 1 | ねむりごな |
| 1 | あまいかおり |
| 1 | はっぱカッター |
| 1 | せいちょう |
| 1 | まきつく |
| 1 | みずびたし |
| 1 | しびれごな |
| 1 | アクアウィップ |
| 1 | はたきおとす |
| 1 | いえき |
| 1 | あまごい |
| 1 | たたきつける |
| 32 | アクアブレイク |
| 44 | リーフブレード |
| 進化 | パワーウィップ |
| わざ名 | タイプ | 分類 | 威力 | 命中率 | PP | 範囲 | 優先度 | 直接攻撃 | 効果 |
| アクアウィップ | みず | 物理 | 65 | 100 | 20 | 1体選択 | 0 | ○ | 100%の確率で相手のすばやさを1段階下げる。 |
| とくせい名 | 効果 |
| しょくちゅう | むしタイプの技を受けても無効化し、最大HPの1/4だけ回復する。 |
次回更新はDLC後になりそうです。