まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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斬り払う影のあやかしポケモン

 ポケモンの生態はその環境によって大きく変化する。食性、気候、天敵の有無……。それらの要素が重なり、ポケモンは様々な姿へと変化する可能性を有している。

 そうしてリージョンフォームへと姿を変えたポケモン達の中には、新たな進化体を発現するものも存在していた。

 例えばガラル地方地方固有の太いネギを武器とする「カモネギ」は、飛行能力が低下した半面、どんな敵にも臆せず攻撃する勇猛さを持つようになったが、そうして数多の戦場を潜り抜けたカモネギは、気高い騎士道精神を持つ「ネギガナイト」というポケモンへ進化する。

 かつてシンオウ地方に生息していた「ハリーセン」は外敵へ対抗するべく原種よりも毒針が発達しており、長い年月を生きた個体はその毒性が増し、攻撃的な「ハリーマン」というポケモンへと進化するものが居たことが分かっている。

 このように環境によるポケモンへの影響は、ただ姿や性質を変化させるだけでなく、新たな可能性を切り開くものである。

 そして人知れずその可能性を掴み取ったポケモンはこの世界には、まだまだ多く存在していた。

 

 

 

 とある山岳地帯の森林。既に時間は真夜中で、周囲には夜霧が立ち込め僅かな月明りすら遮られる。

 そんな夜闇の中、草を掻き分け走るポケモンが居た。骨を頭に被った特徴的な姿のポケモン「ガラガラ」だ。

 ガラガラは外敵に対しては非常に好戦的であり、武器である骨を時に棍棒として、時にブーメランとして、自在に操り敵と戦う。その実力は時に自身よりも巨大な「リングマ」を倒すことすらある程だ。

 

ガラァ……

 

 そんなガラガラは今まさに追い詰められていた。

 ガラガラを追いかけるように背後の草が揺れる。咄嗟にその方向へ向け骨を投擲するが、音の主へ命中することは無く、骨はガラガラの手元へと戻ってくる。こんなことが十数分ほど続いていた。

 ガラガラを追いかける何かは、音もなく忍び寄り、時にわざと大きく草を揺らして、ガラガラを翻弄する。ガラガラが攻撃を仕掛ければさっとその姿を隠し、走り出せば静かに追いかける。姿を見せぬその追跡者に、ガラガラの精神は少しずつ疲弊していく。

 

ラァ!

 

 これ以上逃げ回っても埒が明かない。そう判断したガラガラは正面から迎え撃つべく、足を止める。敵が攻撃を仕掛けた瞬間に渾身のカウンターを放つべく、骨を強く握りしめた。

 

……

 

 対する追跡者は草木に身を隠しながらガラガラの周囲を走り回る。ガラガラの背後の草が揺れたかと思うと、今度は右側、左側とあちこちからざわざわと音を鳴らしてガラガラを惑わす。

 しかしガラガラは焦ることなく骨を構え続ける。ここで下手に攻撃に出れば、その隙を突いて反撃されるだろう。それを理解しているからこそ、ガラガラはただその瞬間を待ち続ける。

 

ッ!!

 

 ガラガラは息を飲む。

 一際大きな音が鳴ったかと思うと、ガラガラの背後から大きな影が飛び上がったのだ。死角からの攻撃。通常であれば反応は出来るはずのないものだ。

 しかしガラガラはずっとこの時を待っていた。敵が攻撃する瞬間こそ絶好の好機。ガラガラは振り向きざまに手にした棍棒を勢いよく振り抜く。

 ガラガラが持つ骨は非常に硬く、巨大な岩石すら砕くほどの代物。それを用いた渾身の打撃の威力は語らずとも想像は付くだろう。

 ガラガラのカウンターは間違いなくその影を捉えた……はずだった。

 

ガラッ!?

 

 確かにガラガラの攻撃は影へと命中したと思われた。しかし手応えが全く無い。まるでそこに実体が無い、幻へと攻撃を仕掛けているかのような感覚。

 しかしすぐにガラガラはそれの正体に気づく。自身が攻撃したのは、毛が密集した長い尻尾の先端であることに。

 放たれた打撃は鞭のようにしなる尻尾によって往なされていた。そして自らの攻撃の勢いを抑えることは出来ず、ガラガラのバランスが崩れる。

 ガラガラがふと視線を下へと向ける。そこにはじっと獲物を見つめる捕食者の紅い瞳が光っていた。

 

タァチッ!!

 

 そしてそれは勢いよく飛びあがり、無防備となったガラガラの首元へと牙を突き立てる。

 そのまま地面へと叩き伏せられたガラガラは逃れようと骨を振り上げるが、その腕に向けて長い尻尾が鞭のように振るわれ、手から骨を取り落としてしまう。自慢の武器を失ってしまえば、ガラガラの戦闘力は半減したも同然。そのまま襲撃者は牙をガラガラの急所へと突き立て、仕留めに掛かる。

 そんな恐るべき襲撃者の姿を、霧の合間から差した僅かな月光が照らす。まるで幽鬼のように蒼褪めた白い毛には、灰色の縞模様が幾つも並ぶ。胴体よりも長い尻尾は逆立ち、その先端は墨を付けた筆のように黒く染まる。頭から伸びる耳は長く、幟のように風に揺れる。瞳は紅く染まり、それだけが夜霧の中で目立って映る。

 このポケモンこそ、リージョンフォームを得たとあるポケモンがさらなる進化を経た姿である。そのとあるポケモンとは、ジョウト地方でよく見られる「オタチ」だ。

 

 本来、オタチは決して強いポケモンとは言い難い。むしろ天敵が多いため警戒心が非常に強い、臆病なポケモンである。

 かつてこの山岳地帯にはそんなオタチが多数生息していた。天敵も少なく、オタチの群れがあちこちにみられる、まさにオタチの楽園とも呼べる場所であった。

 しかしある時、他の地域から「ルガルガン」や「オコリザル」といった好戦的なポケモン達がこの地に進出したことにより事態が一変する。それらのポケモンはオタチにとって新たな天敵とも呼べる存在であり、徐々にオタチの住処は奪われその個体数を減らしていった。いずれはこの地域からオタチが姿を消してもおかしくは無かっただろう。しかしそれらの外敵に狙われながら、仲間を多く失いながらもオタチ達は必死に生き残り続けた。

 そして長い時間を掛け、オタチ達は新たな天敵へ対抗するべくその姿を変化させた。性格はより攻撃的になり、尻尾は逆立った毛が硬質化し、霧に紛れて敵を攻撃する狡猾さを得た。

 こうしてR(リージョン)オタチが得た性質は、その進化系である「オオタチ」へと引き継がれただけでなく、さらに強大な敵へ対抗するための進化を促した。

 

 こうして誕生したRオオタチが進化したポケモンは、最早ただ外敵に怯えるだけの弱者では無い。自らの姿を隠し、鋭い尻尾を自在に操り、狡猾に敵を仕留める恐るべき狩人へと変貌した。

 

タァチ……

 

 ガラガラの血で白い毛を赤く染めながら、そのポケモンは月を見上げる。その姿はただ恐ろしく、しかしどこか幻想的な美しさも感じさせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


オタチ
ぶんるいみはりポケモン
タイプノーマル・ゴースト
たかさ0.8m
おもさ6.0kg
とくせいせいしんりょく・するどいめ(おみとおし)
種族値
HP35
こうげき46
ぼうぎょ34
とくこう35
とくぼう45
すばやさ20
合計215

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1ひっかく
4まるくなる
7でんこうせっか
13おどろかす
16うらみ
19かげうち
25たたきつける
28のろい
31ふいうち
36シャドーテール
39バトンタッチ
42すてみタックル
47ゴーストダイブ

 

↓Lv15で進化

 

オオタチ
ぶんるいどうながポケモン
タイプノーマル・ゴースト
たかさ1.8m
おもさ33.4kg
とくせいせいしんりょく・するどいめ(おみとおし)
種族値
HP85
こうげき81
ぼうぎょ59
とくこう40
とくぼう50
すばやさ100
合計415

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1こうそくいどう
1ひっかく
1でんこうせっか
1まるくなる
1とぐろをまく
13おどろかす
17うらみ
21かげうち
28たたきつける
32のろい
36ふいうち
42シャドーテール
46バトンタッチ
50すてみタックル
56ゴーストダイブ

 

↓やみのいしで進化

 

仮称:オオマタチ
ぶんるいあやかしポケモン
タイプノーマル・ゴースト
たかさ3.0m
おもさ60.1kg
とくせいせいしんりょく・するどいめ(おみとおし)
種族値
HP100
こうげき101
ぼうぎょ74
とくこう50
とくぼう65
すばやさ125
合計515

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1こうそくいどう
1ひっかく
1でんこうせっか
1まるくなる
1とぐろをまく
13おどろかす
17うらみ
21かげうち
28たたきつける
32のろい
36ふいうち
42シャドーテール
46バトンタッチ
50すてみタックル
56ゴーストダイブ
進化つるぎのまい

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
シャドーテールゴースト物理85100101体選択020%の確率で相手のぼうぎょを1段階下げる。

 




仮称の由来は「オオタチ」+「逢魔が時」。
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