まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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極地のツンドラのでんきうしポケモン

 北極圏にほど近い、とある平原。風は冷たく、地面は降り積もる雪に覆われている。厳しい寒気と地下に広がる凍土によって木々は育たず、苔や小さな花のみが地面からその姿を覗かせる。真っ白な雪景色だけが広がる寂しい場所であるが、こんな場所だからこそ見ることの出来る美しい景色も存在する。

 それはオーロラだ。夜空に揺らめく美しい輝き。これを見ることが出来るのは、北極か南極の周囲のみ。ほとんどの人間がそれを間近で見ることは難しいだろう。

 そんなオーロラの下で、まるで岩のようでもあり、あるいは雷雲のようでもある黒い塊が蠢いていた。それは一つではなく、無数の何かが集まったものだ。

 

ブフゥ……

 

 息を荒げながら雪を掻き分け動く黒い塊。その正体は、このツンドラ地帯特有の姿(リージョンフォーム)の「バッフロン」の群れだ。

 元々、バッフロンは温暖な草原地帯に暮らすポケモンである。そんなバッフロンが、何故この場所で群れを作っているのか。

 その理由はずばり生存競争によるものである。

 遥か昔、バッフロンはここから南に進んだ場所にある広大な草原に暮らしていた。温暖かつ穏やかな気候の草原は、彼らにとって絶好の住処であったことは間違いない。しかし、今から1000年前、とあるポケモンがその勢力を広げたことで事態は一変する。

 そのポケモンこそ、あばれうしポケモン「ケンタロス」である。ケンタロスはバッフロンとは近縁の関係にあるポケモンであり、その生態も非常に似通っている。温暖な草原に群れで暮らし、外敵には突進で攻撃する気性の荒さを持つ。そんな2種が同じ地域に集まった結果、生息圏を巡った激しい争いが起こった。

 どちらも互角の力を持っていたものの、数で勝っていたケンタロスが徐々にその勢力を拡大し、対するバッフロンはかつての住処を奪われていった。そしてケンタロスに追われるように、バッフロンはその草原から姿を消した。

 こうして住処を奪われたバッフロンだが、その中でこのツンドラ地帯に辿り着いたいくつかの群れの子孫が、R(リージョン)バッフロンである。食料となる植物は少なく、厳しい寒さが襲うこの地域。しかしそんな過酷な環境を生き残り、この地域に根付いていったRバッフロンは、他の地方の個体とは異なる能力を持つようになった。

 

 

 

ガアァオッ!!

 

 突如として凍原に響く唸り声。その声の主は、白い毛皮に巨体を包んだとうけつポケモン「ツンベアー」だ。太い手足で雪を巻き上げながら、Rバッフロンの群れ目掛けて猛進する。

 

ブフォオン!

 

 向かってくる天敵に気づいたRバッフロン達は、鳴き声を上げて一斉に走り出す。噴き出す鼻息と舞い上がる雪によって白く霧掛かる中、爆走する黒い影。その背後から迫る白い狩人の目は、群れから遅れる一体の姿を捉える。

 

グウゥッ!

 

 巨体に似合わない素早い動きで飛び掛かるツンベアー。その両腕の鋭い爪を、一体のRバッフロンの胴目掛けて振り下ろす。

 

ブファオォ!

 

 背後からツンベアーの攻撃を受けたRバッフロンは大きな声を上げる。しかし襲撃者は容赦なく、今度は尖った牙でRバッフロンへ噛みつき、勢いのまま押し倒そうとする

 

ブフォンッ!

 

 対するRバッフロンも突然の攻撃で一瞬パニックになったものの、決して倒れることは無く、背中にしがみつくツンベアーを振り落とそうと、体を激しく揺らして暴れる。

 幾度となく攻撃するツンベアーだが、Rバッフロンには大きなダメージは与えられていない。何故なら、このRバッフロンは寒冷地帯に適応しているが故に、体に分厚い脂肪を蓄えているのだが、この脂肪が鎧の代わりとなってツンベアーの攻撃を防いでいるのだ。

 しかし何度も攻撃を受け続ければ、蓄積したダメージはRバッフロンの限界を超えることとなるだろう。このままRバッフロンは倒れてしまうのか。

 

ブフォウッ!

 

 それは否である。Rバッフロンの最大の特徴とは、体を覆う分厚い脂肪ではない。

 ツンベアーを振り落とそうと暴れるRバッフロンの頭部の体毛が青白く発光し始める。さらにパチパチと乾いた音が鳴り始め、その光は次第に体全体へと広がっていく。

 

グルゥ……?

 

 Rバッフロンの変化に戸惑うツンベアーの動きが一瞬止まった。それを狙っていたかのように、Rバッフロンが頭を大きく反らす。

 

ブフォオオオッ!!

バリバリバリッ!!

 

 一際大きく嘶いたかと思うと、突如として雷のような強烈な電撃がRバッフロンとツンベアーの全身へ流れた。

 

グルゥッ!?

 

 全身を襲う痛みと痺れでツンベアーが怯んだ隙に、Rバッフロンはツンベアーを振り落とす。

 これがRバッフロンが持つ最大の武器、放電能力だ。このような能力を持っているのは、実はオーロラが関係している。

 

 そもそもオーロラとは、太陽風と呼ばれる太陽から放出されたプラズマが地球の磁場がぶつかり、プラズマシートと呼ばれる空間に溜まる。このプラズマシート中のプラズマが北極圏や南極圏に流れ込み、地球の大気とぶつかることで発光する現象である。

 このオーロラはただ発光するだけでなく、熱や磁場、そして電気が発生する。この電気の一部が地上へと降り注ぐのだが、Rバッフロンはこの電気を利用している。

 Rバッフロンは長年この地域で生息し続けた結果、オーロラから発生する電気を鬣に貯蓄するという能力を獲得した。そして外敵に襲われた際には、溜め込んだ電気を放出して反撃するのだ。

 

グルゥウ……

 

 思ってもみなかった反撃を受け振り落とされたツンベアーだが、未だにその目からは闘志が消えない。食料の少ないこの地域では、Rバッフロンは絶好の獲物であるからだ。

 対するRバッフロンも、鬣からパチパチを火花を散らしながらツンベアーを睨む。体中から血を流してはいるものの、傷は浅く、十分戦うだけの余力はある。

 互いに相手の動きを観察し、間合いを取る。そんな時だ。

 

ブフォオッ!

ブフウッ!

ブオオゥッ!

 

 Rバッフロンの背後から、黒い群れが走り出してくる。それは逃げ出したはずのRバッフロンの群れ。仲間が襲われたことに気づいた彼らは、その仲間を救うべく戻ってきたのだ。

 彼らは一様に頭部を光らせ、目に敵意を宿しながらツンベアーを威嚇する。

 

グル……

 

 さすがのツンベアーもこの群れを一斉に相手にするのは分が悪いと判断したのだろう。未練がましそうに一度Rバッフロンを睨むものの、多勢に無勢だ。Rバッフロンの群れへ背を向けると、諦めて走り出す。

 Rバッフロンの群れは傷ついた個体を群れの中に入れると、その傷を労わるように舐める。そして彼らもまたツンベアーから離れるように、その場を後にする。

 

 美しいオーロラが天に揺らめくこのツンドラ地帯。しかし同時に、過酷な環境で必死に生き残ろうとするポケモン達が、命を懸けた争いを繰り広げる光景がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


バッフロン
ぶんるいでんきうしポケモン
タイプでんき・あく
たかさ1.8m
おもさ116.5kg
とくせいすてみ・そうしょく(あついしぼう)
種族値
HP105
こうげき110
ぼうぎょ95
とくこう40
とくぼう95
すばやさ45
合計490

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1たいあたり
1にらみつける
5でんきショック
10ダメおし
15でんじは
20しっぺがえし
25スパーク
30きしかいせい
35しねんのずつき
40アフロブレイク
45つるぎのまい
50ワイルドボルト
55ほうふく

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