まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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月明かり照らす地のげっこうポケモン

 かつてヒスイ地方と呼ばれた地域―現在のシンオウ地方には、「ガチグマ」という「リングマ」の進化系たるポケモンが生息していた。ピートブロックと呼ばれる石炭の塊を用いることでリングマから進化したそのポケモンは、ヒスイ地方の守り神のような存在として、人々と共存していたのだが、時が経つにつれピートブロックが採集出来なくなり、ガチグマへの進化が出来なくなったばかりか、環境の変化や他の地域のポケモンの定着の影響により、進化前のヒメグマやリングマですらシンオウ地方では滅多に見られなくなった。その存在を知っているトレーナーもほとんど居ない。

 現在では、ガチグマは時代の変化によって消えたポケモンであるとされている。

 

 しかしそれはあくまで人類が把握している範囲内の話である。

 場所が変われば話も変わる。そう、かつてヒスイ地方に居た種とは姿は異なるものの、ガチグマは現在も生き残っているのである。

 

 とある大陸の北部。周囲が険しい山脈で囲まれた窪地。山脈から吹き降ろす冷たい風によって、一年を通して気温が低くなる場所であり、人間が未だ足を踏み入れていない土地の一つだ。

 一見、生き物が住まうには不適と思われるが、周りの山脈によって外敵が入り込みづらいということも有り、フリージオやアブソルなど珍しいポケモンの姿を見ることが出来る。

 

 さてとある満月の夜。月明かりに照らされる一体のポケモンの姿が有った。直立して二足歩行する巨体。腹部の円を描いた模様。がっしりとした腕の先から伸びる鋭い爪。そう、それは間違いなくリングマの姿。だがこの地に適応したためか、本来茶色い毛並みが薄暗い灰色へと変化しているのが分かる。

 このR(リージョン)リングマは、とある場所を目指して歩いていた。この個体に限らず、成長したRリングマ達はいずれも、満月の夜になると同じように一つの場所へ向かって移動を開始する。

 だがその道は決して楽ではない。立ちはだかるのは岩肌が切り立った丘に空いた暗い洞窟。歩くだけでも一苦労だが、同じようにその場所へと向かう同種のRリングマ達もまた、脅威となる。

 鍛え上げた体で立ちはだかる敵を必死に打ち破りながら、Rリングマはその場所へ近づいて行く。

 

グオゥ

 

 やっと辿り着いた目的の場所。そこに立ち入った瞬間、Rリングマは小さく感嘆の声を上げた。そこにあったのは、透き通った見上げるほどに巨大な結晶の塊。

 それが一体なんなのか、いつの時代からあるのかを知るものは誰一人として居ない。ただ一つ、それは満月の夜になると、天井に空いた巨大な穴から降り注ぐ月の光を反射して輝きだすという特徴を持っていることだけは確かだ。

 そして今夜もまた、その結晶は美しく輝いている。辿り着いたRリングマはその結晶へと近づこうとしたが、何かがいることに気付く。

 

グルル……

 

 そこに居たのはもう一体のRリングマ。どうやら先に辿り着いていたらしい。目の前に現れたライバルに、互いに威嚇し合う。

 この場所へ訪れた目的。それを達成するためには、目の前の相手は邪魔だ。

 

ガアァッ!!

ゴオゥッ!!

 

 そして二体はぶつかり合う。一方はその剛腕を活かした爪の一撃(きりさく)を放ち、もう一方は鋭く並んだ歯で食いかかる(かみくだく)

 ぶつかり合う二体の争いは激しさを増す。時に岩肌に身体をぶつけ、時に地面に押し倒し、互いに一歩も譲らぬ勝負を繰り広げる。

 徐々に怪我が目立つようになり、血も飛び散って地面を湿らせる。そんな争いはおおよそ30分は続いただろうか。

 

ガアアッ!!

 

 一体のRリングマの牙が、相手の左腕を捉えた。そのまま食いちぎろうかと言わんばかりに力を込める。

 

グウゥッ!!

 

 痛みで悶絶するもう一方。だがその目に諦めの色は無い。なんとそのRリングマは噛みつかれたまま強引に背後に回ると、無事な右手で腕に噛みついている個体の首を掴み、そのまま締め上げたのだ。

 

ゴオフッ!?

 

 苦しさから思わず口を開ける。それにより自由になった左手も使い、さらに相手の首を締め上げた。捕まれた個体は、ギリギリと首から軋むような音が聞こえてきそうなまでの剛力を受け、口から泡を吹き出す。

 

ガアッ!!

 

 そして遂に止めと言わんばかりに、力任せに地面に叩きつける。

 

ゴガッ!?

 

 やっと自由を取り戻したRリングマ。だが最早、戦う気力は残っていないようで、這う這うの体でその場から逃げ出した。

 勝者たるRリングマ―後からこの場所へ辿り着いた個体は、全身に結晶からの光を浴びながら勝者の雄叫びを上げる。

 

ガアアアアアアッ!!

 

 すると突然、彼の全身が光に包まれる。そう、それは進化の光。全身がより一層肥大化すると共に、直立していた体は徐々に前傾姿勢へとなり、遂に前足が地面につく。

 そして光が止んだかと思うと、そこにはリングマよりも巨大なポケモンの姿が有った。四肢は太くなり、額には月を模した模様、さらに厳つい表情。そう、これこそがこの地で適応した結果生まれた、ガチグマのリージョンフォームである。

 この姿へと進化するには、満月の夜にだけ結晶から発せられるエネルギーを吸収しなくてはならない。そのため、Rリングマ達は自らの進化の為に、満月の夜の度にこの洞窟へ向かおうとする。そしてその道中を勝ち残り、辿り着いたただ一体だけが、進化することが出来るのだ。

 Rガチグマは言うなれば、この地の絶対的王者。その力に立ち向かうことが出来る相手はまずいない。

 今宵、新たなこの地の主が誕生した。その雄叫びはまさに、王者の産声そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ヒメグマ
ぶんるいこぐまポケモン
タイプフェアリー
たかさ0.6m
おもさ8.8kg
とくせいものひろい・はやあし(びびり)
種族値
HP60
こうげき80
ぼうぎょ50
とくこう50
とくぼう50
すばやさ40
合計330

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1じゃれつく
1ほしがる
1ひっかく
1つぶらなひとみ
1したでなめる
1うそなき
8みだれひっかき
15てんしのキッス
22あまいかおり
25つきのひかり
29きりさく
36あまえる
43かみくだく
43あくび
50あばれる
57じゃれつく

 

↓Lv30で進化

 

リングマ
ぶんるいつきのわポケモン
タイプフェアリー・あく
たかさ2.0m
おもさ165.6kg
とくせいこんじょう・ちからずく(プレッシャー)
種族値
HP90
こうげき125
ぼうぎょ80
とくこう70
とくぼう80
すばやさ55
合計500

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1じゃれつく
1あくび
1ほしがる
1ひっかく
1にらみつける
1したでなめる
1うそなき
1つぶらなひとみ
1あまえる
8みだれひっかき
15てんしのキッス
22あまいかおり
25つきのひかり
29きりさく
38こわいかお
47かみくだく
49やせいのめざめ
58あばれる
67じゃれつく

 

↓満月の夜に月明かりの結晶の付近でレベルアップすることで進化

 

ガチグマ
ぶんるいげっこうポケモン
タイプフェアリー・あく
たかさ2.6m
おもさ302.0kg
とくせいこんじょう・ちからずく(プレッシャー)
種族値
HP130
こうげき135
ぼうぎょ100
とくこう45
とくぼう90
すばやさ50
合計550

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1すてみタックル
1じゃれつく
1あくび
1ほしがる
1ひっかく
1にらみつける
1したでなめる
1うそなき
1つぶらなひとみ
1あまえる
8みだれひっかき
15てんしのキッス
22あまいかおり
25つきのひかり
29きりさく
38こわいかお
47かみくだく
49やせいのめざめ
58あばれる
67じゃれつく
進化すてみタックル

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
やせいのめざめあく変化わざ10自分0×自分のこうげきとすばやさを2段階上げ、こんらんになる。




モチーフはグリズリーとアルテミス。
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