まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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藍の円盤が配信される前に投稿。


絶海の孤島のせんすいポケモン

 ライドポケモン「モトトカゲ」。古くからパルデア地方では、移動手段として親しまれているポケモンであり、多くのトレーナーが愛用している。

 そんなモトトカゲであるが、その祖先はかつて空や水中の移動も可能であったという事実を知っているだろうか。今よりも気温が高かった遥か昔の時代、モトトカゲの祖先は巨大な体と立派な羽毛を持っており、現代のモトトカゲのように大地を疾走するだけでなく、太い手足で海を自在に泳ぎ、羽を広げて空を滑空する。陸海空のすべてを支配する圧倒的な存在であったことが、発見された化石から予測が建てられている。

 しかし氷河期の到来や新たなポケモン達の出現を機会に、モトトカゲの祖先は次第に生息圏を奪われ、急速にその数を減らしていった。生き残った一部の個体は人間と共存する道を選択し、現在のモトトカゲの姿へと変化していったのだ。

 だが、もしこのモトトカゲが人間との共存の道を選ばずに、現代まで生き残っていたとしたら、一体どのような姿へと変化していっただろうか。その答えの一つが、パルデア地方から少し離れた海域に有った。

 

 海に浮かぶ小さな島。その周囲には美しい珊瑚礁が広がっている。この珊瑚礁は「ケイコウオ」や「ヨワシ」、「カラナクシ」といったポケモンの群れの住処となっており、さらにそれらを狙って「サメハダー」や「ミガルーサ」といった大型のポケモンも姿を見せる。多くの水生ポケモンが住み着く希少な場所である。

 そんな珊瑚礁を悠々と泳ぐ一つの影が有った。それは深い海のような群青の鱗で全身を覆われ、首元には黒い喉袋が膨らんでいる。頭部からは鋭利に尖る鱗が背中まで伸びている。そして尻尾は非常に長く、それを鰭のようにうねらせて、自在に水中を泳いでいる。

 このポケモンこそ、パルデア地方に生息するものとは異なる変化を遂げたモトトカゲである。

 このR(リージョン)モトトカゲも元々はパルデア地方に生息していた。遥か昔、まだモトトカゲが我々の知る姿となる以前、パルデア地方の一部であった小さな土地が地殻変動によって切り離された際、その土地に残っていた個体の子孫にあたるのがRモトトカゲというわけだ。

 Rモトトカゲが住みかとしている孤島だが、そこは決して住みやすい土地というわけではない。餌となるような木の実は存在せず、僅かな草木が地表を覆うだけ。鳥ポケモンも立ち寄ることのない、恵まれない土地である。

 そんな中、Rモトトカゲの祖先は水中に適応する道を選んだ。周囲に広がる珊瑚礁が作り出す環境は、多くのポケモンが引き付けられる海の楽園。餌を求めて地上から海へと進出するのは当然の結論だったと言える。

 

コポリ……

 

 口元から小さな泡を吐き出しながら水底へと進むRモトトカゲ。その目的は海藻だ。この周囲を流れる海流は豊富な栄養素を含んでおり、その栄養を取り込み成長した海藻が珊瑚や岩の至る所に張り付いている。その海藻がRモトトカゲの食料である。まるで紙やすりのような歯を岩へと密着させると、こそげ落とすかのようにザリザりと海藻を齧っていく。

 

ポォウ

 

 そんなRモトトカゲの後を付いてくるのは、ふんしゃポケモン「テッポウオ」。通常は「マンタイン」にくっ付いて移動する姿が印象的なポケモンであるが、この海域に生息するテッポウオは、マンタインの代わりにRモトトカゲと行動を共にすることが多い。

 テッポウオは口から噴射する水流(みずでっぽう)による攻撃で、空中の虫ポケモンを仕留めて捕食するのだが、孤島の周囲にはその虫ポケモンが生息していない。そのためこの海域に生息しているテッポウオ達は、他のポケモンに付いていき、その餌のおこぼれを食べて暮らしている。Rモトトカゲの後を追うのもそれが理由だ。Rモトトカゲが削り取った海藻の切れ端を、テッポウオ達は我先にと食べていく。

 そんなテッポウオ達のことなど気にも留めずに、Rモトトカゲは次から次へと海藻を見つけては削り取っていく。その間、ずっと息継ぎもせずに行動しているが、これもRモトトカゲの特徴の一つだ。

 パルデア地方のモトトカゲは移動を行う際、喉と尻尾を膨らませ、まるでバイクのようなシルエットの「ライドフォルム」と呼ばれる形態を有しているが、これは喉と尻尾に空気を入れることで体のバランスを取りつつ、もし何かと衝突した際の衝撃を抑えるという目的があると考えられている。

 対してRモトトカゲは鰭代わりの尻尾の袋は退化しており、逆に喉元の袋はパルデア地方の個体よりも大きく発達している。そして潜水する際には、この発達した喉袋に大量の空気を溜め込むことで、最大で一時間も息継ぎせずに水中で活動できるようになるのだ。言うなれば「ダイブフォルム」と言ったところだろうか。

 

コポッ!

 

 そんなRモトトカゲは、自身をじっと見つめる気配があるのを感じ取った。顔を上げると、正面から向かってきたのは、獰猛な性格で知られる「ドラミドロ」だ。

 クサモドキポケモンの名の通り、海藻に似た姿をしているが、れっきとしたドラゴンタイプのポケモンであるドラミドロ。迂闊に縄張りに入ると、強烈な毒液を吹きかけて襲い掛かってくるため、毎年、何人もの海パン野郎が被害に遭っている。

 この一帯もドラミドロの縄張りであり、そこにずけずけと入ってきたRモトトカゲを追い出すべく攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

ドロゥッ!

 

 激しく威嚇をするドラミドロに、テッポウオ達は慌てて逃げ出す。

 

シャアッ!

 

 しかしRモトトカゲは怯むどころか、逆に威嚇し返す。パルデア地方のモトトカゲは人間と共存することで、穏やかな性格へと変化していったが、Rモトトカゲは餌の少ない土地で必死に生き残ってきたため、祖先と同じ凶暴性を引き継いでいた。周囲にテッポウオが群がる程度ならともかく、突然現れた敵に威嚇されて、大人しく引き下がるわけが無かった。

 

ミドロゥッ!!

 

 ドラミドロが口から猛毒の粘液(ヘドロばくだん)を放つが、Rモトトカゲは尻尾を一振りして回避すると、一瞬で距離を詰める。

 

シャッ!

 

 そしてすれ違いざまに尻尾を鞭のように振るい打ち据える。

 しかしそれをドラミドロは回避すると、再び二体は睨み合う。

 ここから先はドラゴンタイプ同士の譲れない戦いだ。ドラミドロは強烈な毒で、Rモトトカゲは恵まれた肉体で、互いに攻撃を仕掛け合う。その争いはしばらく続くことだろう。その光景を周囲の魚ポケモン達は怯えながら遠巻きに見ていた。

 

 人間と出会うか否か。それだけで大きな生態の違いが生まれる。我々の知らない場所には、想像もつかない変化を遂げたポケモンがまだ多く隠れているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


モトトカゲ
ぶんるいせんすいポケモン
タイプドラゴン・みず
たかさ1.7m
おもさ65.3kg
とくせいすいすい(さいせいりょく)
種族値
HP80
こうげき95
ぼうぎょ65
とくこう75
とくぼう65
すばやさ121
合計501

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1たいあたり
1なきごえ
7みずでっぽう
11ちょうはつ
14ワイドブレイカー
18アクアジェット
23かみつく
27ダイビング
31しっぽきり
36アクアテール
40ギアチェンジ
45りゅうのはどう
51ウェーブタックル
57ドラゴンダイブ




モチーフはウミイグアナと水上バイク(ただし水上バイク要素は少なめ)。
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