まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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コンセプトは、むしタイプのジムリーダーの切り札。


毒草貪るバッタポケモン

 食事。それは生きる上で必須の行動だ。それはどんなポケモンであっても例外ではない。あるものは草木を、あるものは他のポケモンを、あるものは未知のエネルギーを取り込み、命を繋げる。例えそれが、猛毒を有する毒草だとしても……。

 

 人里から遠く離れたとある湿地帯。この沼地には、至る所に美しい青い花が咲いている。それは一見、幻想的な光景に見えるかもしれない。しかし、気を付けなくてはならない。その花は猛毒を有している。

 根、茎、葉、花弁、さらには花粉と至る所に毒が含まれており、少しでも体内に入れば激しい痛みをもたらす。この花の毒によって、周囲には他の植物が生えることは無い。美しい花には棘……いや毒があるといったところだろうか。

 そんな環境であるためか、この地に住まうポケモンも、「アーボ」や「キノココ」、「ペンドラー」などの有毒ポケモンばかりになるのは当然のことだった。

 しかし、この毒の溜り場には似合わないポケモンも確かに生息している。

 背の高い花の下に隠れるように蠢く小さな影。灰色の体と長い足という特徴的な体を持つポケモン。

 

バタッ

 

 その名は「マメバッタ」。パルデア地方等で見られる虫ポケモンの一種だ。

 このマメバッタは体に毒を持たない、弱々しいポケモンである。そんなマメバッタが何故この地に生息しているのか。それは遥か過去の時代にまで遡る。

 

 マメバッタは食料が不足すると、群れで一斉に旅をするという習性を持つ。このマメバッタの先祖もまた、元々生息していた地域で食料が減少してきたことにより、新たな住処を求め、風に乗って旅をしていた一団である。そのマメバッタの群れが、この地に発生する強烈な乱気流に呑まれ、吹き飛ばされるまま辿り着いたのがこの湿地帯であった。

 一見、豊富な植物が生える豊かな湿地。その実態は毒草の楽園だ。そんな植物を食せば、体に害が起こるのは当然だった。この地に降り立ったマメバッタ達の多くはこの毒草を食べたことによって息絶えた。

 そんな仲間を見て、残ったマメバッタ達はこの地を去ろうと飛び立とうとする。だがこの地に吹き下ろす強烈な風は、マメバッタ達を決して逃がしはしなかった。いくら脱出しようとしても、強風によって押し戻される。まさに風の牢獄だった。

 草木は有毒、天敵となる毒ポケモンも数多く生息している、そして脱出不可能。数多く居たはずのマメバッタは徐々に数を減らし、このまま絶滅するかと思われた。

 しかしその予想は外れ、僅かな数ではあるもののマメバッタ達は生き残った。実はこのマメバッタ達は多少なりとも毒草に対する耐性を持っていたため、飢えから逃れることが出来たのだ。

 こうして生き残ったマメバッタ達は毒草を食べながら子孫を残し、この地に根付いていく。その過程で徐々に毒に対する耐性を高めながら。

 そしてそれは、マメバッタ達の進化にも大きく影響を及ぼしていた。

 

 草むらの陰に隠れながら毒草を食むマメバッタ。その動きが突如として止まったかと思うと、体が僅かに震えだし光を発する。それは間違いなく、ポケモンが新たなステージへと進む証、進化の前触れだった。

 光を纏いながら体は一回り、二回りと大きくなっていく。体勢は四足歩行から直立した二足歩行へ、まるで人間のようなシルエットに変化していく。そして丸みを帯びていた全身から棘が生え、厳めしい体つきとなっていく。

 光が止むと、そこに居たのはマメバッタの面影が薄れた虫人ともいうべきポケモンが居た。青緑色の甲殻に毒々しい黄色と赤の斑模様、全身から生えた棘、鋭い目つきといかにも攻撃的な見た目を有したこのポケモンの名は、「エクスレッグ」。

 原種のエクスレッグは、素早い動きと強烈なキックで敵を攻撃するフィジカルに優れたポケモンであり、見た目こそ違うが、このR(リージョン)エクスレッグもその性質を引き継いでいる。しかし、進化前のマメバッタ時の食性が、進化後にも大きな変化を齎していた。

 

ゲェロッ!

 

 進化の光に釣られて姿を現したのだろうか。鳴き声に気づいたRエクスレッグが振り向くと、そこにはしんどうポケモン「ガマゲロゲ」の姿が有る。

 ガマゲロゲは虫ポケモンを好物としており、マメバッタにとっては天敵中の天敵。

 

ゲゲェッ!

 

 そしてこのガマゲロゲは空腹のようで、目の前のRエクスレッグも獲物として認識したようだ。早速仕留めに掛かるべく、口から泥の塊(マッドショット)を吐き出す。

 

レグッ!

 

 だがそれはRエクスレッグへ命中はしなかった。Rエクスレッグは背部に格納されていた後ろ足を瞬時に展開して、地面を勢い良く蹴ることによって、ガマゲロゲの視界の外、遥か高くへと跳躍する。その速度は、テレポートと見紛うほどだ。

 

ゲロッ!?

 

 油断しきっていたガマゲロゲがその速度に追いつけるわけもなく、目の前の獲物が消えたことにただ狼狽える。そんなガマゲロゲへ向け、Rエクスレッグは落下の勢いを付けながら、右足を槍のように伸ばす。

 

スレーッグ!

 

 頭上から降る影にガマゲロゲが気づき、視線を上げた先にあったのは、紫色の飛沫を迸らせながら放たれるRエクスレッグの必殺キックだった。

 

ゲゲェッ!?

 

 その一撃はガマゲロゲの胴体へ命中し、バランスを大きく崩すことに成功する。

 

ゲゲェ……

 

 それでもガマゲロゲを倒すには至らない。体力に優れたタフな体を持つガマゲロゲを一撃で仕留めるのは、Rエクスレッグの優れたキック力でも不可能だった。そう、ただのキックであれば……

 

ゲ、ロ……?

 

 立ち上がったはずのガマゲロゲだが、その足取りが覚束ない。顔は蒼褪め、どこか息も絶え絶えだ。そして一度、Rエクスレッグを睨んで一鳴きした後、ガマゲロゲは倒れ伏した。

 ガマゲロゲを仕留めたものこそ、進化前のマメバッタの食性により得た能力。そう、毒である。

 マメバッタはこの地に生える毒草を食べ続けたことにより、徐々に体内に毒を溜め込み続けていった。その蓄積した毒を、Rエクスレッグは全身から生えた棘から分泌し、己の武器として用いることが出来るのだ。

 

レグ……

 

 倒れ伏したガマゲロゲを一瞥し、Rエクスレッグはその場を離れる。

 進化したてのRエクスレッグは、まだその体には慣れておらず、ガマゲロゲを倒せたのは、相手が油断していたというのが大きい。

 今の戦闘の余波で、他のポケモンが集まる前に、この場から逃走するのは当たり前の選択だ。

 

 しかし優れたフィジカルと猛毒の二つを使いこなすことが可能となれば、このRエクスレッグは間違いなく強力なポケモンとしての立ち位置を確立できるだろう。

 その日が来るのは、そう遠くは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


マメバッタ(原種)

 

↓Lv24で進化

 

エクスレッグ
ぶんるいバッタポケモン
タイプむし・どく
たかさ1.1m
おもさ18.7kg
とくせいあくじき(いろめがね)
種族値
HP66
こうげき107
ぼうぎょ78
とくこう52
とくぼう50
すばやさ97
合計450

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1たいあたり
1にらみつける
1どくばり
1みきり
4むしのていこう
6おどろかす
9ダメおし
11にどげり
14いやなおと
18こらえる
22むしくい
28フェイント
32こうそくいどう
36どくづき
40ふいうち
44であいがしら
48クロスポイズン
53ポイズンキック
進化とびかかる

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
ポイズンキックどく物理10090101体選択020%の確率で相手をどく状態にする。

 

 

 

とくせい名効果
あくじきあくタイプの技を受けたとき、ダメージや効果を受けずに自分のこうげきが1段階上がる。




モチーフは「ロッキートビバッタ」と「キマダラドクバッタ」。
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