澄み渡る青空。揺れる水面。吹き抜ける風。
ここは豊かな自然が溢れる美しい海だ。「マンタイン」や「ナミイルカ」といった水ポケモン達が海面を跳ね回り、点在する島では「ナッシー」や「トロピウス」が日光浴をする。そんな光景を求め、様々な地方から観光客が集まるリゾート地でもある。
そんな島の一角にあるコテージ。そこでは一人の少女が、窓の外を眺めていた。
少女は両親と姉と共にこの島に旅行に来ており、昼間は海水浴やポケモンウォッチングを満喫した。そしてお昼を食べた後、両親と姉は買い物へと出かけて行ったのだが、少女は少し疲れていたということもありコテージに残ることにしたのだ。
リクライニングチェアに腰を掛けながら、愛用のカメラで撮影した写真を確かめる少女の許へ、「キルリア」がコップに入ったジュースを手渡す。このキルリアは一人で留守番をさせることを心配した母が置いていった手持ちである。自分を子ども扱いされているような感じがして少し反抗心が沸いたものの、キルリアは幼い頃から一緒に過ごした、もう一人の家族のような存在だ。そんなキルリアが一緒に居ることに心地良さを感じながら、少女はストローを口にする。
強い甘みと僅かな酸味。この島で獲れる果実を用いたジュースを口にしながら、テレビでも見て暇を潰そうかと考える。
その時、バササッという音と共に、窓から差す日差しが遮られた。
一体何だろうかと少女は窓へと視線を戻す。
―フォォウ?―
そこに居たのは、大きな羽根を持った虫ポケモン「モルフォン」だった。
少女は図鑑でその姿を見たことはあったが、実際に出会うのは初めてだ。窓辺に止まるその姿は思ったより大きく、威圧感を感じてしまう。だが同時に美しさも感じていた。その理由は、広げた大きな羽根。それは太陽を反射する光沢を持ちながらも透き通るような美しさを持った、琥珀色。
少女は図鑑で見た姿と異なることに一瞬違和感を感じたが、すぐにこれが噂で聞いた色違いのポケモンなのだろうと納得した。
もし少女が本当の色違いのモルフォンを知っていたら、これが色違いではないことに気づいていただろう。本来の色違いのモルフォンは全身が青い体毛で覆われている。対する少女の前に居るモルフォンは琥珀色の羽に、黒い胴体、そして三本あるはずの触角も、この個体は二本だけだ。
そう。このモルフォンはカントー地方やジョウト地方に生息するものとは異なる姿を持ったリージョンフォームのモルフォンなのだ。
そんな事を知る由もない少女は、目の前に現れた大きな野生のポケモンにどうすれば良いのか分からず、異変を感じて駆け付けたキルリアは、警戒しながらモルフォンを睨みつける。
だが当のモルフォンはキルリアの様子に目もくれず、ただじっと少女を見つめていた。いや、正確には見つめていたのは少女にではない。その視線の先に有ったのは、ジュースが入ったコップだ。
もしかして飲みたいのだろうか。そう思った少女はゆっくりとコップを
―フォウッ―
「ふふっ」
ジュースの味が気に入ったのか、夢中になって舐め続ける。そんな姿に愛嬌を感じ、少女の顔も緩んだ。
それが数分ほど続いただろうか。すっかりジュースを平らげたRモルフォンは、満足げに体を揺する。
「……」
空になったコップをキルリアへと手渡し、少女はRモルフォンにおずおずと近づいた。触れ合えるほど近くに居る、野生のポケモン。折角ならその姿を写真に収めようと、カメラを構える。驚かさないようにフラッシュは炊かず、静かに緊張しながら、少女はシャッターを切る。
カシャリ
カメラからなるシャッター音。聞きなれない音にRモルフォンは一瞬だけ警戒したように体を動かすが、何もないと分かると落ち着きを取り戻し、じっと少女を見つめる。
少女は大人しい様子のRモルフォンに笑みを浮かべながら、再びカメラを構え写真を撮る。羽を広げた姿。外を眺める姿。首を傾げた姿。飽きる事無く写真を撮り続けた。
それから1時間は経っただろうか。ふと喉の渇きを感じ、カメラから目を離す。
少女の気持ちを感じ取ったキルリアが、いつの間にかジュースを三つのコップに入れて持ってきていた。一つは少女のもの。一つはキルリアのもの。そしてもう一つは勿論……。
少女は両手でコップを持つと、片方をRモルフォンへ差し出す。Rモルフォンは先程と同じように口をコップへ付けジュースを舐めた。
そんなRモルフォンを見ながら、少女は思う。このポケモンを捕まえてみたいと。美しい琥珀色の羽を持つRモルフォンをゲットしてみたい。それは子供としての純粋な好奇心と、トレーナーのタマゴとしての願望の二つが混じり合った感情。
しかし少女が持っているモンスターボールは、キルリアのもののみ。空のボールは持っていない。
もし家族が戻ってくれば、ゲットできるだろうか。そんなことを考えていた時だった。
「おーい―――!」
ガチャリという音と自分を呼ぶ父親の声。他にも何人かの足音が聞こえる。家族が戻って来たのだ。よし、これなら……。
だがそれと同時に、Rモルフォンは外へ顔を向け羽を大きく広げた。
「あ……」
そしてRモルフォンは一度だけ少女に顔を向ける。
―フォオウッ―
それは別れの挨拶の代わりだろうか。一声だけ鳴くと、Rモルフォンは窓から飛び立っていく。
少女は慌ててカメラを手にし、羽を大きく広げ、空高くへと飛び去っていくRモルフォンの後ろ姿へレンズを向ける。
カシャリ
最後の一枚。それは今まで少女が撮影した来たどの写真よりも、会心の出来。沈みかける太陽の光で赤く染まった空を飛ぶ、美しい虫ポケモンの姿。
「―――どうした?」
Rモルフォンの姿に見惚れていた、少女は、父の呼びかけに思わずハッとする。
そしてRモルフォンをゲットすることが出来なかったことを少しだけ残念に思いながらも、これで良かったのかもしれないと考えた。あのポケモンは、自分が捕まえるより、自由に飛ぶ姿の方がきっと綺麗だろうと。
少女はカメラを手にして家族へと駆け寄っていく。自分が撮影した写真を自慢するために……。
その後、旅行から帰った少女は自分が撮影した写真をスクールで自慢することになるのだが、それが未発見のポケモンであることが判明したことにより、世界中を驚かせることとなる。
そして少女が撮影したポケモンを調査するべく、多くの研究者達が島へと集まることになるのだが……彼らは知らなかった。
Rモルフォンは人類が未だ足を踏み入れないとある密林で生まれ、冬の時期になると温かい場所へ向け旅をするという、渡りの生態を持つポケモンであり、島に居たのは、旅の疲れを癒すために立ち寄っただけの個体だった。
それからさらに時が経ち現在。かつてRモルフォンを撮影した少女は、とある地方のジムリーダー兼世界有数のカメラマンへと成長へ遂げるのだが、今も尚、Rモルフォンは再発見されること無く、巷では幻の虫ポケモンと呼ばれることとなる。
そんな幻のRモルフォンと、かつての少女が再び出会うのは、さらに
| コンパン | |
|---|---|
| ぶんるい | こんちゅうポケモン |
| タイプ | むし・エスパー |
| たかさ | 1.0m |
| おもさ | 30.0kg |
| とくせい | ふくがん・いろめがね(にげあし) |
| 種族値 | |
| HP | 60 |
| こうげき | 45 |
| ぼうぎょ | 50 |
| とくこう | 45 |
| とくぼう | 55 |
| すばやさ | 50 |
| 合計 | 305 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | たいあたり |
| 1 | かなしばり |
| 5 | ちょうおんぱ |
| 11 | ねんりき |
| 13 | どくのこな |
| 17 | サイケこうせん |
| 23 | しびれごな |
| 25 | むしのさざめき |
| 29 | ねむりごな |
| 35 | あさのひざし |
| 37 | ミラーコート |
| 41 | サイコフィールド |
| 47 | サイコキネシス |
↓Lv31で進化
| モルフォン | |
|---|---|
| ぶんるい | わたりがポケモン |
| タイプ | むし・エスパー |
| たかさ | 1.5m |
| おもさ | 12.0kg |
| とくせい | りんぷん・いろめがね(ふしぎなりんぷん) |
| 種族値 | |
| HP | 70 |
| こうげき | 50 |
| ぼうぎょ | 60 |
| とくこう | 95 |
| とくぼう | 75 |
| すばやさ | 100 |
| 合計 | 450 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | たいあたり |
| 1 | かなしばり |
| 1 | ちょうおんぱ |
| 1 | ちょうのまい |
| 11 | ねんりき |
| 13 | どくのこな |
| 17 | サイケこうせん |
| 23 | しびれごな |
| 25 | むしのさざめき |
| 29 | ねむりごな |
| 37 | あさのひざし |
| 41 | ミラーコート |
| 47 | サイコフィールド |
| 55 | サイコキネシス |
| 進化 | エアスラッシュ |
| とくせい名 | 効果 |
| ふしぎなりんぷん | 攻撃技を受ける時、相手のとくせいや持ち物を無視する。 |
モチーフは「オオカバマダラ」。
オリジナル特性の「ふしぎなりんぷん」は、「かたいツメ」や「こだわりハチマキ」のような威力の上昇や、「どくしゅ」のような攻撃時に追加で発揮される効果を無効にします。