まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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芳香振り撒くかおりポケモン

 匂い。それは一種のシグナルだ。

 人間もポケモンも、嗅覚を通して匂いを感じ、食料の在処や外敵の存在等、様々な情報を得ている。

 そして逆に、匂いを道具として用いる場合も存在する。分かりやすいのは香水だろう。ただ体臭を隠す美容品と言うだけでなく、香りを楽しむ嗜好品としての役割を持ち、今やジムリーダーやコーディネーターがプロデュースした香水も数多く、一つの文化として成り立っている。

 また匂いを道具として扱うのは人間だけではない。悪臭で知られる「スカンプー」はその強烈な匂いによって外敵から身を守る。どくトカゲポケモン「エンニュート」はフェロモンの匂いによって雄の「ヤトウモリ」を誘惑し、自らの配下として使役している。

 他にも多くのポケモンが、匂いを自らの武器として扱い生きている。今回はそんなポケモンの一つを紹介しよう。

 

 

 

 霧の深い真夜中の森の中、草むらを掻き分けて歩く、一頭のポケモンが居た。クリーム色の毛並みに長い髭。細身の体。そして何よりも目を引くのは、額に輝く紅い結晶。その名は、シャムネコポケモン「ペルシアン」。

 その気品の漂う見た目から、富裕層のトレーナーが愛用するポケモンとして知られているが、同時に荒い気性を持つという特徴が有り、特に野生の個体は音も無く死角から襲い掛かってくる、危険なポケモンでもある。

 そんなペルシアンが鋭い目つきを光らせながら探しているのは、今日の食事。既に「コラッタ」一匹を仕留め、腹は少し膨れていたが、それだけでは満足できない。次なる獲物を求めて彷徨う。

 

……

 

 そんなペルシアンの目が、草むらを揺らす紫色の影を見つけた。大きさはコラッタより僅かに小さいだろうか。

 足音を消して、そろりそろりとその影へと近づく。あと数歩近づけば、飛び掛かって一瞬の内に仕留められるだろう。

 一歩進んでは止まり、また一歩進んでは止まる。決して影に気付かれないよう、細心の注意を払いながら、その瞬間を待つ。

 

ッ!

 

 そして最後の一歩を踏み出すと同時に、ペルシアンはその影へと飛び掛かる。

 飛び出したペルシアンが揺らした草の音で、小さな影もようやく気付いたが、もう既に時遅し。逃げる暇もなくペルシアンの爪はその影を捕らえた。

 そのまま地面に倒し、あとはどう料理するもペルシアンの自由。最早、逃れることは出来ないだろう。そう思われた。

 そして止めを刺すべく、ペルシアンが口を開いて、その牙を突き立てようとした時だった。

 

~~ッ!!?

 

 いきなりペルシアンが飛びのいたかと思うと、その体を悶え苦しみ始める。その暴れっぷりは、まるで釣り上げられた「コイキング」よりも激しい。さらに足は痙攣し、口からは泡が吹き出ている。

 一体、ペルシアンに何が有ったのだろうか。それは襲われたものが知っていた。

 

プゥ……

 

 ふよふよと浮かぶ紫色の小さな影の正体。それはこの森固有の姿(リージョンフォーム)を持つ、「シュシュプ」である。

 他の地方に生息するシュシュプは、嗅いだものをうっとりとさせる香水のような匂いを発するという生態を持ち、かつては香水代わりにこのシュシュプを連れていたトレーナーも居たとされるほどだ。

 このシュシュプが発する匂いは食べたものに強く影響され、多くの場合は木の実を食べることで甘い匂いや爽やかな匂いを発する。

 ではこの森に生息するR(リージョン)シュシュプは何を食べているのか。それは「クサイハナ」の蜜と「カプサイジ」の歯である。

 クサイハナと言えば強烈な悪臭を持ち、その蜜の匂いは2km離れていても届くと言われるほどである。対してカプサイジと言えば体に辛み成分を豊富に含み、パルデア地方では抜け落ちた歯を香辛料として用いている。

 どちらも外敵から身を守るためのものであるために、好んで食べようとするポケモンはまず居ない。だがこの森に生息するRシュシュプは、どういうわけか古くからこの二つを食べ続けている。

 そしてクサイハナ由来の毒素やカプサイジ由来の辛み成分の影響によるものか、原種とは異なる姿へと変化したRシュシュプ。彼らが取り込んだ成分を体内で熟成させて発する匂いは想像を絶し、生ごみのような腐敗臭や発酵したような酸っぱい匂い、そして香辛料のような突き刺す刺激臭が混じり合い、悪夢のマリアージュを奏でるという、言葉に表すのも恐ろしい代物となっている。

 Rシュシュプは外敵に襲われると、その匂いを発することで身を守る。これを間近で直接受けたペルシアンが悶え苦しむのも当然だ。

 地面に倒れこみながら苦しむペルシアン。その場から既にRシュシュプが逃げ出していたが、そんなことを考える暇も無い。早くこの地獄の苦しみから救ってほしいと必死に願うが、その思いは敵わない。強烈にこびりついた匂いは、それから三日間、ペルシアンを苦しませ続けることになる。

 

 シュシュプは良い香りがするポケモンとして人気だ。それ故に、もしこのRシュシュプと人間が初めて出会った時、どのような事態になるだろうか……。

 どんなポケモンであっても危険があることは変わらない。しかしこの不幸なペルシアンのような目にだけは遭いたくないものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


シュシュプ
ぶんるいかおりポケモン
タイプフェアリー・どく
たかさ0.2m
おもさ0.5kg
とくせいとれないにおい(アロマベール)
種族値
HP78
こうげき47
ぼうぎょ70
とくこう63
とくぼう60
すばやさ23
合計341

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1ようせいのかぜ
1あまいかおり
3てんしのキッス
6どくのこな
9スモッグ
12アロマセラピー
15ドレインキッス
18メロメロ
21クリアスモッグ
24どくびし
27サイコキネシス
30あまえる
33めいそう
36ムーンフォース
39くろいきり

 

↓においぶくろを持たせて通信交換

 

フレフワン
ぶんるいほうこうポケモン
タイプフェアリー・どく
たかさ0.8m
おもさ15.5kg
とくせいとれないにおい(アロマベール)
種族値
HP101
こうげき62
ぼうぎょ87
とくこう99
とくぼう84
すばやさ29
合計462

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1アロマミスト
1おきみやげ
1ようせいのかぜ
1あまいかおり
1てんしのキッス
1どくのこな
9スモッグ
12アロマセラピー
15ドレインキッス
18メロメロ
21クリアスモッグ
24どくびし
27サイコキネシス
30あまえる
33めいそう
36ムーンフォース
39くろいきり
42じこあんじ




当初の予定では幻覚作用を持つ不思議な匂いをばら撒くという設定でしたが、途中で描写が麻●っぽくなったので、さすがにヤバいと判断し変更。
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