小さく可愛らしいポケモンは多くのトレーナー、特に子供に人気がある。有名なもので言えば、「ピカチュウ」、「プリン」、「ミミロル」等が挙げられる。
しかし見た目は可愛らしくても、そこはポケモン。触れ合う上でリスクも存在する。ピカチュウであれば、頬の電気袋から発生する電気による感電の危険がある。プリンであれば、その歌を聴くと強い眠気に襲われ、事故を引き起こす場合がある。ミミロルであれば、耳を使って強烈な打撃による怪我人が毎年出ている。
そして人間が足を踏み入れることの出来ない地にも、見た目とは裏腹に危険なポケモンが生息している。
北極圏。一年を通して気温は低く、人間が定住することが難しい土地。大地には分厚く降り積もった雪によって真っ白に染め上げられ、広大な海には流氷や氷山が浮かび、時に数十キロメートルにも渡って連なる光景を見ることが出来る。
この地域には特に水中生活を得意とするこおりタイプのポケモンが多く生息している。大きな群れを作り暮らす「トドグラー」や「トドゼルガ」、背中に「カチコール」を乗せ漂流する「クレベース」、そしてそれらのポケモンを獲物として狙う「ツンベアー」が例として挙げられるだろう。
―マァ―
そんなツンベアーに似た小さなポケモンが、氷上をてくてくと歩いていた。
水色の頭部に白い胴体。一見すると、ツンベアーの進化前のポケモンである、ひょうけつポケモン「クマシュン」に見えるかもしれない。しかしクマシュンと異なり、それの鼻先は平べったく、鼻水も垂らしていない。
そう、このポケモンはクマシュンでは無く、全く別のポケモンである。
その名は、じたばたポケモン「ヌイコグマ」。通常、ヌイコグマと言えばピンク色の顔に黒い胴体が特徴的なポケモンであるが、この北極圏ではそのような目立つ見た目をしていると外敵から襲われる危険性が高い。そのため長い年月を経て、雪や氷に紛れる体色を持つようになったリージョンフォームへと変化していった。
―マァ―
普段、Rヌイコグマは親と共に暮らしているが、周囲にその姿が見えない。どうやら親が食料を獲りに行っている間に、巣から抜け出してしまったのだろう。
そして自然界は決して優しくは無い。例えそれがどれだけ幼く、か弱い命であろうとも、分け隔てなく脅威は襲い掛かる。
―ラッ!―
Rヌイコグマの前にとあるポケモンが姿を現す。黒い細身の体に鋭い爪、切れ長の目を持ったそのポケモンの名は、かぎづめポケモン「ニューラ」。非常に狡賢く獰猛なポケモンであり、ポケモンのタマゴを奪って食料にすることすらあるため、雪国では厄介者として恐れられているポケモンだ。
どうやら親が近くに居ないことをチャンスと見たのか、Rヌイコグマを獲物に定めたようだ。
―ラァッ!―
ニューラは鋭い鉤爪を伸ばし、
通常であれば、狙われた哀れな獲物は一瞬で狩られるだろう。それほどまでにニューラは危険なポケモンである。
しかし今回は勝手が違った。
―マッ!?―
急所である首を狙った一撃。だがそれはRヌイコグマの体毛を僅かに切り裂くだけで、皮膚へと到達することは無かった。
元々、ヌイコグマはもふもふとした体毛で敵の攻撃を防ぐという生態を持ったポケモン。この北極圏に生息するRヌイコグマは、厳しい寒さから身を守るために体毛がより発達しており、驚異的な防御力を誇っている。それによりニューラの鋭い一撃を完全に防ぎぎって見せたのだ。
だがダメージが無くとも、目の前のポケモンがいきなり襲い掛かってきたことは、Rヌイコグマに強い恐怖を感じさせた。
―マァッ!!―
その恐怖から、ただ我武者羅に前腕を振り回す。
―ゴッ!―
そしてそれは爪が体毛に絡まって動きが封じられたニューラの腹部に鈍い音を立てて命中した。
―ラァッ!?―
一瞬、「イノムー」が突進してきたのかと錯覚するかのような衝撃を受け、ニューラは勢いよく吹き飛ばされる。そう、これもヌイコグマの特徴の一つ。
ヌイコグマは小柄で可愛らしい見た目をしているが、その力は非常に強く、大木をいとも容易くへし折るほどのパワーを持つ。そのためアローラ地方やガラル地方では、その愛らしさに惹かれたトレーナーが不用意に触れた結果、大怪我を負ったという事故が後を絶たない。
無論、このRヌイコグマも原種と変わらぬパワーを持ち、その一撃は分厚い氷を粉々に砕くほどだ。それをまともに受けたニューラが吹き飛ばされるのも当然だろう。
―ラッ、ラァ………―
高く宙を舞い、勢いよく地面へ叩きつけられるニューラ。一瞬意識が遠のくも、すぐに正気を取り戻し頭を振る。
そして目の前の獲物を見つめるが、それは両足を震えさせながらも、強い敵意を込めた視線を返す。
―……―
しばらく睨み合った後、ニューラはRヌイコグマへ背を向ける。予想外の反撃を急所に受け大きなダメージを負った身で戦闘を続けることは難しいと判断し、Rヌイコグマを狩ることを諦めたようだ。
舌打ちをしつつ、痛む腹を抑えその場から立ち去る。
―マァ―
外敵が去り、やっと落ち着きを取り戻したRヌイコグマは、いそいそと巣穴へと戻り、親を待つ。
巣の外には危険が沢山ある。それを学び少しだけ成長した。このような経験を繰り返し、いつの日か一人前になっていくのだ。
―ラァ……―
対して獲物を手に入れられなかったニューラはとぼとぼと歩いていた。腹部はズキズキと痛みを訴え続けている。仕方ない、今日はさっさと巣穴に戻って休もう。そんなことを考えながら帰路に就く。
しかし、ふとそんなニューラの前に何者かが立ちふさがる。
―ラァ……?―
目をパチパチと瞬かせると、そこに居たのは巨大な影。
太陽の光を背に佇むのは、Rヌイコグマと同じ水色の頭に白い胴体を持った二足歩行のポケモン。そう、Rヌイコグマの親である、ごうわんポケモン「キテルグマ」だ。
その姿を見たニューラは、思わず冷や汗を掻いてたじろぐ。Rキテルグマは着ぐるみに似た可愛らしい見た目とは裏腹に、非常に凶暴なポケモンだ。自身のテリトリーに入った相手は誰であろうとも許さず、自慢の怪力で粉砕する。
迂闊にもそんなRキテルグマの眼前に立ってしまったニューラ。その末路は考えるまでも無いだろう。
―マアアァァッ!!―
―ラァッ~‼?―
Rキテルグマが放った渾身のアッパーカット。それによりニューラはロケットのように吹き飛ばされていく。
―マッ!―
遥か彼方へと消えていったニューラを見届け、満足そうなRキテルグマは、仕留めた「サシカマス」を小脇に抱えて巣穴へと戻る。そこにお腹を空かせたであろう我が子が居るのだから。
このRヌイコグマやRキテルグマのように、例え可愛らしい見た目をしていても決して油断はしてはいけない。もし迂闊に触れれば、ニューラよりも悲惨な目に合うことは想像に難くないだろう。
| ヌイコグマ | |
|---|---|
| ぶんるい | じたばたポケモン |
| タイプ | こおり・かくとう |
| たかさ | 0.5m |
| おもさ | 7.2kg |
| とくせい | もふもふ・ゆきがくれ(メロメロボディ) |
| 種族値 | |
| HP | 75 |
| こうげき | 75 |
| ぼうぎょ | 50 |
| とくこう | 45 |
| とくぼう | 50 |
| すばやさ | 45 |
| 合計 | 340 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | たいあたり |
| 1 | にらみつける |
| 4 | つぶらなひとみ |
| 8 | こなゆき |
| 12 | こおりのつぶて |
| 16 | こらえる |
| 20 | かいりき |
| 24 | ゆきなだれ |
| 28 | じたばた |
| 32 | アームハンマー |
| 36 | あばれる |
| 40 | ひょうざんおろし |
| 44 | すてみタックル |
| 48 | ばかぢから |
↓Lv27で進化
| キテルグマ | |
|---|---|
| ぶんるい | ごうわんポケモン |
| タイプ | こおり・かくとう |
| たかさ | 2.3m |
| おもさ | 181.5kg |
| とくせい | もふもふ・アイスボディ(きんちょうかん) |
| 種族値 | |
| HP | 125 |
| こうげき | 125 |
| ぼうぎょ | 85 |
| とくこう | 55 |
| とくぼう | 60 |
| すばやさ | 50 |
| 合計 | 500 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | しめつける |
| 1 | たいあたり |
| 1 | にらみつける |
| 1 | つぶらなひとみ |
| 1 | こなゆき |
| 12 | こおりのつぶて |
| 16 | こらえる |
| 20 | かいりき |
| 24 | ゆきなだれ |
| 28 | じたばた |
| 32 | アームハンマー |
| 36 | あばれる |
| 40 | ひょうざんおろし |
| 44 | すてみタックル |
| 48 | ばかぢから |
| 進化 | しめつける |