まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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2週間ほど遅れましたが、あけましておめでとうございます。
本年も拙作をよろしくお願いいたします。


荒波を見据えるこうていポケモン

 とある大陸の一角に位置する海岸。そこに「ポッチャマ」の楽園とも呼ぶべき場所が有った。その名の通り、無数のポッチャマが所狭しと集まる海岸である。

 ポッチャマと言えば愛らしい見た目で知られ、また限られた地域にのみ生息する希少なポケモンということもあり、もしこの場所の存在を知れば、多くのトレーナーが集まるだろう。

 しかし、未だ誰もこの海岸に辿り着いたことは無い。まず陸路だが、この海岸の周囲には、非常に険しい山が幾つも連なり、まるで壁のように立ちはだかっている。そのため歴戦の山男であっても、この山脈を乗り越えることは不可能と言って良い。

 では海路ではどうだろうか。いや、こちらはより困難である。何故なら……

 

ゴオオォォ……

 

 荒々しく水飛沫が散る海面、身の丈を遥かに超える高波、激しく渦を巻く海流。もし船が浮かんでいれば、一分と立たずに沈没するのではないかと思わずにはいられない。強い嵐が起きているかのような海の様子は、見る者を不安にさせる。

 どうしてこれほどまでに海が荒れているのか。その理由は海底にある。

 

ラアァ……

 

 ドラゴンポケモン「キングドラ」。それがこの海域に大群を作っているのだ。キングドラは欠伸一つで大きな渦潮を作ることの出来る強大な力を持ったポケモン。それが、時に眠り、時に食料を探し、時に喧嘩をし、思い思いに過ごしているのだから、海が荒れるのは当然と言って良いだろう。

 地上はポッチャマの楽園であるが、海底はキングドラの巣窟であるが故に、この地には人間も他のポケモンも辿り着くことが不可能な地となっているのだ。

 しかし同時にポッチャマ達にとっても、この海は危険なものだ。事実、キングドラが起こす高波は常に陸へと押し寄せ、近づいたものを引きずり込もうとする。そしてもし海中へ飲み込まれようものなら、無事に陸に戻れる保証はない。

 

ドオオォォ……

 

 海中でキングドラが縄張り争いでもしているのか、一際大きな波が海岸へ迫る。それはポッチャマの群れを容易く飲み込むことだろう。このままでは多くのポッチャマが命を落とすことになるかもしれない。しかしポッチャマの群れに恐怖の色は無い。それは高波の危険性を知らないからでは無く、自分達の身の安全が守られていることを知っているからに他ならなかった。

 

ルゥ

 

 ポッチャマの群れの先頭に立ち、高波を見据える一体のポケモン。紺碧の体を持ち、頭部には金色の冠のような角が五本伸びる。

 そのポケモンはふと両翼を前へと翳すと、瞳を鋭くする

 

ルルッ!

 

 するとその瞬間、ポッチャマの群れへと迫っていた高波が、まるでそこだけ避けるように二つに割れたではないか。

 まるで神話の光景を思い抱かせるが、これはこの地域では日常風景である。

 

ルゥ……

 

 近づくポッチャマに優し気な笑みを浮かべるこのポケモンは、日常的に高波が押し寄せるこの地域に適応したポッチャマの最終進化系であり、リージョンフォームのこうていポケモン「エンペルト」である。

 このR(リージョン)エンペルト最大の特徴は、嘴の根元から伸びる角。原種よりも幅が広く、頭部のほとんどを覆う形状はまるで仮面のようでもある。

 また、変わったのは姿だけではない。寒冷地帯に生息する原種は、泳ぐ際に邪魔な流氷を砕くため、鋼のように硬い(ひれ)や嘴を有している。それに対してRエンペルトが生息するのは比較的温暖な地域。水面を氷が張ることはほとんど無く、そのため流氷を砕く身体機能は失われている。だが代わりにRエンペルトは、この激しい荒波から仲間(ポッチャマ)達を守るために、原種が持ちえない新たな能力に目覚めていた。それこそ高波を割るほどに強力な超能力(サイコパワー)である。原種よりも発達した脳が発する思念波を頭部の角によって増幅することにより、強力なサイコエネルギーを発生させ自在に操り、迫りくる高波を二つに割ると言った芸当すら容易く行うことが可能となった。

 このRエンペルトが常に周囲を警戒しているため、この海岸においてポッチャマ達を脅かす危険はほとんど無いと言って良いだろう。

 また、Rエンペルトの超能力は、ただポッチャマ達を守るためだけのものでは無い。

 

バシャアァンッ!!

 

 荒波の中から飛び出したのは、何体ものRエンペルト。脇には「コイキング」や「サシカマス」と言った魚ポケモン達を抱えている。

 本来、キングドラが起こす強烈な海流により侵入が阻まれるため、海岸近くの水中には魚ポケモンはほとんど生息していない。つまり、今、Rエンペルト達が取ってきた魚ポケモンは、キングドラの縄張りの外に居たものである。

 魚ポケモンですら容易く飲み込まれる荒波の中を潜り抜け、食料を獲ってくるなど、普通であれば只の自殺行為にしかなり得ないだろう。ただしRエンペルトに限れば話は別だ。

 彼らは原種譲りの優れた遊泳能力を持つだけでなく、強力なサイコパワーを有している。このサイコパワーによって周囲の海流に干渉し、自分に都合の良い流れへと変化させることで、強烈な海流が渦を巻くキングドラの巣窟を通り抜けることを可能としている。

 すなわちRエンペルトにとってこの地は、常に高波が押し寄せる危険な地域では無く、外敵が滅多によってこない安住の地と言い換えることが出来るだろう。

 

チャッ

チャマ

チャチャァ

 

 荒波の中から続々と姿を現す(リージョンエンペルト)の許へ駆け寄る子供(ポッチャマ)達。お目当ては彼らが獲ってきた新鮮な食料。腹ペコだったポッチャマ達は我先にと食事を始める。

 そんな姿を微笑ましそうに見つめるのは、留守を預かっていたRエンペルト達。そして戻ってきたRエンペルトに一瞥を向けると、今度は自分達が荒波の中へと飛び込んでいく。

 例えキングドラの縄張りを安全に通り抜けられるとしても、獲物が居る沖合まではどれだけ急いでも数時間はかかる。その間、まだ未熟なポッチャマ達を放置するわけにはいかない。そのためRエンペルトは交代制で狩りと留守番を行うという生態を持っている。一方が自身の腹を満たしつつポッチャマ達のための食料を集めている間、もう一方は高波からポッチャマ達を守る。そして戻ってくれば役割を交代。それを繰り返しながら子育てを行うのだ。

 

……ッ

 

 荒波の中をまるでジェット機のように目にも止まらぬスピードで進むRエンペルト。

 仲間の為に休みなく働き続ける彼らの姿を知るのは、今はまだ、水底で自由気ままに暮らすキングドラだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ポッチャマ(原種)

 

↓Lv16で進化

 

ポッタイシ(原種)

 

↓Lv36で進化

 

エンペルト
ぶんるいこうていポケモン
タイプみず・エスパー
たかさ1.7m
おもさ83.9kg
とくせいげきりゅう(マジックミラー)
種族値
HP84
こうげき71
ぼうぎょ83
とくこう121
とくぼう111
すばやさ60
合計530

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1サイコストーム
1ドリルくちばし
1たいあたり
1なきごえ
1みずでっぽう
1アクアジェット
11わるだくみ
15つつく
19バブルこうせん
24いばる
28みだれづき
33しおみず
39うずしお
46しろいきり
52サイコキネシス
59ハイドロポンプ
66みらいよち
進化サイコストーム

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
サイコストームエスパー特殊8590151体選択0×相手をバインド状態にし、4~5ターンの間、最大HPの1/8分のダメージを与え続ける。

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