一面、降り積もった雪が広がる銀世界。一年を通して気温が-10度を下回るこの地域だが、かつては緑豊かな平原であったと聞いて信じる者は居ないだろう。
数百年前、この地域は温暖な気候の平原が広がり、「ミルタンク」や「ウールー」を引き連れた遊牧民族の集落が点在していた。だがある時、突如としてこの地域を猛烈な寒波が襲い、平原一帯が雪で覆われ、その姿を一瞬にして変貌させた。ポケモン達の食料であった木の実もほとんどが枯死し、限られた食料を巡って遊牧民同士が争いをはじめ、多くの命が失われていった。そして最後はこの凍り付いた平原から逃げるように離れていき、今や呪われた地として人が訪れることの無い土地となった。
そんな曰くつきの場所であるが、様変わりしたこの土地にも
―ムゥ―
雪を掻き分けるように鼻を動かしながら歩いているのは、いのぶたポケモン「ウリムー」。優れた嗅覚を持つこのポケモンは、雪に埋もれた植物やキノコの匂いを頼りに探し当て、餌としている。
どうやらちょうど餌を見つけたようで、鼻をシャベルのように雪の中に突っ込んで掘り返す。そこにあったのは、傘の大きなキノコ。それも一つだけでなく、いくつか固まって生えている。
―ムッ―
思わぬ御馳走にウリムーは夢中になって食べ始める。もし近くに「バニプッチ」や「ユキワラシ」に見つかれば、横取りされてしまうかもしれないし、天敵である「ニューラ」に見つかれば襲われる危険がある。幸いにも近くで匂いは感じないため今は安全であるが、時間を掛ければ他のポケモンに見つかるリスクは高まる。そのため急いでキノコを飲み込んでいく。
しかし今まさに、自分に危機が迫っていたことをウリムーは気づいていない。それは雪の体を持っていたがために、ウリムーの嗅覚でも察知することの出来ない、恐るべき捕食者である。
―ズズ……―
―ムッ?―
ふと何かの気配を感じ、ウリムーは食事を止め、辺りを見回し匂いを嗅ぎ取る。だが他のポケモンの匂いは感じない。再び食事を戻ろうとする。だが……
―ズズズ……―
再び何かの気配を感じ、顔を上げる。だがどれだけ辺りを見回そうと、どれだけ鼻を動かし匂いを嗅ぎ取ろうと、その気配の正体を掴むことは出来ない。だが確かに何か居る。それは、遠くからではない。むしろ非常に近い……そう、まるですぐ隣に居るような……いや、違う。その気配を感じるのは……真下だ。
―ズオオォォ……―
その瞬間、突如としてウリムーを囲うように周囲の雪が大きく隆起する。突然のことにウリムーはパニックとなり逃げだそうとするが、蠢く雪に足を取られ、上手く走ることは出来ず、むしろ蟻地獄に囚われたかのように、その体が雪の中へと沈んでいく。
―ナアァァ―
そしてウリムーの体をすっぽりと飲み込んだ雪の塊は、徐々にその真の姿を露わにする。まるで子供が作ったかのような雪像の城のような体。窓に当たる位置から覗く冷たい青色の瞳。屋根の頂上には氷柱が建てられている。その姿は、アローラ地方の浜辺に生息する、すなのしろポケモン「シロデスナ」に非常に似ている。言わば、ゆきのしろポケモンとでも呼ぶべき存在であろう。
このゆきのしろポケモンは、かつてこの平原で命を落とした人間やポケモンの無念の魂が、降り積もった雪を依代として誕生した存在であり、その経緯から見てもシロデスナのリージョンフォームに近いと言って良いだろう。
―ナァ……―
―ムッムゥ!?―
飲み込まれたウリムーが雪を掻き分け、脱出しようと藻掻くが、どれだけ雪を掘り進めても、ゆきのしろポケモンの体から逃れることは出来ず、それどころか少しずつ内部に飲み込まれていく。
空気を含んだゆきのしろポケモンの体は脆く崩れやすい。しかしどれだけ体を崩そうとも、次から次へと周囲の雪が寄り集まり、その体を再生させていくため、一度でも飲み込まれた獲物が逃れることはまず不可能。こうなってしまった時点で、ウリムーの末路は決まっていた。
―ムッ……―
ついにそのウリムーが雪の中へと完全に飲み込まれると、ゆきのしろポケモンは静かにゆっくりとその体を縮める。これにより体内に圧力を掛け、獲物からエネルギーを搾り取るのだ。
ゆきのしろポケモンの下半身がもぞもぞと動き、体内で苦しむ藻掻くウリムーの姿が見て取れる。だがその動きは徐々に小さくなり、30分も経った頃には体力が尽きたのだろうか、僅かな身動ぎの気配すらなくなった。だがそれでも尚、ゆきのしろポケモンは圧力を掛け続ける。それは魂の一片すらも余さず搾り取るために。
―ナァァ……―
それから2時間後、ゆきのしろポケモンが徐にズルリとその場から動き出す。その場には全身を圧し潰され息絶えたウリムーが転がるが、もう用は済んだと興味なさげに、ゆきのしろポケモンの姿は降り積もった雪の中へと消えていく。
後にはウリムーの亡骸だけが残った。そこへ近づく影が一つ。
―ニュラッ―
肉食のポケモン、ニューラ。残されたウリムーの体はすなのしろポケモンにとったは不要であっても、ニューラにとっては貴重な食料だ。
―ァ……―
―ニュッ?―
何かが聞こえた気がしてふと振り向くが、そこには真っ白な雪原が広がるだけ。気のせいかとニューラは軽くなったウリムーの体を抱え、巣へと戻っていく。
―アァ……―
その背後で、小さな雪山がもぞりと動いた。虚ろな青い目を光らせ、ぽっかりと開いた口から不気味な鳴き声を漏らすそれは、ただ走り行くニューラの後ろ姿をを見つめ続けた。
| スナバァ | |
|---|---|
| ぶんるい | ゆきやまポケモン |
| タイプ | こおり・ゴースト |
| たかさ | 0.5m |
| おもさ | 10.0kg |
| とくせい | みずがため(ゆきがくれ) |
| 種族値 | |
| HP | 55 |
| こうげき | 55 |
| ぼうぎょ | 45 |
| とくこう | 70 |
| とくぼう | 80 |
| すばやさ | 15 |
| 合計 | 320 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | すいとる |
| 1 | かたくなる |
| 5 | おどろかす |
| 10 | こなゆき |
| 15 | メガドレイン |
| 20 | しろいきり |
| 25 | こごえるかぜ |
| 30 | さいみんじゅつ |
| 35 | ギガドレイン |
| 40 | てっぺき |
| 45 | シャドーボール |
| 50 | ふぶき |
| 55 | ゆきあつめ |
| 60 | ゆきげしき |
↓Lv42で進化
| 仮称:シロデスノ | |
|---|---|
| ぶんるい | ゆきのしろポケモン |
| タイプ | こおり・ゴースト |
| たかさ | 1.3m |
| おもさ | 60.0kg |
| とくせい | みずがため(ゆきがくれ) |
| 種族値 | |
| HP | 85 |
| こうげき | 75 |
| ぼうぎょ | 75 |
| とくこう | 100 |
| とくぼう | 110 |
| すばやさ | 35 |
| 合計 | 480 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | すいとる |
| 1 | かたくなる |
| 1 | おどろかす |
| 1 | こなゆき |
| 15 | メガドレイン |
| 20 | しろいきり |
| 25 | こごえるかぜ |
| 30 | さいみんじゅつ |
| 35 | ギガドレイン |
| 40 | てっぺき |
| 47 | シャドーボール |
| 54 | ふぶき |
| 61 | ゆきあつめ |
| 68 | ゆきげしき |
| わざ名 | タイプ | 分類 | 威力 | 命中率 | PP | 範囲 | 優先度 | 直接攻撃 | 効果 |
| ゆきあつめ | こおり | 変化 | - | - | 5 | 自分 | 0 | × | 自分のHPを最大HPの1/2回復する。天気がゆき状態のときは、最大HPの2/3回復する。 |
名前の由来は「城ですの」&「snow」。