とある絶海の孤島の中心にある火山。頻繁に溶岩を噴き出し、空気そのものが熱を帯びる。
そんな灼熱の火山の麓をのんびりと歩くポケモンが居る。せきたんポケモン「コータス」だ。この島では良質な石炭が産出されるのだが、コータスはその石炭を背負った大きな甲羅の内部に取り込み燃やすことでエネルギーに変えるという生態を持っている。今も歩きながら目についた石炭を拾っては、甲羅に空いた穴へ放り投げ、その度に甲羅は赤く燃え輝く。
そんないつも通りの日常……のはずだった。
―コォ……?―
ふと何かの気配を感じ、頭を上げる。その視線の先、空から何かが落ちてくる。それは黄色い球体状の物体。大きさは大体バレーボール程だろうか。それがコータスの足元へと落下し……
―ドボフウゥッ!!―
大きな音を発し爆ぜる。
その衝撃でコータスは仰向けにひっくり返ってしまう。突然のことに驚愕しながらも、何とか体勢を戻すべく体を捩ろうとした。だが力を籠めようと息を吸い込んだ瞬間、異常に気付く。それは鼻を突き刺す、卵を腐らせたような強烈な臭い。それを勢いよく吸い込んでしまったコータスは、あまりの臭さに悶えるも、甲羅がひっくり返っているためにどうすることも出来ない。
―コッ、コォ……―
遂にはその臭いから逃れるように、意識を手放してしまった。
一体、何が起きたのだろうか。事の発端は数分前に遡る。
この火山の頂上、火口付近。そこにコータスの下へ落ちてきたものと同じ黄色い球体が幾つも浮かんでいた。ふわふわと浮かぶその球体には、信じられないことに目と口があり、紛れも無く生物であることを表していた。
この球体のポケモンの名は「ドガース」。そう、工業地帯やゴミ処理場などでよく見かけられる、あのドガースである。
ドガースと言えば、紫色の体を持ち、排気ガスを吸い込む、人類文明を密接な関係に有るポケモンであるというイメージが強いだろう。だが、人類の科学が発展する以前に、ドガースが存在していなかったかと言えば否である。本来、ドガースは火山地帯に生息し、吹き出た火山ガスを取り込むポケモンであった。しかし人類が科学を発展させ、その活動圏を広げていく中で、ドガースもまた安定してガスを吸収することが出来る工業地帯等に生息域を移した。そして工場から出る排ガスを取り込んでいく中で、徐々に性質が変化し、現在の姿となったのだ。
そして原種のドガース―以降、紫色のドガースと区別して、
この火山に生息しているのも、その貴重な群れの一つなのだ。
―ガァス……―
そんなRドガースの一体がフワフワと浮遊しながら、眠たげに欠伸をしていた。この火口付近はRドガースの食料である猛毒の火山ガスが充満しているため、滅多に他のポケモンが近寄ってこない。こうして無防備にしていても、大きな問題は無かった。
―ドボオォンッ!!―
―ガスウゥゥッ!?―
突然、Rドガースの真下の地面が爆ぜ、眠気と共に天高く吹き飛ばされていく。何事かと驚いただろうが、これもまたこの地では毎日という程では無いがよく見る光景。地下に溜まっていたガスが、強い圧力によって間欠泉のように噴き出しただけだ。人間にとっては危険ではあるが、Rドガースにとっては別に気にする事ではない。むしろ大量の餌が現れたのだから、喜ぶべきことであろう。しかし打ち上げられた個体にとっては不運な出来事と言うほか無い。
―ガスウゥゥ……ッ―
そしてこのRドガースの不運はまだ続く。
勢いが落ち、今度は逆に加速しながら落下していくRドガース。その落ち行く先には二体のポケモンの姿が有った。
―バアアァンッ!!―
―タアァァザッ!!―
燃え盛る炎が人型を為したかのような風貌のポケモンは「ブーバーン」。背中に石炭を山を背負っているのは「セキタンザン」。
両者はこの火山の主の座を巡り、日々争うライバル関係に有る。そして今日もまた、どちらが上か、勝負を繰り広げていた。
―ブバァンッ!―
ブーバーンの両腕から灼熱の炎が噴き出し、セキタンザンの体を焦がす。
―タザァアッ!―
セキタンザンの背中から放たれた真っ赤に熱せられた石炭が、ブーバーンの体を打ち据える。
互いに灼熱の体をより燃え滾らせながらぶつかり合う。見ているだけでも汗が止まらなくなりそうな熱い戦い。この両者の争いに割って入ることが出来る者など存在しない……はずであった。
―ガァスウゥゥゥッ!?―
右腕から強烈な火球を放とうとするブーバーンと、口から硬い岩石の弾丸を放とうとするセキタンザン。そのちょうど間にRドガースが落ちてきた。
突然の闖入者。だがそれを気にすることも無く、ブーバーンとセキタンザンは必殺の一撃を放ち……
―ブバァアッ!!―
―タザァアッ!!―
―ドガスゥ~ッ!?―
ぶつかり合った両者の渾身の技によって起きた大爆発。それを間近で受けたことで、再びRドガースは打ち上げ花火のように、空高く飛んでいく。
全身傷だらけ煤だらけで放物線を描くRドガースは再び落下し……
―ホオォォクッ!!―
―アロォウッ!!―
―たかと思えば、今度は空中で縄張り争いをしていた「ムクホーク」と「ファイアロー」に突き飛ばされ……
―ドテッコォウ!―
トレーニングの為に鉄骨を振り回していた「ドテッコツ」によって、野球ボールのようにかっ飛ばされ……
―ガメェス……―
寝惚けた「バクガメス」が欠伸の拍子に口から噴き出した息吹を食らい……。
―ドガァ……―
まるでピンボールのようにあちこちを跳んでいったRドガースは、最早、息も絶え絶えで体力も精神力も尽き果てた様子で、ついにコータスが居た麓へと落ち、
―ドボフウゥッ!!―
地面にぶつかった衝撃で気絶したことで、体内に溜め込んでいたガスが勢いよく噴出。
―コッ、コォ……―
その被害をコータスは受けてしまったという訳である。
―ド……ドガァ―
コータスが不運だったことは言うまでも無いが、それ以上に不運だったRドガース。これほどの災難に見舞われ不幸だったと嘆くべきか、命あるだけ幸運だったと喜ぶべきか……。
少なくとも、今日は厄日だったと言わざるを得ない。
| ドガース | |
|---|---|
| ぶんるい | かざんガスポケモン |
| タイプ | どく・ほのお |
| たかさ | 0.6m |
| おもさ | 1.0kg |
| とくせい | ふゆう・ひでり(あくしゅう) |
| 種族値 | |
| HP | 40 |
| こうげき | 60 |
| ぼうぎょ | 95 |
| とくこう | 65 |
| とくぼう | 45 |
| すばやさ | 35 |
| 合計 | 340 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | たいあたり |
| 1 | どくガス |
| 4 | ひのこ |
| 8 | えんまく |
| 12 | しろいきり |
| 16 | おにび |
| 20 | やきつくす |
| 24 | くろいきり |
| 28 | じばく |
| 32 | かえんほうしゃ |
| 36 | どくどく |
| 40 | ゲップ |
| 44 | だいばくはつ |
| 48 | おきみやげ |
| 52 | みちづれ |
↓Lv35で進化
| マタドガス | |
|---|---|
| ぶんるい | かざんガスポケモン |
| タイプ | どく・ほのお |
| たかさ | 1.2m |
| おもさ | 9.5kg |
| とくせい | ふゆう・ひでり(あくしゅう) |
| 種族値 | |
| HP | 65 |
| こうげき | 85 |
| ぼうぎょ | 120 |
| とくこう | 90 |
| とくぼう | 70 |
| すばやさ | 60 |
| 合計 | 490 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | ダブルアタック |
| 1 | たいあたり |
| 1 | えんまく |
| 1 | ひのこ |
| 1 | どくガス |
| 1 | ねっぷう |
| 12 | しろいきり |
| 16 | おにび |
| 20 | やきつくす |
| 24 | くろいきり |
| 28 | じばく |
| 32 | かえんほうしゃ |
| 38 | どくどく |
| 44 | ゲップ |
| 50 | だいばくはつ |
| 56 | おきみやげ |
| 62 | みちづれ |
| 68 | にほんばれ |
| 進化 | ダブルアタック |