まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

87 / 100
個人的にそろそろ本気で強化が来て欲しいポケモン第1位。


野蛮な群れ統べるかいぞくポケモン

 季節は春。とある大陸の北方に広がる浜辺。海水は未だに冷たく、地面に降り積もった雪は解け切らないものの、暖かな日差しが差し始め、眠っていた草花が目覚め始める時期。そこには「トドグラー」の群れが日光浴をし、「ブイゼル」達が毛繕いをし合い、「キャモメ」が巣でタマゴを温める和やかな光景が広がっていた。

 一見すると平和な光景が広がっているようにも思える。だが、油断してはならない。自然界では、いつ、恐ろしい敵が襲来するともしれないのだから。

 そしてまさに今、とあるポケモンの群れが海からものすごい勢いで、この浜辺へ侵攻していた。

 

……グラァ?

 

 最初に気付いたのは、波打ち際に居た一頭のトドグラーだった。鋭敏な髭のレーダーが何かの異変を察知し、すぐに仲間へと伝える。

 トドグラーの群れが少しずつ騒ぎだし、他のポケモン達も気付き始める。だが既にその異変の元凶は目の前へと来ていた。

 

バァッ!

 

 海面から飛び出したのは一つの黒い影。それが地面に降り立つと同時に、次から次へと海から同じ姿のポケモン達が海から上がってくる。

 真っ白な髭のような羽毛が顎から伸び、左腕で袋状になった尾を掴むその姿は、主に寒冷地で見かける鳥ポケモン「デリバード」によく似ている。だが赤い体を持ち、サンタクロースに似た風貌のデリバードと異なり、こちらは煤けた黒色の胴体を持ち、また目つきが鋭く凶悪な顔つきをしている。

 そう、このポケモンこそ、この沿岸部で非常に恐れられる存在であり、他の地域のものと異なる生態を持ったデリバードのリージョンフォームである。

 突如として現れたR(リージョン)デリバードの襲撃に、その場が慌ただしくなる。

 

バッ!

 

 Rデリバードの狙い。それは他のポケモン達が手に入れた食料だ。通常のデリバードは尻尾の袋に食料を溜め込み、お腹が空いたポケモンや人間に分け与えることで共存を図るという生態を持つ、温厚なポケモンである。だが食料が豊富なこの地に住まうRデリバードは、全く真逆の生態を獲得してしまっていた。

 

バアァッ!

 

 数羽がトドグラーの群れの中へ飛び込むと、袋の中から砂や小石を取り出すと、近くのトドグラーの眼を狙ってばら撒きだす。さらに甲高い声を挙げることで、視界を奪われたポケモン達の混乱を加速させた。

 

グラッ!?

グラァッ!?

グゥラッ!?

 

 こうして引き起こされた、トドグラーの群れの大パニック。自分がどこに居るのか、周りで何が起きているのか、正しく理解できているものはほとんど居ない。ただ周囲で騒ぐRデリバードから我武者羅に逃げようと体を動かすだけ。その巨体に踏みつぶされないようにブイゼル達が我先にと逃げ出す。キャモメ達は自分の巣とタマゴを守るべく、近づいてくるトドグラーを追い払うべく嘴で突きだす。

 混乱は留まる気配が見えない。その隙にRデリバード達は、すぐさま空っぽとなった袋の中に、トドグラーやブイゼル達が集めた食料を次から次へと放り込む。

 

バァッ!

 

 袋が一杯になると、今度は一斉に反転し、海へと飛び込んでいく。そして最後の一羽が海へと消えて尚、パニックは収まらず、喧騒が止んだのはそれから30分後のことであった。

 

バッ!

 

 激しい海流をものともせず、猛スピードで進むRデリバードの群れ。目指す先は、沖にポツンと浮かぶ小さな島。周囲が険しい断崖で囲まれ、一見すると上陸は困難のように思えるが、その岩壁の一部に波の浸食によって出来た洞窟が有った。

 Rデリバード達はその洞窟へと入っていく。中は暗く、足元は水で濡れ滑りやすいが、慣れた足取りでどんどんと歩を進める。

 

ヴァアアク

 

 そして最奥の突き当り。Rデリバード達の巣となっている場所に、そのポケモンの姿は有った。Rデリバードに似た姿をしているが、その体は二回りは大きい。でっぷりと脂肪を蓄えた腹部。口元から伸びた立派な髭。暗闇の中で光る獰猛な目つき……。

 この謎のポケモンの正体、それはRデリバードの群れを統率するボスが進化した姿である。

 普段は食料の確保や巣の手入れなどを部下であるRデリバードに任せ、自分は(ねぐら)でのんびりとしており、一見すると怠け者のように思える。だが実際は、この場に居るRデリバードが束になっても敵わないほどの高い戦闘力を有しており、巨体を誇る「トドゼルガ」すら倒すほどの実力者である。

 そしてその真の力が発揮されるのは、主に縄張り争いや、天敵が現れた時。部下であるRデリバード達と連携を取りながら、その優れたパワーによって敵を撃退するのだ。

 

バドッ

 

 戻ってきたRデリバード達が次々と袋から食料を取り出し、ボスへと差し出す。高く積み上げられた食料にボスは笑みを浮かべると、乱暴に掴み上げて口へ運ぶ。食事は最初にボスが食べ、次に幼い個体。そして食料を取ってきた部下の番は一番最後となるのだが、その頃には食料は最初の頃の半分以下となっており、少しでも沢山食べようと奪い合いになるのは当然のこと。腹を満足に満たせなかったものは、次の狩りまで空腹を耐えるか、あるいは独自に食料を探しに行くかの二択となる。

 

バァ……

 

 そんな空腹な一羽のRデリバードは、群れの中心でぐっすりと眠るボスをじっと睨む。仮に今、反逆したとしても、ボスに勝つことは叶わないだろう。だが今の現状を甘んじて受け入れるわけではない。いつの日か、ボスの座を自分が奪い、好きなだけ食べ物を食べるのだ。

 そんな野心を抱えているのは一羽だけではない。群れのほぼ全てが内心ではボスの座を狙っているのだ。そしてそれは、奇しくもかつてのボスの姿と全く同じであることを知る者は居ない。

 

ヴァアア……

 

 呑気にいびきをかきながら眠るボス。いつの日か、その座を追われることとなるのか、それとも逆に君臨し続けるのか。どのような未来が来るのかは、まだ誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


デリバード
ぶんるいぬすっとポケモン
タイプみず・あく
たかさ0.9m
おもさ16.0kg
とくせいやるき・ちからずく(いたずらごころ)
種族値
HP45
こうげき65
ぼうぎょ45
とくこう55
とくぼう45
すばやさ75
合計330

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1プレゼント
25どろぼう

 

↓「どろぼう」で相手の持ち物を奪った状態で戦闘終了することで進化

 

仮称:デリヴァイク
ぶんるいかいぞくポケモン
タイプみず・あく
たかさ1.4m
おもさ94.5kg
とくせいあついしぼう・ちからずく(いたずらごころ)
種族値
HP135
こうげき110
ぼうぎょ70
とくこう60
とくぼう70
すばやさ60
合計505

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1おしつける
1にらみつける
1みずでっぽう
1ドリルくちばし
1プレゼント
1どろぼう
15アクアジェット
20つけあがる
25どろぼう
30なみのり
35ふいうち
40いばる
45ビルドアップ
50はたきおとす
55アクアブレイク
60イカサマ
65さきおくり
70あばれる
進化おしつける

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
おしつけるあく物理60100251体選択0相手の持ち物が無い場合、自分の持ち物を渡して相手の持ち物にする。




モチーフはブラックサンタと海賊(ヴァイキング)。
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