とある山岳地帯。鬱蒼とした木々に囲まれたこの森には、多くの鳥ポケモンが生息している。
その中の一本の木に、小さなオレンジ色の羽毛を持った鳥ポケモンが群れで集まっていた。コマドリポケモン「ヤヤコマ」だ。穏やかな性格で人懐っこく、美しい鳴き声を持つことから多くのトレーナーから人気のポケモンである。
そんなヤヤコマだが、自然界では決して強者という訳では無く、数多くの天敵に狙われる被食者でもある。
―マッ!―
一羽のヤヤコマが何かを察知したらしく、仲間に警戒を促すように鳴き声を上げる。
―グルウゥゥッ!―
上空に現れたのは、鋭い鉤爪を持つ「ウォーグル」。血の気が多く、攻撃的な性格のウォーグルは、ヤヤコマにとって最大の天敵の一つだ。
ヤヤコマの群れは一斉に飛び立って逃げ出す。だがウォーグルは優れた視力を持ち、どんなに離れた場所の獲物でも望遠鏡で覗いたように鮮明に捉えることが可能だ。木々の合間を抜けるヤヤコマを見つけることなど文字通り朝飯前。
―グルウゥッ!―
―コマァ!?―
ウォーグルが急降下し森の中へと入り僅か一秒後、悲痛な鳴き声が響いた。そして再び姿を現すと、その鉤爪には藻掻く一羽のヤヤコマの姿が有った。
―コマッ!?―
逃れようと暴れるヤヤコマを抑え込むように、ウォーグルは鉤爪により一層の力を籠める。このまま巣へと持ち帰り、食べられることとなるのだろう。そんな哀れな仲間の姿を、無力な他のヤヤコマ達は眺めることしか出来なかった。
時間は移り変わり、夜。木陰で眠るヤヤコマの群れ。だが例え夜でも油断することは出来ない。
―マァッ!?―
突然、慌てたような叫び声が聞こえ、ヤヤコマ達が一斉に目を覚ます。
―フォウッ……―
夜闇に光る金色の瞳。その主の名は、ふくろうポケモン「ヨルノズク」。ヤヤコマ達が熟睡している間に音も無く近づき、その命を刈り取る恐ろしいハンターだ。既に一羽のヤヤコマが捕らえられているが、恐らく先程の悲鳴はそのヤヤコマが発したものなのだろう。
ヨルノズクの襲撃にヤヤコマ達はパニックとなり一斉に逃げだすが、昼行性の彼等にとって夜の闇の中で障害物を避けながら飛行することは難しい。木の枝や幹にぶつかり、蔦に絡まりながらも必死に翼を羽搏かせるが、その音が更に多くのヨルノズクを呼び寄せる。気付けばヤヤコマの群れをヨルノズクの一群が囲んでいた。
―コマッ!?―
闇の中、必死に囲いから抜け出そうとするヤヤコマ達だが、障害物にぶつかって動きが止まった隙に近づいたヨルノズクに次々と捕らえられていく。そして朝日が昇る頃には、何十羽も居たはずのヤヤコマは数える程度しか残らなかった。
翌日。ヨルノズクの襲撃から逃げ切った一羽のヤヤコマ。だがその身に新たな災難が訪れていた。
―ニッ!―
飛行するヤヤコマを追い回す三羽の「オニスズメ」。縄張りに入った者は例え自分より大きい相手であっても向かってくる程に気が強いオニスズメだ。ウォーグルやヨルノズク程では無くても、ヤヤコマにとっては十分脅威である。
ヤヤコマは必死に翼を羽搏かせオニスズメの追撃から逃れようとするが、スピードはオニスズメの方が上であり、何度も嘴や翼を用いた攻撃を受け、その体は傷が幾つも見える。
―コマッ……―
続け様の襲撃。最早、このヤヤコマの命運も、他の仲間達のようにここで尽きることとなるのだろうか。そう思われた瞬間、ヤヤコマの体が光を帯び始める。何度も窮地に陥りながらも必死に生きようとする生存本能が、その身を新たな段階へと進化させようとしているのだ。
―オニッ!?―
進化の光に一瞬オニスズメ達の目が眩む。そして光が止んだ時、ヤヤコマの姿は一回り大きく変化していた、
―コマーッ!!―
嘴から炎を漏らしながら羽搏く、ヤヤコマの進化系「ヒノヤコマ」。だがその姿は、良く知られたものとは異なっていた。通常、ヒノヤコマはヤヤコマをそのまま大きくしたような、オレンジ色の羽毛を持つ鳥ポケモンである。だが今、進化したヒノヤコマは、紫色の羽毛を持ち、その端が炎のように……、否、実際に揺らめく紫色の炎が翼を覆っている。
ポケモンの中には、死した仲間の魂をその身に宿すポケモンが存在する。このヒノヤコマも同じだ。この過酷な環境で命を落としていった仲間の無念によって鬼火を纏うようになった、リージョンフォームなのである。
―ニィッ!―
突然の進化に一瞬怯んだものの、やるべきことは変わらないと、再びオニスズメ達は
だが進化したことでスピードもパワーも上がったRヒノヤコマは、三羽のオニスズメの攻撃を軽く避け、逆に
―コマァッ!!―
相手を威圧する鳴き声に、オニスズメ達は勝ち目がないと判断し撤退する。
もう先程までの弱々しくただ襲われるだけのヤヤコマとは違う。進化したことでRヒノヤコマは強敵相手に立ち向かう力を手に入れたのだ。
それから一年の時が経った。
風を切りながら地上を見つめる一羽のウォーグル。その視線の先には、かつてと同じようにヤヤコマの群れが有った。しっかりと見定め、急降下しようと翼を折り畳もうとする。
―グルゥッ!?―
だがその瞬間、横から何かが突進してきたことにより、ウォーグルは体勢を大きく崩す。思わず驚愕の声を上げてしまい、それに気付いたヤヤコマ達が一斉に逃げ出していった。
狩りの邪魔をされ怒りを込めながら、突進してきたものへと視線を向ける。そこに居たのは、細身の鳥ポケモン。それはれっかポケモン「ファイアロー」に似た姿をしている。その翼は紫色の妖しげな炎を纏いより大きく見える。帯のように長い白い尾羽の先は半透明。このポケモンこそ、この地で多くの敵に立ち向かい生き残ったRヒノヤコマが更に進化した姿、即ちRファイアローだ。
―アロオォウッ!!―
かつて仲間の命を奪った天敵を前にしながらも、Rファイアローは決して怯むことは無い。それは幾つもの戦いを経験し、力を得た証拠。飛行能力だけを見れば、間違いなくこの地で最も優れていると言える。
―グルゥウッ!!―
だがウォーグルもまた、この地で最もパワーに優れたポケモンだ。その鋭い鉤爪の恐ろしさは誰もが理解している。
ホバリングしながら睨み合うこと数秒、
―ッ!!―
仕掛けたのは同時。互いの翼がぶつかり合うが、体が大きく重量もあるウォーグルの方が力が強く、Rファイアローが大きく弾かれる。そこへウォーグルが追撃を仕掛けようとするが、Rファイアローはすぐに体勢を立て直すと、一気に加速し攻撃を躱す。そしてウォーグルの背後へと回ると、お返しと言わんばかりに嘴でウォーグルの胴体へと傷を付けた。
一進一退の攻防。かつての被食者と捕食者の一方的な関係とは異なる、同格のポケモン同士の争い。
―グルッ!!―
―ロゥッ!!―
激しくぶつかり合う二羽のポケモン。この地の空の覇者を決める戦いは、まだ始まったばかりだ。
ヤヤコマ(原種)
↓Lv17で進化
| ヒノヤコマ | |
|---|---|
| ぶんるい | おんねんポケモン |
| タイプ | ゴースト・ひこう |
| たかさ | 0.7m |
| おもさ | 14.0kg |
| とくせい | すりぬけ(はやてのつばさ) |
| 種族値 | |
| HP | 62 |
| こうげき | 73 |
| ぼうぎょ | 55 |
| とくこう | 56 |
| とくぼう | 52 |
| すばやさ | 84 |
| 合計 | 382 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | なきごえ |
| 1 | おにび |
| 1 | つつく |
| 1 | でんこうせっか |
| 1 | フェイント |
| 1 | かげうち |
| 15 | じたばた |
| 22 | アクロバット |
| 29 | こうそくいどう |
| 36 | つばめがえし |
| 43 | おいかぜ |
| 50 | はがねのつばさ |
| 57 | はねやすめ |
| 64 | そらをとぶ |
| 進化 | かげうち |
↓Lv35で進化
| ファイアロー | |
|---|---|
| ぶんるい | ぼうれいポケモン |
| タイプ | ゴースト・ひこう |
| たかさ | 1.2m |
| おもさ | 21.5kg |
| とくせい | すりぬけ(はやてのつばさ) |
| 種族値 | |
| HP | 73 |
| こうげき | 91 |
| ぼうぎょ | 71 |
| とくこう | 69 |
| とくぼう | 69 |
| すばやさ | 126 |
| 合計 | 499 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | シャドーウイング |
| 1 | なきごえ |
| 1 | おにび |
| 1 | つつく |
| 1 | でんこうせっか |
| 1 | フェイント |
| 1 | かげうち |
| 1 | おはかまいり |
| 15 | じたばた |
| 22 | アクロバット |
| 29 | こうそくいどう |
| 38 | つばめがえし |
| 47 | おいかぜ |
| 56 | はがねのつばさ |
| 65 | はねやすめ |
| 74 | そらをとぶ |
| 83 | ブレイブバード |
| 進化 | シャドーウイング |
| わざ名 | タイプ | 分類 | 威力 | 命中率 | PP | 範囲 | 優先度 | 直接攻撃 | 効果 |
| シャドーウイング | ゴースト | 物理 | 80 | 100 | 15 | 1体選択 | 0 | ○ | 20%の確率で相手を怯ませる。 |