まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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本話はこれまでの話と少々毛色が異なります。


とある考古学者の手記

 私がこうして筆を執ったのは、かつての教え子に請われたためである。今はチャンピオンとしても活動している彼女直々に会いに来て、依頼をしてきたのだから、応えないわけにもいかなかった。

 とはいえ、十年前のあの事件のことを思い出すと、今も手が震えそうになる。それでも私は書かなくてはならない。いずれ広い世界に羽ばたくであろう若者達へのメッセージとして。

 

《中略》

 

 ガラル地方から北西に進んだ先にある群島。その一角で遺跡が発見された。森の地面に半分ほど埋まった入り口。その外壁には、見たことの無いポケモンの壁画が描かれていたという。一度、先遣隊が中を確認したものの、入り口からほどなくして通路が行き止まりになっており、先に進むことが出来なかった。しかし調査したところ、その行き止まりの先にも道があるらしい。ポケモンの技で開けようともしたが、壁が分厚く、強固だったため失敗。また下手に力を与えれば、遺跡が崩落しかねない危険もあった。どうしようかと考えていると、あるものを発見する。それは見たことの無い文字。恐らく遺跡を作り上げた文明の文字だろう。

 そのため、古代文明の文字について研究してきた私に話が回ってきたらしい。壁には一体何が記されているのか。それが分かれば遺跡のルーツ、さらには先に進むための方法が分かるかもしれないと。

 私はその依頼を聞くや否や、すぐさま荷物を纏めて準備を始めた。新発見の遺跡の調査に関われる。考古学者としてこれほど名誉なことは無い。少年のようなロマンを追い求める情熱が、心の中で燃え上がったことを覚えている。

 

《中略》

 

 件の遺跡に到着後、しばらくミーティングを行った。入り口はどのようになっているか、どれくらいの規模が予想されるか、どのように調査を行っていくか。その際、壁に記されている文字を映した写真を見せられた私は、すぐにその文字が点字と呼ばれる文字であることに気付いた。遥か昔のホウエン地方などで使われた、数種類の点を組み合わせた文字。何故、それがこの遺跡に使われているのかは分からない。しかし、これはガラル地方とホウエン地方の繋がりを表すものでは無いだろうか。そんな仮説を立てながら、ミーティングは進んだ。

 

《中略》

 

 翌日、私を含めた調査隊は、現地のガイドに案内されながら遺跡の中へと入った。事前に知らされていた通り、地面には泥が堆積し歩くのに一苦労だった。入り口を通り抜け、通路を歩くこと2、3分程度で当の行き止まりとなっている壁に到着する。私のパートナーであるドータクンに照らしてもらいながら、壁に書かれた文字を確認すると、少々掠れて読みにくい部分も有ったが、そこにはその遺跡が建築された当時の状況が書き記されていた。

 かつてこの島に暮らしていた先住民達は悠々自適に暮らしていたが、そこに凶悪な邪竜が襲来した。突如として現れたその邪竜は、力任せに島を蹂躙し、人々は恐怖に脅かされた。そんな時、白い巨人が人々の前に現れると、巨人は銀色の羽、清らかな泉の水、彷徨える生き物の魂を用いて、三体の守護者を生み出した。そして守護者たちは邪竜と争い、見事打ち倒したのだった…。

 おおよそそのような内容だった。私はそれを伝えると、メンバーの一人があることに気付いた。泥によって見えづらかったが、床に何か絵のようなものが掛かれていた。慎重にその泥を払うと、そこには所謂スライドパズルのようなものが有った。恐らく上の文章に対応した絵を作り出す必要があるのではないだろうか。私達はそう予想し、メンバー全員の同意を得たうえで、そのパズルを解き始めた。ブロック数は計80。難易度こそ高かったが、メンバーの一人にこのようなパズルを得意とする者が居たのは助かった。それほど時間を掛けることなく解き明かすことに成功する。そしてそれと同時に、遺跡が揺れ出したかと思うと、それまで行き止まりだった壁が横へと移動し、先へと続く道が開けたのだ。

 その道は僅かな下り坂となっており、所々風化して脆くなっていたことも有り、足に神経を集中させながらゆっくりを下っていく。先程の壁のギミックと言い、この遺跡のテクノロジーは予想していたよりもはるかに高い。罠がある可能性にも気をつけて先を進む。

 そして辿り着いたのは、大広間と言って良い場所。椅子や机のようなものは無く、中心には巨大な岩の球体が不気味に宙に浮いていた。その広間は儀式に使う部屋なのでは無いだろうかなど、その時の私はただ新たな発見に心を躍らせていた。

 メンバーの何人かが部屋の状況を記録するべく撮影を行う中、私は宙に浮かぶ球体に近づく。その真下に目を凝らすと、掠れた点字が刻まれている。砂埃を払いながら確認すると、短くこう書かれていた。

 

―ふういんをといてはならぬ―

 

 その言葉に寒気を覚え、メンバーに声を掛けようとした瞬間、突如として地鳴りが響き渡る。さらに広間の入り口の天井が下がり、帰り道を閉ざしたのだ。メンバーの一人の手持ちであるカイリキーが何とか扉をこじ開けられないかと力を込めたものの、閉ざされた扉はびくともしない。このままではここに閉じ込められることになる。そんな不安を感じたのも束の間、今度は聞きなれない電子音のような音が部屋中に響いた。その時は誰かの通信機か電話が鳴っているのかと思い、電波が届くのであれば救出してもらえるのではないかと期待した。しかし、その音は通信機でも電話の音でも無く、部屋の中心で浮いていた球体から鳴り響いていたのだ。それに気付いた私達は、その球体へと視線を向ける。すると球体が真っ白に染まったかと思うと、突如として変形を始める。外面が割れたかと思うと、それは開いて巨大な翼のような形となり、中心には二回り小さな球体。その正面には七つの点が光り輝いている。そして変形したそれが広げた巨大な翼をはためかせたかと思うと、部屋を突風が吹き荒れた。

 あまりに強い風に、全員が立つことすらままならず、地面に這いつくばる。我々は手持ちのポケモンに指示を出し、この突風を引き起こしているであろう球体を止めようとしたが、あまりにも強い風圧はポケモン達ですら満足に動けず、かろうじて放たれた技も、球体の周囲を吹き荒れる風にバリアで防がれた。

 だが、この中でただ一体、自由に動けるポケモンが居た。それは私のドータクンだ。私のドータクンは希少なヘヴィメタルの特性を持ち、重量が重いため風の影響を受けにくい。それに加え、サイコキネシスの力で吹き荒れる突風からも身を守ることが出来る。私はドータクンに指示を出し、トリックルームを展開すると、ジャイロボールで球体へ攻撃を仕掛けた。物理法則を歪めるトリックルームにより動きを封じ、強力なジャイロボールを確実に当てる。よくある戦法だが、それが上手く嵌まった形となった。ドータクンの攻撃をまともに受け、球体は壁に叩きつけられる。さらにその衝撃で、突風の影響で亀裂が入っていた壁が崩れ、出口が出来た。我々は風が弱まった隙に、大広間から急いで脱出したのだった。

 

《中略》

 

 上へ進むための道が見つからず、当てもなく彷徨う私達が次に辿り着いたのは、水に沈んだ通路。今の装備では先に進むことは出来ないと判断し、道を戻ろうとした。だがその瞬間、周りにいたポケモン達が警戒をし始める。何事かと思うと、突然水面が盛り上がり、触手のようなものが伸びる。それを見た瞬間、察した。あの突風を引き起こした球体と同族であると。

 すぐに我々は走って道を引き返す。液体は自在に体を変化させながら、背後から迫って来た。壁にぶつかりるたびに、その体で削り取っていく。飲み込まれようものならただでは済まない。必死に逃げるが、液体との距離は徐々に詰まって来ていた。

 このままでは逃げきれないと思ったのだろう。メンバーの一人が手持ちのポケモンであったエレザードに電撃を放たせる。見た目から、みずタイプであるだろうその液体。でんきタイプの技なら十分なダメージになるはず。しかし放たれた電撃を液体はいとも容易く躱すと、その体でエレザードを飲み込んだ。メンバーは液体から脱出させるべく指示を出すが、体内に飲み込まれたエレザードに言葉は届いていないようだった。徐々にエレザードの顔色が悪くなり、口から泡が零れていく。危険だ。そう感じた私は咄嗟にドータクンにサイコキネシスを指示し、エレザードを液体の中から引きずり出す。しかしそれによって液体もこちらに注意を向けたようで、私に近づいて来る。そのまま私を飲み込もうと液体が体を広げたその瞬間、他のメンバー達がポケモンに指示を出し、液体に向かって一斉に攻撃を放った。体を広げていた液体は躱すことが出来ず、ダメージを受けて動きが弱まる。その間に私はドータクンに再び指示を出し、天井の脆くなっている部分を崩す。遺跡を傷つけることは考古学者として失格ではあるが、緊急事態だと言い訳させてもらう。しかし咄嗟に作ったバリケードのため、穴は多い。その穴を液体が通り抜ける前に、我々は急いでその場から離れた。

 

《中略》

 

 やっと見つけた出口。しかしそんな私達の前に三度現れる脅威。漆黒の流体が我々の行く手に立ちふさがった。それは決して逃がさぬと言っているかのように。しかし我々も諦めるわけにはいかない。ここまで来るために消耗した自らの体に鞭を打つ。

 最初に仕掛けて来たのは、漆黒の流体だった。それは全身から禍々しいエネルギーをこちらに向かって乱射する。それを私達は柱の影に隠れてやり過ごしながら、どのように攻略するかを相談した。出口はあの流体の背後一つ。ならば何人かがあの流体を食い止め、その隙に残りのメンバーが出口へと進む。その後、出口へと辿り着いた者達が援護し、囮のメンバーも脱出する、という方法に決まり、他のメンバーより手持ちのレベルが高かった私は囮を請け負うこととなった。

 そして合図と共に私はドータクンを繰り出し、流体に向かって攻撃を仕掛ける。他の囮メンバーもそれぞれのパートナーに指示を出し、流体の動きを釘付けにする。だが流体も見た目以上に強固なのか、我々が放った攻撃を受けても大きなダメージを受けている様子は無く、空中を自由自在に動きながら反撃を仕掛けてくる。誰かが狙われるたびに、他のメンバーがカバーに入り、体勢を立て直す。その繰り返しがとても長く感じた。

 そして少しして、先に脱出したメンバーから掛け声が届いた。すぐに我々は手持ちをボールへと戻し、出口へと駆け出す。後ろから流体が追ってくる気配を感じつつ、撤退の援護の技が放たれる中、私達は走り続けた。距離にしてせいぜい50、60m程度だろう道。しかしそれを走り抜ける一瞬が長い。そんなことを考えていると、不意に私は転んだ。地面の段差に躓いたのだ。普段であれば大した怪我も無く、注意しなくてはなんて思うだけのこと。しかし今、ただ転倒したということが命取りになる。

 流体は放たれ続ける技を掻い潜り私のすぐ近くまで来ていた。その鋭い爪はまるで私の体を引き裂こうとしているようにも見える。

 ああ、ここまでか。つい数日前まで、家族と談笑していたというのに、まさかこんなところで私の人生は終わるのか。これならもっと妻や子供達と一緒に過ごしたかった。そんな思いが走馬灯のように駆け巡る中、不意に地面が大きく揺れ出した。それと同時に私と流体が居た通路が崩れ始める。突然のことに流体も対応出来なかったのか、ひときわ大きな岩塊が天井から降り注ぎ、流体を地面へと押しつぶす。しかしそれでも私の命の危機が収まったわけでは無い。私が居た場所も崩れ、地面が大きく崩落した。無重力を感じながら、私は穴から落下していく。まさにその時、私の腕を掴むものが居た。それはメンバーの一人が繰り出したモジャンボの蔦。それが私の体を支えたのだ。すぐに私は崩れゆく通路から引き出される。それとほぼ同時に、遺跡は大きな音を立て崩れた。恐らく、私達が逃走する中で繰り出した技や戦闘の余波が遺跡の耐久を消耗させたのだろう。揺れが収まるころには、遺跡は遥か地面の下に完全に埋没していた。

 

《中略》

 

 私があの事件で生き残れたのはまさに幸運だったとした言うほかない。もし少しでも歯車が狂っていれば、きっと私はあの遺跡で眠ることになっていただろう。今はあの遺跡があった島は、ポケモンリーグ委員会によって立入禁止となっている。入ることが出来るのは、委員会によって認められた人物、つまりは四天王やリーグチャンピオンに準ずるに限られる。

 そしてこの事件について執筆する上で、依頼してきた彼女の話によると、ここ数ヶ月の間に監視員から、島で異音が響いているという報告が上がっているということだ。私は今でも夢に見る、あれらが外に解き放たれる光景を、そして朝になると汗をかいて起きるのだ。それが現実になろうとしているのかもしれない。

 しかし同時に謎も多い。入り口に記された文章を見る限り、あれらが巨人が作った守護者なのだろう。では何故先住民たちはあれらを封印したのか、邪竜を倒した後に何があったのか、そしてあれらを作ったのは何なのか。

 私は最早、自ら赴いて研究を行うだけの力は無い。だからこの文を読んだ若き研究者に託したい。我々が出会ったものが何なのか、その真実を暴いてほしい。

 

シンオウ大学教授 トガクシ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


仮称:レジスカイ
ぶんるいせんぷうポケモン
タイプひこう
たかさ1.4m
おもさ160.0kg
とくせいしっぷうどとう
種族値
HP50
こうげき150
ぼうぎょ75
とくこう150
とくぼう75
すばやさ80
合計580

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1かぜおこし
1ようせいのかぜ
6たつまき
12げんしのちから
18つばさでうつ
24エアカッター
30おいかぜ
36エアスラッシュ
42そらをとぶ
48ぼうふう
54スーパーセル
60ロックオン
66でんじほう
72はかいこうせん
78だいばくはつ

 

 

 

仮称:レジアクア
ぶんるいえきたいポケモン
タイプみず
たかさ1.7m
おもさ190.0kg
とくせいリキッドボディ
種族値
HP80
こうげき75
ぼうぎょ150
とくこう75
とくぼう100
すばやさ100
合計580

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1みずでっぽう
1みずびたし
6しろいきり
12げんしのちから
18みずのはどう
24じこさいせい
30とける
36うずしお
42ハイドロポンプ
48あまごい
54ウォータープレス
60ロックオン
66でんじほう
72はかいこうせん
78だいばくはつ

 

 

 

仮称:レジホロウ
ぶんるいたましいポケモン
タイプゴースト
たかさ1.6m
おもさ95.0kg
とくせいざんりゅうしねん
種族値
HP80
こうげき75
ぼうぎょ100
とくこう75
とくぼう150
すばやさ100
合計580

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1おどろかす
1かなしばり
6ナイトヘッド
12げんしのちから
18かげうち
24くろいまなざし
30のろい
36おにび
42シャドーボール
48ゴーストダイブ
54シャドーフォース
60ロックオン
66でんじほう
72はかいこうせん
78だいばくはつ

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
スーパーセルひこう特殊1009010自分以外の全員0×そらをとぶ状態の相手にもダメージを与える。
ウォータープレスみず特殊80100101体選択0×相手のとくぼうではなく、ぼうぎょでダメージ計算する。
シャドーフォースゴースト特殊12010051体選択0×使用後、自分のぼうぎょ・とくぼうが1段階ずつ下がる。

 

 

 

とくせい名効果
しっぷうどとう場に出たとき、味方の場を4ターンの間おいかぜ状態にする。
リキッドボディ直接攻撃によるダメージを半減する。
ざんりゅうしねん相手の攻撃技でひんしになると、その相手をのろい状態にする。




というわけで、オリジナルレジ系のお話でした。
種族値はレジスチルのものをベースに改変したものとなります。

なお、文章中に登場した「邪竜」については一応裏設定がありますが、特に深く気にしなくて大丈夫です。黒くて大きいドラゴンポケモンだと思ってください。
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