とある大陸の中心部に位置する高原。この地には実に数多くのかくとうタイプのポケモンが生息している。4本の腕を持つ「カイリキー」。逞しい体が自慢の「ハリテヤマ」。波導を自在に操る「ルカリオ」。
ある時は岩に拳を打ち付け、ある時は険しい崖を跳躍し、ある時は滝に打たれ、まるで人間の格闘家のように修行を積み、高みを目指しながら鍛え、他のポケモンと鎬を削る。まさにここはかくとうタイプのポケモンの聖地と呼んでも差し支えの無い場所であった。
その高原には、人類にとっては未知のポケモンが生息していた。
―ゲキ……―
青々とした草葉が生い茂る原っぱ。そこで二体のポケモンが睨み合う。
一方は引き締まった筋肉を持つ、空手家のような風貌のポケモン「ダゲキ」。チョップは一発で大岩を割るほどの威力を持ち、いかなる攻撃を受けても決して退くことなく真正面から受けきるという強靭な肉体と精神力を兼ね備えたポケモンである。
―ディアッ!―
そんなダゲキの前に立つもう一方のポケモンは、実に奇妙な姿をしていた。黒い艶めく体、触角が生えた頭部、胴体から伸びる四本の細い腕、そして四つの赤い丸模様が描かれた羽。それはまるで虫人間とも言うべき風貌のポケモンだ。
しかし現在に至るまで、未だに人類と出会わぬこのポケモンだが、その姿はどこかとあるポケモンに似ている。そのポケモンとは、ジョウト地方等に生息するいつつぼしポケモン「レディアン」だ。顔立ちはまさにそっくりであり、四本の腕を持つという特徴も合致している。だがレディアンは赤い体に黒い斑点を持つポケモンであり、今、ダゲキと対峙しているこのポケモンとはカラーリングが真逆である。それに加え、レディアンはほとんど地面に降り立って歩くことはせず、移動のときは専ら羽を羽搏かせて飛行するのに対し、このポケモンは細身ながらもしっかりとした足で、歩くどころかステップを踏んでダゲキとの間合いを図るという行動すら見せている。
―ディッ!―
そんなレディアンに似ているようでどこか違うこのポケモンの正体。それはこの地に適応したリージョンフォームのレディアンがさらなる進化を遂げた姿だ。
先に述べたように、この地には力自慢のかくとうポケモンが数多く生息している。レディアンはタイプ上は有利ではあるものの、パワーの差は歴然。素早い動きを活かして立ち回ったとしても、有効な攻撃手段を持たなければ勝つことなど出来ず、ただ一方的に追い詰められるだけの弱者にしかならない。
それでも決して逃げる事無く強敵達に立ち向かい続けたレディアンは、世代を超え、いつしかその姿を変化させ、さらには新たな進化を遂げた。
―ディイッ!―
その羽の模様からよつぼしポケモンと呼ぶべきそのポケモンは、軽快なステップで近づくと、右の二本の腕で素早いパンチをダゲキの顔面に向け放つ。
―ゲキッ!―
ダゲキは堅実なガードでそれを防ぐと、カウンターの右ストレートを放つ。しかしよつぼしポケモンはバックステップでそれを回避する。先程からこのような光景が続いている。
素早く相手の懐に入り込んで攻撃しては、すぐに後退して距離を取る。このヒット&アウェイ戦法こそ、強力なかくとうポケモン達に立ち向かうべくよつぼしポケモンが編み出した戦闘スタイル。進化したことでレディアンに比べ大幅に増したパワーから放たれる連続攻撃は、頑強な体と精神を持つダゲキにも着実にダメージを与えていた。
―ゲキッ……―
だがこのまま一方的にやられるほど、ダゲキは単純な相手では無い。むしろ何度も攻撃を受け続けたことで、次第によつぼしポケモンの動きに慣れ始めていた。
―ディアッ!―
再びよつぼしポケモンが急速に接近し、パンチを放つ。だが今度はダゲキはガードをしない。諦めたのだろうか。いいや、違う。
―ゲキィッ!―
―ディッ!?―
体を屈めてよつぼしポケモンのパンチを回避したかと思うと、これまでのお返しと言わんばかりに、鋭いローキックが放たれる。攻撃の瞬間に合わせて放たれたそれをよつぼしポケモンは回避することは出来ず、左膝にまともに受けたことで体勢を大きく崩した。
―ゲキッ!―
さらに畳みかけるように、今度は跳ね上がる勢いを利用したキックを放つ。よつぼしポケモンは相殺するべくパンチを放つが、崩れた体勢では力を上手く籠められず逆に弾かれると、続け様に放たれたニ撃目のキックを受けたことで、その体は宙高く舞う。
流れるような連撃。さらに追撃すべくダゲキが走り出そうとして、すぐにその足を止める。その眼が映すのは、受け身を取りつつ、四つの拳を構えたよつぼしポケモン。もし迂闊に近寄ろうものなら、今度はダゲキの方がカウンターの餌食となった事だろう。こめかみから冷や汗を流しつつ、冷静に戦況を確認する。
何度もよつぼしポケモンのパンチを受け続けたことで、既にダゲキの体は傷塗れ。体力もあまり残ってはいない。対するよつぼしポケモンも、ローキックがクリティカルヒットしたことで未だに膝を突いたままで、立ち上がることも出来ない様子。これでは自慢のスピードで接近することも難しいだろう。
どちらも満身創痍。故に勝負を決めるのは一瞬。ダゲキは渾身の一撃を確実に決めるべく僅かな隙を伺い、よつぼしポケモンはダゲキの攻撃を受けきったうえでカウンターを狙うべくじっと相手を見つめる。
静かな時間が過ぎる。それは一分か、十分か、あるいは十秒にも満たない僅かな時間だったか。
―キッ!―
先にに動いたのはダゲキ。真っ直ぐによつぼしポケモン目掛けて走り出す。それを見て、よつぼしポケモンは拳を握り構える。
そしてダゲキが膝を大きく曲げた。そのまま前方に向かって跳躍、必殺のキックを放つが、よつぼしポケモンはそれを紙一重で回避、すれ違いざまにカウンターのパンチをお見舞いする……それがよつぼしポケモンが立てた予測だった。
―ゲキィッ!―
確かにダゲキは膝を大きく曲げ跳躍した。だがその方向はよつぼしポケモンの予測とは異なり、前方ではなく上。よつぼしポケモンの頭上を越え、静かにダゲキは着地、そして振り向きざまによつぼしポケモンの背に向けて渾身の回し蹴りを放つ。
―ディアッ!―
予測を外され、一瞬ながらも動きが止まったよつぼしポケモン。だがすぐに我に返り、複眼でダゲキの動きをしっかりと追っていたよつぼしポケモンは、ダゲキのキックを振り向き様の右拳のパンチで迎撃する。
―ゴォッ!!―
空気が割れるかのような衝撃にダゲキとよつぼしポケモンは目を細めるが、力を緩めることは決してない。拮抗する脚と拳。だがその天秤はすぐに傾いた。
―キッ!―
―ディッ!?―
万全の状態で放たれたダゲキのキックに対し、左足を痛めていたことで踏ん張りが効かなかったよつぼしポケモンのパンチ。どちらの威力が上かは明らかだった。キックとパンチの押し合いに勝利したのはダゲキ。よつぼしポケモンの拳を弾いたダゲキは止めのキックを放つ。
だがよつぼしポケモンもまたただではやられない。拳を弾かれた反動で大きく体勢を崩したものの、最後の意地で痛む足に力を込めて、何とか立て直すと、最早、防御も回避も捨てて二本の左腕でパンチを放った。
―ゲエキィッ!!―
―ディアァッ!!―
ダゲキのハイキックがよつぼしポケモンの首へ刺さり、よつぼしポケモンのパンチがダゲキの胴を穿つ。
―……―
しばらく動きが止まった後、膝を突いたのはダゲキだった。荒い息を吐き、よつぼしポケモンの顔を見上げる。だがそれからすぐに、今度はよつぼしポケモンの体が地面へと倒れた。意識は無く、完全に気絶しているようだ。
この勝負、勝者はダゲキ。しかしダゲキも立ち上がる気力は無い様で、実質引き分けとも言えるだろう。どちらが勝利してもおかしくなかったが、最後に勝敗を決めたのは、やはりローキックによるダメージ。それが無ければ、よつぼしポケモンの最後のパンチはダゲキの蹴りよりも先に届いていただろうし、そもそも、パンチとキックの押し合いでダゲキが競り勝つことも無かっただろう。
勝負には勝ったものの、ダゲキは未だに己には多くのものが不足していることを実感した。この経験を活かし、より鍛錬を積み重ねて強くなっていくことだろう。そしてそれはよつぼしポケモンも同じだ。
今日もまた、この高原では、かくとうポケモン達が競い合いながら、高みを目指し研鑽を積み重ねていく。そんな日常が繰り広げられるのだ。
| レディバ | |
|---|---|
| ぶんるい | よつぼしポケモン |
| タイプ | むし |
| たかさ | 1.0m |
| おもさ | 10.8kg |
| とくせい | むしのしらせ・テクニシャン(びびり) |
| 種族値 | |
| HP | 50 |
| こうげき | 40 |
| ぼうぎょ | 30 |
| とくこう | 20 |
| とくぼう | 70 |
| すばやさ | 55 |
| 合計 | 265 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | たいあたり |
| 5 | ちょうおんぱ |
| 8 | いわくだき |
| 12 | ひかりのかべ |
| 12 | リフレクター |
| 12 | しんぴのまもり |
| 15 | マッハパンチ |
| 19 | はねやすめ |
| 22 | むしのていこう |
| 26 | バトンタッチ |
| 29 | こうそくいどう |
| 33 | メガトンパンチ |
| 36 | みきり |
| 40 | すてみタックル |
↓Lv18で進化
| レディアン | |
|---|---|
| ぶんるい | よつぼしポケモン |
| タイプ | むし・かくとう |
| たかさ | 1.4m |
| おもさ | 35.6kg |
| とくせい | むしのしらせ・テクニシャン(てつのこぶし) |
| 種族値 | |
| HP | 70 |
| こうげき | 55 |
| ぼうぎょ | 50 |
| とくこう | 35 |
| とくぼう | 90 |
| すばやさ | 90 |
| 合計 | 390 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | たいあたり |
| 1 | ちょうおんぱ |
| 1 | カウンター |
| 5 | ちょうおんぱ |
| 8 | いわくだき |
| 12 | ひかりのかべ |
| 12 | リフレクター |
| 12 | しんぴのまもり |
| 15 | マッハパンチ |
| 20 | はねやすめ |
| 24 | むしのていこう |
| 29 | バトンタッチ |
| 33 | こうそくいどう |
| 38 | メガトンパンチ |
| 42 | みきり |
| 47 | すてみタックル |
↓かくとうタイプのポケモンを10体以上倒して進化
| 仮称:レディアーツ | |
|---|---|
| ぶんるい | よつぼしポケモン |
| タイプ | むし・かくとう |
| たかさ | 1.6m |
| おもさ | 52.8kg |
| とくせい | むしのしらせ・テクニシャン(てつのこぶし) |
| 種族値 | |
| HP | 80 |
| こうげき | 100 |
| ぼうぎょ | 60 |
| とくこう | 40 |
| とくぼう | 95 |
| すばやさ | 120 |
| 合計 | 495 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | きあいパンチ |
| 1 | バレットパンチ |
| 1 | かみなりパンチ |
| 1 | れいとうパンチ |
| 1 | たいあたり |
| 1 | ちょうおんぱ |
| 1 | カウンター |
| 1 | よつぼしパンチ |
| 5 | ちょうおんぱ |
| 8 | いわくだき |
| 12 | ひかりのかべ |
| 12 | リフレクター |
| 12 | しんぴのまもり |
| 15 | マッハパンチ |
| 20 | はねやすめ |
| 24 | むしのていこう |
| 29 | バトンタッチ |
| 33 | こうそくいどう |
| 38 | メガトンパンチ |
| 42 | みきり |
| 47 | すてみタックル |
| 進化 | よつぼしパンチ |
| わざ名 | タイプ | 分類 | 威力 | 命中率 | PP | 範囲 | 優先度 | 直接攻撃 | 効果 |
| よつぼしパンチ | むし | 物理 | 30 | 90 | 10 | 1体選択 | 0 | ○ | 1ターンに4回連続で攻撃する。 |
モチーフはナミテントウ。
仮称の由来は「マーシャルアーツ」。
……ダゲキとレディアンの高さが同じということを知り衝撃を覚えた今日この頃(1.4m)。