まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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骸に群がるうなぎポケモン

 太陽の光が一切届くことの無い暗黒の世界、深海。光合成を行うことが出来ないため、海藻が一切生えることは無く、不毛の海底が果てしなく広がる。

 そんな深海に、巨大な何かが落下してきた。それは朽ち果てたうきくじらポケモン「ホエルオー」の死体。ホエルオーは死亡すると、体内にガスが溜まり海上へと浮かび上がる。そして腐敗、あるいは「サメハダー」のような肉食ポケモンによって肉を食い千切られることでガスが抜けると、浮力を失い今度は緩やかに海中へと沈んでいく。

 こうして海底へと沈んだホエルオーの骸は、食料を見つけることが難しい深海に生息するポケモンにとっては貴重な食料だ。早速、匂いを嗅ぎつけた「クラブ」や「ヒドイデ」等が集まってくる。

 

ディ……

 

 そんな中、泥の中から細長い体を持ったポケモンが顔を出してきた。それは一匹だけではない。二匹、三匹、次々と泥の中から姿を現してくる。

 滑らかな光沢のある肌に丸い鼻を持つこのポケモンの名は「ウミディグダ」。ディグダに似た容姿をしていることからその名が付けられているが、実態は全く別種のポケモン。更に言うのであれば、このホエルオーに群がっているのは、深海に適応したリージョンフォームである。

 パルデア地方の沿岸部などで見られる通常のウミディグダは白い体を持ち、ディグダに似たつぶらな瞳が特徴的な姿をしている。だがこのR(リージョン)ウミディグダは深海の闇に紛れる黒い体色で、光が一切届かない環境により退化したことで目は閉じられている。その代わり、鼻先には髭が生えているのだが、この髭は匂いや水の流れを細かく探知する優れたレーダーであり、これによって暗闇の中でも問題無く外敵や獲物を見つけることが出来ている。

 我先にとホエルオーの亡骸へ細い体を潜り込ませ、内側から肉を食い千切っていくRウミディグダ達。その姿は生々しく不気味にも見えるが、このように死骸を捕食することで海底の環境を保つ掃除屋という側面を持っており、深海においては極めて重要な存在だ。

 

ディ?

 

 夢中になって肉に齧りついていたウミディグダ達が一斉に動きを止めた。それに合わせて、クラブやヒドイデ達も何かに気付いたように周囲を見回す。すると、暗闇の中、ぼんやりと赤い光が点滅しているのが見えた。

 

ラァッ!

 

 その光の正体は「ドククラゲ」。80本もの触手と非常に強力な毒を持ち、凶暴な性格から非常に危険なポケモンとして知られている。

 ドククラゲの狙いはホエルオーの死骸に集まってきたポケモン達。まず最初にその長い触手で一匹のクラブを掴む。クラブは腕のハサミを使って触手を切ろうとするが、その前にさらに数本の触手がクラブの体に絡みつき、身動きを取れなくすると、そのまま笠でクラブの全身を包み込んでしまった。

 

グシャリ、バキッ、グシュッ……

 

 途端に響き渡る、何かが潰れ砕かれる音。傘の中で何が起きているのか、考えることすら恐ろしい。

 それを見て他のクラブやヒドイデ達は慌てて逃げ出そうとするが、気付けば周囲には更に死の赤い光が集まっていた。

 

~ッ!?

 

 阿鼻叫喚と言わざるを得ないだろう。一匹、また一匹とドククラゲに捕まり、その傘の中へと消えていく。食欲旺盛なドククラゲが集まれば、周辺から魚ポケモンが一匹たりとも姿を見せなくなると言われているが、それも納得の光景だ。

 そして一匹のRウミディグダもまた、ドククラゲに狙われその触手で掴まれそうになった……、だが、

 

ラ?

 

 Rウミディグダの全身はぬめり気のある粘液で包まれており、ドククラゲの触手から容易く抜け出して見せた。おまけにこの粘液が防護膜の役割を果たしているため、ドククラゲの毒もシャットアウトしている。

 

ラッ!

 

 それでもドククラゲは意地になって、普段は隠している細い触手も出してRウミディグダを捕らえようとする。いくらぬめぬめの体を持っていても、これだけの触手に巻き付かれれば、逃げ出すのは困難。そう思われた。だが、Rウミディグダの防御術はぬめぬめの体だけではない。

 

ディッ!

 

 突然、周囲に居たRウミディグダ達が体を伸ばしてドククラゲの触手に体を纏わりつかせた。一見すると自殺行為にも思えるが、そうではない。

 

ラァ?

 

 異変を感じたドククラゲがRウミディグダを跳ね飛ばそうと触手を動かすが上手くいかない。どういうことかと見てみると、Rウミディグダと触れていた触手に粘液が絡みつき、まるでゼリーのように固まっていたからだ。これがRウミディグダのもう一つの防御術。

 Rウミディグダの体表を覆う粘液は、興奮すると海水と混じり合って凝固するという性質を持つ。更に非常に粘度が高いため、一度くっ付くと中々剥がれない。Rウミディグダは外敵に襲われると、群れで一斉にこの粘液を分泌して外敵に擦り付けることで、身動きを取れなくするのだ。

 

ラァッ!?

 

 どうにか粘液から逃れようとするが、藻掻けば藻掻くほど絡みつき、ついには無数に有った触手が粘液で一纏めに固まってしまう。その隙にRウミディグダ達はいそいそと地中奥深くへとその姿を消していった。

 他のドククラゲ達がクラブやヒドイデを食べている中、Rウミディグダを襲ってしまったドククラゲは絡まった触手を解くのに、およそ2時間ほど費やしたという。

 

 Rウミディグダは決して強いポケモンではない。むしろその力は他のポケモンと比べても貧弱と言って良いだろう。だからと言って甘く見ていると、このドククラゲのように手痛いしっぺ返しを食らうことが有る。どんな相手であろうとも、決して見くびってはいけないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ウミディグダ
ぶんるいうなぎポケモン
タイプエスパー
たかさ1.2m
おもさ1.8kg
とくせいぬめぬめ・マジックガード(すりぬけ)
種族値
HP10
こうげき60
ぼうぎょ25
とくこう35
とくぼう20
すばやさ95
合計245

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1すなかけ
1ねんりき
4どろかけ
8まきつく
12サイケこうせん
16たたきつける
20みずのはどう
24ずつき
28あなをほる
32ふいうち
36しねんのずつき
40アクアブレイク

 

↓Lv26で進化

 

ウミトリオ
ぶんるいうなぎポケモン
タイプエスパー
たかさ1.2m
おもさ5.4kg
とくせいぬめぬめ・マジックガード(すりぬけ)
種族値
HP35
こうげき110
ぼうぎょ50
とくこう50
とくぼう60
すばやさ120
合計425

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1すなかけ
1ねんりき
4どろかけ
8まきつく
12サイケこうせん
16たたきつける
20みずのはどう
24ずつき
30トリプルダイブ
36あなをほる
42ふいうち
48しねんのずつき
45アクアブレイク




モチーフはヌタウナギ。
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