まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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梵鐘:お寺にある釣鐘のこと。


朽ちた廃村のぼんしょうポケモン

 むかしむかし、霧で覆われた山々で囲まれた小さな村が有った。岩山で囲まれたこの村は決して豊かな土地であるとは言えず、土砂崩れや水害といった自然災害が頻発する場所であったが、人々は知恵を絞り、創意工夫を凝らすことで脅威に対処し、時に当時は謎の生物であったポケモンの力を利用することで、穏やかな生活を送っていた。

 だがそんなある時、この村に悲劇が起こる。近くにあった二つの国が戦争を始めたのだ。この村はちょうど国境にあり、また険しい山々で囲まれた土地という特性上、砦を作るにはうってつけの場所であった。この村に現れた兵士達は強引にこの村に砦を築城すると、もう一方の国の軍が砦に攻撃を仕掛け、村は瞬く間に戦場へと変わった。農作物は兵士達の食料として奪われ、敵兵を匿っていると疑われた家は焼かれ、無理やり徴兵された村人達は使い捨てのように前線へと駆り出された。平和に暮らしていたはずの村の姿はいつの間にか消え、炎が燃え盛り、血が大地に染みる無情な土地へと姿を変えていった。

 それからしばらくして、戦は遂に終結を迎えたが、その時にはこの村に住んでいた者はほとんど残っておらず、また荒れ果てたこの村に残り続けることは困難となり、この村から住人は居なくなった。そして戦場となった事で多くの命が失われたこの村には、死した村人達の無念が集まり、いつしか人間が足を踏み入れたら二度と戻ってくることは出来ない曰く付きの土地となった。

 

 それから数百年の年月が経ち、この廃村へ足を踏み入れようとする者がいた。

 埃だらけの黒い軍服のような衣装を纏った男。この男はかつてイッシュ地方で悪事を働いたプラズマ団という組織の元メンバーである。組織ではそれなりの立場にあった男だが、とある少年達によって組織が瓦解し、ボスも行方を眩ませたことで行き場を失った男は、警察から逃げ続けるようにあちこちの地方を渡り歩き、この土地へと辿り着いた。

 何故、男はわざわざこの山へと入ったのか。それは、この近くの街で空き巣をしていた際に警察に気付かれたためだ。何とか手持ち……正確には他人から奪い取ったポケモンを身代わりに暴れさせることで何とか逃げ切った男は、人目を避けるため山へ入ったは良いが、立ち込める霧によって方向を見失い、どんどんと山の奥地へと入り込んでしまっていた。

 ぽつんと何かが当たった感触で男が頬を拭うと、それは水滴。気付くと小雨が降り始めていた。男は舌打ちをしながら足を速める。ポケモンの中には局所的に天候を変える力を持つものも居るが、男はそんなポケモンを持っていない。それどころか、警察から逃げるために全てのポケモンを使ったために、今や手持ちはゼロ。そんな状態では、例え「ポチエナ」や「オニスズメ」であっても、危険な存在に早変わり。故に男はポケモンと出会わないように、周囲を伺いながら動くしかなかった。

 道具に過ぎないはずのポケモンからも逃げなければならない。そんな自分の立場に苛立ちながらも、雨から逃れることの出来る木陰や洞窟を探す男。そんな彼は山の中でぽっかりと開けた場所に出た。そこは古く、倒壊しかけた木造の家が立ち並ぶ廃村。どの家も柱は腐り、屋根には穴が開き、床は苔やカビで覆われ、到底住めそうな状態では無い。だがもう少しで日が暮れる。夜に山の中で、しかも雨曝しで野宿するよりはマシだと男は文句を呟きながら、少しでも雨風を凌げるようにまともな形が残っている家を探す。

 そしてやっと見つけたのは、廃村の中では珍しく瓦が敷かれた建物。どうやら元はお寺だったようで、外には錆び付いた鐘が地面に落ち、三分の一ほど埋まっていた。男は少し不気味に思いながらも、他の建物と比べ大きく、雨漏りも少ないこの建物で休息を取ることにした。

 しかし男は知らない。この村から人が消えたのは数百年の昔のことであるという事実を。だから気付かない。それほどの時間が経っているにも拘らず、人の手が入っていない木造の家々が、朽ちているとはいえ建物としての形状を保っていること自体がおかしいということに。

 

 夜。ふと男が目を覚ますと、辺りは漆黒の闇に包まれていた。人がいない山の中なのだから当然だろう。手持ちのポケモンも居ない男は不安を感じ、少しでも明かりを作ろうと、ズボンのポケットからライターを取り出そうとする。だが見当たらない。どれだけまさぐろうとも、上着を漁ろうとも、ライターが見つからない。どこかで落としたのかと溜息を吐いた男。その男の耳に、何か音が聞こえた。

 

ォォン

 

 深い底から響くような鈍くも甲高い音。その音に男は聞き覚えがある。そう、お寺の鐘の音。風か何かで揺れて音が鳴っているんだろう。一瞬、そう考えたがすぐに思い出す。この寺の鐘は地面に埋まっていた。あの状態で音なんか出るのかと。

 

オオォン

 

 また一度。今度はさっきより近くで聞こえた気がする。そんな訳が無いと思いながらも、男は音がした方向を見やるが、そこに有るのは暗闇だけ。

 

オオオォン

 

 今度は背後から音がして振り向く。しかしやはり何も見えない。しかし何か違和感を感じる。夜はこれほど暗かっただろうか。今まで、明かりのある街や街道沿いに居たから、余計に暗く感じている。ただそれだけとは思えない。自分の手足すらも闇と混じり合っているかのように判別がつかない。このまま自分の全てが闇に溶けてしまうのではないかと不安になる。

 

ゴオオオォンッ!

 

 そんな恐ろしい考えが浮かんだ瞬間、一際大きな音が間近で聞こえたかと思うと、浮遊感を感じ体勢を崩した。床が抜けたのだろうか。いや違う、闇だ。男は底無しの闇に落ちているのだ。闇の中から幾つもの黒い腕が現れ、男の体を掴んでより底の方へと男を引き寄せる。男は藻掻いて腕を振り払おうとするが、一つの腕を振り払って、四方八方から新たな腕が伸び、より強い力で男を掴む。

 嫌だ、どうしてこんなことに、助けてくれ。そんな男の必死な声も闇の中に空しく響くだけ。そして一際大きな腕が男の顔を掴もうとして……

 

 

 

 男は悲鳴を上げて目を覚ました。

 そして自分の体を確かめるように全身を両手で摩る。だが何ともない。じっとりと嫌な汗で全身が濡れているが、それだけだ。そう、今のはただの夢。

 男ははぁと溜息を吐き、落ち着きを取り戻す。全く嫌な夢だった。こんな不気味な場所で寝たせいだ。朝になったらすぐにここから離れることとしよう。そう決めて、顔を上げた。

 

ゴオオオォンッ

 

 その男の視界に映ったのは、宙に浮かぶ錆び付いた鐘。それが何なのか、男が理解することは無かった。

 

 

 

 翌日。寺の中に男の姿が有った。だがその体からは温かさが失せ、蒼白な顔は驚愕に染まったまま固まった、ものを言わぬ亡骸へと化していた。

 男が最期に何を見たのか、それは誰にも分からないし、知ることも無い。ただ一人の指名手配犯がその日を境に行方知らずとなったという事実だけが広まり、そして忘れ去られていくことになる。

 

 それから年月が経ち、この廃村を訪れた研究者によって新たなポケモンが発見されたのは、また別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


リーシャン
ぶんるいすずポケモン
タイプゴースト
たかさ0.2m
おもさ0.6kg
とくせいふゆう
種族値
HP45
こうげき30
ぼうぎょ50
とくこう65
とくぼう50
すばやさ45
合計285

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1まきつく
4なきごえ
7おどろかす
10かげうち
13あくび
16とっておき
19なかまづくり
32さわぐ

 

↓とてもなかよしな状態で夜にLvアップすることで進化

 

チリーン
ぶんるいふうりんポケモン
タイプゴースト
たかさ0.6m
おもさ1.0kg
とくせいふゆう
種族値
HP65
こうげき50
ぼうぎょ80
とくこう95
とくぼう70
すばやさ65
合計425

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1まきつく
1なきごえ
1かげうち
1おどろかす
1いやしのねがい
13あくび
16たたりめ
19とっしん
22じんつうりき
27いやしのすず
32さわぐ
37しんぴのまもり
42すてみタックル
47いやしのはどう

 

↓アイテム「みれんのかね」を持たせて夜にLvアップすることで進化

 

仮称:ソウゴーン
ぶんるいぼんしょうポケモン
タイプゴースト・はがね
たかさ1.2m
おもさ310.0kg
とくせいふゆう
種族値
HP100
こうげき60
ぼうぎょ110
とくこう115
とくぼう85
すばやさ55
合計525

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1ラスターカノン
1アイアンヘッド
1ばくおんぱ
1きんぞくおん
1まきつく
1なきごえ
1かげうち
1おどろかす
1いやしのねがい
13あくび
16たたりめ
19とっしん
22じんつうりき
27いやしのすず
32さわぐ
37しんぴのまもり
42すてみタックル
47いやしのはどう
進化きんぞくおん




仮称の由来は「荘厳」&「ゴーン(鐘を鳴らす音)」。
当初は迷える魂を鎮めるポケモンという設定だったはずが、何故かホラーに……。
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