まだ見ぬ世界のポケモン達   作:雪見柚餅子

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生命を散らすたねポケモン

 とある大陸に広がる密林。そこは青々とした草木が生い茂り、無数の河川が網の目状に流れ、様々な種類のポケモンが暮らす豊かな場所。だがそんな生命溢れる場所にも、影が存在する。

 密林の中央部より西に位置する大きな湖。常に深い霧が立ち込め視界を遮っていること以外は、一見すると何の変哲も無い湖に思えるかもしれない。だがその畔を良く見ると、そこには無数のポケモンの亡骸が積み重なるという悍ましい光景が有った。何故、このような恐ろしい光景が存在するのか。

 この密林では頻繁に大雨が降り、それによって大規模な洪水に見舞われる。その際、洪水に呑まれ命を落としたポケモン、あるいは元々存在した亡骸が水の流れによって運ばれ湖へと流れ着き、そして陸へと漂着する。そのため、この湖は元からポケモンの死骸が集まりやすいという特徴が有るのだが、それにしては一か所に積み重なるという光景は異様さを覚える。そう、これはただ漂着したというだけではなく、とあるポケモンによる隠された意図が存在していた。

 

ガァメ

 

 そんな亡骸の山に近づくポケモンが一匹。岩で出来た甲羅と頑強な顎を持つかみつきポケモン「カジリガメ」だ。カジリガメは亡骸の一つへ頭を近づけると、大きく口を開いてガブリ。バリバリと骨を砕きながら咀嚼していく。

 肉食のポケモンにとっては、人間にとっては悍ましい屍の数々も貴重な食料。食べ放題のバイキングと大差無い。いつしか肉の匂いに惹かれ、「ヤミカラス」や「スコルピ」等、肉食のポケモン達が次々に集まり、夢中となって肉を貪りだす。彼等にとってはまさに至福の時間と言って良いだろう。しかしそれが()()()()()()()()()()()()()()()であることに気付くものはその場に居ない。一心不乱に食事を楽しむポケモン達に近づく影が一つ。それは物音を立てる事無く、気配を消して一頭のポケモンへと迫る。そして次の瞬間、

 

ガメッ!?

 

 カジリガメの全身に絡みつく毒々しい黒みがかった濃緑色の触手。100㎏を超えるカジリガメを悠々と持ち上げて見せる。更にそれはカジリガメだけでなく、他にも腐肉に群がっていたポケモン達に襲い掛かっている。

 

ガッ!!

 

 カジリガメは触手を噛み千切って脱出。幸いなことに引っ繰り返ることなく、四本の足で地面に着地したカジリガメは、ポケモン達を襲う触手の根元を睨みつける。

 そこに有るのは腐敗した骸の山。本来は動くことの無いそれがガラガラと崩れ落ちたかと思うと、中からそれが這い出てきた。

 

ナァ……

 

 それは一つの巨大な紫色の花に見えた。だがそれはただの花では無かった。その花が生えていたのは、どっしりとした四本の脚、鋭い牙を携えた横に広がる大きな口、そして両生類に似た緑色の胴体を持つ生物(ポケモン)の背中。否、花も含めて一つのポケモンなのである。

 それの正体は、この密林の環境に適応し、他の地方とは異なる姿(リージョンフォーム)となったポケモン、「フシギバナ」だ。

 R(リージョン)フシギバナもまた、自分の目の前に立つ大きな獲物をじっと睨みつけたかと思うと、背中から幾つもの蔦を差し向ける。対してカジリガメは首を伸ばし、蔦を噛み千切ろうとするが、蔦は素早く縦横無尽に動くことで翻弄する。

 

ガッ!

 

 これでは埒が明かないと、カジリガメは本体のRフシギバナ目掛けて突撃。だが水中であれば素早く動くことの出来るカジリガメででも、地上では重い甲羅のせいでその動きは鈍る。カジリガメがRフシギバナに迫るより先に、Rフシギバナは背中の花から紫色の花粉の砲弾を放った。

 

メッ!?

 

 顔面にその一撃をまともに受けたカジリガメ。するとカジリガメの足が崩れ、その場に倒れ伏す。今の攻撃の威力自体は大したことは無い。だがRフシギバナの花粉には猛毒が含まれている。それをまともに吸い込んでしまったカジリガメは全身が麻痺し、倒れたのだ。

 もうこうなってしまってはまな板の上のコイキング同然。カジリガメの全身に幾重にも蔦が絡みつくと、Rフシギバナの食事が開始される。

 

ナナッ……

 

 蔦によって捕らえられた獲物からその養分を吸い取っていく。最初は逃げ出そうと藻掻いていたポケモン達も徐々に抵抗が弱くなり、ついには力尽きる。それはカジリガメも同様。麻痺して動かない体から力が抜け、ゆっくりと時間を掛けて己の生命の灯火が消えていく感覚をはっきりと味わう。それに悲鳴を上げることも出来ず、音にもならない吐息を口から漏らしながら、その瞼はゆっくりと閉ざされ、そして最期にはその場に崩れ落ちていった。

 

バナァ……

 

 およそ1時間。ゆっくりと時間を掛けて行われた食事の後に残ったのは、干からびた骸。それらを蔦を器用に動かして死骸の山を積み上げると、Rフシギバナは再びその中へと潜り込む。そう、これがポケモンの墓場が作り出されたもう一つの理由。

 この亡骸の山は洪水によって漂着したものを、Rフシギバナが掻き集め積み上げたことで作り出されたものである。そしてRフシギバナはその亡骸の山の中に隠れ潜み、匂いに釣られたポケモンが集まってくると蔦を伸ばしてその養分を奪い取ってしまうのだ。

 即ちこの亡骸の山は、Rフシギバナの巣であり狩場。まんまと惹き寄せられた哀れな獲物はRフシギバナによって養分を吸い尽くされ、物言わぬ亡骸と化した後は、今度は自身が新たな獲物を呼び寄せるために山の一部となる。この山が無くなるのは、山自体が洪水によって流されていくか、あるいはRフシギバナが新たな縄張りを求め移動する時のみ。だがそれも当分来ることは無いだろう。

 

ナァ……

 

 亡骸の中で満腹となったRフシギバナは微睡む。普通であれば、こんな場所で眠ることなど出来そうに無いが、Rフシギバナからすれば、外敵から気付かれることの無い安全な寝床。瞼を閉じ、寝息を立て始める。

 そしてしばらく時間が経つと、再び死肉の匂いに惹かれたポケモン達が集まりだす。ここにRフシギバナが眠っていることも、多くのポケモンが犠牲になった事も知らず、呑気に腐肉を食み始めるポケモン達。

 

ァ……

 

 その気配を感じ取って、Rフシギバナは目を覚ますと、蔦を伸ばす。そしてまた同じように集まったポケモン達がRフシギバナに捕食されることとなるのだろう。

 

 もし森の中で不自然にポケモンの亡骸が集まっているのを見かけたら、急いでそこを離れるべきだ。そこでは恐ろしいポケモンが、涎を垂らしながら新たな獲物を待ち構えているのかもしれないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


フシギダネ(原種)

 

↓Lv16で進化

 

フシギソウ(原種)

 

↓Lv32で進化

 

フシギバナ
ぶんるいたねポケモン
タイプくさ・ゴースト
たかさ2.0m
おもさ106.5kg
とくせいしんりょく(ポイズンヒール)
種族値
HP95
こうげき72
ぼうぎょ83
とくこう100
とくぼう105
すばやさ70
合計525

 

おぼえるわざ
レベルわざ名
1ゾンビパウダー
1せいちょう
1どくどく
1つるのムチ
1たいあたり
1なきごえ
9やどりぎのタネ
12はっぱカッター
15ねむりごな
15どくのこな
20タネばくだん
25とっしん
30あまいかおり
37こうごうせい
44なやみのタネ
51パワーウィップ
58ソーラービーム
進化ゾンビパウダー

 

 

 

わざ名タイプ分類威力命中率PP範囲優先度直接攻撃効果
ゾンビパウダーゴースト特殊60100151体選択0×50%の確率で相手をどく状態にする。相手が状態異常だと、威力が2倍になる。




モンスターハンターに登場する古龍ヴァルハザクがモチーフの一つだったり。

こいつの別名がたねポケモンということは、本体部分は種という扱いなのだろうか?
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