次話は早めに投稿できれば良いなあ(願望)。
「一念岩をも通す」という言葉がある。強い信念を持っていれば、どんな物事であっても成し遂げられるという意味であるが、そんな言葉を体現しているポケモンが存在する。
そのポケモンの名は「タツベイ」。いしあたまポケモンの別名の通り、非常に硬い頭部を持ち、その頭突きの威力はポケモン界屈指。何故、それほどまでに硬い頭部を持っているのか。その理由はタツベイという種が持つ本能にある。実はタツベイは空を自由に飛び回ることを夢見ており、そのために崖から飛び降りるということを繰り返しているのだが、飛行のための翼を有していないためにそのまま落下しては頭を地面に打ち付けており、これを繰り返すことで徐々に頭部が硬くなっていくのだ。
人が足を踏み入れぬ険しい山岳地帯。ゴロゴロとした岩が転がる断崖絶壁の頂上。そこに一匹のタツベイが居た。このタツベイもまた、他の個体同様に空を夢見て幾度とこの断崖絶壁からのダイブを敢行してきたが、いずれもあえなく失敗。その度に着地の衝撃で気絶し、時に打ちどころが悪く大怪我することも有った。それでも尚、諦めないのは、タツベイという種族の血の影響が大きいのだろう。
―ベェッ!―
そして今日もまた、タツベイは飛び降りる。鳥ポケモンのように腕を必死に動かして羽搏こうとするが、羽も皮膜も存在しないタツベイの腕では、いくら藻掻こうとも体を支えることなど不可能。いつものように頭から地面へと落下していく。
徐々に迫る地面。それでもタツベイは目を逸らすことなく、必死に腕を動かして体を浮かせようとする。他者から見れば無謀な愚行に見えるかもしれない。だが、その努力は決して無駄ではなかった。
何度も何度も地面に頭を打ち続けたことによる刺激。そして生まれたころから胸に抱き続けた空への憧れ。それらが一つとなってタツベイの細胞に変化を齎す。そう、即ち進化だ。
―ベッ!?―
落下する最中、全身が光に包まれ驚きの声を上げるタツベイ。だがそれが進化の光だと気づいた瞬間、興奮が溢れる。自らの体が変質し、新たな姿へと変わる感覚が全身を満たしていく。
―ベイッ!―
そして感情のままに一つ大きな声を出すと同時に、地面から数十センチメートル上にてタツベイの進化は完了した……のだが、
―……?―
何かがおかしい。体が上手く動かない。地面に触れている感覚は無いため、宙に浮かんでいるということは分かるのだが、翼を羽搏かせている訳でもない。体を確認しようとしたが、何故か首が一切動かず、自分の体を見ることも出来ない。一体、自分はどうなったのか。そう考えて近くにあった水溜まりを覗き込んで……
―モ……モルゥ~ッ!?―
思わず驚愕の声を上げた。そこに居たのは、雄大な翼を広げるドラゴンポケモンではなく、巨大な殻で全身を包んだ球体が浮遊している姿だった。
タツベイが進化したそのポケモンの名は「コモルー」。見た目通りの防御力を持つドラゴンポケモンである。だが、本来コモルーは、今、このタツベイが進化したものとは異なり、浮遊することは出来ない。あまりに重すぎる外殻の為にその体は鈍重で、跳躍すらままならない。
ではなぜ、このコモルーは浮遊出来ているのだろうか。それはこの山岳地帯の特徴に理由がある。この山脈地帯の地下には特殊なエネルギーを発する鉱石が無数に眠っている。通常であれば、そのエネルギーは感知能力に優れたエスパーポケモンを引き寄せる程度の影響しか及ぼすことは無いのだが、タツベイに限っては例外だ。高所から落下し、地面に頭を叩きつけるたびに、地下から漏れ出たエネルギーがタツベイの脳へと流れ込み、徐々に溜め込まれていった。そしてコモルーへと進化した際に、そのエネルギーによって脳が活性化したことで念動力を獲得、本能に刻まれた飛行の欲求と結びつき浮遊能力に目覚めたのだ。
―モッ、モル……―
しかし、浮遊が可能になったとせいぜいその高さはせいぜい地上30センチメートル。気合を入れても1メートル浮かび上がることしか出来ない。自身が望んだ形とは異なる進化に、気落ちする
―モルッ!?―
ある時は、より高い崖の上から飛び降りたものの、落下の勢いを止めきれず地面に埋まったり……。
―モル~ッ!?―
またある時は、落下地点にたまたま居た「ゴローニャ」とぶつかり、激怒したゴローニャに追い回されたり……。
―モッ、モルッ……―
そしてまたある時は、頭上から襲い掛かってきた「ウォーグル」に巣まで運ばれそうになったり……。
そんな苦労に見舞われながらも、Rコモルーは空に飛び立つ夢を消して諦めることは無かった。
―……―
一年後。切り立った斜面にぽっかりと開いた洞窟の奥にRコモルーの姿が有った。瞼は閉じられ、身動き一つしない。だが体が僅かに浮いていることから、まだ生きていることが分かる。
ここ数日の間、Rコモルーはこの洞窟の中で、食事もせずにじっと引き籠っていた。何故、そんなことをしているのか。それはある前兆を感じ取ったからだ。
―モル……―
ふと、Rコモルーの体が僅かに揺れたかと思うと、全身が光を帯び始める。それはかつてタツベイから現在の姿に変わった時と同じもの。そう、即ち進化である。
―パキリッ―
輝きを増す体は膨張し、内部からの圧力によって背中が大きく割れると、そこから広がるのは、巨大な翼。そして「アゲハント」の羽化のように、殻に封じ込められていたその身が露わとなる。
暗闇に溶ける黒い胴体。月のように青白く細い翼。地面を踏みしめるずっしりとした足。コモルーの面影を残す頭部を覆う紫色の甲殻。頬から伸びる髭のように長い鰓。
―オオオォゥッ!!―
翼を広げ洞窟を震わせる咆哮を上げる、そのポケモンの名は「ボーマンダ」。この世に生を受けた時から恋焦がれた空へ羽搏く力を手に入れた姿である。
進化したばかりでありながらも自信に満ちた足取りで洞窟の外へと歩むRボーマンダ。一歩踏み出す度に地面が揺れ、その巨体の重さを感じさせる。
そして外へと出たボーマンダだが、待っていたのは強風と大粒の雨が打ち付ける嵐。鳥ポケモンですら自由が利かず、容易く吹き飛ばされてしまう悪天候。こんな天気で外に出るなど、自殺行為にしかならない。だがRボーマンダがそんなことを気にする様子は無い。元より、翼を持たない身でありながら空を夢見て断崖絶壁から飛び降り続けたタツベイの進化系なのだから、畏れ知らずなのも当然ではある。
―ボオオォゥッ!!―
風の音に負けじと咆哮を上げると、Rボーマンダは翼を大きく広げ、空へ飛翔する。吹き付ける風、打ち付ける雨、それらがRボーマンダに容赦なく襲い掛かるが、不思議とRボーマンダの飛行は安定しており、揺らぐ様子は微塵も無い。
これはRコモルーの時から持っていた念動力によるものだ。Rコモルーは自らの体を浮かせるために念動力を用いていたが、進化したことで翼を得たRボーマンダはわざわざそうする必要が無くなった。そこで代わりに全身を薄い防護膜で覆っており、これにより風や雨の影響を受けずに自由に空を飛行することが出来るのである。
―オォッ!―
風を切り、雨を寄せ付けず、Rボーマンダはどんどんと高度を上げていく。鳴り響く雷にも怯むことなく、雲を蹴散らし、より高く、空高く飛ぶ。
―……ッ!―
そうして雲を抜けた先、Rボーマンダを待っていたのは、透き通る青い空と燦然と輝く太陽。その光景にRボーマンダは思わず声を失う。恋焦がれ、憧れ続け、目指した場所。そこへ辿り着いたことに、言いようのない感情で胸が一杯になる。
そんなRボーマンダの視界の端に何かが過ぎ去った。それは一羽の鳥ポケモン。ただ自由に空を羽搏く、ただそれだけ。しかしその姿を見た瞬間、Rボーマンダは後を追うように翼を羽搏かせていた。そうだ、ここはゴールではない。まだ満足など出来ようはずもない。
―ボオオウッ!―
人知れず、Rボーマンダは天高く飛びまわる。行く当てなどない。ただ本能のままに、何物にも邪魔される事無く、気が向くままに旅をする。何物にも邪魔されることなどない。
果てしない空を自由に飛び回るというRボーマンダの夢。その物語はまだ始まったばかりである。
タツベイ(原種)
↓Lv30で進化
| コモルー | |
|---|---|
| ぶんるい | しねんポケモン |
| タイプ | ドラゴン・エスパー |
| たかさ | 1.1m |
| おもさ | 100.5kg |
| とくせい | ミラクルスキン(マジックガード) |
| 種族値 | |
| HP | 65 |
| こうげき | 95 |
| ぼうぎょ | 100 |
| とくこう | 60 |
| とくぼう | 50 |
| すばやさ | 50 |
| 合計 | 420 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | まもる |
| 1 | じゅうりょく |
| 1 | きあいだめ |
| 1 | にらみつける |
| 1 | かみつく |
| 1 | ひのこ |
| 1 | りゅうのいぶき |
| 15 | ずつき |
| 20 | こわいかお |
| 25 | かみくだく |
| 33 | ドラゴンクロー |
| 39 | しねんのずつき |
| 46 | めいそう |
| 53 | かえんほうしゃ |
| 60 | げきりん |
| 67 | すてみタックル |
| 進化 | まもる |
↓Lv30で進化
| ボーマンダ | |
|---|---|
| ぶんるい | ドラゴンポケモン |
| タイプ | ドラゴン・エスパー |
| たかさ | 1.8m |
| おもさ | 96.0kg |
| とくせい | いかく(おみとおし) |
| 種族値 | |
| HP | 90 |
| こうげき | 135 |
| ぼうぎょ | 70 |
| とくこう | 100 |
| とくぼう | 90 |
| すばやさ | 105 |
| 合計 | 600 |
| おぼえるわざ | |
|---|---|
| レベル | わざ名 |
| 1 | サイコダイブ |
| 1 | はねやすめ |
| 1 | りゅうのいぶき |
| 1 | ドラゴンテール |
| 1 | ひのこ |
| 1 | ダブルウィング |
| 1 | きあいだめ |
| 1 | にらみつける |
| 1 | かみつく |
| 1 | まもる |
| 1 | じゅうりょく |
| 15 | ずつき |
| 20 | こわいかお |
| 25 | かみくだく |
| 33 | ドラゴンクロー |
| 39 | しねんのずつき |
| 46 | めいそう |
| 55 | かえんほうしゃ |
| 73 | すてみタックル |
| 進化 | サイコダイブ |
| わざ名 | タイプ | 分類 | 威力 | 命中率 | PP | 範囲 | 優先度 | 直接攻撃 | 効果 |
| サイコダイブ | エスパー | 物理 | 100 | 100 | 5 | 1体選択 | 0 | ○ | 相手のまもる状態を無視して攻撃する。 |
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今後もマイペースに投稿を続けていく予定ですので、よろしければ来年もお付き合いください。