決戦!葦名城!   作:ポン酢おじや

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陥落、そして始まり

数十分前

 

永遠亭内部 姫の間

 

永琳が庭で戦っている間、輝夜はじっと座り彼女の帰りを待っていた。

 

「...」

 

本来ならばこの姫の間は永琳の術により侵入者を永遠亭内部に迷わせ永遠に辿り着けないよう細工しているのだが、輝夜はあえて術を解き、彼女か、それとも敵が来るかどうかを賭けていた。

 

それに興味があった。

 

長年誰も成したことのなかった竹林の霧を晴らす者達を、しかもあの永琳に喧嘩を売る者達を。

不老不死の我々をどう攻略するのかを。

 

 

すると姫の間の襖がゆっくりと開いた。

 

「...私の予想は外れたわね」

 

輝夜の予想していた結果は外れ、部屋に来たのは敵であった。

片手に古臭い義手を着け、紅く光る太刀を持っている。

 

梟の倅で熟練の忍でもある狼であった。

 

「お名前は?」

「.....」

「...うーん、じゃあご趣味は?」

 

狼はゆっくりと輝夜に近づき、刀を構える。

すると彼女はため息をついて、退屈そうに座り直した。

 

「弾幕も出せないし、何やらその刀から嫌な雰囲気出してるし...永琳は何をしてるのかしら。もしかして負けちゃった?」

 

狼は赤の不死斬りを勢いよく振り下ろすと、輝夜は刀をなんと素手で受け止め握った。

掌からは血が垂れ、床の畳を紅く染める。

 

「いたた...傷を負うなんて何百年前のことだったかしら。それにしても女性相手にいきなり刀振り下ろすなんて...」

 

狼は刀を輝夜の腕から抜こうとするが、かなりの力で握られており全く動かない。

 

「無礼な人」

 

その美しい細腕のどこにこんな怪力が潜んでいたのか。

 

「そんな貴方には....」

 

輝夜は刀を掴みながらゆっくりと立ち上がり、狼の前に立つとじっと見つめて何か珍しいものを見るような目をしている。

 

「?.....うーん、貴方...庭にいる人よりも...何かが濃いわね。それに...後悔の感情?」

「.....」

「何だろう...?それとも...いや、どう表現すればいいのかな」

 

すると輝夜は刀を離すと、床に零れそうになった血の着いた手を舐める。

 

「あぁ、そういえばこれが私の血の味だったわね。懐かしい」

 

狼は再び刀を構えると、輝夜はクスクスと笑い彼を見つめる。

 

「その()()じゃ、私を完全には殺せないんじゃない?暫くは動けなくはなると思うけどね。アイデアはいいけど...何で本物を持ってこなかったのかしら?」

「...」

 

輝夜はジッと彼を見つめていると、やがて警告する瞳からキラキラ珍しそうな物を見つけた目となった。

 

「...貴方に興味が湧いてきた」

「.....」

「本来ならばここでご退場願うんだけど...」

 

輝夜は隻狼を前にして両手を広げ、満面の笑みで彼を見つめた。

 

「貴方が求める結果を...その過程を...この異変という舞台を特等席から眺めさせてもらうね。もしつまらなかったら...私直々にお仕置きにしに行くから」

「.....」

「今度は誰を襲うのかしら?どこを攻めるの?誰がやられて誰が勝つ?ああ...やっぱり予測できない事態というのは格別に心を刺激するわね」

 

 

 

「.....承知」

「そう、いい子ね。じゃあ、突き進みなさいな。楽しませて頂戴...心折れた忍さん」

 

狼は不死斬りで輝夜の胸を突き刺し、抉って乱暴に抜いた。

 

彼女の口や胸からは大量の血が吹き出し、地面に倒れ動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして庭では永琳が狼によって斬られ、彼女は意識を失い倒れた。

 

梟は狼の肩に手を乗せて、彼の耳元で話し始める。

 

「よくやった、狼よ」

「...はい」

 

梟は不死斬りを鞘に納め、再び背中に隠すと辺りを見渡した。

 

「これで永遠亭は盗った。これで葦名の黄泉帰りに近づける」

「残りのうさぎ共はどうする」

「ここに住む姫と此奴さえ倒せばここは落ちたも同然」

「ならば長居は無用。葦名城へ戻らねばな」

「ゆくぞ、狼」

 

梟のお蝶は葦名城へと歩みを進めるが、狼は永遠亭をジッと見つめ、暫くしてから二人と同じように葦名城へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭

梟、お蝶、狼により蓬莱山輝夜と八意永琳が戦闘不能にされ陥落する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽の畑

夏には大量の向日葵が咲き誇り、幻想郷でも圧巻の景色を誇る場所。

そして最も危険で、怪物揃いの幻想郷の住民達が『本気の彼女ならば誰も倒せない』と言わしめる妖怪の女が住んでいる。

 

 

冬では大量の向日葵も元気をなくして、ほとんどが地面を向いている。

 

そして畑の中央にある一軒の家に、八雲紫が隙間を使って移動してきた。

 

しかし家には誰も居らず、月明かりが窓から差し込むだけで中は薄暗かった。

 

「一体どこ行ったのよ...早く伝えないと!」

 

その瞬間

 

 

「!!」

 

紫は外からかつて味わった事のない程の殺気を感じたのだ。

直ぐ様外に出ると、そこには日傘を地面に刺して葦名城がある方角を睨みつけている風見幽香の姿があった。

 

「幽香!」

 

幽香は紫の声を聞くと、ゆっくりと振り向いた。

 

「あら、気づかなかったわ。久しぶりね紫」

 

月に照らされる幽香が紫を見た瞬間、辺りに咲いていた花々や草木は頭を垂れて、まるで平伏しているかのようになっていく。

 

「す、凄い殺気ね」

「そりゃもう。あんなの向けられちゃ私も返さないと失礼だから」

「あんなの?」

 

幻想郷でも最強候補に上がる八雲紫でさえ、ビビってしまう幽香の殺気。

そしてそれは誰に向けられているのか?

 

紫は葦名城の方角から幽香に匹敵するもう一つの殺気を感じ取る。

 

「これは...」

「お客さんよ。話し合うつもりはないみたい」

 

二人が見つめる畑から、満月を背に一人の男がゆっくりと出てきた。

髪は白髪に染まり、あまりに痩せていて体は骨と皮しか残っていない。

白い袴を着て、見た目は死の迎えがそこまでやってきている老人だ。

 

しかしその老人から発せられる殺気は尋常ではなく、そこらの妖怪ならまず逃げ出してしまうだろう。

 

「...随分と歩いたが、ようやく会えたか」

 

男が喋ると幽香は笑顔で答え始める。

 

「ここは広いからね。夏ならもっと素敵で沢山のお花たちがお出迎えしてくれるのだけども」

「カカカッ...それは勿体ない時期に来たものよ」

「それで?ここに何の用なのおじいちゃん?」

 

 

幽香はニコニコしながら男に質問すると、彼は持っている一本の刀を腰に構える。

 

「風見幽香...という女を探しておる」

「あらあらあら...それなら目の前にいるわよ」

「ほう?お主がそうか...あれ程の殺気を放つ者...どんな鬼が出るかと思えば...」

「私もあんな熱烈な殺気を受けたからどんな怪物が来るかと思ったら...まさか死にかけのお爺さんだったなんて」

「カカカッ...!死にかけか...!この一心も甘く見られたものよ」

 

一心という単語を聞いて紫は半兵衛の言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

(「一心は剣聖と謳われる男。既に家督は弦一郎に譲り病のため隠居の身と聞いておるが...それでも強大な内府が恐れるほどの者よ」)

 

 

 

 

 

 

 

 

紫は自分も共に戦わなければと思った瞬間、幽香がこちらを見てくる。

 

「紫、邪魔だからさっさと消えなさい」

「!」

「今のあんたじゃあの老人相手はきついわ。私も守る余裕はないわよ」

「ど、どういう」

 

すると幽香は近くにいる花に手を向ける。

しかし花は反応せず、全く動かない。

 

幽香は花を操る能力を持っているのに、この結果はおかしい。

 

そして紫は理解した。

 

既にこの場にも淀みが発生しており、能力を制限されていると。

 

「わかった?」

 

これでは確かに邪魔になると紫は自覚し、淀みの範囲外まで逃げることにする。

 

「任せていいのかしら」

「ええ。久しぶりにいい殺し合いが出来そう」

「...気をつけて」

 

紫は二人から離れるように走って逃げていく。

 

そして辺りが静寂に包まれると、一心はゆっくりと刀を鞘から抜いた。

そして幽香も日傘を片手に持つと、肩に乗せてリラックスした。

 

「始めましょうか?」

「カカカッ...!さぁて、国盗りの時間ぞ」

 

 

 

 




UA1000突破!!
どうもあざざます!(スパイファミリー)
評価、お気に入り登録、感想書いてくれた方々には感謝しかありません。
『決戦!葦名城!』をこれからもよろしくです!

次回、幻想郷最強と葦名最強が激突

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