決戦!葦名城!   作:ポン酢おじや

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決戦!太陽の畑!

幽香はゆっくりと歩くと、一心もゆっくりと摺り足で歩いていく。

 

「.....」

 

幻想郷最強の妖怪と葦名最強の剣士がお互いに隙を伺い、どこを狙えば倒せるか探り合いをしている。

 

二人の殺気がぶつかり太陽の畑には誰も近づけず、虫すら逃げ出した。

 

そしてとうとうぶつかる瞬間がやってきた。

 

「はぁっ!!」

 

先に仕掛けたのは幽香で、足の跡がくっきりつく程の力で地面を蹴って一心の頭目掛けて日傘を振り下ろした。

 

しかし彼は最小限の動きで彼女の日傘を避けて、一度その場で回り刀で薙ぎ払う。

 

「くっ!」

 

幽香はもう片方の手で一心の刀の鍔を押えて防ぎ、地面に突き刺さった日傘を振り上げる。

 

すると一心は刀を大きく振り上げると、彼もまた地面に足の跡がつく程の力で踏み込むと同時に刀を振り下ろした。

 

葦名流の基礎とも言える型 葦名一文字である。

 

「でやぁっ!」

 

幽香は日傘で一心の一文字を防ぐも、腕は痺れ、受け止めた瞬間地面にヒビが入る。

 

「いった...老人とは思えない」

「まだじゃ」

 

すると一心はもう一度一文字を行い、さらなる追撃を行った。

一文字が効かぬなら、もう一度叩き割る。葦名の一文字は、二連で完全となる。

 

日傘は一心の攻撃により真っ二つに斬られてしまい、幽香は日傘を放り投げて回し蹴りを食らわした。

 

彼は直ぐ様攻撃を弾くが、威力が強すぎて力を流しきれず三歩程後ろに下がる。

 

「ぬぅ...流水を以てしても流しきれぬか...!何という怪力よ」

 

一心は刀を鞘に納め、居合の構えをする。

 

すると幽香は回し蹴りの回転を利用し、彼の顔面目掛けて殴りつけようとする。

 

「カアッ!」

 

一心は鞘から刀を高速で抜くと、幽香の拳目掛けて十字に斬り裂いた。

 

疾く斬ることを一意に極めた 葦名流の奥義 葦名十文字である。

 

しかし幽香の拳は薄皮一枚切れた程度の血しか出ず、十文字を物ともせずそのまま殴りつけた。

 

一心は直ぐに回避すると、彼女の拳が地面に当たった。

 

その瞬間辺りに大きな地震が起こり、地面には拳を中心に巨大な亀裂が入った。

 

「...!」

 

流石の剣聖一心もこの威力と怪力に冷や汗が垂れる。

 

幽香はゆっくりと地面に突き刺さった己の拳を抜いて、手についた土を払った。

 

「手斬られちゃった。後で消毒しないと」

 

一心は全身の力を抜き、移動する瞬間再び全力を出して人間とは思えぬ速さで幽香の目の前まで移動する。

 

そして刀を振り下ろすと、なんと彼女は手の甲で攻撃を弾いた。

しかも金属音まで辺りに響いたのだ。

 

幽香は楽しそうに反撃すると、一心も再び弾いて反撃する。

 

二人の攻防はどんどん速くなっていき、よく見ると刀と拳が交わう瞬間血と火花が飛び散っていた。

 

幽香は心底嬉しそうな表情で思わず大声で笑いだす。

 

「あはっ!あははははははははっ!!!いいわよ貴方!!!ここまで力を出しても倒れる所か速度を上げて対応してる!!霊夢以上に戦闘の素質あるんじゃない!!?」

 

幽香は殴り、蹴り、殴り、殴り、殴り、殴りと戦闘方法はまるで獣のようで、一方一心は丁寧に、慎重に、そして流れるように弾き流し対応している。

 

すると一心も段々と笑みが溢れ、笑い出した。

 

「カカカカカッ!一撃でも食らわば死が避けられぬ.....何と懐かしい...!!既に血など枯れたと思うたが...何と、何と血が滾るものよ!!」

 

一心は刀で突き、足を狙い薙ぎ払い、紙一重で避けて反撃をし、一文字、一文字二連、十文字と人生で学びし技術を全て利用し戦っている。

 

しかし

 

 

「ゲフっ...!!」

 

一心は幽香の攻撃を避けた瞬間、口から血を吐き吐血したのだ。

 

「!」

 

幽香は一心の吐血を見ても攻撃をやめず、むしろ激しさを増してきた。

 

そして一度二人が同時に距離を取ると、一心は手についた血を払い、彼女は拳の骨を鳴らしている。

 

「まさか本当に死に損ないだったなんてね。なんのご病気?」

「...ふん」

 

一心は口についた血を地面に吐き出すと、ゆっくりと刀を構え直す。

 

「今宵の戦で...儂はすこぶる調子がいい」

「あら、奇遇ね。私もすんごくテンション高いの」

「病に蝕まれ...年波に勝てぬも、心の臓が滾れば...死にゆく体はついてくる。不思議なものよ」

「...言っとくけど病人相手だからって手を抜くつもりはないわよ。私に喧嘩売った時点で貴方はもう逃げられないし...逃がすつもりはない。貴方はもう...私のエサなの」

「カカカッ...!この一心が餌か!」

「...」

「ならば食ろうてみよ...風見幽香...!見事討ち果たし、この首を獲ってみよ!」

 

幽香は再び一心に近づき、彼の顔目掛けて殴りまくる。

しかし一心は全ての拳を弾き、一歩も下がらない。

 

すると段々と一心の反撃が彼女を押し始め、一歩、また一歩と進み始める。

 

「はぁ...はぁ...」

「随分辛そうね」

「カカカッ!まだじゃ風見ぃ!!」

 

一心の攻撃はさらに激しさを増すも、幽香はまだ余裕を隠している。

 

彼はその余裕に気づいていたが、既にこちらは限界に近い。

 

「ならば.....!」

 

一心は刀を鞘にしまうと、ゆっくりと時間をかけて力を溜める。

 

幽香は阻止しようと、全身全霊の一撃を食らわせようと仕掛ける。

 

「かぁぁっ!!」

 

一心は葦名十文字を拳に目掛けて繰り出すも、やはり彼女の拳は止まらない。

しかし一心は二連続で葦名十文字を繰り出し、さらに一文字を三連続、しかも高速で彼女の拳にぶつけた。

 

「っっ!!」

 

流石の幽香の拳も一心の連続攻撃には耐えられず、皮膚も深く斬られ血と骨の欠片が辺りに飛び散った。

 

「斬った...か!?」

 

しかし幽香は皮膚が深く斬れて、骨を砕かれた拳で一心の胸を思いきり殴りつける。

 

「はぁぁっ!!」

 

幽香は一心をそのまま地面に叩きつけ、地面はさらに亀裂が入って土埃が辺りに舞った。

 

「っ...!!」

 

一撃でも食らったら死は避けられないと最初からわかっていたが、最後にとうとう食らってしまった。

 

幽香は一心の胸から拳を抜くと、血塗れで骨まで見えている自分の手を見た。

 

「はぁ...はぁ...こんな怪我するの本当に久しぶり。しかも人間相手にこんなになるなんて...紫に小言言われそうね」

 

幽香は倒れる一心を見て、ため息をする。

 

「...病人を殴るのはあまりいい気分じゃないわ。あーあ、戦ってる時は楽しかったのに」

 

幽香は遠くにいる紫に会うため彼女が逃げた方角へ歩こうとする。

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香は足元に小さな火があることに気づく。

 

「.....」

 

その火は大きくなり、範囲も広くなっていく。

 

「この火は....」

 

さらに火は次々と増えていき、熱い空気が辺りを包む。

 

すると幽香は後ろに気配を感じゆっくりと振り返ると、そこには刀を持って一心が立っていた。

 

「...何で生きてんのよ」

 

一心は口元から垂れる血を手で拭き取り、その血を見つめる。

 

「さて...儂も死を迎えたと思うたが.....何故か...」

 

そして潰れた筈の胸に触れて、一心は幽香を見る。

 

「.....儂も死合ている時は心躍ったものだが...」

 

一心は持っている刀を見て、血払いをすると幽香を睨む。

 

「これより先は...戦ぞ」

「.....へぇ...今までのは試合だったとでも?」

「.....」

 

幽香は再び一心に体を向けて、血が出ている右手の拳を強く握る。

 

「今度こそ叩き潰してあげる。もう病人なんて思わないわよ」

「...迷えば、敗れる」

「.....同感ね」

 

 

 

 




一心様の戦闘はやはり書いてて楽しかったです。
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