人里では霊夢と慧音の指示により、人里自警団、狩人、住民達によって順調に籠城の準備が出来つつあった。
狩人達は遠距離武器を自警団、住民にもしもの時の為に使い方を伝授し、霊夢は敵が矢を大量に撃たれた場合に備えて結界札の用意。
魔理沙は家からありったけの実験道具と、森に住む魔女であるアリスからも貰った薬や調合法を使い魔法道具を大量に生産していた。
そして太陽が沈み、辺りは暗闇へと包まれる。
人里の出入り口全てに頑丈なバリケード、霊夢の物理無効結界、魔理沙特性の魔法地雷道具を仕込んでいつ敵が来るかと待ち受ける。
すると葦名城がある方角から、大量の松明の火が見えると見張り台にいる慧音が直ぐ霊夢に報告する。
「奴等が出陣してきたぞ!」
下にいる霊夢は直ぐに自警団達に号令を下す。
「戦闘準備。直ぐに出入り口に皆を配置して」
自警団達は霊夢の言葉に従い人里にある各出入り口へと向かっていく。
「魔理沙、道具の準備は」
「バッチリだぜ!」
「私達はここ中央にいて、敵の大将が分かり次第そいつが攻撃してる門に向かうわ。大将を倒せばあいつらも逃げるでしょ」
「マジで本当の戦争だぜ...」
「半兵衛さんによるとあちらさんは戦慣れしてる。私達は出来ることをやったけど...勝てるのかしら」
「何だよ霊夢。弱音はくなんて珍しいな」
「私の判断ミスで人が死ぬのよ?弱音くらいはかせなさい」
「総大将がそんなんじゃ皆弱気になっちまうぜ?もっとドドーンと胸張ってろよ。いつもみたいにな」
「何よ。私はいつもそんな感じに見えるわけ?」
「自分勝手で貪欲。それが私のイメージだけど」
霊夢は後ろを向くと、そこには紅魔館からの援軍である十六夜咲夜がいた。
先程まで慧音と共に見張り台にいたが、能力を使ってすぐに降りてきたようだ。
「失礼ね」
「私は真実を言ってるだけ。それより本当にここ襲撃されるの?敵は分散しているようだけど」
「半兵衛さんが嘘ついてなければね」
「お嬢様が心配だわ...怪我などされてなければいいけど」
「吸血鬼なんだから大丈夫でしょ」
「吸血鬼でも怪我はするのよ!あの彫刻のようなお姿に傷がついたら...あの城ごと敵を斬り刻んでやる」
「目が怖いわよ咲夜」
「あ、あ、あの!」
霊夢と咲夜が同じ方向に振り向くと、そこにはオドオドしている永遠亭からの援軍である鈴仙がいた。
「わ、私、無理矢理連れてこられてまだよく状況理解できてないんですが」
「...なら覚えておきなさい」
「は、はい霊夢さん!」
「1.敵が来る、倒せ。2.死ぬな。以上」
すると霊夢は近くに置いてある鉄砲を鈴仙に渡した。
「ちょっ!これ鉄砲じゃないですか!」
「撃ち方や装填方法分かるわよね?それにあんたこういう武器得意っててゐから聞いたわよ」
「ま、まぁ剣とかよりは扱えますけど...」
「そう。よかった。なら見張り台に言って慧音と共に敵見張ってて。ほら早く早く!」
「は、はいぃ!」
鈴仙は鉄砲を背負うと、見張り台の梯子を登っていく。
その姿を見て咲夜はナイフの手入れと同時に霊夢に質問する
「ねぇ、霊夢。何であの子に銃なんか持たせるのよ。弾幕でいいじゃない」
「それがそうもいかないのよ。分からないけど敵は私達の能力を使えなくする術を使ってるの」
「能力を?」
「そう。咲夜なら時を操る能力だっけ?それ、敵近づいてきたら使えなくなるわよ」
「...あ、そう」
「そう。それに飛べなくなるし」
「...面倒ね」
「この戦いで近接戦闘においての主力は私とあんたしかいないの。今回のヤバさ察した?」
すると咲夜はナイフを服の中に隠し、霊夢の近くにある銃を見る。
「それなら私にも銃を1丁貸しなさいな」
「あんた使えんの?」
「前に私の持っていた銃とは違うけど、使い方は覚えてるから」
「ふーん...なら持っときなさい」
霊夢は置いてある予備の鉄砲を咲夜に渡し、彼女は銃を背負った。
「紫が各勢力に頼んでる援軍はもう来ないのかしら」
「敵が出陣した時点でもう時間切れと考えていいわ。私達で何とかするしかない」
すると見張り台にいる鈴仙が霊夢に向けて大声を出す。
「敵がこちらに来ました!数はおよそ500くらい所です!」
「こっちに来てる奴等は分散してる?」
「いえ、分散せず東に集まってます!」
「なら一点集中して東の出入り口を突破する考えね。直ぐに各門に伝達。最低限の見張りは残して後は東門に人を送るのよ」
自警団の数人は直ぐに各門へと伝えに走っていった。
「行くわよ咲夜」
「ええ」
「私も行くぜ!」
霊夢、咲夜、魔理沙は人里東の入口へと走っていく。
人里 東門前
葦名軍は松明を大量に掲げて、葦名の旗印が火の明かりによって照らされる。
そして先頭には馬に乗ったある若武者が人里を睨んでいた。
背中には巨大な弓を背負い、長刀を腰に差し、整えられた鎧を着て兜には葦名の家紋がある。
すると馬の横で立っている鎧を着た武士が若武者に話しかける。
「殿、あれが人里でございます。どうやら敵は我々が来るのを知っていたようです」
「.....」
「如何しますか。早速総攻撃を」
「待て」
「はっ」
殿の呼ばれた若武者こそ、今回の葦名軍総大将である葦名弦一郎。葦名一心の血の繋がらない孫であり、現在の葦名家の長でもある。
「弓組、鉄砲組を前へ」
「はっ」
「奇襲の為太鼓は不要。気取られるな」
「!し、しかし...我らの動きは敵に知られております。奇襲は成功せぬとは思いますが」
「急げ」
「...承知」
武士は直ぐに後ろにいる兵士達へ説明しに行った。
弦一郎は人里をジッと見つめ、兵士の準備が整うまで待った。
霊夢、咲夜、魔理沙は東門へ辿り着くと、そこには既に多くの自警団や狩人達が集まっていた。
霊夢は門の近くにある家の屋根で見張っている自警団に話しかけた。
「敵は!」
「そこに集まってるが、動きはない!」
霊夢も屋根に登り、自警団が指差す方向をみる。
「.....」
「なんか攻めて来ないんだよ。霊夢さん、あいつ等何考えてるんだ?」
「私も知らないわよ。とにかく警戒を続け...」
その瞬間霊夢は暗闇の中で葦名軍が弓と鉄砲を構えていることに気づく。
「伏せてっ!!!!」
霊夢は大声を出して、共にいた自警団の男を掴んで屋根から飛び降りる。
そして葦名軍から爆発音が響き渡り、人里を囲むように張ってある結界が光り出した。
魔理沙は驚いて両腕で顔を隠すも、何も飛んでこない事に気づいた。
咲夜は特に驚きもせず、屋根に登り敵軍を見る。
「霊夢の結界様々ね。鉄砲の玉は勿論、弓矢まで防いでくれてるわ」
すると霊夢も屋根にもう一度登って咲夜の隣に立つ。
「それでも貫かないとは限らない。油断しないことね」
「そうね。油断は禁物」
弦一郎は鉄砲の玉と矢が全てに人里へ入らずその前に弾かれ床に落ちるのを見るが、まるでこうなるのがわかっていたように全く動じない。
「鉄砲組は急がなくていい。攻撃を続けろ」
「しかし殿、これでは人里を陥落させることは」
「構わぬ」
「え...」
「松明をさらに多く増やせ。敵に我らの援軍が合流したと思わせろ」
「...ははっ!」