決戦!葦名城!   作:ポン酢おじや

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会談

紫と萃香は兵士についていきながら、葦名城の内部をしっかりと観察していた。

 

しかし戦前に外で見た通り、ほぼ一本道で両脇には鉄砲等で狙えるように小さな建物に挟まれている。

 

「いい城だね」

「そうね」

「おい、あちこち見るな」

「はいはーい。ごめん遊ばせ」 

「ちっ...こんなふざけた使者があってたまるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして大手門前の広場に着くと、兵士達が帰っていき門が閉じられる。

 

紫と萃香は歩みを進めると、広場の中心に葦名の家紋の旗が掲げられ、置楯をつなぎ合わせて出来た机、そしていくつかの床机椅子があった。

 

そして奥にある床机椅子には葦名弦一郎、彼の後ろには鬼庭刑部雅孝が立っていた。

 

紫が置楯机に近づくと、兵士達が葦名家の家紋入りの垂れ幕を張って外から見えないようにした。

 

さらに浅葱色の袴を着た侍達も垂れ幕へ入ると、弦一郎達と紫達を囲んだ。

 

「随分警戒されてますわねぇ私達」

「総大将が人外と話すのだ。たとえ『()()』を作り出したとしても用心に越した事はない」

 

紫は弦一郎の歪みという言葉を聞いて、少しムッとする。

 

「歪み...それが私達を苦しめる何かの名前でしたのね」

「...歪みの前では人外の術も使えん。人が怪物に抗う術だ」

「抗うねぇ...ならそこら中でこちらを狙ってる鉄砲も用心の為でして?」

 

紫の指摘に弦一郎と鬼刑部以外が驚く。

確かにもしものときの為に鉄砲組が配置されているが、距離がある上隠れさせているため気配は感じられない筈である。

 

「その通りだ」

 

弦一郎は隠さずに言い放つと、紫も床机椅子に座り扇子を広げてパタパタと扇ぐ。

 

「では始めよう」

「ええ。それでお話とは?」

「簡潔に言おう。降伏せよ」

「...仰ってる意味がわかりかねますわ」

 

紫は扇子を閉じて、弦一郎を睨む。

 

「我々は紅魔館、太陽の畑にて敗北したが、いまだ葦名軍は健在よ。今一度戦場にて相見えるか...それとも降伏し安寧を得るか」

「...いきなり攻めてきて結果的に負けた挙げ句、今度は降伏勧告。図々しくて逆に笑えてきますね」

「...貴様は人里とやらを守るため奮闘しているようだが...我々が本気となればいつでも叩き潰せる」

「あらあら微妙な脅しだこと」

「人里が陥落すればこの幻想郷は崩壊するらしいな」

「!」

「幻想郷に住む全ての妖怪は人を喰わねば生きてはいけぬ。それ故に人が集まる村『人里』から生贄を出すことで、妖怪との均衡を保っていると。それが無くなれば、妖怪達は暴走する」

「...随分とお詳しい事ね。余所者の貴方達は一体誰から聞いたのかしらぁ?」

「...今降伏すれば、いくつかの条件は聞くつもりだ。無論その後は俺の命に従ってもらう事になる」   

 

 

弦一郎は近くの侍か用意した水が入った瓢箪を掴み、水を飲み干すと大きく息を吐いた。

 

「人里を攻めなかったのは、均衡が崩れ、妖怪に荒らされ、混沌に包まれた幻想郷に出来ればしたくない故」

「ほぼ無傷の幻想郷が欲しいと?というかそもそも幻想郷を手に入れてどうしたいのですの?」

「我らの目的は一つ。それは葦名の為」

「葦名...」

「葦名は我らの国よ」

「追われたと?それとも滅亡したのかしら」

 

弦一郎は紫の質問には答えない。

 

「さて、降伏するのか、それとも戦かどちらを選ぶ」

 

すると紫は萃香を見ると、彼女は懐から酒瓶を取り出し置楯机に置いた。

 

そして盃をいくつか取り出し、酒を注いでいく。

 

「その前に一献どうです?幻想郷ではどんな相手にもまずお酒を振る舞うのですわぁ」

 

萃香は弦一郎の前にも酒が入った盃を置くが、彼は手を出していらないと意思を伝える。

 

「まぁまぁ!毒なんか入っちゃいないよ!なぁ紫!」

「酒に毒なんか入れたら不味くなっちゃいますわぁ」

「というわけで、どうぞ!」

 

弦一郎は差し出された盃を見つめると、後ろに立っていた鬼刑部が盃を取った。

 

「我が毒見する!弦一郎、敵からの酒など飲むものではない!」

「...」

 

 

鬼刑部は盃に注がれた酒を飲み干すと、目を見開いて立ち尽くしてしまった。

その様子を見て弦一郎はため息をする。

 

「毒か」

「へ?いやいや、入れてませんわ!」

 

すると鬼刑部は持っている盃を落としてしまい、ようやく意識が戻ってきたのか落とした盃を拾う。

 

心配して駆け寄った侍達を押しのけ、彼は萃香の前に立った。

 

「おー。人間にしては背でかいじゃん。何の用?」

「その酒...何というものだ」

「これ?紫が作った八雲印の『ちぇぇん』だよ。美味いだろ」

「.....その酒瓶自体に毒が入っている可能性もある!貸せぃ!」

 

鬼刑部は萃香から酒瓶を取ると、弦一郎のところに戻っていく。

 

「?ちょ!私の酒!」

「貴方のじゃないわよ萃香」

 

すると鬼刑部は心配する侍達をよそに盃に酒を注いで飲み干すと、真顔でまた止まった。

再び動き出すと、盃に酒を注いで近くにいる侍に差し出す。

 

弦一郎は鬼刑部達に構わず紫と話を再開した。

 

「酒を振る舞うのがここの礼儀か」

「どちらかというと私の作法ですわね」

「...我々は葦名の黄泉帰りをする為行動している」

「黄泉帰り?」

「葦名は既に滅んだ。だが我らはこうして黄泉帰りしたが、帰る故郷がない。帰れもしない」

「ご愁傷様。私達には関係ない話ですね。無論攻撃する理由にもなりませんわ」

「...よかろう。狙いの一つに理由を説明せねば道理もないな」

「狙い?」

「我らの狙いは貴様、そして幻想郷に住む怪物達だ」

 

その言葉を聞いて紫は少し驚く。

 

「葦名の黄泉帰りには貴様が「この酒美味過ぎる!」

 

弦一郎の話を遮るほどの大声を鬼刑部が叫ぶと、他の侍たちも驚き騒いでいた。

 

「何と美味...!これ程の酒があるとは...」

「美味し...美味し...これ程の喉越しは味わったことがない」

「これは竜泉を超えるかもしれぬぞ...一心様もお喜びになるであろうに」

「何という酒であったか」

「ちぇぇんとかいう名らしいぞ」

「ちぇぇん?珍妙な」

「ちぇぇん...ちぇぇんか!この酒是非欲しい」

「大量に欲しいですな。皆も喜びますぞ」

「どんな料理に合うかの、この酒」

「いやぁ、合わぬものなど無いのではないか?」

 

弦一郎以外の葦名衆は警護などを忘れ、酒に夢中であった。

 

「.....」

「随分とお気楽なお仲間ですわね」

 

紫がそう言うと、弦一郎は額を手で抑える。

 




ちょっと私用にて投稿遅れます。すみませぬ
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