妖夢は楼観剣と白楼剣を構え、一心は刀を鞘から抜くも構えられず刃も下を向いている。
「哀れよな...この一心が構えられぬとは」
「出来れば怪我人は斬りたくないので...退いてくれればありがたいのですが」
「儂の思考がそれを許さぬ。意志では道を譲りたいのだがな」
「よくわかりません」
「カカカッ...儂もじゃ」
妖夢は二本の刀に力を込めて思い切り振り下ろすも、一心は紙一重で避けると一回転してその勢いを使い刀を薙ぎ払った。
彼女も避けられたことは驚いたが、すぐに防御し後ろに下がる。
「...」
「振ることもできぬが...これならば殺れるか」
妖夢は白楼剣を鞘にしまい、楼観剣を両手で掴んで構える。
「背丈に似合わぬ刀よ」
「う、うるさい!」
妖夢は楼観剣を連続で振るい猛撃するも、一心はまるで攻撃がくる方向が全てわかっているかのような動きで避けまくる。
「太刀筋は悪くない...が、戦慣れしておらん」
「!」
「惑わされるな。敵を斬ることだけを考えよ」
「て、敵に教えられるほど弱くはない!」
妖夢は楼観剣を構えると、一心目掛けて思いきり突き攻撃を仕掛ける。
しかし一心は避けると楼観剣を思いきり踏みつけた。
「うわっ!!」
妖夢はすぐに楼観剣を引き抜くと、踏まれた衝撃で両手に少し痺れを感じた。
「カカカッ...隻狼を真似てみたが...成る程のぅ...」
妖夢は目の前の死にかけの男相手に汗をかき始め、息も荒くなり表情にも焦りが出てきた。
どんな技を使っても避けられるイメージしか浮かばない。
こんなことは初めての経験であった。
妖夢は楼観剣で何度も一心の頭目掛けて振り下ろすも、彼は全て避けてしまう。
さらに彼女は連続攻撃の途中で白楼剣も抜いて二刀流の猛撃を仕掛けるも、彼は距離を取って攻撃を受けないよう立ち回る。
次第に妖夢の息が切れかけ、両手や足にも疲れが見えてきた。
しかし対する一心は疲れどころか息一つ乱れていない。
「な、何なんですか貴方...!」
「.....」
「...なら!」
妖夢は楼観剣を鞘にしまうと、居合の構えを取った。
一心は脱力した瞬間力を込めて彼女に近づくと、一回転して刀を振るう。
そして妖夢は床の木が折れるほどの力で踏み込み、高速で一心の後ろへと移動した。
「!!」
「剣技...桜花閃々」
一心は直ぐ様刀で防御するも、何十もの強力な一撃を一瞬でくらい、妖夢が通った場所には桜色の斬撃が残る。
彼の刀は耐えられずに真っ二つに折れて天井に刃が突き刺さった。
「...何と美しい技よ」
「...それはどうもです」
妖夢は振り返ると、一心の姿に驚いた。
彼はあの大技を受けても、光速の居合の一撃を使っても、傷ひとつなかったのだ。
確かに刀は折ったが、むしろその程度で済んてることに妖夢は驚いたのだ。
さらに彼女はある疑問も脳裏に浮かんでいた。
何故技の後攻撃しなかったのか。
刀を折ったとはいえ、まだ刃は半分ある。
それで背中を斬りつけられれば形勢逆転していたはずだ。
すると一心は刀を捨てて、その場で正座をする。
「な、何を」
「見事。刀が折られては、儂も敗けと認めなければならん」
「...」
「そして...儂は迷うてしまった。お主の剣技に見惚れてな」
「んなっ!?」
妖夢は堂々と自分の技を褒められて、顔を赤くする。
「ま、まぁ...悪い気はしません。ありがとうございます」
すると一心は照れる妖夢を見て、少し笑う。
「.....カカカッ...素直な娘よ」
「...」
「その素直さ。あの男にも見習うて欲しかったが」
「あの男?」
すると一心は今自分が行った言葉に目を見開いて何か驚いた様子になる。
「隻狼...いや、あの男は...儂は...止められなかったのか」
一心はすぐに立ち上がると、妖夢の前まで歩いてくる。
彼女は少し警戒したが、彼の焦りの表情に敵意がないことがわかりすぐに警戒を解いた。
「よいか娘よ」
「わ、私は魂魄妖夢だ」
「...妖夢よ、今すぐに隻狼を探せ。そしてあ奴を」
その瞬間
一心の胸から紅く光る刀が突き出し、彼は胸を貫いた刃を掴む。
そしてゆっくりと後ろを見ると、そこには不死斬り『拝涙』を構えた忍の狼がいたのだ。
「隻狼...!!」
「.....」
「な、何を!!」
妖夢はすぐに白楼剣を鞘から抜いて、一心を刺している狼を攻撃する。
しかし狼は腰に差した刀を抜いて妖夢の攻撃を防ぎ、一心から不死斬りを引き抜いて力を溜め始める。
そして思いきり薙ぎ払うと、黒と紅の斬撃が彼女の体を引き裂き壁に叩きつけられた。
「ガハッ!」
妖夢は倒れはしなかったが、楼観剣を支えにしなければ立っていられない。
狼は胸を抑える一心を見て、不死斬りを振り上げた。
「隻狼よ...またもや...止めてやれぬか...」
狼は不死斬りを振り下ろし、一心の肩から腰まで一刀両断した。
血が地面に飛び散り、狼は不死斬りを背中にある鞘にしまうと足の底から濃く白い霧を生み出した。
そして霧が晴れる頃には狼の姿はなかった。
妖夢は斬り傷を抑えながら一心に近づくと、彼はまだ息をしていた。
「...」
妖夢は一心の傷を見て、もう助からないことがわかった。
「...何か残すことはありますか」
「.....修羅」
一心はそう言い残すと、息絶えその体は灰となって消えていった。
「...修羅...?」
すると妖夢も胸の傷が痛み始め、その場で倒れてしまった。
UA6000突破!
ありがとうございます!
ストック溜めたので、また毎日投稿できると思います。
具体的には7話くらい