決戦!葦名城!   作:ポン酢おじや

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遡る記憶

「朧気って...自分の主だったんでしょ?思い出せないって」

「...修羅が最後に主にあったのは既に四百年も前。流石の彼も記憶が曖昧になるのは仕方のないことです」

「.....」

「しかし主には会いたいという願いは確実にあった。そこで修羅は最初から思い出すことにしたのです。主と出会った葦名の記憶を」

 

紫はそのことを聞いて、何かに気づいた。

 

「だから葦名城が出現したと...?」

「はい。『現れ』によって葦名の記憶を思い出し最初から再現した結果、九郎殿だけではなく葦名城やかつて戦った者達、兵士達がこの幻想郷に出現しました」

「それが葦名軍の、そしてこの異変の真相」

「はい。全てはかつての主である九郎殿に会いたいが為の修羅の幻術のせいなのです」

 

紫はエマの話を聞いて、ようやく真実を知ることができ、疑問が晴れていく感覚を覚える。

 

「...」

「...葦名の者達が幻想郷を襲ったのは、葦名の為などではなく...いえ、彼らは葦名の黄泉帰りの為とそう思わせられていたのですが」

「修羅の幻術を邪魔しないように、私達の気を向かせるためのいわば囮」

「はい。そして彼らも四百年前の曖昧な記憶を再現した幻術なのか、思考が変であったり、彼ら自身何か違和感を感じていたかもしれません」

「...」

 

すると紫は他のことを質問し始めた。

 

「貴方は何故そこまで知っているの?葦名の者なら貴方も『葦名の黄泉帰り』のため行動するのでは?」

「.....それはわかりません。何故私が修羅の記憶を知っているのか、何故私は自由な意思を持っているのか...」

「...そういえば半兵衛さんも葦名の黄泉帰りなんて特に言ってなかったわね」

 

エマは再び座って幽香の用意した紅茶を飲み干す。

 

「それで結局その修羅とやらはどこにいるの?」

「はい。それは恐らく...幽香さんが関係しているかと」

「!」

「わ、私?そんな奴と関わってたかしら」

 

紫とエマは幽香を見ると、彼女は何かを思い出して話しだした。

 

「そういえば...一心が来る前にいつものお花達の見回りの時...人の気配を感じたわ」

「!?」

「迷い込んだ人里の誰かと思って簡単に探したけど...というか探してる最中に一心の殺気を感じてそれどころじゃ無かったのよ」

「まさか...太陽の畑が、幽香が狙われた理由は」

「...幻術を作り出していた修羅に近づいた為...?自分の居場所を知っているかもしれないと疑った幽香さんに修羅は...一心様を向かわせた」

「なら修羅はここ太陽の畑にいる...!?」

 

紫はその衝撃の事実に驚いて立ち上がると、幽香とエマも汗を垂らす。

 

「...色々納得。葦名の奴等が...いえ、彼らを生み出した修羅がどうやって私の目を掻い潜ってこの幻想郷の情報を調査していたのか疑問に思ってたけど」

「...」

「ここ太陽の畑を拠点にしてたのね。確かにここは私が調べるのを避ける場所の一つだわ。スキマ使ったら優香にバレて怒られるからね」

「何よ、私のせい?」

「あんたの凄まじい実力をいい隠れ蓑にしてたってことよ。ここはあの風見幽香がいるから人はもちろん妖怪や幽霊もほとんど近づかないわ。地形的にもバレにくいし、侵入者が来てもあんたが対応してくれるし」

「.....否定できないのが悔しいわね」

 

すると幽香の家の扉から叩く音がして、扉が開くと霊夢、魔理沙、咲夜が現れた。

 

「ここに紫がいるって萃香から聞いたんだけど...」

 

霊夢は紫を見つけて、一安心したのか息を吐いた。

 

「異変は解決よ。城は消えて敵も全員消えたわ」

「霊夢...事はそう簡単じゃなくなってきたの」

「.....そんな気はしてたわ」

「...いつもの勘?」

「ええ」

 

紫は霊夢達にエマから聞いた話を全て話し、逆に霊夢達も葦名城であった出来事を話していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『現れ』『歪み』そして修羅...面倒くさい技を作り出したものね」

 

霊夢は椅子に座って隣りにいる魔理沙と用意された菓子を食べていた。

 

「しかしその『歪み』ってのは修羅って奴が編み出して使ってるんだろ?何で月見櫓が崩壊した瞬間能力使えるようになったんだ?」

「私もそれが気になったわ。確かに月見櫓から『歪み』の力が強く発せられていたけど...」

 

するとエマは魔理沙と紫の疑問に答え始める。

 

「修羅は九郎殿に会うために記憶を遡り『現れ』で再現していました。月見櫓は...かつて彼がまだ狼と呼ばれていた頃、九郎殿と三年振りに再会した場所なのです」

「つまり...どういうことだぜ?」

「四百年経った修羅の記憶の中で、最も九郎殿の記憶が残る場所だったのでしょう。『現れ』を月見櫓に集中させて九郎殿の出現を待ち、その間誰も近づけぬように櫓には強い『歪み』をかけ、梟とお蝶という強力な者達で護衛させた」

「...じゃあやっぱ私が見た子供は」

「仰っていた容姿から察するに...九郎殿で間違いございません」

 

すると咲夜は魔理沙の行動を思い出して、少し笑った。

 

「そんな大事な場所を貴方は吹き飛ばしたのよね。フフ...その修羅って人も魔理沙にカンカンじゃない?」

「う、うるさいぜ!」

「恐らく月見櫓が崩壊したことにより意識が乱れてしまい『現れ』の幻術が解かれ、『歪み』も一時的に解除されたのでしょう。二つの幻術はかなりの集中力が必要ですから。葦名城が消え去ったのもその影響かと」

 

「それで?歪みや異変の真相を知って私達はどうするの?」

 

咲夜は霊夢を見ると、彼女は腕を組んで悩み始める。

 

「.....」

 

するとエマはある提案をするため話し始める。

 

「私としては...修羅を止めてほしい」

「...」

「『現れ』が解除され葦名城が消えたとはいえ、私は未だここにいます。つまりまだ完全に解除はされていません。となれば...修羅は再び記憶を遡り、もう一度最初から思い出す為、葦名城を出現させる筈」

「!倒したのにまたあいつらも出るのかぜ!?」

「彼等も所詮は修羅が生み出した幻術に過ぎません。修羅を止めぬ限り倒してもまた黄泉帰り、記憶も無くし再び幻想郷を攻めるでしょう」

 

それを聞いて紫は立ち上がり、霊夢を見る。

 

「なら決まりね。修羅を倒すしかないわ」

「...」

「奴をこのまま生かしておけば再び幻想郷に混乱を招く」

 

すると魔理沙も立ち上がり、エマの意見に賛同した。

 

「私もそれに賛成だぜ。なんせ月見櫓でその九郎って奴に頼まれちまってさ...我が忍びを止めてくれって」

「異変の元凶を倒してないならまだ異変は終わってない。そうでしょ霊夢」

 

そして霊夢はため息をしながら立ち上がると、お祓い棒を肩に乗せて全員の顔を見る。

 

「...終わらせるわよ、この異変を」

 

霊夢がそう話すと全員が頷き、幽香の家の扉を開いて太陽の畑へと出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし全員外に出た瞬間背筋が凍る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香の家の前にボロボロな鎧を着て、体の至る所に火の粉が付き、片目を隠し、片腕が義手の男が立っていたのだ。

 

その姿を見てエマは手で口を覆う。

 

「...狼殿.....!」

 

この男こそ、この異変の元凶

 

斬ること喜びを覚え、何の為に斬っていたかすら忘れた修羅

 

数千、数万の命を斬った葦名に住まう鬼

 

かつては熟練の忍びで、剣聖一心すら止められなかった怪物

 

 

霊夢は修羅の姿を見て、何度も大規模な異変を解決してきた彼女でさえ汗が吹き出し動けない。

 

それは全員同じであった。

 

 




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