決戦!葦名城!   作:ポン酢おじや

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決戦!紅魔館!

鬼刑部は明かりを灯して待ち受ける紅魔館を見て、一度手を上げ全部隊の止める。

 

「如何されましたか」

「敵は既に備えておる。どうやら攻め時を見誤ったか」

「...そのようで」

「だが我ら葦名衆を前によく逃げなかったものよ。久しぶりにいい戦ができそうだ」

「では」

「うむ」

 

鬼刑部は後ろを振り向き、持っている十文字槍を上に掲げる。

 

「皆の者!いよいよ戦の時!声を上げよ!」

「「「おおっ!!」」」

「我らの手であの館を踏み潰せ!」

「「「おおっ!!」」」

「いざっ!国盗りの時ぞ!!!」

 

歩兵の一人がほら貝を吹き、更にもう一人が太鼓を鳴らす。

 

そして兵士全員が怒号を上げて、紅魔館へ歩みを進め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチュリーは持っている魔導書を開き、現れた魔法陣に喋りかける。

すると紅魔館にいる戦闘員全員にパチュリーの声が響く。

 

「敵が来たわ。私達の家を、仲間を、家族を守るわよ」

 

その言葉に妖精メイド達は敵にも負けぬ声量で答える。

 

「「「はいっ!」」」

 

パチュリーは皆の答えを聞くと、ゆっくりと頷き指示を与え始めた。

 

「ボウガン隊、構え」

 

ボウガンを持った妖精達は、紅魔館の屋上で上空へ向けて構える。

 

 

 

 

 

 

 

「鉄砲組!前へ!」

「「「おう!」」」

 

葦名軍はまず鉄砲を持った足軽達が先に出て、紅魔館目掛けて構える。

 

「弾込め!狙うは屋根の敵ぞ!!」

 

指揮官の男が命令を下すと、鉄砲隊は全員火縄銃を装填し始める。

 

そして鬼刑部は槍を上に振り上げる。

そして十数秒経った瞬間、鬼刑部は槍を勢いよく振り下ろした。

 

「放てぇっ!!!」

 

鉄砲隊が命令と同時に引き金を引くと、火縄銃の銃口から爆発音と共に鉄玉が勢いよく飛び出した。

 

 

しかし鉄玉は紅魔館を囲む壁を越えようとした瞬間、魔法陣が現れ弾かれ地面に落ちていく。

 

「!なんと...!」

 

驚くのも束の間、紅魔館の屋上から大量の短矢が葦名軍の鉄砲隊に降り注いできた。

 

「がっ!」

「ぎゃっ!」

「ぬわっ!」

 

鉄砲隊は次々とやられていくと、鬼刑部はすぐに太鼓番に指示をして撤退の合図を鳴らせる。

 

「鉄砲組!引けぃ!」

 

そして鬼刑部は鉄砲が通じぬ敵とわかると、騎馬隊を前に出す命令を鳴らすよう太鼓番に指示。

 

「敵はどうやら摩訶不思議な妖術を扱うらしい。ならばこの手で直接叩き切ってくれるわ!」

 

鬼刑部は鬼鹿毛の手綱を引くと、槍を構え命令を下す。

 

「馬組!この鬼庭刑部雅孝に続け!!」

「「おおっ!」」

 

騎馬隊が槍を構え突撃を始めると、館の屋上から再び矢が飛んでくる。

運悪く当たるものもいたが、馬の速さで矢は照準が合わず当たらぬものが多かった。

 

パチュリーは持っている魔導書を置いて、次の魔導書を開き読み始める。

 

すると紅魔館の門への道に何十もの魔法陣が現れ、騎馬隊が踏んだ瞬間大規模な爆発を起こした。

 

「うわっ!!」

「地に光る文字には触れるでないぞ!!行くぞ鬼鹿毛!!」

 

鬼刑部は鬼鹿毛を巧みに操作し、地雷魔法陣を避けていくと、持っている十文字槍を振り回して紅魔館の門目掛けて投げる。

 

十文字槍の刃は魔法で強化し、妖精メイドが補強して頑丈にした門をいとも簡単に弾き飛ばした。

 

「他愛もないわ!門が破れたぞ!一気に攻め落とせ!!」

 

パチュリーは破られた門を見て驚愕する。

 

「!?何なのあいつ...本当に人間?」

 

鬼刑部は鬼鹿毛と共に紅魔館の庭に侵入すると、大きな声で高らかに宣言した。

 

「鬼庭刑部雅孝!!一番乗り!!!我に挑む者はおるか!?」

 

鬼刑部は近づいてくる妖精メイド達を十文字槍で薙ぎ払い、門から味方を続々と侵入させる。

 

すると馬上の彼に飛び蹴りを食らわせる女が現れた。

紅魔館の門番、紅美鈴である。

 

「よくも門を吹き飛ばしてくれましたね!」

 

しかし鬼刑部は蹴りを耐えて美鈴の足を掴み、地面に叩きつける。

 

「見事な蹴りよ!だがこの鬼の首を取るにはまだまだ弱い!」

 

美鈴はすぐに立ち上がり、鬼刑部の前に立つ。

 

そして妖精メイド達と、侵入してきた葦名軍が衝突した。

 

紅魔館の庭では至る所で戦闘が始まり、屋上にいる妖精メイドもボウガンを捨てて武器を取り庭への戦闘に参加する。

 

 

するとパチュリーは別の魔導書を開き読み始めると、空に巨大な魔法陣を出現させて紅魔館の外にいる敵に炎の雨を降らせ始める。

 

鬼刑部はその技を屋上のいる女が行っていることに気づくが、美鈴の体術に阻まれ阻止できない。

 

「おのれ...!どけぃ小娘!!」

 

鬼刑部は十文字槍を振り回し美鈴を叩き潰そうとするも、彼女はその華麗な身体能力で紙一重で避ける。

 

そして大振りな攻撃の後に出来る隙を見逃さず、跳躍して連続で蹴りと拳を食らわせた。

 

「むぐっ!!」

「呆れた...!随分とまぁタフですねぇ!」

 

鬼刑部は鬼鹿毛の手綱を引っ張ると、槍を振り回しながら紅魔館の庭を走り回る。

 

「国盗り戦の葦名衆!小娘!貴様にその戦を見せてやるわ!!」

 

走る途中妖精メイド達を蹴散らしながら、十文字槍を地面に刺して無理矢理方向を転換する。

そして構え直すと紅美鈴目掛けて突撃し始めた。

 

「ちょちょちょ!!」 

 

美鈴は右にローリングをして避けると、鬼刑部はなんと槍を分解し紐で繋がれた刃の部分を美鈴目掛けて投げた。

 

流石の行動に美鈴も避けきれず、刃に足を斬られ地面に転がる。

 

「っ!!」

 

鬼刑部は地面に突き刺さる十文字槍の刃に着けられた紐を引っ張り回収すると、再び繋ぎ合わせ頑丈な槍へと戻す。

 

そして紅魔館の外で燃える味方を見て、ため息を吐いた。

 

「...正々堂々の戦で使いたくはないが、この戦に負ければ弦一郎に顔向けができぬ。許せ」

 

鬼刑部は十文字槍を地面に突き刺すと、両手を合わせて祈り始める。

 

「歪みよ起これ。全ての敵に災いを」

 

その瞬間鬼刑部を中心に桜色の気と鈴のような音が響き渡る。

 

それはまず空に浮かぶ魔法陣に影響に及ぼした。

 

紅魔館の外にいる敵を燃やしていた炎の雨は止まり、魔法陣は消え、門への道にあった地雷魔法まで消えてしまった。

 

パチュリーはその光景を見て目を見開き驚愕した。

 

「!どういうこと!?」

 

パチュリーは再び魔法陣を作り直そうとするが、いくらやっても魔法が発動しない。

 

紅魔館全域に八雲紫が言っていた能力を制限する淀みが発生していたのだ。

 

飛んでいた妖精達も地面に落ち、人間を圧倒していた自らの能力が使えず混乱していた。

 

そんな中、鬼刑部は十文字槍を掲げて号令を出す。

 

「今が好機!一気に攻め立てよ!!」

 

「「「おおおおっ!!」」」

 

葦名軍は士気を上げ、混乱する妖精メイド達を押し始める。

 

炎の雨も止まり、地雷も消えて外にいる残りの葦名軍も更に庭へと侵入してくる。

 

鬼刑部も続こうとすると、足を怪我したはずの美鈴が再び彼に攻撃する。

 

「ほう、まだ立つか」

「頑丈さだけが私の長所でしてね」

「ならば叩き潰すまで!」

 

鬼刑部は美鈴の攻撃を十文字槍で防ぐと、美鈴はすぐに馬の腹の下を通り抜け、反対側から蹴り上げる。

 

すると彼は手綱を引いて鬼鹿毛に回転させた。

 

「うわっ!」

 

巨大な馬の動きに美鈴は驚くと、今度は馬の蹄による蹴りが彼女の頬を擦った。

 

「人馬一体とはまさに貴方達の事ですね...!」

 

そして鬼刑部は鬼鹿毛上に立つと、両手で十文字槍を持ち美鈴目掛けて思いきり振り下ろした。

 

美鈴はその一撃を避けると、十文字槍は地面を大きく削り砂煙を引き起こす。

 

「ゲホッゲホッ!」

 

美鈴は目の前が見えなくなり、一瞬だけ構えを解いてしまった。

 

その瞬間鬼刑部の十文字槍による薙ぎ払いが彼女の腹を斬り裂き、壁に叩きつけられる。

 

「むぅん!!」

「がはっ...!」

 

美鈴はそのまま地面に座り込み、血が溢れる腹を手で押さえた。

体が頑丈な妖怪といえども、鬼と称された男の一撃は重く動けなくなってしまう。

 

(弾幕も出せない...あいつの攻撃の気も読めなかった...い、一体何が)

 

鬼刑部は鬼鹿毛に跨り直すと、まだ息のある美鈴に驚いた。

 

「なんと...!確実に胴体を真っ二つにしたと思うたが...まぁよい」

 

しかし美鈴が立ち上がれないところを見ると、鬼刑部は方向転換し紅魔館の内部へと向かった。

 

 

 

 

 

「お、お嬢様...」

 

 

美鈴の意識はそこで途絶えた。

 

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