艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス 作:Wandarel
俺はそういった「流れ」は好きだ。
かつての俺なら……。
いや、なんでもない。気にしないでくれ。
士官学校での生活もだいぶ慣れてきた。
浩介の影響もあってか、最初は二人きりだったこの樹にも気がつけば五人になっていた。
最初に会ったのは入学してから三ヶ月後、今から半年ほど前だった。
浩介「よ!みんな来てくれたな!」
???「浩介、お前が会わせたいって言ってた奴はこいつか?」
結構力任せなところはあるが、その裏でかなり頭はキレるほうの青髪の少年だ。
???「おいおい青木君、そんなに気を荒くするなよ。ほら、お前の秘蔵写真やるからよー。」
青木「あぁ!?黄原テメェなんでそれ持ってやがる!」
黄原「いやー寝顔は可愛いんだがなぁ。」
青木「黄原ァァァァァァァッ!!」
奨吾「………うるさい連中だな。」
奨吾がそう呟いた時、真横にいつの間にか人がいた。
奨吾は驚き、距離を取った。
???「あ……あぅ………。」
制服からして女子生徒だとは分かった。だが、上手く喋れないようだ。
浩介「あー、そっか筆談じゃないとダメだっけか。」
浩介がそう言うと紫髪の女子生徒が凄まじい速さでノートに文字を書きみせてくれた。
???(私は
これは後にわかる事だが、紫原の戦術は超追い込み系の追撃型で、その追撃能力はかなり粘着質だ。
上手く喋れないが筆談なら出来るみたいだ。
紫原(引っ込み思案でちょっと上手く喋れないです、ごめんなさい。)
そんな文章を書いていた。
奨吾「気にするな、いつかは声を出せる時は来る。」
そう言うと、紫原は顔を赤くしながらもすごいスピードでノートに文字を書き見せてくれた。
紫原(よ、よろしくお願いします、熱海さん……。)
見ると、手を差し出していた。
奨吾「あぁ、よろしくな。」
手を握り握手をする。
紫原「は、はううぅ……」
すると、紫原が顔から湯気が出るかのように顔をさらに赤くして後ろ向きに倒れた。
奨吾「は?え?え!?」
浩介「おー、見事な倒れっぷりだなぁ。」
浩介が手馴れてるようにいつの間にか紫原を支え、介抱していた。
奨吾「……人前では相当なあがり症なんだろうなこいつ。」
こうして青、黄、紫の三人が奨吾の元に来たのだが……。
青木「黄ぃぃぃぃはぁらぁくぅぅぅぅん!!!」
黄原「はっはっは、落ち着け青木〜。」
青木「落ち着けもクソもあるかボケェ!!お前紫原泣かしただろうが!!」
黄原「いやー、ほんとたまたまなんだって信じてくれよォ。」
紫原は声をあまり出さずに泣いている。
何をしたかと言うと、黄原の容赦のない海軍チェスでの猛攻で思わず泣いてしまったそうだ。
浩介「あのなぁ、お前らもしっかりしろよ。」
そういう浩介もまた、駆逐艦吹雪のグッズやコスプレ衣装で変装していた。
黄原・青木「お前にゃ言われたくねぇよ赤金!!」
奨吾「だァァァァうるせぇぇぇっ!!テメェらちったぁ紫原みたいに黙ってろ!!」
奨吾もゆっくりと読書できずにキレた。
紫原(………賑やかなの、私は好きです……。)
泣きながらも文字を書いた紫原を見て、全員が静まり返り、奨吾を見た。
奨吾「………なんかごめんなさい。」
こんな風になってからずっとこの調子だが、相変わらず奨吾に対する虐めなどは尽きない。
その為、放課後はよく狙われた。
物理的に。
奨吾の目の前に訓練用の拳銃を用意した総勢80は超える人数。
「熱海ぃ、ちょいと先輩に対しての敬意がないんじゃないかぁ?」
二年部の人間で二年部のエースと言われていたらしい。
だが、奨吾との決闘の敗北がきっかけで、落ちぶれ一方的に恨んでいるみたいだ。
奨吾「ふっ、下手な鉄砲数打ちゃ当たるってか?」
「うるせぇ、一人相手ならお前にゃ勝ち目ねぇよ!」
奨吾が面倒だなと思っていた時だった。
ちょうどその二年のエースの視界に紫原がいた。
それと同時に走り、紫原を拘束した。
紫原「!!?」
喋れないが、かなり動揺してるようだった。
奨吾「ちっ、紫原………!」
紫原「ッ………!!」
紫原は今にも泣きそうになっていた。
「ほぉ、いい女と一緒にいたんだなお前……。」
紫原はお世辞抜きで体格が凄くいい。普通の人間ならかなり魅力的なボディラインをしているからだ。
「ゆっくりと遊んであげよう。私は必ず君を幸せにできる。……おっと動かないでもらおうか。」
奨吾が動こうとした時、牽制された。
奨吾(ちっ……性根が腐ってやがる。だが、これ以上調子に乗らせる訳には……。)
そう思った時だった。
紫原「やぁっ!!」
二年エースに綺麗な蹴りを入れた。
だが、その身体は震えていた。
紫原「こ、ここ、怖くなんか……ありません……わ、私だって……!!」
怯えてはいる。だが、その眼には情熱があった。
奨吾「………ほーう、怯えてるだけだと思ってたが、認識改めるわ。お前も、浩介と似たような目をしてやがる。」
「こんのクソ女ぁ!!」
そういって二年エースが訓練用拳銃を構え銃声が響いた。
「ぐぁぁっ!だ、誰だ!?」
エースの持つ拳銃に直接ぶち当てた人間がいた。
浩介「その辺にいた赤金浩介って男だ!!」
「ちぃっ!!過去の元帥の孫が!お前ら!やれ!!」
その言葉に取り巻きが吹き飛ばされ悲鳴が聞こえた。
「な、なんだと!?」
その時、邪悪な笑い声が響く。
青木「ギャハハハハハッ!!どうしたァ?群れないと何も出来ねぇ様な雑魚に用はねぇよぉっ!!」
おもむろに釘バットをもった青木が現れた。
「はん、口は一丁前だが、俺はエリートだ!お前らとは位が違う!俺を殴れば問題は免れn……ぶげぇ!!」
青木は喋ってる途中のエースの顔面を釘バットでぶん殴った。
青木「っるせェなァー、テメェの戯言に興味ねェんだよ。第一にエリート思考ならちったぁ模範にくらいなれるだろォが。ただ親の七光りのボンボンが権力使って好き勝手していい理由にはなんねェだろォが!!」
「青木、貴様ァ!!」
瞬間、周りがライトアップされた。
その周りには、ちょっとした野次馬のような感じで人がその様子をみていた。
黄原「かっこいい〜!惚れちゃいそうだぜ青木啓介!」
そう言って現れたのは黄原だった。
黄原「よぉ、これでここにいる全生徒が立ち会って、アンタ達をぶちのめすってわけよぉ!」
紫原「き、黄原くん……すごい……!!」
黄原「なぁに、浩介の戦術や青木の突破力、紫原の勇気がなけりゃここまで出来なかったっつーの。それに、最強のエース様がいねぇと盛り上がらないだろ?」
奨吾「………ふっ、バカ共が。」
黄原「安心しろ、一応最大限に被害を抑えれるようにはしてるから存分に暴れようぜ!なぁ青木!!」
青木「はなっからそのつもりだ黄原ァ!!」
黄原と青木が息ぴったりのコンビネーションで取り巻きを倒していく。
紫原や浩介もお互いの得物で戦い、戦局を変えていく。
「くそ!!なんなんだ!なんなんだよお前らは!!立場も名誉も何も無いくせに!」
奨吾「立場がねぇから頑張ってんだよ。チェックメイトだ。」
居合の構えから抜刀し、撃破した。
周りから歓声があがる。
だが奨吾は特に反応することなく撤退した。
なお、翌日教師にめちゃくちゃ怒られ、不良五人衆と呼ばれながらも、教師も少しだけ賞賛していた。
あの男の凶行は教師にまで及んでいたらしい。
そんな奨吾達も今ではその二年生だ。
奨吾「………なんで俺が不良扱いなんだよ。まぁ、ほんとに月日が流れるのは早いな。」
寮で静かに読書していた。
浩介「俺達も先輩かぁ……。感慨深いぜ。あ、そういえば新しく来た新入生興味無いか?」
黄原「ないな。」
青木「ねェよ。」
紫原(ありません。)
奨吾「知らん。」
浩介「お前らもう俺たちは先輩だぜ?しっかりしねぇと。」
奨吾「戦犯の間違いなんじゃねぇのか?」
そんなふうにやり取りをしてると、一人の少年が来た。
???「お、いたいた。おーい、兄貴ー!」
奨吾「よう、龍登。」
龍登「聞いてるぜ兄貴、相変わらず暴れ回ってるってな。父さんも流石は俺の息子だって言ってたし。」
奨吾「そうかぁ?」
父親は退役している元海軍将校で、今はこの松山にある実家で姉二人と母一人で暮らしている。
龍登「俺も寮生活だぜ!」
奨吾「お前、虐められてないか?」
龍登「大丈夫、なんでかわかんないけど怖そうな先輩達逃げてくし優しい人多いよ。……俺なんか悪いことしたかなぁ。」
奨吾(すまん、弟。それは俺が原因だな。)
浩介「久しぶりだな、龍登くん!」
龍登「おっす浩介さん!」
紫原(よろしくお願いします……。)
龍登「おうふ、すっげぇ美女……。」
青木「ま、目をつけられねェように頑張れよ。」
龍登「ラジャです青木先輩!」
黄原「誰かの弱点握りたい時は俺に言ってこい全部把握してるからな!」
龍登「じゃあ、兄貴の弱点は?」
黄原「………そいつぁ、専門外だ。」
奨吾「なんせやましい事なんざしてねぇし寝顔撮られようが恥ずかしくなんかねぇよ。」
黄原「おー、青木と違って強情だねぇー。」
青木「なんだテメェおちょくってんのか?」
黄原「おう、お前はおちょくると面白いからなぁ。」
青木「やってやろうじゃねぇか黄原ァァァァァァッ!!」
黄原「はっはっはっ!かかってこいよ青木啓介ェッ!」
青木が釘バットを、黄原がハンマーを持って激闘を始める。
紫原(あの、あまり彼らを悪くは言わないでください、いい人なんで……。)
紫原が筆談で話す。
龍登「まぁ、大丈夫でしょ。兄貴の仲良しな人なら信頼出来るし。」
奨吾「当然だな。」
浩介「あ、奨吾危ない。」
投げられたガラス片が奨吾の読んでた本に突き刺さった。
奨吾「………。」
奨吾が木刀で青木と黄原を一振で殴り倒した。
奨吾「本は大切にしやがれクソッタレ共殺すぞ。」
浩介「相変わらず本が関わるとすごく怖いな……。」
新入生とは仲良くできるかはもはや不明であった。
奨吾「ふぁ……ねむ。」
龍登「文化祭楽しみだなぁ!」
奨吾「アホ言うなこんなの何が面白いんだよ。」
奨吾「…………。」
奨吾は絶句した。
次回
艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス
第二話「士官学校の文化祭」
奨吾(ここまで来ると感心だ……ってなんか増えてる!?)