艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス   作:Wandarel

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アイツとの出会いはここからだ。
俺に出会ったのは運の尽きだったろうな。


第六話「捨てられた艦」

奨吾「さーて、困った。」

妖介「ん?何がだ?」

奨吾「ガチで資材不足。」

妖介「上に申請すればいいじゃないか。」

奨吾「いやー、派手にやらかして上に嫌われてっからなぁ。」

奨吾は照れながら笑う。

妖介「ちょいちょい、笑いどころじゃないじゃん相棒。」

奨吾「てなわけで遠征行くわ。」

奨吾が「登龍」と木刀を装備する。

妖介「ん?艦娘は?」

奨吾「そんな豪華なもんねぇよ。」

妖介「え?じゃあ遠征は?」

奨吾「俺が行きゃいいだろ。」

妖介「ダメじゃないか相棒。」

奨吾は己の判断で工廠の建造の部分を解体することにした。

奨吾「どうせ建造はしねぇ。大抵俺一人で何とかなるからな。」

妖介「おいおい、それじゃ私の役目がほとんどないじゃないか。」

奨吾「まぁ、兵装の開発はしていくから仕事がねぇわけではないぜ。」

妖介「ほーう、それなら期待に応えないとな。」

奨吾「んじゃ、行ってくるぜ。」

奨吾は軽く付近の近海の遠征へ向かった。

そこそこ順調に修復材や資材を拾い集め、帰還しようとした時に、レーダーに深海棲艦の合図が出た。

穏健派か過激派かは接触しないことには分からない。

奨吾「さてと、どっちかねぇ。」

相手は空母ヲ級一隻、駆逐イ級二隻、軽巡ト級が一隻。

こちらを視認すると同時に多少の動揺を見せながらも攻撃に移った。

奨吾「………判断に迷いあり。戦う理由は無いが制圧はさせてもらう!」

奨吾は登龍の速度を第三戦速に引き上げ近づいていく。

が、ヲ級から放たれる艦載機が接近をことごとく邪魔をし、その間を縫うように砲撃と雷撃をしかけてくる。

奨吾「穏健派は連携がすこぶる上手いと聞いていたが、あながち間違いでは無いようだな。」

流石の奨吾でも艦載機などの自分の領分にない事柄には対処出来ない。

奨吾「………あれ、やってみるか。」

奨吾は不敵に笑った。

さらに相手も艦載機による牽制が有効と判断し艦載機を増やした。

そして、対空装備のない奨吾に襲いかかる。

奨吾「………たまには俺の遊びに付き合ってもらおう。」

奨吾はなんと「登龍」の戦速を最大稼働にし跳躍した。

そこまでは登龍であれば可能であることだ。

しかし、次の光景を見てヲ級は思わず息を飲んだ。

ヲ級「ドウイウコトダ………?!」

奨吾は艦載機を踏み台、足場にして凄まじいスピードで空中を走っていたのだ。

深海艦載機「オレヲフミダイニシタ!?」

奨吾はそのままヲ級の頭上のポジションを取った。

奨吾「悪いな。俺にとっちゃ艦載機なんざ……」

思いっきりヲ級の頭に特製木刀を叩き込んだ。

奨吾「ただの足場だ。」

むろん、ヲ級は大破した。

残ったイ級とト級が動揺し砲撃しようとするが……。

奨吾「もらった。」

既に神速の木刀の一閃で大破していた。

イ級「イ、イツノマニ!?」

奨吾「ほう、差別的な発言になるが深海棲艦にしちゃかなり流暢に喋れるんだな。」

ヲ級「……ドウスルツモリ?」

奨吾「どうするもこうするもねぇよ。んなもん決まってんだろ。ついてこい。最高の獄楽を味あわせてやるよ。」

奨吾の顔が凶悪な笑みに変わる。

深海棲艦達は強さの都合逆らうことも出来ずついていかざるを得なかった。

そして……。

奨吾「どうした?もうおしまいか?」

ヲ級「コ、コレイジョウハ……ンン!!」

奨吾「まだまだ終わらねぇぞ、ギャハハハハ!」

ヲ級「コンナ、コンナノッ……!!」

ヲ級「スゴクオイシイ!!」

奨吾「ふっ、どんどん食え。お前らもな。」

イ級「ギュー!!」

奨吾はシバキ回した詫びとして飯を振舞っていた。

奨吾「ま、たまには誰かとの食卓も悪くねぇな。ほれ、妖介。金平糖だ。」

妖介「ありがと。」

そして、奨吾は深海棲艦ズを簡単な整備をして送り届ける。

ヲ級「ドウシテココマデシテクレルノ?」

奨吾「穏健派と戦う理由はねぇさ。もし本気で戦う理由があるとすれば、それは歪んだ正義を振りかざす悪党になりきれない悪党相手だけだ。」

四隻の深海棲艦を見送り海岸を歩いていた。

鎮守府付近の民家の人達とも仲良くなって色々とお世話になっている。

「おー、奨悟さん。今日もいい魚があるよォ!!」

奨悟「ほほう、それは是非いただきたいですね。」

こうして、色んな人から慕われるようになっていた。

そして、鎮守府の見回りで海側をうろついていると、うつ伏せに倒れている少女がいた。

奨悟「………艦娘か。」

奨悟が一目で艦娘であることを理解できたのは、付近に散らばっている半壊した艤装があったからだ。

その艦娘を抱えて入渠場へと向かった。

妖介「あ、おかえ……り!?」

奨悟「おう。」

妖介「そ、それどこで見つけたの……?」

奨悟「拾った。」

妖介「しかも轟沈判定の損傷じゃないか。よく生きてたもんだ。」

奨悟「ま、完全に死んでないならなんとかなるだろ。」

入渠場へ連れていくないなや

奨悟「油へェェェッ!!ぽぉぉぉぉん!!」

奨悟は艦娘を放り投げた。

水柱と共に凄い音が鳴る。

奨悟「妖介、時間は?」

妖介「15時間くらいかな。」

奨悟「OK。じゃあとは色々やっておくか。」


暗い暗い海の中。

助けは来ない。

「貴様は責務を果たした。これ以降は練度の上昇も貴様なしで行える。名誉ある死を!」

???「待ってよ提督!僕は必死にやってきたじゃないか!僕らは……」

「所詮貴様ら艦娘は兵器なのだ。いつから私が貴様に情があると思っていたんだ?人間と対等に扱われる理由もなかろう。さぁ、早く死ね……時雨。

時雨「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」

何千もの砲撃を受けて沈んだ。

その海の中で僕は誓った。

生まれ変わったとしても人間なんて信じないと………。

気がつくと布団に寝かされていた。

知らない天井であの鎮守府とは違う所だというのはすぐに分かった。

起き上がり、少々ふらつきながらも僕は足をとめなかった。

艤装が修理されてある。

だから気にせず少し外を動いてみた。

人っ子一人もいない所か妖精すらもいない。

寂れて、使い物にならなくなった鎮守府の施設ばかりだ。

時雨「………。」

景観はいい。

そして、少し動いてたら近くの港町の人に声をかけられた。

「おんやまぁ、艦娘の方ですかなァ。」

時雨は思い出す。あの街では艦娘に近寄らずに恐れていただけの市民を。

だが……。

「これ、どーぞ。少ないけど持ってってちょうだい。」

魚と野菜を渡された。

時雨「あ……ありがとうございます。」

時雨は困惑しながらも受け取った。

不思議なことが多く、部屋に戻ると真っ黒な提督服を着た男がいた。

???「ようやく目を覚ましたか。」

時雨「……もしかして修理してくれたのかい?」

???「だとしたらどうするよ?」

時雨「素直に感謝するよ。ありがとう。」

???「そうか、ま。とりあえず自己紹介といくか。」

奨悟「俺は熱海 奨悟。ここの提督をやってる。」

時雨「時雨。僕は時雨だよ。」

奨悟「時雨か。ちと漢字がわからんからこの紙に書いてもらえるか?」

時雨は溜息をつきながら紙に己の名前を書いた。

時雨「それで、僕を助けて何がしたいの?」

奨悟「ん?俺のとこに来てもらう。ちと上に叛逆したら資材も艦娘も無しに鎮守府運営しろってクソみたいなこと言われたんでな。今契約書出すから。」

そう言うと奨悟は背中を向けた。

チャンスは今しかない。

時雨(ここでこの人間を消さないと、また僕のような艦娘が生まれる。それは避けなきゃいけない。)

修理された艤装を瞬間的に装備し、

時雨「ここは譲れない!」

鎮守府内で砲撃をした。

背後を向いていた彼には直撃しただろう。

時雨「……行かなきゃ。アイツのところに。」

時雨は立って向かおうとした時だった。

奨悟「おいおい、派手にやってくれんじゃねぇか。」

煙の中から無傷の奨悟が現れた。

時雨も流石に驚いたが、奨悟が説明をしてくれた。

奨悟「お前はなぜ俺が生きているのかを疑問に思ってるだろうが簡単だ。お前の砲撃の弾着タイミングを見極めて上に打ち上げたからだ。」

見たところ装備は木刀しかない。だが、ただの木刀では無いのはさっきので分かった。

奨悟「お前、捨て駒にされたんだよ。」

時雨「………。」

奨悟「まぁだからといって赤の他人を撃つのはどうかとは思うがな。」

時雨「関係ないことさ。僕はアイツを殺さなくちゃいけない!」

奨悟「いいや、そんなことさせねぇよ。」

時雨「そんなの僕な認めない!僕がやらなきゃいけないんだ!」

奨悟「ならお前どうして俺を撃つ瞬間に躊躇した?」

時雨「それは……。」

奨悟「てめぇに覚悟が足りねぇからだよクソボケ。」

時雨「人を撃つ覚悟なんて既にできている!」

奨悟「じゃなんで俺は死んでないんだ?お前の砲撃喰らえば死ぬだろ。」

時雨「………。」

奨悟「安心しろ。もうここはお前を恐れたり捨て駒にしたりするやつはいやしない。俺が保証してやるし信用出来ないなら俺を撃て。」

時雨「じゃあ、どうすればいいのさ!僕はもうすがるものも何も無い!力も………どうしようもないんだよ!」

奨悟「だから俺が引っ張ってやる。お前の復讐、手伝ってやる。」

時雨「………どうせ君も裏切るだろ?」

奨悟「だーもうめんどくせぇなぁ。」

奨悟はポリポリと頭をかいて帽子をかぶり、時雨に手を差し伸べて言った。

奨悟「約束は守る、そんでそいつもぶっ飛ばす。だから黙って俺についてこい。」

時雨はその言葉に……救われた。

時雨は思わず泣き始めた。

奨悟「やっぱ艦娘っていっても感情はある。それを無下にするクソを俺は許さねぇよ。お前は今どん底だ。んで、俺もどん底だ。どん底はいいぞ、上を目指して突き進みゃいいだけだからな。だからよ」

奨悟は時雨の頭に手を置いて言った。

奨悟「俺たちで這い上がっていこうぜ。泥水啜ってでも、駆け上がりゃこっちの独壇場だからなぁ!」

奨悟はそう言って笑った。

時雨「……そうだね。でも、僕は轟沈した艦娘だから転属届が出せないよ。」

奨悟「あー安心しろ。もう転属届は書いてある。」

時雨「え?」

奨悟「最初に名前書いてもらったろ?あれ、転属届。」

時雨「でも、軍規には……」

奨悟「軍規もクソもねぇよ。今は師匠の下にいるからやりたい放題だぜ。」

時雨「………僕もやりたい放題していいのかい?」

奨悟「おうともさ。そうじゃなきゃつまらんだろ?」

こうして、艦娘一人もいない鎮守府に艦娘が一人所属することになった。

時雨「改めて……僕は白露型駆逐艦「時雨」。これからよろしくね。」

奨悟「よろしくな時雨。早速で悪いが手伝ってもらうぞ。」

時雨「出撃かい?いいとも。」

奨悟「いや、遠征。」

時雨「え?でも艦娘いないのに遠征出来るわけが…」

奨悟「意外とできるぞ。」

時雨「えぇ……。」

謎の共同生活が始まるようだ。




???「ほら、帰るわよ。」
時雨「ダメだよ。僕はあそこには帰れない。」
奨悟「なんだあこのクソガキ。」
???「ガキっていうな!」
次回
艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス
第七話「ガキのお守り」
奨悟「ここは託児所じゃねーぞ。」
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