艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス   作:Wandarel

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……増えていく仲間。
そして、それだけ辛くなる。
どうして……増えてしまったのだろうか。
あぁ、憎い。奴は狩る。
それは変わらない。変わらないんだ。


第七話「ガキのお守り」

奨吾は時雨と共に遠征に行っていた。

ある程度敵と遭遇したが、時雨は驚かされるばかりだ。

奨吾「くたばれええぇ!!」

深海艦載機を鷲掴みにし、野球みたいにして打ち返して深海棲艦を撃退している。

奨吾「逆転ホームランってな。」

時雨「君、本当に人間かい?」

奨吾「失礼な、人間だぜ。怪我すりゃ死ぬし本を読めなきゃ死ぬ。」

時雨「最後のは絶対間違っているよね?」

奨吾「お、資材だ。」

時雨(話を逸らした……。)

そして、鎮守府へと帰投した。

が、その浜辺に仁王立ちしている艦娘がいた。

奨吾「ん?」

時雨「……こんな所まで来てくれたのか。」

??「ようやく見つけた。早く帰るわよ時雨。」

時雨「それは出来ないよ、満潮。」

奨吾(……満潮っていうのかコイツ。)

満潮「何言ってんのよ、所属はまだ……。」

時雨「僕はもうあの鎮守府の艦娘じゃない……。」

満潮「……どうしたのよ時雨。アンタさっきから変よ?」

奨吾「変なのはテメェだよクソガキ。」

満潮「誰がガキよ!ていうかアンタこそ誰なのよ!」

奨吾がおもむろに時雨の肩を掴み引き寄せる。

奨吾「時雨の旦那だよ。」

バシンと思いっきりビンタされる。

奨吾「……冗談も通じねぇのかこの艦娘。」

時雨「馬鹿なこと言わなければされなかったんじゃないのかい?」

奨吾「……ま、俺はこの熱海鎮守府の提督、アタミ・ショウゴだ。何はともあれよろしくなクソガキ。」

満潮「ご丁寧にどうも、おっさん。」

奨吾「………ほぉ、言うじゃねぇか。んで何しに来たんだ?ここは託児所じゃねーぞ?」

満潮「ふん、人なのに艦娘に強く出れる人間なんてそうそういないと思ってたけどそうでもないみたいね。……私は時雨を連れ戻しに来たのよ。」

奨吾「……それはお前んとこの司令官に頼まれたことか?」

満潮「えぇ、そうよ。」

時雨「!……そうか……君も……。」

満潮「何辛気臭い顔してんのよ、帰るわよ時雨。」

奨吾「……く……ははははっ!!こいつぁ傑作だなオイ!」

奨吾が突然笑い出したことに満潮は違和感を抱く。

満潮「何がおかしいのよ?仲間を連れ戻すのがそんなにおかしいわけ?」

奨吾「あぁおかしいさ、なんせテメェ今の状況わかってねぇからよぉ。」

満潮が言い返そうとした時、奨吾が話始める。

奨吾「お前、時雨がどういう仕打ち受けたか知ってんのか?」

満潮「え?」

奨吾「時雨(コイツ)はな、捨てられたんだよ。テメェが慕ってるであろう司令官とやらにな。」

満潮「………どういうことなの時雨……?」

満潮が顔を強ばらせて聞く。

時雨「……満潮が別の任務でいない時、僕はアイツにとってはいらない存在になって、無理な強襲を要求された。僕もみんなの為と思って深海棲艦の過激派と戦い続けてたんだ。そして、補給が必要になった時に言われたのは……貴艦の勇気ある行動に敬礼する。名誉ある死を称えん。って言われたんだ。」

満潮「あ、アイツがそんなこと……」

奨吾「したからこうして時雨を拾ってんだろうが。テメェのオツムは幼稚園児か?」

満潮「……じゃあ、私も……。」

時雨「見たところ、補給物資も持たされてない。艦娘の捜索ならもっと資材を持たせてるはずだ。どう見ても今の君もアイツ……矢頭 昭一(ヤズ・ショウイチ)中佐に捨てられたんだ。」

満潮「そんな……アイツが……。」

奨吾「………あのよ、テメェ何勘違いしてんのか知らねぇけどな。俺を含め人間ってのは裏切るもんだ。それは艦娘もだ。」

満潮「じゃあ、私は……なんのために……。」

奨吾「おおよそその矢頭ってやつは昇格の為の道具程度にしか思ってねぇんだろうよ。」

奨吾は満潮に現実を突きつける。

奨吾「諦めろ。お前が生き残るすべはもうほとんどない。」

満潮の顔が絶望に染る。そして、満潮は今までの戦闘のプレッシャーと裏切られ叩きつけられた事実に泣いた。

満潮「………ぐっ……うぅ……。」

奨吾「……ちょっと待ってろ。」

奨吾は部屋を出ていった。それを見た時雨が満潮を抱きしめる。

時雨「満潮、ごめんね。僕が……僕がアイツを殺して満潮みたいな艦娘を生み出さないようにする。だから……もう泣かないで。」

満潮「艦娘の存在意義ってなによ……なんのために私たち艦娘は戦ってきたのよ!!」

そこまで言った時、奨吾は戻ってきた。

奨吾「満潮、こいつにお前の名前を書け。」

奨吾が手渡したのは辞表だった。

奨吾「はっきり言うがこの程度の裏切りで動揺する程度のメンタルなら軍にゃ向いてねぇよ。悪いことは言わねぇ、前線から引け。代わりに俺がきっちり落とし前つける。」

満潮「………。」

満潮は何も言わず、動けなかった。

奨吾「……別にお前が望むのなら戦うのもありだ。お前にその覚悟があるのならな。」

時雨「……何もそこまで言うことは……。」

奨吾「あーそれと少し席を外す。好きに過ごせ。ここにいる間は満潮、テメェの安全は保証してやる。」

奨吾はそう言うと出ていった。

奨吾の目は笑っていた。

時雨「満潮、本当に大丈夫。僕達が代わりにアイツを裁く。」

満潮「う……うぅ………。」

満潮はそのまま咽び泣いていた。


奨吾「……さてと、愛知か。」


満潮は気がつくと眠っていた。

泣き続けていたからであろう。

満潮「……私は……。」

時雨「……満潮。」

覚悟を決めねばならない。

そう思っていた時だった。

奨吾「おう、帰ってきたぞ。」

奨吾は麻袋を持って帰ってきた。

時雨「おかえり、提督。」

奨吾「満潮、どうする?」

奨吾は机に置かれている名前の書かれた辞表を見てそう言った。

満潮「私は……辞めない。

そう言うと満潮は奨吾に叩きつけるように辞表を返した。

満潮「私は戦う。私と同じ思いをさせるわけにはいかないから!」

時雨「満潮……いいの?」

満潮「いいのよ。私が決めたことだから。」

奨吾「よく言った。ならテメェらにいいものをくれてやる。」

奨吾は雑に麻袋を置いた。

そして袋の縄を解き始める。

現れたのは、下着以外を剥かれた矢頭昭一だった

時雨、満潮共に寒気がよぎる。

奨吾「ふぅ、重かったなこいつ。」

奨吾はそう言いながら、椅子に括り付ける。

時雨「ど、どうやって……。」

奨吾「六時間もありゃ超級覇王電影弾を使っていけば片道一時間で到着するし、あとは制圧して拉致るだけだ。簡単だろ?」

普通では出来るはずのないことをやってのけた。

時雨(人じゃない……。)

そう思っていると奨吾はおもむろに木刀を引き抜いた。

奨吾「さて、見ていてイライラしてくるな。とっとと起きろクソ野郎。」

そう言うと特製の木刀で矢頭昭一の口を叩いた。

昭一「ぐげぇあっ!!」

矢頭から汚らしい悲鳴があがり、四本ほど折れた歯が飛んだ。

昭一「が……な、なんだここは……!?」

奨吾「おはよーさん。随分長い眠りだったことで。」

昭一「貴様、私が誰かわかっているのか!」

奨吾「ん?矢頭昭一。名前では分かりづらいが女性提督で俺より階級が一つ高い人間。で、己のコネの為なら全てを支払うクズ。だろ?」

昭一「ぐっ……弱小の将校風情が!!」

奨吾「ちと黙れ。」

昭一「ぎっ!!」

奨吾が昭一をもう一度殴り黙らせる。

奨吾「さぁ、あんたに質問だ。この二人を見たことはあるか?」

昭一「!!時雨……満潮…。」

昭一が時雨と満潮を見て驚く。

当然だ。既に海の藻屑となっているはずの艦娘がいるのだから。

奨吾「そうだ、アンタのとこの艦娘だ。俺が拾って助けたんだよ。」

昭一「そ、そうなのか。感謝しよう。」

奨吾「どーいたしまして。」

昭一「と、ところでこの縄は解いてくれないのか?」

奨吾「ん?無理。」

奨吾ははっきりとそう言った。

奨吾「お前さぁ、なんか勘違いしてないか?自分が助けられると救ってくれると?」

昭一「くっ……満潮!時雨!この男を拘束しろ!命令だ!」

昭一のその命令に時雨と満潮が動くことは無かった。

満潮「……あんた、私を見捨てたよね?」

昭一「!?」

満潮「そのことに気づいた時、私がどれだけの思いをしたのかをわかってるの!!」

昭一「す、すまなかった。もう二度としないよ。だから頼む、助けてくれ!」

時雨がそれを聞き、艤装を手にする。

時雨「熱海奨吾、その木刀を地面に捨てて。」

奨吾は舌打ちをしながら木刀を地面に置く。

昭一「た、助かった、時ぐぅおっ!!?」

時雨は昭一の口に艤装の砲門をねじ込んだ。

時雨「勘違いするな。お前は僕の手で殺すって決めてたんだ。誰がお前のことなんかを許すか!」

昭一「ひ……ひぃ……。」

昭一は漏らしながら震えていた。

時雨「お前だけは……お前だけはぁぁぁぁぁぁ!!」

そして、引き金に指をかけたその時だった。

奨吾「もういい。」

奨吾が時雨の手を掴んだ。

時雨「な、何してるんだ!離してくれ!」

奨吾「お前、撃てねぇよ。」

時雨「な!?」

奨吾「指が震えてんだよ。テメェのその覚悟じゃ絶対撃てない。」

時雨「………僕は……僕は……僕には出来ないよ!!」

時雨は泣きながら艤装を下げた。

奨吾「……ありがとう、辛かったろうなお前ら。」

満潮「…アンタ……。」

奨吾「だからあとはよ」

昭一「ごぶ!?」

奨吾は突然昭一の顔面をぶん殴った。

奨吾「俺に任せろ。」

昭一「ま、やめ……。」

奨吾「るせぇ黙れ。」

奨吾はその願いに木刀で答えた。

そこからは地獄だった。

奨吾「さぁ何回で死ぬかな?」

まず足の指の爪を木刀で1つずつ砕き、その次に指の爪を剥ぎ、死なない程度にフルスイングで木刀で殴り続けた。

何回も、何回も。

殴られる度にどこかの骨が折れる音がする。

奨吾「オラオラァッ!!テメェがやってきたことはこんなもんじゃすまねぇんだよお!!」

必死に泣き叫ぶ提督を前に奨吾は容赦なく振るい続ける。

そして、

昭一「ま、まって……あなたも……ブルーコスモスに……入れます……。」

奨吾「ブルーコスモスだ?」

奨吾の手が止まる。

昭一がここぞとばかりに喋る。

昭一「そうです!青き清浄なる世界の為にというスローガンの元、深海棲艦を叩き潰す組織です!あなたのその力、是非つか……ぎぇ!!?」

奨吾は最後まで聞かずに殴った。

奨吾「長すぎる、30文字以内に簡潔にまとめてこい。」

その一撃で、椅子ごと後ろに倒れ縄が解けた。

昭一はその状態で這いずりながら逃げようとする。

奨吾「逃がすわけねぇだろクソボケ。」

奨吾は木刀を振り上げた。

が、そこに時雨と満潮が割り込んできた。

時雨「もういいんだ提督!!」

奨吾「あぁ?」

満潮「やめなさいよ……アンタがこんなことしても、何も変わらないのよ!!」

奨吾「お前らがコイツ殺すって言ってたんだろ?どけ。」

満潮「ダメよ!アンタがこんな奴のために手を汚すなんて私が納得いかない!」

奨吾「あのなぁ、ここはそういう場所じゃねぇんだ。ここできっちりケリつけといた方が後腐れなくていいだろ?」

時雨「……どかないよ、僕たちは。」

奨吾「……。」

奨吾はそのまま木刀をしまった。

奨吾「たくよ……お前らのその甘さを待ってた。」

満潮「え?」

奨吾「お前らは口では大事を抜かすが結局優しさが勝つんだよ。」

時雨「君はそこまで見据えて……。」

奨吾「当然だ。まぁ、それはともかく」

奨吾は灰皿を掴んで昭一の頭に当てた。

もぺっ!?という変な声を上げて気を失った。

奨吾「テメェは絶対に逃がさねぇよ。」

その後、奨吾は黒須元帥に矢頭昭一の身柄を引き渡したが、やりすぎだとして……

修司「この馬鹿弟子がぁぁぁぁぁぁ!だからお前はアホなのだぁ!!」

奨吾「ごぶぁぁ!!」

(ぷらずま)「電の本気を見るのです!」

修司「これで決めるぞ電よ!」

電「はいなのです!」

奨吾「ちょ……ギブ……」

修司「ダァァァクネス!!」

電「ライトニングッ!!」

修司&電「「フィンガァァァァァァッ!!」」

奨吾「ギャァァァァァァァァァァッ!!」

こってり絞られたらしい。


康介「ん?……奨吾か?」

奨吾「よぉ、康介。ちと艦娘引き取ってくれねぇか?」

康介「引き取る?まぁ別に構わないが……どうしたんだ?」

奨吾「クソみたいな鎮守府からの引き抜きだ。頼めるか?」

康介「ははっ、お前はやっぱりそういう優しさがあるよなぁ。OK、引き取るぜ!」

奨吾「バーカ、俺が優しいわけねぇだろ。」

そう言って通信を切った。

奨吾「さて、こっから忙しいぞ妖介。」

妖介「そうだな。そんじゃ、始めようか!」

奨吾「テメェら、今日も遠征行くぞ!」

時雨「任せてよ提督。」

満潮「足引っ張んないでよね、司令官。」

奨吾「……の前に読書するぞテメェら。」

時雨「了解!」

満潮はその様子に苦笑いして言った。

満潮「……私なんでこんな部隊に配属されたのかしら。」




???「こんばんは。」
奨吾「……そういう趣味はないぞ?」
???「安心して、一瞬だから。」
奨吾「さっさと済ませるか。」
次回
艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス
第八話「忍び寄る影」
奨吾「俺を殺ろうなんざ千年早ぇよ。」
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