艦隊これくしょん「Deep・Blue」=スロウス 作:Wandarel
いつでもそばにいる。
そして私もまた……影だ……。
奨吾「ふう……やはり武装などの製造は龍登にはかなわんな。」
今しがた装備の製造をしてみたが思うように上手くいかない。
妖介「相棒、慣れてないことはするもんじゃないさ。」
時雨「……資材あまり無駄にしないでね?」
奨吾「へいへいわかってますよ。」
このだらけきった鎮守府生活も慣れてきた。
満潮「……で、作戦はあるの?」
奨吾「そんな豪華なもんねぇよ。今出来んのは近場の海域の守りだけだ。」
数少ない資源の都合遠征と言えど近場の海域をうろつくしかない。
だが、その功績も相まってか少しづつ昇進はしていった。
奨吾「ふっ、多少は資材を分けてくれるようになってきたな。」
妖介「相棒、刀と「登龍」の整備と強化終わったぞ。」
奨吾「助かる妖介。」
奨吾は受け取った木刀と登龍の試運転を始める。
奨吾「時雨、満潮、最大戦速で競走だ。負けたヤツは今日の掃除当番な。」
満潮「はぁ?自分でやりなさいよそんなの。」
時雨「よーし!僕頑張るぞ!」
満潮「アンタはなんでやる気に満ちてんのよ!」
そして、突然始まった競走。
先陣を切ったのは満潮だった。
満潮「悪いけど、なんであっても私は手加減しないから。」
そう言って二人を置き去りにしていた……。
奨吾「あばよー。」
その横を奨吾が駆け抜けて行った。
満潮「なっ!?」
既に登龍のスピードはそこらの駆逐艦を凌駕するスピードとなっていた。
奨吾「ふはははは!掃除は丸投げじゃぁ!!」
そう言って旋回しようとした奨吾が足を滑らせ海面を転がって行った。
時雨「バーカバーカ!!」
満潮「アンタそういうキャラだっけ?」
最終的に奨吾が掃除当番となった。
奨吾「クソッタレ………。」
掃除をしていると突然後ろに気配を感じた。
奨吾「………こんなクソみたいな鎮守府に来るとはなかなか物好きだな艦娘。名前は?」
川内「こんばんは。異動で熱海鎮守府に務めることになった川内だよ。」
奨吾「よろしく頼む川内。それと……」
川内「ん?」
奨吾「掃除手伝ってくれ。」
翌日
満潮「聞いてないんだけど。」
川内「どーもー!」
時雨「騒がしくなりそうだね。」
奨吾「まぁ戦力が増えることは嬉しい限りだ熱烈歓迎だぞ。」
妖介「その割には目が死んでるぞ相棒。」
奨吾「だって読書する時間削られるんだもん。」
その夜
奨吾「Zzz……」
時雨「Zzz……」
満潮「Zzz……」
川内「どーん☆みんなー!夜だよ!夜戦だよ!夜戦!夜戦行こうよやーせーん!!」
奨吾「うるせえええぇ!!!」
満潮「お前の方がうるさいのよ!!」
ドゴォォン!!
奨吾「…………」プスプス
川内「おはよ!夜戦行こ!」
満潮「冗談じゃないわよ!こんな真夜中に!」
川内「えーどうしてさー!」
奨吾「合理的に考えろ、我々は戦力は低い。そんな時に夜戦なんかやってみろ死ぬぞマジで。」
奨吾が早口で状況を伝える。
川内「でもみんな目を覚ましたでしょ!覚ましてるなら行こ!」
奨吾と満潮が同時に時雨を見る。
奨吾「こいつは凄いな。」
満潮「まぁ、ほんとに尊敬するわねこういう所は。」
時雨はスヤスヤと熟睡していたのだ。
奨吾・満潮「「これでもいくつもり?」」
川内「ちぇー。」
そして、そんな事もあり何回も夜に起こされながらもいた時だった。
???「頃合だ。確実にやれよ?」
??「もちろん。これで……」
???「あぁ、ちゃんと約束は守るよ。」
奨吾「………ん?」
奨吾が腹部の重さに目を覚ますと川内がいた。
奨吾「まーた夜戦か。行かねぇぞ絶対に。」
川内「ん?違うよ?」
奨吾「じゃあなんだ。」
川内「ちょっとした……お・れ・い。」
川内が衣服を脱ぎ始める。
奨吾「……めんどくさいなぁ。」
奨吾はふと目を閉じた。
その瞬間、奨吾の喉元に凶刃が飛ぶ。
奨吾「……。」
川内「あれ?よく見抜いたね提督。」
奨吾「バカ言うな、俺を出し抜こうなんざ百年早いんだよ。」
川内「へぇ……大体のターゲットはこれで始末できるだけどな。」
川内はこの状態でも余裕であった。
奨吾「さてと、事情を説明してもらおうかね?」
川内「簡単、排除命令が出ただけだよ。」
奨吾「ふん、やってみろ。この俺に対してなぁ!!」
先陣を切ったのは川内。
手持ちの苦無を投擲するも奨吾はそれを冷静に見切り回避する。
奨吾「そんなもんで俺を殺れるとでも?」
川内「冗談。私の引き出しは……無限だよ!」
奨吾の足元に石火矢が三つ転がる。
奨吾「ヒュゥー、マジか。」
石火矢が炸裂し轟音が響く。
川内「どうー?これは想定外でしょ?」
奨吾「そうだな、百点中十二点だな。」
奨吾の軍服に煙が着いていたくらいだ。
川内「まだまだ!」
川内は続けて石灰を振りまく。
奨吾「!」
無論、目に入れば致命傷になりかねない。
普通なら避けるもしくは目を覆うをするだろう。
川内(そこを貫く…!)
川内は既にゴーグルを付けている。
そして、奨吾は目を覆うような動きに入った。
川内はその隙を着いた。
川内「もらった!」
だがここで予想外の事が起こる。
奨吾「ちぇァァァっ!!」
奨吾は居合の風圧で石灰を振り抜き払った。
川内「!?」
奨吾「甘いんだよクソボケが。」
そして川内の胴体を薙ぐ。
間一髪川内も忍刀で防いだ。
川内「……すごいね、その木刀何製?」
奨吾「ガンダニュウム合金製だよ。」
そして距離を取った川内が同時の策に移る。
川内(ここに来た時にこの部屋にしかけた数多の罠。それを一斉起動する!)
カチッ
川内は勝利を確信していたが、いつまで経っても罠は発動しない。
川内「な!?」
奨吾「おー、テメェの罠は全部取り外させてもらった。無駄だぜ。」
川内「……な。」
奨吾「で?引き出しは無限と言っていたな?ここからどうする?」
川内「………まだあるよまだ!!」
川内は忍刀を構えて突っ込んだ。
奨吾「いいこと教えてやる。戦いってのはな。」
奨吾は川内の忍刀の刃を木刀で叩き砕いた。そして
奨吾「二手三手先を読んでやるもんだ。」
奨吾は音を置き去りにした居合を打ち込んで一撃で川内を沈めた。
川内「………神通…那珂。」
川内はぼそっとそう言うと気を失った。
奨吾「………さて、IDカードを見るに前にクズが言ってたブルーコスモスってやつか。なら………。」
川内「………失敗か。」
任務に失敗した。
それはすなわち人質諸共消されるということだ。
川内「相手が……悪かったのかもね。」
いつかはどこかで失敗するとは思っていた。けど
川内「思ったより呆気なかったなぁ……。」
そこまで大怪我はしていないが、川内は起き上がった。
自決の準備を始めていた。
川内「さ、すぐに会いに行くからね二人共。」
そして、忍刀を己に突き刺そうとした時その刀身を掴んだ人間がいた。
奨吾「何してんだテメェ。」
川内「……わからない?任務失敗したから自決するの。奴らは失敗の痕跡は残さないから。」
奨吾「ほんとにそれはお前が望んでるのか?」
奨吾は手から血を流しながら問う。
川内「……もちろん。」
奨吾「ダウト。俺に下手な嘘は通じねぇよ。目を見たらわかるからな。」
川内「……逆らえないんだ。アイツらには。私達は最後まで利用されるだけなんだ。だから楽にしてよ……提督……。」
その目は望まぬ暗殺を続けていた少女の涙があった。
奨吾「安心しろ。お前らの所属してる部隊はもれなく消えた。」
川内「……え?」
奨吾「妹達も確保してる。」
川内「嘘よ、だって奴らがそんな事……。」
奨吾「忘れたのか?俺たちには最強の元帥がいるんだぜ?」
そう、奨吾はブルーコスモスの支部を師匠に報告し、師匠の権限を持って破壊と人員の逮捕をしていた。
奨吾「それにお前はもうこの熱海艦隊の一員だ。さっさと手を取れ。行くぞ。」
川内「…………ほんとにいいの?」
奨吾「良くなけりゃ言ってねぇよ。行くぞ川内。黙って俺についてこい。絶対に後悔はさせん。 」
川内もまた、奨吾のこの言葉に救われた。
川内「……ありがとう……ごめんなさい……提督……皆……。」
俯き涙を流しながら奨吾の手を掴んだ。
奨吾はそれを見て、川内の頭を撫でた。
奨吾「ほーん、すごいなお前。」
??「僕はただの味方殺しさ。」
奨吾「ふん、それならば早くやってみせろ。」
??「……。」
次回
艦隊これくしょん「Deep・Blue」・スロウス
第九話「最上の一撃を」
奨吾「覚悟無きやつが寝言を言うな。」