卑劣な天才肌が行くボーダーライフ   作:あもう

4 / 10
特に新キャラは出ません。


若村麗郎①

前回のあらすじ!香取隊を鍛えるよ!

 

という訳で香取隊の部屋までやって来ました。部屋はかなり整理整頓されてて綺麗だな……物色は不味いか。ちなみに染井さんは何やらオペレーターの会議かなんかで居なくて、三浦君は友達と個人戦の約束があるとかで居ない。ところで稽古って何すればいいんだ?

 

「取り敢えず……そうだな、まずはお前らの力が見たい。俺は今回攻撃用のトリガーはB級のトリガーしか使わない。俺が使うA級トリガーも硬いだけのバックワーム一つだ。他にも色々と縛りを付けてやるが…まぁ何はともあれその上でお前らは二人がかりで俺を倒しに来てみろ。」

 

「……はい、わかりました。」

 

そんな真剣な表情になられても上手く教えられる自信が無い。ヤベェ……二つ返事で引き受けなきゃ良かった。

 

「神戸先輩A級なんですね!流石です!」

 

香取さんが上目遣いでこちらを見てくる絵面を見ている麗郎君の冷や汗がまた少し増えた気がする。大丈夫なのかこの隊?

 

「まぁね……取り敢えず先に俺の使うトリガーだけ教えておくな。俺が使うトリガーは4種類、シールド、ハウンド、アステロイド、後強化版バックワームだ。置き弾も使わないし、いつもみたいにエスクードやグラスホッパーを使わない上にハウンドがあるから頑張れば勝てると思う。」

 

ハウンドの使い方なんてもうほとんど覚えていない。ハウンドの個人ポイントはいくつだったっけな……。そしてスコーピオンは保険だ。

 

「分かりました!!」

 

やる気は有りそうで何よりだ。

 

「先輩先輩!!もし勝ったら私ご褒美欲しいです!」

 

香取さんは目をキラキラさせて言っているが……ダメだ、女子ってヨクワカンナイネ。

 

「ご褒美……それなら勝ったら焼肉に連れてってあげよう。」

 

焼肉に連れて行くのは大東時代からの慣わしだ。二宮さんや三輪もそれに倣っているらしい。

 

「焼肉!それも神戸先輩と……!!……やります。」

 

何やら目に静かに燃える炎が灯った気がする。後ろで若村君の冷や汗がまたひとつ増えた。

 

「じゃあブースに入ろうか。」

 

こうして俺達はそのままブースへと向かっていった。

 

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転送完了したらしく、目の前で二人共がトリガーを用意している。俺は30m程離れて待つ事にした。

 

「作戦会議はしとかなくて大丈夫かい?勝利に大事なのは勝つ為のイメージと相手に読まれないムーヴだ。その為にも作戦を綿密に立てることは大事な事だぜ。」

 

実際俺と伊勢さんとで良く立ててたしな…恵は1ミリも作戦立てられない奴だったけど。

 

五分ほどしてあちら側も作戦を立てて準備ができたらしい。さて、お手並み拝見と行こうか。ある程度手加減しながら接戦で勝つぐらいが1番良いと見た。

 

「それじゃあ行くよ……ょーい、ドン!」

 

俺の合図と共に二人がかりで十字砲火を仕掛けてくる。いつもならエスクードで受ける場面だが……

 

「シールド!」

 

俺はシールドを展開する。とはいえそれは片方だけ、もう片方で俺は久方ぶりのハウンドを起動する。

 

「ハウンド!」

 

狙いは若村君だ。彼は咄嗟の判断力に掛けている節がある。そこを治せるのがベストだろう。

 

「し、シールド!!」

 

シールドを展開して防いで来たか。良くも悪くもテンプレートなやり方だな。俺はトリガーをアステロイドに変更する。

 

「んじゃあアステロイド!!」

 

次の狙いは香取さんだ。アステロイドは射程30威力30速度40、至って普通の一撃だが……。

 

「グラスホッパー!!」

 

グラスホッパーを横に起動して避けるか。悪くは無いがこれがハウンドだったらこの時点で不味い気がする。

 

「アステロイド!!」

 

と、言うわけでハウンドにして見た。アステロイドと叫んでいるが真っ赤な嘘である。こういう随所の技の数々のせいで一時期卑劣呼ばわりされていた事は伏せておこう。

 

「グラスホッパー!!……シールド!!」

 

香取さんはグラスホッパーでこちらとの距離を詰めに来たがハウンドに気づいて慌ててシールドで防いだ。結果的に両手のトリガーは塞がってしまっている……つまり。

 

「アステロイド!!」

 

ここで弾速を60威力25射程15にしたアステロイドを放つ。逆に言えば敵に取って絶好の機会になってしまうという事でもある。尤もそれは1対1ならば、だが。

 

「一人で突っ走んな!シールド!」

 

そう、これは1対2である。若村君がシールドを貼るタイミングはベストだった。いつもは多分三浦君がやっているのだろう、少し反応が遅れていた。

 

「ハウンド!」

 

次は若村君にハウンドを放つ。おれが搦手の大半を抜いているため俺のやり口は今単純なトリオン量の力押しだが、だからこそ知恵で工夫すれば勝てる確率はある。

 

「ぐっ……シールド!」

 

シールドで防ぎに来るか……とはいえシールドの強度にもそう余裕は無いだろう。集中シールドで無理矢理防いでいるようだしな。うーん……知恵も何もジリジリ削って終わってしまう気がする。香取さんは……あれ?どこ行った?グラスホッパーで後ろに回り込まれても居なさそうだが……となると上か。あれ?居ないぞ。なんかしら作戦を立てていたらしい。

 

「なんかしら作戦を立てたっぽいな。さてと……アステロイド!!」

 

 

俺の放ったアステロイドは威力30射程35速度35のごくごく普通のアステロイド……ただし狙いは足だが。

 

「シールド……くそっ!」

 

先の射撃で全てにおいてトリオン供給機関と頭を狙った甲斐あってか、若村君は集中シールドの山勘を外したようだ。ジャンプして逃げるも、弾は右足にあたり若村君の右膝から下が無くなる。

 

しかしこの瞬間俺は嫌な予感がした。上を見ると……何処からか来た香取さんが銃を向けているのがわかる。そう言えば俺らのバトルしている左隣はマンションだったな。マンションからグラスホッパーで詰めて撃ちに来たか。とはいえまだまだ遠い。あっちは気付かれた動揺もある筈だ。とはいえシールドで防ぐのはジリ貧、目の前の若村君との十字砲火が再開する。

 

「なら……強化版バックワーム。」

 

俺の強化版バックワームはエスクードの様に1度生成すればそのまま硬化した状態を保てる強度最強のバックワームだが…今回は少し別な使い方をする。

 

「おらよっと!」

 

俺は自分のバックワームを広げて上に投げ付ける。あのバックワームは地味に硬いので香取さんの弾丸やスコーピオン程度ならば防げる。その代わりトリオン消費が激しいのだが俺はトリオンは過多なぐらいあるので無問題である。

 

さて、その隙に俺はトリガーをアステロイド二つに切り替える。若村君はシールドで防ぎつつ撃って来ていた、多少の弾傷は覚悟するべきだろう。とは言っても弾丸の威力でこちらが無理やりかき消せるかもしれないが。

 

「アステロイド+アステロイド=ギムレット!!」

 

合成弾の作成には俺はだいたい3~5秒程度かかる。出水が2秒なのを考えるとそう多い数値ではない。

 

「ぐっ……シールド!!」

 

対して若村君は固定シールドと集中シールドで防ごうとするが……このギムレットは威力60速度28射程12のその位置から少しの所までで射程ギリギリに削った超火力弾である。トリオン差があるし防げるわけも無い。

 

『トリオン供給機関破損。若村ダウン。』

 

俺は即座にその後シールドとハウンドにトリガーを切り替える。上から降ってきた香取さんがそろそろ何かしらの攻撃をしてくる事だろう。

 

「ハウンド!からのシールド!」

 

俺は誰もいない自分の斜め方向にハウンドをぶっぱなす。ハウンドというトリガーは敵への追尾性能を調節出来るのでこれで香取さんには攻撃が行くだろう。そしてシールドは何されるか分からないので固定シールドだ。

 

「グラスホッパー!!」

 

香取さんはその場をグラスホッパーで離れてバックワームを躱しつつこちらに銃撃を放ってくる。だが固定シールドの前では無力だ。そのまま香取さんへとハウンドが当たり、体が蜂の巣になる。

 

『トリオン供給機関破損。香取ダウン。』

 

かくして、俺の勝利へと終わった……そう言えば手を抜いてない気がする。まぁ縛りプレイしたからセーフって事にしとくか。きっとセーフだ。うん。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「神戸先輩本当に強くてカッコイイです!!あんだけ手加減してもこんなに強いとか本当に凄いです!!」

 

結論から言うと2人の反応は両極端だった。まずはテンションが上がった方、香取さんからだが目から凄いきらきらした何かしらが出ている。ウルトラマンかな?期待が眩しいぜ。

 

「いやいやギリギリだったよ。香取さんもセンスがあって強かった。」

 

後者、若村君もはかなり凹んでいる。とは言っても自分で言うのもなんだが俺はボーダートップクラス、仕方ない部分もあるだろう。

 

「若村君は元気だしな……正直手加減する余裕は無かったぐらいには強かったからさ。」

 

これは実際手加減して無いので本当だ。うん。

 

「……先輩、俺どうやったら強くなれますか。どうやったら、犬飼先輩みたいになれますか?」

 

やべぇどうしよう犬飼先輩って誰だ……取り敢えず犬飼先輩とやらはスルーしておくか。俺のサイドエフェクトもそう結論を出したしな。うん。おれは悪くないぞ。

 

「うーん、そうだね、それじゃあ2人とも反省会しようか。まずは二人共何が悪かったと思う?」

 

「……俺は思い切りが足りなくて後手後手に回ってしまいました。決断力が足りなかったです。」

 

若村君もしっかりと自分の問題点の1つは見えているのか。それならばまだいくらでもやりようはある。

 

「……うーん。最後のはシールドで防ぐべきでした。少し攻めすぎちゃったかもしれません。」

 

香取さんも今回の反省点は分かっている様だが、こちらは言っちゃ悪いが若村君と違ってちゃんとセンスがある。鍛えれば普通に個人ポイント1万を超えるぐらいは行けるはずだ。今幾つなのか分からないからあれだが。

 

「そうだね、まずは香取さんは攻めに重きを起きすぎる節がある。そこは治した方がいい……とも一概に言えないな。個人戦ならまだしもチーム戦だと役割とかもあるだろうし、でも防御寄りのやり方もちゃんと考えられるようにはなった方がいいね。」

 

「……はい!」

 

「そうだなぁ……取り敢えずは個人戦を他の人と何回かして防御寄りのやり方のイメージを掴んだ方が良いかもしれない。結局成功するイメージが無ければ成功は出来ないと思うし。取り敢えず緑川に頼んでおくから個人戦で色々経験を積ませて貰って来よう。」

 

「わかりました!!」

 

まぁ俺みたいなサイドエフェクトを持つ一部を除いてだが。

 

俺は年下の女子のキラキラした目線に耐えられないものを少し感じながらも緑川へと全てを押し付ける事にした。決して精神をゴリゴリに削られたからとかではない。緑川は二つ返事でOKしてくれたし、後は頼んだ……。

 

そのまま香取さんは個人戦をしに部屋を出ていった。

 

「さて……若村君だけど、悩むのは分かるけど取り敢えずダメ元で動いてみる、って事も大事になる時があるからね。何でもいいから動く癖を付けるべき……いやでもかえって悪手を撃ちまくるのもまずいからこっちも慣れしかないのか?」

 

うーん、サイドエフェクトに頼りすぎてこの手の悩みに共感ができないな。犬飼先輩ってのもよくわからんし。

 

「とりあえず、香取さんにも似たような事を言ったけど悩むのは多分成功のイメージとか勝ちパターンが頭に思い付かないからだと思うんだよねぇ。色んなチームのログを見たり、色んな人と個人戦やったりしてそこに関しては増やしていくしかないかな。後は……負けた試合で『どうすれば勝てたか。』とか、他の人の負けた試合で『自分ならどうやって勝ちに結びつけるか』みたいなのを常に考えれるにしようか!」

 

「はい……わかりました。」

 

どうにも表情が暗いな。そんなに筋が悪い感じはして無い気がするんだが。さて……どうしたものか。

 

「香取さんと仲悪そうだったねそういえば。」

 

「あいつは……いつも自分勝手に動くんですよ。でもそれが正しいにしても間違ってるにしても即決即断は出来てる…俺に足りないものを持ってるんです。でも俺はあいつに取ってたぶん必要ない……くそっ。」

 

思っていたよりも正しく理解『は』しているようだ。なんか俺の香取さんのイメージとだいぶ違うが、親しき仲にも礼儀ありという事なのかもしれない。

 

「そうだね。見返したくない?香取さんの事。」

 

という訳で対抗心を擽る戦法で行こう。俺のサイドエフェクトがそう結論付けた。

 

「……はい。でもどうすれば……。」

 

「まずは今言った事は常にやって欲しい。それが若村君の今1番の成長に繋がるからね。取り敢えずどんな試合にせよ1日20ログ見るのは確定だな。これ宿題ね。」

20ログなら1時間半程度で何とかなるだろう。多分。常人の脳がわからんからなんとも言えんが。

 

「分かりました。」

 

「で、ここからは俺の提案なんだけどさ、判断力が遅いとその分相手のアクションに対するアクションが遅くなっちゃうと思うんだよねぇ……結果的に不意打ちを食らったり、シールドで攻撃を止められたりする、違う?」

 

「はい、その通りです。それで提案というのは……?」

 

これは完全な個人的な主観だ。成功する保証もない。

 

「いや、ものは試しって言うから1回やってみない事にはなんとも言えないんだけどさ……鉛弾を使ってみない?」

 

「鉛弾……ですか?」

 

鉛弾の存在は……まぁ流石に知っているだろうがおそらくはなんで進められてるのか分からないと言った所か。

 

「そうそう、極論だけど困ったら鉛弾で射撃を打っちゃえばシールドは無関係だし、詰められても最低限仕事はしてから緊急脱出出来るかなと思って……とは言ってもトリオンの量との兼ね合いとか、今あるトリガーとの相性とか、弾速の低下をどれぐらいするかみたいな問題はあるけどね。」

 

若村君は悩んでいるようだ。まぁ無理も無いか。

 

「……今のトリガーはメインがシールド、アステロイド(突撃銃)、ハウンド(突撃銃)、サブがカメレオンとバックワームとシールドです。トリオンはそこまで多い方では無いです……。」

 

若村君のトリオン量は多分三輪と大差ない。三輪が実践で使えている以上全くの無意味って事は無いだろうが……。

 

「トリオンに余裕が無いならカメレオンかバックワームの枠とを削って交換でもいいかもしれんなぁ……試合毎にカメレオンとバックワームを使い分けしてくるだけでも敵からしたらウザイだろうし。まぁまずは鉛弾の威力を見てからだな。」

 

「分かりました…。」

 

俺は設定をいじり若村君の突撃銃(アステロイド)に鉛弾をセットして的を出してみる。距離はだいたい10m程

 

「鉛弾!!」

 

しかし若村君の鉛弾(アステロイド)は8m付近までしか弾速を維持出来なかった。カメレオンとバックワームを両方削ってもせいぜいが12mって所だろうか……これならば別プランにした方が良さそうだな。とは言え射撃の腕自体はある程度あるようで当てる事は訓練を積めば何とかなりそうな感じがある。

 

「うーん……8メートルぐらいならカメレオンと併用して近付いて鉛弾を当てる、みたいなスタイルのが良いかもしれないな。カメレオンつけてる以上警戒はされるからシールドとか貼られたりするだろうけど鉛弾ならば貫通するし、隠し味としては悪く無いんじゃないか?別に使い勝手で苦労してる感じも無いしな。」

 

「確かに多少射程と弾速に苦戦はしますけど他のトリガーよりかは使える気がします。カメレオンからの鉛弾……そんな手は俺には思い付きませんでした。」

 

若村君が悔しそうに唇を噛むがこれは元々俺が開発しようとしていた戦術の1種だ。鉛弾が個人的に合わなかったのでボツになったが作戦自体はそこまで悪くない。

 

 

「当てるだけの腕はありそうだしあとは練習あるのみかな。と言ってもこの戦術を使うか使わないかは若村君次第だけどね。」

 

本人がNOと言えばもちろんそれまでである。

 

「…いえ、ありがたく使わせて貰います。本当に何から何までありがとうございます。俺はもう少し練習しようと思います。」

 

若村君はその場で深々と頭を下げる。そんなに頭を下げられる程ではない気がするが……まぁいいや。

 

「またなんかあったら呼んでくれていいぞ。これ俺の連絡先だから。それじゃあな!」

 

俺はそのまま香取隊を後にした。鉛弾が吉と出るか凶と出るかは今後の若村君次第だろう。楽しみに見守らせてもらうとしよう。

 

 

この後、俺の連絡先を図らずとも入手した香取さんが大いに喜んで、若村君への態度が良くなり香取隊が少し平和になり、それを狙ってやったと思われた三浦君からの尊敬が深まるようになるのだが、この事を当時の俺に予測しろというのは流石に酷な話である。

 




テンペスト……狙撃銃型トリガー、神戸の手によって密かに現在量産の計画が進んでおり第4の狙撃銃トリガーになろうとしている。神戸は雷蔵に開発がバレたくないらしいが既に雷蔵が開発の一件を知っている事を神戸は知らない。

BBF参照の狙撃手用トリガーのステータス

特価能力…威力&射程

威力S
射程S
弾速A
速射D
軽さC(イーグレットと同程度)

ちなみに比較の参考までにライトニングのBBFのデータは

威力C
射程B
弾速SS
速射B
軽さB


である。
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