卑劣な天才肌が行くボーダーライフ   作:あもう

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※メタ的な都合でB.B.R中の解説等は視点が切り替わります、ご了承ください。

今回から登場するキャラ(一部)


武富桜子……B級下位部隊海老名隊のオペレーターにして、ランク戦とB.B.Rに実況・解説システムを作ったスゴい人。神戸の事は一切知らない。実況の際は全ての人間に先輩or隊長or隊員付けをするようにしている。噂では全部を録音した音声データがあり、それをニマニマしながら聞いている極度の声フェチだとか。

風間蒼也……A級3位風間隊の隊長、理性的な思考をしているため神戸に動きを読まれやすく相性が悪い。神戸に負け越している。小学生とよく間違えられる事があり、内心気にしている。そのせいか常に牛乳を飲んでいる。神戸の事は内心ライバル視している事を神戸は知らない。


武富桜子①

本日はB.B.R当日。やはり大きな大会なだけあってか、観客席にはそこそこの人がいた。それは勿論この大会の知名度もあったのだろうが、解説役の3人の影響も大きかっただろう。

 

「さぁさぁやって参りました!!第22回B.B.R!!今回実況は私、武富桜子そして解説は〜〜っ!A級3位部隊風間隊隊長の風間蒼也さんと、かつてのA級1位舞台を率いた始まりのスナイパーの東春秋さん、A級1位太刀川隊が誇る弾バカの出水公平さんの3人でお送りします!!」

 

まずは実況、いつもの通り海老名隊オペレーター武富桜子である。ボーダー実況と言えばこの人、と言われるだけの人間であり、裏でヤバい趣味がある事を除けば間違えなくボーダーに貢献をしている。

 

 

「よろしく頼む。」

 

そしてA級3位部隊風間隊隊長の風間蒼也、ボーダーでも古株な方であり、突然実力もトップクラスだ。そして冷静な判断力と頭を使った戦闘スタイル等理性的な戦い方をしているので解説として適任な人物の一人であることは間違えない。

 

「どうぞよろしく。」

 

そして元A級1位部隊の隊長にして原初のスナイパー、東塾とまで巷で呼ばれる程の戦術力とそれを教える力を持った東春秋が解説としている。これだけでこの解説には莫大な価値が跳ね上がっていると言えるだろう。

 

「どうぞよろしく……ってなんか俺だけ扱い雑じゃね?」

 

 

そしてオチ要員……では無くA級1位部隊太刀川隊の射手、出水公平。極度の天才肌であり、射手としての技術は一流である。決してオチ要員ではない。

 

「それではまずは今回のB.B.Rについて知らない人もいると思いますので軽く解説をお願いします!!」

 

この話題ぶりの上手さはやはりランク戦実況のプロだからこそ出来ることなのかもしれない。

 

「そうですね……一言で言ってしまうなら自分以外は敵、最後の一人になれば優勝です。マップは毎年常に市街地Aで固定されていますね。他の隊員を倒せば個人戦のように個人ポイントを相手から奪うことが出来、優勝すると全てのトリガーで個人ポイントが+1000されます。かなり稼げる機会ですので沢山の正隊員が毎年参加しますね。」

 

東さんの要所要所を要約してある解説は素晴らしい。

 

「加えて言うなら擬似制限時間は3時間、それを過ぎるとだんだんマップが縮小していき、ランク戦同様にマップ外に出ればその時点でゲームオーバーになる。これは本人達はレーダーで確認出来る。」

 

「なるほど……ありがとうございます。また、パワーバランスの問題からS級隊員、玉狛の隊員、優勝経験者は参加出来ないものとなっております。解説席に座っている御三方も風間先輩が第5回で、出水先輩が第8回で、東さんが第10回で優勝されています!」

 

その言葉に会場がどよめくが無理も無い。彼らでさえそれだけ優勝するのに時期がかかっている。その現実がこの大会がいかにレベルが高いかを語らずとも語っている。

 

「S級隊員は黒トリガーとノーマルトリガーに差があるから初めからでられなかった、優勝者も始めから出られなかったが……玉狛だけは後からの追加ルールだな。第1回の優勝者は太刀川だが、第2回が木崎、第3回が小南と立て続けに優勝した事を危険視したのだろう。第4回からは玉狛は出禁を食らったわけだ。」

 

その言葉を聞いた大衆は納得した事だろう。

 

「とは言ってもだいたい強い奴は優勝しただろ?第4回が二宮さん、第6回が冬真さんで第7回がカゲ、第9回が鋼さん、そこから色々続いて、この前の第22回で優勝したのが佐伯だろ?」

 

「いや、今回は片桐隊、緑川以外の草壁隊、嵐山隊が参加出来ないが、それらを除いてもまだA級ならば歌川や黒江、米屋や緑川もいる。B級だけで見ても王子や辻、犬飼、ゾエにユズル、那須に照屋、香取等まだまだ精鋭揃いだろう。」

 

まっさきに自分の隊の歌川を出す当たりに風間さんの隊長感を観客は感じた。

 

「それに、今回はアイツが戻って来ましたからね。」

 

「アイツ……ですか?」

 

東さんの一言に過敏に反応する武富だったが、東さんはアイツが悪目立ちすることを嫌うタイプだった事を思い出し言葉を濁すことにした。恐らく後で出す事になるのでほぼ無意味だろうが。

 

「まぁ見てれば分かりますよ。」

 

「なるほど…東さんの言う『アイツ』にも注目ですね。それでは三人は今回の優勝は誰だと思いますか?」

 

「歌川だ。」

 

風間さんのノータイムで放った一言に会場が苦笑する。こう言うのを隊員思いというのかもしれない。

 

「俺としてはそろそろ槍バカ……じゃなくて米屋に優勝して欲しいけどなぁ。」

 

このふたりがプライベートでも仲良しなのは皆も知る所だ。完全に私情が入っている2人をよそ目に東は1つの結論を出す。

 

「俺の予想では優勝は神戸だと思う。」

 

「んえ!?神戸戻って来たのか!」

 

「なるほどな……それは厳しい戦いになりそうだ。」

 

2人とも名前を聞いた瞬間にそれは反則だろと言わんばかりの顔をする。

 

「えーと……神戸さんというのは何方でしょうか?」

 

誰もがこの場で思っているであろうことを口にする。神戸の知名度ならば当然の事だ。

 

「神戸真……初代東隊が1位だった時のA級3位部隊『伊勢隊』のエースにして、恐らく現在も全トリガーを合わせた全トリガー総合1位であろう男だ。詳しい戦い方なんかはまた試合中に話す事になるだろうが奴は強い。」

 

風間さんの太鼓判で場がどよめく。無名がいきなり優勝候補と言われれば無理も無いだろうが。

 

「神戸はA級の権利を使ってカスタマイズした、細かいものも含めて10種のトリガーを試合ごとに使い分けてきます。その上実力は本物です。色々用事があり2年近くボーダーに顔を出していませんでしたが戻って来てるとは……。」

 

東さんの発言は勿論事実としては違うのだがそんな事をこの場で話せるわけもない。基本的に近界へ渡った事を口外する事自体がボーダーの規律違反なのだ。これはほかの隊員に真似させないためでもある。

 

「実際俺は神戸には負け越している。今回は神戸を誰が倒すのかも見所のひとつだろうな。」

 

風間さんを持ってして負け越しているという現実にまたもや会場がどよめく。現攻撃手2位に勝ち越すのは常識的に考えてやばいと言わざるを得ないだろう。

 

「恐ろしいですね……おっと、そろそろ始まる模様です!」

 

当然だが解説席での会話を出場した隊員達は知らない、故に大半の今回出場している隊員は神戸の存在を知らない事になる。

 

「それでは…B.B.R!!スタートです!」

 

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俺達は一世に転送された。場所は当然ランダムだろう。とはいえ最初の転送位置はある程度固定されているので大体の場所はわかる。人数が多い今回だがそれでも等間隔に配置されているはずだ。

 

「グラスホッパー!!」

 

俺はグラスホッパーで誰かしらがいると思われる位置まで距離を詰める。流石にこんな初手から位置取りを出来ている狙撃手は居ないだろう。レーダー頼りだが誰かしらが居る事ぐらいはわかるだろう。

 

ビンゴだ。誰か知らないがやっぱり居たか……とはいえ距離は200メートルほど離れている。相手の雰囲気からしてもバレては居なさそうだな。

 

「テンペスト……発射。」

 

俺はテンペストを装備して発射する。不意打ちが上手くいったらしく相手の心臓に綺麗に弾が命中した。

 

「な……いつの……間に……!?」

 

『トリオン供給機関破損、唯我ダウン。』

 

唯我って確かA級隊員だったか。ラッキーだな。

 

唯我がダウンするタイミングで別方向からも2つの光が、合わせて3つの光が天へと昇っていく。これが本当の昇天か?

 

「……エスクード!C1!」

 

危ねぇな……余計な事を考えてたら狙撃手から一撃を食らう所だった。とはいえ狙撃手の狙撃銃はアイビス。打った方向はわかるし聞こえた音と弾のズレから考えて位置はかなり近いだろう。ちなみにこの時緊急脱出の光が一つ空へと飛んで行った。

 

「あれか……バイパー+アステロイド=コブラ!」

 

今回は威力マシマシ型のアステロイド+鳥籠と見せかけた集中砲火型の弾道だ。シールド如きでは止められない。エスクードを持っている人間は恐らく少ない。なんの問題も無いな。うん。

 

「シールド!!……嘘だろ!!」

 

案の定シールドを貼った相手狙撃手のシールドごと打ち破ってベイルアウトして行った。

 

『トリオン供給機関破損、半崎ダウン。』

 

ちなみに同じタイミングぐらいでもう1つ緊急脱出の後が見えた。あちこちで混戦しているようだな。

 

取り敢えず近くに人は居なくなった……まぁ俺の周りで続々キルレしてれば当然の反応か。

 

まぁいいや、民家の中に入ってひとまず色々確保するとしよう。人間1番隙ができるのは予想出来ない事が起きた時である。奇襲というのはそれ相応に効果がある。

 

一つ目の民家に入った俺はバックワームを起動しそのままクローゼットを荒らす。さながら強盗である。

 

市街地A…というか全てのマップは本来三門市にある地形に寄せて作られており、それは不変である。何が言いたいか。ある程度マップ上に何があるかは把握しているのだ。この家の2回のクローゼットには確かリュックがあったはずだ。

 

俺は階段を上り2回のクローゼットを開く。やっぱりあったかリュック……。俺はリュックを背負って下におり、そのまま冷蔵庫の中にあるキュウリとゴボウ(丸々1本)を背負い、そのまま外に出る。傍から見たら何してるのか全く分からないだろうなこれ……。

 

俺が民家を出るとまた2本空へと光が飛んで行った。そろそろ序盤も本詰めと言った所か。今頃解説席で俺の動きはどんな事を言われている事やら……。

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「さて、ここまで色々ありましたが1度振り返ってみたいと思います。まずは序盤の神戸先輩の2人を即落とししたところから行きたいと思います。」

 

解説席では序盤も本詰めという事で解説が行われていた。

 

「そうですね。まずは唯我が落とされた所ですがこちらは狙撃手に狙われたり、高台を取られる前にさっさと近くの敵を倒してしまおうという考えでしょう。唯我もまさかあんなに早く狙撃されるとは思わなかったでしょうね。情報が少ないアドバンテージを上手く活かしました。」

 

東さんの発言は特に隊員達から定評がある。それは今回に置いても同じことだ。

 

「なるほど…それでいいますと神戸先輩が見たことの無い狙撃銃を使われているのですが…。」

 

「あれが神戸のA級用トリガーの一つ目、テンペストだ。アイビスとイーグレットを足して二で割ったような狙撃銃だと思えばいい。神戸は隊員でありながら同時にエンジニアだからトリガーの開発はお手の物だろう。ちなみに来期からは他の隊員も使えるように量産するらしい。」

 

それを聞いた狙撃手組は浮き足立っていたが、彼らはまだテンペストの扱いの大変さを知らない。

 

「なるほど、狙撃手の方には耳寄りですね。次に半崎先輩との1体1についてです。」

 

「こちらはもっとシンプルだぜ?半崎の狙撃を警戒してシールドを貼って、そのまま合成弾でカウンターをしただけだ。合成弾の火力と神戸さんのトリオン量も相まってシールドごと粉砕って所だろうな。」

 

現射手2位はあっけらかんと言うがそもそも合成弾はそんなに簡単にポンポン作れていいものでは無い。

 

「コブラについての解説もお聞きしたい所ですが残念ながら時間の関係で今は割愛させて頂きます。それにしても神戸先輩はトリオン量も高いんですね。」

 

「確か神戸のトリオンは14、二宮と同程度の数値だったはずです。」

 

その言葉に会場がザワつくが無理も無いだろう。

 

「オホン…えぇ、次は緑川先輩対吉里先輩、黒江先輩対月見先輩ですが……」

 

「こっちは語る事もあまりねぇな。シンプルに実力差が出た感じだ。まぁA級隊員と当たるとキツいわな。古寺と間宮、歌川と鯉沼の対決についても同じような感じだと思うぜ。」

 

容赦ないように聞こえるが実際その通りだろう。A級隊員というのはそれだけで強い。

 

「それでは最後に、王子先輩と南沢先輩、笹森先輩のバトルについてですが……。」

 

「王子は上手いことやりましたね。南沢と笹森がやり合っているところを横取りという形になりましたが最初から狙っていたように見えます。笹森がカメレオンを使ったタイミングで綺麗にハウンドを死角から入れてますからね。」

 

「加えて笹森を狙ったのも良かったな。南沢は笹森がカメレオンで奇襲した際に右腕を失っていた。手負いの南沢から狙うのも、カメレオン起動時にハウンドを使うのもいい判断だった。流石はB級4位王子隊の隊長だな。」

 

風間と王子が普段喋っていることなどほとんど無いが評価はしているらしい。

 

「加えて海は右腕がねぇのが響いたな。右腕さえあれば王子の腕の1本ぐらいは取れただろうよ。油断したな。」

 

「なるほど……おおっと!?ここで神戸先輩が民家の中からリュック、ごぼう、きゅうりを持って出てきた。これは何故でしょうか?」

 

その異様な絵面に観客席は釘付けになるが無理もないだろう。

 

「あれは……具体的な狙いまでは分からないが神戸ならばそう驚く事も無いだろう。おそらくは何かしらの目眩しか罠か、それともフェイクか。神戸は『こういった奇襲の手』は割と使う。奴が昔卑劣な研究者というあだ名が着いていたのを思い出すな。」

 

「卑劣な…研究者ですか。」

 

その言葉にまたもや会場がざわつく。

 

「そうだな、一つ例を出すなら電気ストーブと水入りのペットボトルを民家から持ってきて敵に投げつけて水蒸気爆発を目眩しに攻撃したなんて事があったな。」

 

その言葉に会場中が神戸にドン引きするのだがそれを神戸は知らない。

 

「なるほど……これからの神戸先輩の奇襲も楽しみです。B.B.Rはまだ始まったばかりです!これからどうなるのか、期待が高まりますね!」

 

 

 




現在の撃破状況

王子→笹森、南沢
神戸→唯我、半崎
古寺→間宮
歌川→鯉沼
緑川→吉里
黒江→月見

神戸の心の声

→桜子……え?実況解説システム作成ってすごくね?
→風間……やりやすい相手。たまに怖い。

←桜子……この先輩頭おかしいんじゃ……
←風間……絶対に勝ち越す。
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