卑劣な天才肌が行くボーダーライフ   作:あもう

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今話に出てくるキャラ紹介(一部)

東春秋……皆さんご存知原初のA級1位部隊東隊を率いた狙撃手にして、戦術の神。彼に教わる人は未だ数知れない為、ボーダー内で崇められている。上層部からも現場監督みたいな扱いを受けている。神戸も戦術の基本を教わっており東さんに頭が上がらないので神か何かだと思われる。東さん曰く「なんか思ってたのと違う意味で戦術使うのが上手くなった。」らしい。

出水公平……A級1位部隊にいる弾バカ、個人戦では射手2位であり、別に成績も悪くないが弾バカ。戦術もしっかりしている上に、天才肌で「なんかできた」で合成弾を生み出した天才だが弾バカ。神戸は先輩なのに割と呼び捨てにしている。本人曰く「あの人フランクだし大丈夫でしょ。」との事。純粋な射手としての腕ならば神戸より高い。


武富桜子②

前回のあらすじ!B.B.R開始!キュウリ、ゴボウ、リュックをゲットだぜ。

 

「さてと……リュックの蓋は開きっぱなしにしといてと……。お、近くに1人だけ敵がいるぞ?反応からして隣の家か……今回メテオラ持ってきてねぇし面倒くせぇな。」

 

俺は家の中を探す。ライターやマッチでも有れば隣の家を燃やすのだが流石にないか。面倒だな。それにしてもこんなに至近距離に居るのにバックワームを使わないか。カメレオンで奇襲でもしたいんだろう。

 

「態々相手の土俵で相手をしてやるつもりも無いか……釣りが1番か?」

 

相手が狙撃手なら十中八九この場面はバックワームを付けるだろう。となると射手、銃手、攻撃手のいずれか。攻撃手ならば近づかなければ攻撃はできない。銃手、射手にしても離れ過ぎては辛いだろう。となると気付いてないフリをして警戒して最低限の距離を保ちつつ釣るのが最適解って所か?

 

「流石にレーダー見てテンペスト壁抜きはキツイよなぁ……。それにしてもまた誰か緊急脱出したな。」

 

それを成功させるレーダーのアシストをしてみせる頼れるかつてのオペレーターはもう居ない。そもそも個人戦の延長戦上の大会なのでオペレーターには頼れないのだが。

 

ここは釣り一択だな。

 

俺はこれみよがしに姿を見せてやることにした。コンセプトはやられる前にやるだな。俺は右手に透明化させたスコーピオンを、左手に透明化させたシールドを用意しておく。そして俺が階段を登り、2回の廊下にさしかかろうとした瞬間に後ろから銃撃が飛んで来た。

 

「かかったな……シールド!C1!!」

 

まぁだいたい予報通りだ。『いつ』かは分からなくても来ると分かってれば対策はそう難しくない。そう思いながら俺は透明化させたスコーピオンを背中から生やして後ろに伸ばす。さっきの銃撃位置から割り出すにだいたいここら辺だろう。

 

「チッ……不味いな。」

 

カメレオンを起動していた相手は銃手のようだ。当たったのは右腕だけか。狭い場所とはいえ流石にノールックはキツイものがあるな。

 

「メテオラ!」

 

相手は固定シールドを貼りながら器用にメテオラを投げて来た。こっちも固定シールドだな。

 

メテオラの煙で見えないが一応『いたであろう』位置にアステロイドは適当に放っておくか。

 

 

 

……まぁ当たらんよな。知ってた。下手な鉄砲も数打ちゃ当たると言うが一発で当たる訳も無いだろう。さてどうしようか……。

 

『戦闘体活動限界、漆間ダウン。』

 

「……え?」

 

だがそんな考えは無情にも、固定シールドを解除した瞬間に頭を切られ、緊急脱出していく目の前の敵を見て無に帰した。あと全く関係無いけどまたどっかで1人緊急脱出して行ったな。

 

「先輩、お手合わせ願います。」

 

恐ろしい速度で目の前の敵を切り刻んみ現れたのはA級加古隊のエース、黒江双葉だった。

 

「マジかよ……メテオラの爆撃で敵が寄ってくる前にトンズラしたかったんだけど。」

 

それにしても凄い速度だな。あれは一体どういうシステムだ?恐らくは改造トリガーなんだろうが……。

 

「この前は個人戦して貰えなかったので、今回はして欲しいです。」

 

そう言われると逃げるわけにも行かない気がしてきた。と言っても高速斬撃の対策法なんかなんも思いついて無いんだけどな。なんか体の周りがバチバチし始めたんだけど機械少女かな?トリガーはモビルスーツでは無いんだが…。

 

そして睨み合うこと数秒、やっぱり恐ろしい速度で双葉は突撃して来た。とは言えあくまでも速度だけ、来ると分かっていれば時間を稼ぐ『だけ』ならいくらでも方法はあるだろう。

 

「グラスホッパー!!」

 

と、言うわけで双葉が高速斬撃で進む足元にグラスホッパーを用意して踏ませてもらった。双葉歯そのまま宙を飛びながら高速斬撃は空を切る。

 

……何故そのまま宙で同じ動きをした?そのまま此方に踵を返すものとばかりてっきり思っていたんだが…コントロール力不足?A級隊員でそれは有り得ないだろう。

 

となると何かしらで予めの軌道が決まっていると考えるべきか。動く前に軌道を決めているのか、そもそもトリガーとして軌道が決まっているのか、或いは……

 

まぁそっちの考察は今はいい。大事なのは軌道をコントロールできない何かしらがあるであろう。という事実だけだ。

 

「グラスホッパーとは……駿が負けるだけの事はあります、流石ですね。」

 

「いやいや…なかなかにギリギリだったんだけどなぁ……。」

 

何故毎回攻撃の前に話し掛けてくるのだろう。最近のボーダーでの礼儀としてそれが当たり前なのか?また周りがバチバチ光出したな。恐らくはあれがトリガー仕様の合図か、速さ故にタメがあるらしい。あのタイミングで軌道を設定してる説が濃厚だな。となると。

 

「エスクード!C1!」

 

(あとこっそりスコーピオン…C4!)

 

俺は双葉の首あたりの高さに透明化させたスコーピオンを出す。と言っても当てる相手は今回は双葉では無い。俺はエスクードと民家の間にスコーピオンをぶっ刺す。間違えなく相手はエスクードを避けて攻撃に来るだろう。であるならば透明化させたスコーピオンを両横の民家とスコーピオンの間にワイヤーの如く貼り、そのまま斬撃をしに此方に高速で移動すればKOという訳だ。幸いこちらのトリガーの『タネ』は割れていない。

 

「エスクードで止められるほど甘くはありませんよ…神戸先輩。」

 

そのまま予想通り双葉はエスクードを避けた高速スピードで此方へと詰め寄ってきた。先程のグラスホッパーで飛ばされた際に使用しなかった事からグラスホッパーを持っていないであろう予想は着いていた。そしてそのまま首ははね飛ばされる……が首が飛んで緊急脱出するギリギリ前に此方に体が追いついて来た。どうなってんだこのトリガー。つまり斬撃は此方に来ると言うことで……。

「不味い…!?シールド!!C1!」

 

思わずここで固定シールドを貼ったのは英断だった。グラスホッパーで上に飛ぼうものなら狙撃手に射抜かれかねないし、エスクードは間に合いそうにもない。スコーピオンの耐久力はタカがしれてる…だが、相手は刃トリガー。いかに俺の固定シールドとトリオンの高さがあっても一気に火力、速度こそ落ちたが斬撃は死んじゃくれなかった。

 

「チッ……。」

 

俺は肩に少し斬撃を入れられてしまった。相手の体をグラスホッパーで飛ばすなりなんなり方法はあったのだが安定を狙った俺のミスだな。それにしても復帰してから初めて攻撃を食らったな。

 

「お見事です。」

 

「その台詞はそのままそっくり返させて貰おうか。」

 

『戦闘体活動限界、黒江ダウン。』

 

ぶっちゃけ駿より強い気がするんだが…駿は同期にアレがいるとなるとかなりキツイな。とは言え2人ともA級隊員、並のレベルから見てぶっ壊れなのは間違えない。それにしても何があったか分からないのに取り乱さない精神力は尊敬に値するな。それよりもさっきの爆発で人が集まりかねない。さっさとバックワームを羽織って撤退するべきだろう。

 

「撤退なんかさせる訳ねぇだろ……俺がお前のやばさを知らないとでも思ってんのか?」

 

しかし撤退できない…どころの話ではなかった。

 

「諏訪さん……マジで言ってんの?」

 

そう、俺を取り囲むように攻撃手、銃手、射手が15人程度もいるのだから。そしてどうせこれに加えて狙撃手もいるだろうから20人程度って所か?諏訪さんの統率力のせいか、俺が目立ちすぎたか……A級隊員の中でも双葉はかなり強い部類だったのかもしれない。出水レベルということはいくら何でもないと信じたいが…。

 

「お前を潰すにはこれでも足りねぇぐらいだろ。達人でも常に360°を警戒するのはキツイだろ?」

 

「全くだな。流石にこれは誰でも撤退一択だろ。ところでまた誰か飛んでったぞ?」

 

「俺らには関係無ぇな。それにしても逃げられると思ってんのか?」

 

「まぁやれるだけやってみるさ。」

 

迅さんでもなきゃこんな状況抜け出すに決まっているだろうよ。カメレオンもバックワームも無いのが辛いところだが。俺は目の前の奴にスコーピオンを纏ったキュウリをぶん投げて撤退を選択する。

 

「は?キュウリ……!?ただの目眩しか!」

 

だが目の前の奴はただのキュウリだと勘違いしたらしい。

 

「……待て!そいつは…!」

 

最後まで諏訪さんが言い終わる前に、目の前の男の首は飛んで行った。流石に警戒心無さすぎない?B級に上がりたてなんだろうか…?

 

『戦闘体活動限界。茂手木ダウン。』

 

「シールド!C4!からのグラスホッパー!!」

 

と、言うわけで俺は警戒もクソもないトリオン量任せのトンズラを決定した。少なくともこれで攻撃手に狙われる心配は無い。諏訪さんも堤もショットガンスタイルなので射程は短いのでこちらも射程範囲外とみた。あとは知らん。

 

ちなみにシールドは透明化させて固定シールドに一部穴を開けただけの簡易固定シールドだ。それにしても何故俺はあんなに大量の人数に協力して囲まれるんだ?まだ何もしてないような気がするんだが……。

 

 

この後俺はあちこちに俺が迅さん並に強いと触れ回った駿に裁きの鉄槌と称したデコピンをかますことになるのだがそんなことを俺は知るよしも無い。

 

「グラスホッパー!!からの置き土産アステロイドだ!」

 

と、言うわけで俺は固定シールドみたいなのを貼ってそのまま空中浮遊をする事にした。とは言え勿論空中浮遊をしているのに穴を開けたのは当然訳がある。アステロイドを撃ったのはついででしか無い。とは言えこれだけ俺の周りを皆近くで囲って陣取っている上にトリオンはかなり多いので誰かしらは削れるだろう。

 

そんな期待を込めたアステロイドは思った通りに固定シールドを貼らなかった4方向を囲っていたうちの西陣営の2人をうち取れた。残り2人には避けられたがまさか透明なシールドを貼ってるせいで攻撃が効かず、その上カウンターは予想が着くはずも無いので仕方ないが。

 

『トリオン供給機関破損。秦、茶野ダウン。』

 

「うおっと……やっぱり撃ってきたか。」

 

そして空に打ち上がった俺を容赦なく狙撃手が撃ち抜きにかかる。とは言え元々囲って潰すのが目的だったからだろうがトリガーは火力控えめなライトニング、これならなんとでもなるだろう。

 

俺は狙撃の飛んできた方向にグラスホッパーを飛ばす。

 

「さてと……火力特化アステロイドで一瞬で刈り取るか。」

 

そのそのままタイミングを合わせ、グラスホッパーの推進力を利用して、相手の狙撃手に近づく。

「なんで狙撃が通らねぇんだ……!?」

 

「はい!ほぼゼロ距離火力特化アステロイド!」

 

そのまま狙撃手の一人をほぼゼロ距離アステロイドでぶっ倒して行く。

 

『トリオン供給機関破損。乙川ダウン。』

 

俺はそのまま無事逃走に成功……しなかった。何処の凄腕狙撃手かは知らないがほぼゼロ距離アステロイドを撃っていたシールドの穴へと向かって射撃を入れてきた奴がいたせいで俺の左足の足の指関節の少し下から上が吹き飛んだ。マジかよ…アソコって角度ギリギリだろ。

 

「あいつやべぇな。バイパー!」

 

とは言えやられたらやり返すのは世の常、俺は弾道を引くも何も無くそのまま鳥籠のようなフェイクな軌道を描きつつも集中砲火するように弾道を引いた。凄腕狙撃手はシールドを貼るがトリオン差で何とかゴリ押しに成功したらしく。そのまま凄腕狙撃手の左腕は消し飛んで行った。腕だけで上手い事かわしたあたりやはり凄腕だが。

 

『警告、トリオン漏出甚大。』

 

とは言え当たり所が悪かったようでトリオン漏出でそのまま死ぬだろう。

 

こうして俺が包囲網から無事…とは行かないが割と無事目に抜け出す事が出来た。それにあの包囲網はどうせ長くは持たないだろう。そのうち勝手に潰しあってくれるはずだ。それまでバックワームを起動してやり過ごす事にしよう。

 

そして俺の目論見通り、20分程度で13人の緊急脱出が見えた。その中には恐らくはさっきのトリオン漏出の彼もいるだろう。そしてそろそろ時間制限の兼ね合いで安全なエリアが少し縮まりつつある。とは言え俺の位置だとあまり関係ないのだが。 まぁ20分も民家で何もせず隠れ潜んでるのは絵面としては見栄え最悪だろう。

 

さて、今頃実況は何を言っている事やら…な…。

 

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「さて、ここで一度解説を挟みたいと思います!まずは漆間先輩と神戸先輩の対決についてですが……」

 

先の戦いで桜子の神戸に対する評価はキチガイから頭おかしいけど強い人にランクアップした。頭がおかしいという部分において何ら変化は無いのだが。

 

「ここは漆間は待ち伏せをして神戸を倒すつもりだったんでしょうが……タイミングが悪かったですね。神戸が次の獲物を探すのにレーダーを使ったタイミングと位置が最悪でした。もし神戸がレーダーをしていた部屋が漆間のいる部屋ならば腕の1本ぐらいは取られていたでしょうね。」

 

実はこのような東さんの解説の時だけ会場から上がるぉぉぉ!という声を聞きながら、久方ぶりに見る神戸を観戦するためだけにこの場に二宮がいて、しかも東さんの解説を尊敬した目線で見ているのだが、大半の人間にそれを知る由は無い。

 

「だが黒江に横取りされたな。これは神戸も予想外だっただろうな。バトル事態は漆間が黒江に不意をつかれて緊急脱出した。と表現するのが良いだろう。」

 

「ちなみに奇跡的に全く同じこのタイミングで香取が海老名をボコしてるんだが、この試合に関してはこの時の香取ちゃんのグラスホッパーで無理矢理寄せてシールドの位置をずらしてアステロイドを当てたのは中々にすげぇな。あれやるにはセンスが居るだろうな。」

 

出水がサラッと言っているがこれを出来る人間自体はボーダーに割といるということはあえて他の人間は言わなかった。

 

「その前に米屋先輩に別役先輩はやられていますがこちらはどうでしょうか?」

 

「狙撃手は位置が割れてしまえば圧倒的に不利ですので、あのように詰められて攻撃手や射手等の攻撃範囲に入り攻撃されてしまいます。狙撃手は『1発打つ事に別の場所に移動する』というのが基本的な動きの一つなのですが、それをサボるとさっきの太一みたいになる訳ですね。」

 

太一をイジる東さんという実に珍しい絵面……特に東さんが佐鳥以外をイジるのは珍しいが、太一は真の悪なので仕方ないものだと思われる。

 

「それに関しては包囲網を敷かれていた神戸がグラスホッパーで脱出する際にすれ違いざまに乙川を攻撃したのにも言えるな。まぁ神戸のトリガーと戦い方を知らない以上初見で避けられはしないだろうが。」

 

「空中で弾が弾かれたように見えました。あれは一体どういう仕組みなのでしょうか?」

 

恐らくは神戸の事を知らないでモニターを見ていたほぼ全ての人間が同じ事を思っただろう。特にC級は華奢だった。

 

「それを説明する前に、黒江との戦闘にも触れておく必要があるな。」

 

「黒江先輩の高速斬撃『韋駄天』の使用時にグラスホッパーを踏ませるのは斬新な発想ですね。それを反射神経だけでやって見せた神戸隊員が凄いのは事実ですが……。」

 

「それはそうだがそこじゃない。黒江が斬撃を構えた際のエスクードの時だ。」

 

攻撃しに行った双葉がカウンターを食らったのはその場にいた誰の記憶にも新しいだろう。

 

「確かにあの時エスクードをかわして攻撃した黒江先輩の首が吹き飛びました。そのまま身体は神戸先輩の元へと向かっていきましたが…。」

 

「さて、ここで答え合わせといこうか。答えは至ってシンプルだ。ボーダーにはマイナーチェンジとしてトリガーの色や形の一部を変えられるのは知っているか?」

 

「はい、とは言え特にそれで何かが変わる訳では無いという意見も多く使われる方は少ないように思われます。」

 

「例えば那須隊の熊谷なんかは使用しているが……基本的にトリガーになれた人間が自分の戦い方に合わせて変えることが多い。神戸はA級隊員のトリガー開発権利を利用して、スコーピオン、シールド、エスクードをリアルタイムで5色に変化させられるようにしているというだけだ。乙川の狙撃を防いだのは透明化したシールドだろう。まぁうちの隊には無意味だがな。」

 

うちの隊には無意味、というあたりになにやら対抗心のようなものを感じるが風間さんは総じて理性的な人間である。

 

「双葉の首を撥ねたのは透明化したスコーピオンって事か?」

 

出水は射手である。スコーピオンについての基本知識はあっても応用については当然知らない。

 

「あれは、エスクードと民家の間にワイヤーを貼るように、黒江の首ぐらいの高さの位置でスコーピオンを両方に設置しただけだろう。恐らくはエスクードを出した際に仕込んだな。透明化を知らない上にあの仕組みを初見でかわすのはかなり難しいだろう。」

 

「それで言うと妙ですね。神戸は漆間のメテオラの爆発で周りに人が寄ってくる事が分かっているのに態々伏せ札を切って双葉を倒しています。透明化スコーピオンのバレていないあの場面で無理にする必要も無いような気がします。」

 

東さんの言う通りだろう。

 

「それだけ黒江を警戒していたのかもしれないな。さて、黒江は首が飛び緊急脱出した訳だが韋駄天の速度のお陰で少しではあるが神戸の肩に傷一つ残す事が出来た。大金星だろうな。」

 

「なるほど……曲芸ですね。それでは次は神戸先輩の包囲網大脱出についてですが……。」

 

桜子はもう神戸の行動は曲芸で終わらせる事にした。理解を諦めた方がいいという判断だ。

 

 

「こちらは元々ある程度囲まれるのは神戸も予想していたのでしょうが想像以上に人数が多かったですね。どんな達人でも360°を警戒するのは難しいので、早々離脱に切り替えた判断は正しかったように思われます。透明化させたスコーピオンを纏わせたキュウリを投げて敵を不意打ちで消しつつ、火力寄せをしたアステロイドで包囲網の一方を潰して無理やり突破した形ですね。」

 

スコーピオンを纏わせたキュウリというパワーワードに会場が笑いの渦に包まれるが本人は至って真面目である。

 

「透明化シールドのタネが割れていなかったのも良かったな。結果的に乙川は釣られる形となったがあれを初見で気付けと言う方が無理だろう。穴あき固定シールドを貼りながらグラスホッパーで移動は発想力が恐ろしいな。サイドエフェクト後からでもあるだろうが。」

 

「なるほど…逆に言えばそのタネに気付いて穴から足の先を射抜いて見せた絵馬先輩が凄い事になりますね。」

 

「グラスホッパーで神戸の移動速度も高い中よく当てたものです。双葉もそうですが、神戸のトリガーのタネが割れてない中で神戸に傷を付けるのはそう簡単な事ではありませんからね。実際神戸に個人戦で勝ち越している人間はそんなに多くは無いでしょう。」

 

穴あき固定シールドは固定じゃないんじゃないかとか思ったという心の声をグッとこらえ、桜子は解説を進める。

 

「なるほど…それで神戸先輩のサイドエフェクトというのは……。」

 

「確か名前は超思考推察加速だったか……一言でこのサイドエフェクトを表すならば『頭の回転が早くなる』だけだ。だがアイツは無意識に幼少期からこのサイドエフェクトを使っていたせいで幾つか応用を効かせられている。その応用……本人曰く『権能』はあくまでも俺らがやっている事と内容自体は変わらない。」

 

桜子は権能って何だよと心の底から突っ込みたい気分になった。

 

「ちなみにその権能というのは?」

 

「知っている範囲ですと……相手の動きを読むのに使っている『推察』、非生命体の動きを先読みするのに使っている『予測』、物事の本質を見極める『俯瞰』、物事のコツを簡単に掴む『理解』なんかがあったように思われます。とは言えサイドエフェクト自体のランクはBとCの間程度、著しく珍しいサイドエフェクトではありません。」

 

「なるほど……今回は『推察』を使って場の状況を読み、一目散に退避したという訳ですね。」

 

「まぁ普通の推察自体は俺らもやるけどな……。そして結果は神戸の推察通りに無事逃げれた訳だ。その後は爆発に遅れてやって来たA級とB級上位にかなりの人数潰されてたな。まぁこっちはただの虐殺だな。あんまり言う事はねぇ。」

 

「なかなか辛辣ですね……。」

 

「事実だしな。まぁ一つ驚いたのは若村が上手い事カメレオンを使って計良を倒してたことぐらいだな。」

 

実際若村のカメレオンの扱いは上手くなっているのは事実だろう。

 

 

「なるほど…今後もB.B.Rは続きますが一先ず序盤戦も終わり、中盤に差し掛かったと言った所!今回の優勝は誰なのか!注目です!!」





神戸の心の声

→東……神様、一生逆らいません!
→出水……なんか舐められてる気がする。

←東……違う、そうじゃない。
←出水……大体の事は笑って許してくれるっしょ!
今話の撃破状況。

神戸→茂手木、茶野、秦、乙川、黒江、絵馬(トリオン漏出)
黒江→漆間
米屋→別役、北添(吉里隊)、松代
緑川→斎藤、丸井、土崎、常磐
香取→海老名、巴
王子→藤沢、船橋、来馬
歌川→早川、宇都宮、
古寺→穂刈
若村→計良
全体の撃破状況

王子→笹森、南沢、藤沢、船橋、来馬
神戸→唯我、半崎、茂手木、茶野、秦、乙川、黒江、絵馬(トリオン漏出)
古寺→間宮、穂刈
歌川→鯉沼、早川、宇都宮
緑川→吉里、斎藤、丸井、土崎、常磐
黒江→月見、漆間
米屋→別役、北添(吉) 、松代
香取→海老名、巴
若村→計良
オリ主圧倒的過ぎやしないか?

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