『シエスタ』はテラでは珍しい移動しない都市である。巨大な火山がある観光都市で、都市丸ごと巻き込んだミュージックフェスが行われる事で有名だ。
とある事件で火山の噴火が避けられないことが判っており、新たな移動都市の建造が始まっている。
そんなシエスタに危機が迫っていると、ロドスに知らせてくれたのは天災トランスポーターのプロヴァンスだ。
彼女によれば、シエスタが『海』よる侵攻を受けているという。
話しを聞きシエスタの地図を展開すればシエスタのビーチは微かに『海』に繋がっている事が分かる。『海』のやつらはその物量で押し潰すだけではなく、新たな道を切り開けるように淡水に適応、進化しようとしているのか。
「スカイフレアと火山の調査でシエスタに居たけど、1週間くらい前に海から変な生き物が現れて街を襲い始めたんだ。最初は私達も戦って倒してたんだけど、なんかカビ?みたいなのがちょっとずつ広がってるし、カビからも敵が出てくるしで抑えられなくなっちゃったんだよ」
彼女の言うカビのようなものは以前、狂人号の時に報告されていた溟痕の事だろう。
溟痕を除去するのは困難なため、侵食されたところは基本的に向こうのテリトリーになったと考えていい。
しかし、シエスタ程度の規模であれば三日もあれば全て溟痕で覆われていてもおかしく無いのだが…
「実際3日ももたなかったよ。でも何故かあいつら火山に近寄って来ないから、市民を建造中の移動都市に避難させて、移動都市ごと無理やり火山の麓まで移動させたんだ」
ふむ………火山の熱か電磁波かガスか…何かやつらにとって未知のものを警戒して踏み込んでこないのか。
だが、それも一時のものだろう。永久が無いと学べば海は雪崩れ込んでくるはずだ。
「それで私が来たのはその報告だけじゃなくて、シエスタの市長さんがロドスに救援を求めてるんだ」
聞けばロドス以外にも救援を求めてるようだが、返事が芳しく無いようだ。それもそうだろう。このテラで利もないのに、よその国を助けにいく者は少ない。基本的に誰も彼もが自分たちで手一杯なのだ。
ロドスも同様だ。決して無償の慈善事業を行っているわけではない。
しかし、この問題はイベリアという国を滅ぼした問題であり、安易に救援を無視することも出来ない。
「ドクター……」
シエスタからの連絡ということで呼び出したセイロンとシュヴァルツが縋るような目で私を見る。
そんな目をせずとも、救援には応えるつもりだ。
「良いのですか?正直、今のシエスタにはあなた方の救援に対して何も差し出す事は出来ませんのよ?」
それは勿論承知の上だ。
鉱石病もテラの人々を脅かす脅威であるが、海はそれらよりも直接的な脅威だ。決して無視は出来ない。
それに、ロドスにとっても1つ利はある。
思い当たる節がないセイロンは首を傾げる。
それもそうだろう。アビサルハンターのプロファイルは限られたものしか閲覧出来ないのだから。
私はモニターにアビサルハンターたちのプロファイルを表示させ、セイロン達に説明を始める。
スカジやスペクター、アビサルハンターたちは『海』の生物との融合体である。アビサルハンター達は源石に対して驚異的な耐性を持っており、鉱石病を患うことはほぼない。この事から、シーボーンや恐魚の肉体には鉱石病を克服、もしくは抑制する何かがあると思われる。
それらを解明するためにもシエスタへ向かう……といった建前があれば、十分だろう。
そう言って私はセイロンに小さく笑いかけた。
【シエスタ】
近い将来の噴火による都市壊滅という避けられない運命にある都市。
しかし滅びはもっと早く、海より現れた。
PRTSより本記録の閲覧者へ
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