この素晴らしい世界にMinecraftを!   作:どうにでもなれ

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数と力、どっちが強いと思う?


#14 数の暴力 力の暴力

 

前回のあらすじ  ゴブリンのすみかを ぶっ壊す!  (消されんじゃねえぞ………)

 

 

初心者殺しが引き返してくる気配も無く、俺達が山道を登っていると、テイラーの持つ地図の通り、山道が下り坂になる地点に出た。

ゴブリンが目撃されたのはこの辺りらしい。

「……カズマ、スティーブ、どうだ? 敵感知には反応あるか?」

「この山道を下っていった先の角を曲がると、いっぱいいるな。」

「初心者殺しが戻ってくる気配は今の所無いよ」

しかし多いな。

どのくらい多いかというと最終ウェーブの襲撃イベントくらい多い

「いっぱいいるってならゴブリンだな。少なくとも強いモンスターじゃねえ」

こいつは数の暴力を知らないのか?

「いや、俺ゴブリンと戦ったことがないから知らないけど、こんなに多いものなのか? 探知できてる数だけでも把握しきれないくらいに多いんだが」

リーンも不安になったのか、

「ね、ねえ。そんなに居るの? ほ、ほら、カズマがこう言ってるんだし、ちょっとゴブリンの数を軽くでも確認してからの方が…………」

「大丈夫だって! それに、俺達の良いところを見せてやらないとな! よし、行くぜ!」

 叫ぶと同時、ゴブリンが居るであろう下り坂の角から飛び出すキース。

いやなんでアーチャーが前に出るんだ。

アーチャーが近接戦をしようとするんじゃない!

弓を構えて遠くから攻撃しろよ!

脳みそのないスケルトンの方が賢いぞ!?

それを見過ごせなかったのか、続いてテイラーも飛び出して、二人同時に叫んでいた。

「「ちょっ! 多っ!!」」

叫ぶ二人に続き、角を曲がると

そこには、三十やそこらはくだらないゴブリンの群れが居た。

身長は子供程度しかないゴブリンだが、その殆どが武器を持ち、それらの多くのゴブリン達がまっすぐこちらを向いている。

さらに、武器も異様で、全ての武器が蠢いている。

けれど誰も気づいていない

「言ったじゃん! あたし、カズマがこう言ってるんだし、こっそり数を数えた方がいいって言ったじゃん!!」

泣き声を上げるリーンとアーチャーのキースを後ろに庇う形で盾を構えたテイラーが前に出た。

「ゴブリンなんて普通は多くても十匹ぐらいだろ!

ああ、このまま逃げたって初心者殺しと出くわす可能性が高い!やるぞ!」

テイラーが叫び、リーンとキースが決死の覚悟を決めたような顔で攻撃の準備を始めた。

そんなもの待ってられるかとばかりに、ゴブリン達が武器を振りかぶりながら、こちらに向かって山道を駆け上がってくる。

「痛えっ! 畜生、矢を食らった! おいっ! 弓構えてるゴブリンがいるぞ! リーン、風の防御魔法を!」

「リーンが詠唱してるが間に合わねえよおっ! 全員、何とかかわせえっ!」

テイラーとキースが叫ぶ中

「ドアガード!」

「「はァ!?」」

ドアを次々に置いて壁を作る。ついでにレッドストーンも撒いておく。

ドアが盾となり、矢を防ぐ

「スティーブっ! でかしたっ!」

リーンの魔法が完成したらしい。

「『ウインドカーテン』!」

 周りに渦巻く風が現れた。

きっと、矢を逸らすとかなんかしてくれる魔法なんだろう。というか無詠唱で使えるじゃん

「『クリエイト・ウォーター』!」

カズマが水の初級魔法を放ち、

「カズマ!? 一体何やって……」

「『フリーズ』ッ!」

「「「おおっ!!」」」

三人が叫ぶ中、ゴブリンの足元が一面の氷で覆われた。

なるほど、ここは結構な坂だ。足元が凍ってる状態だったら、そう簡単にこちらまで登り切れない。

「テイラー! この足場の悪い状況なら、いくらゴブリンでも上から叩くだけで倒せるぞ! 前は俺達二人で何とかしよう! 上って来ないゴブリンは、遠距離担当の二人に任せた!」

「でっ、でかした! おい、お前らやっちまえ! これならこっちがやりたい放題にできる! 俺達を驚かせてくれたツケを払ってもらおうか!」

「うひゃひゃひゃ! なんだこれ、目を瞑って撃っても当たるじゃねえか! てめえら前衛的なオブジェにしてやんよ!」

「よーし、いくよ! 普段は溜めが長くて使えない強力な魔法、ど真ん中に撃ち込むよおおお!」

みんなが騒ぐなか、装置を組み立てる

「全員、一回下がれー!」

「どうしt………なんだこりゃあ!?」

何ってTNT式散弾装置だよ

「ハッシャァ!!」

「ウヒャアアア!すげえ!」

一撃で残っていたゴブリンが殲滅された。気持ちええ

 

 

ゴブリンの群れを討伐した帰り道。

「……くっくっ、あ、あんな魔法の使い方、聞いた事もねえよ! 何で初級魔法が一番活躍してるんだよ!」

「ほんとだよー! 私、魔法学院で初級魔法なんて、取るだけスキルポイントの無駄だって教わったのに! ふふっ、ふふふっ、そ、それが何あれ! タイムラグなしで発動できるのって便利すぎじゃない!?」

「うひゃひゃひゃ、や、ヤバい、こんな楽なゴブリン退治初めてだぜ! つーかなんだよあの最後のやつ!国でも潰す気か!?」

俺達は山道を街へ向かって帰りながら、先ほどの戦闘を振り返っていた。

口々に先ほどの戦闘の話題で盛り上がる……あ、そうだ。まだ役割があるんだったな。

「おい、戦闘終わったんだから荷物よこせよ。最弱職の冒険者は荷物持ちが基本だろ?」

あっカズマに先に言われた

「ちょっ、悪かった、いやほんとに悪かったよカズマ、謝るよ! これからは冒険者だからってバカにしねえ!」

「ご、ごめんねカズマ! てか、ドアで矢を防ぐってどんな発想してるのよ!」

「おいスティーブ、荷物よこせ!カズマもだ! MVPなんだから、お前らの荷物も持ってやるよ!」

途端に慌てた三人に、カズマは思わず吹き出した。

吹き出したカズマを見て、冗談だと気付いた三人も笑い出す。

いい奴らだな。

なんでこんな素晴らしいパーティなのに、ダストは妬んだんだろうか。

少し贅沢過ぎやしないか?

「つっ……。いてて……」

先ほどの戦闘で矢を受けたテイラーが、刺さったままだった矢を引き抜いた。

怪我してたのか。

「『ディスインフェクタント』『セイクリッド・ハイネス・ヒール』」

「「「は!?」」」

三人が驚く。だいたい驚いてるよなこいつら

「ちょっと待て!セイクリッド・ハイネス・ヒール使ったのか!?」

「回復魔法、それしか使えないからな」

キースが呆然とする

「というか、聞いたことない魔法使わなかった?」

「『ディスインフェクタント』か?消毒ように創った」

「魔法を………創った………?」

リーンも呆然とする

テイラー?さっきの説明で気絶しそう。

「おーい、帰るぞー」パンッ

手を叩いて現実に戻す

その後、山から降り、街へと広がる草原地帯に足を踏み入れる。

この時、頭からは完全にあの脅威の存在を忘れてしまっていた。

そう、ゴブリンなんかよりも、もっと注意を払わなければいけない存在がいた事をな。なんで忘れた。

「あれ? 何か、凄い勢いでこっちに何か向かってきてないか?」

アーチャーだから『千里眼』を使っているんだろう。

キースが何かが接近してくることに気が付く。

そして敵感知と音感知によりようやく把握する。

「初心者殺し!」

カズマの叫びを合図に、四人で一斉に街に向かって駆け出した。

 

 

「はあっ……、はあっ……! くそっ、最後の最後でこれかよ! せっかくいい気分で帰ってたってのに!」

「はあっ、はあっ……。やばいよー、このままじゃ追いつかれちゃうよー!」

後衛職である二人が絶望した声を出す。

しかしどうしようか?

俺達のすぐ後ろにいる初心者殺しを振り切るには、街までの距離が遠すぎる。

これはがなんとかして初心者殺しの注意をよそに向けるなりするべきかと思案していたら、先頭を走っていたテイラーがクルリと振り向き、盾を構えて言い放つ。

「リーン! このままじゃ全員奴らの餌食になる! 俺とキースで何とかこいつを食い止めるから、お前はカズマと一緒に助けを呼んできてくれ! ギルドに報告すればどうにかしてくれるはずだ!」

「……っ! ああ、そうだな! 任せとけや、カズマ!スティーブ!お前らは他所のパーティの人間なのに、一番俺達に貢献してくれたんだ! せめてお前の身代わりくらいにはなってやるさ!」

あかーん!感動のシーンだけど多分それ死亡フラグ!俺を置いて先に行け系の死亡フラグだろぉ!

「わ、分かった! 行くよ!」

リーンが俺に声をかけ手を掴んでくるが、それに従わない。やることは一つ

「突撃ィィィ!!!」

「ちょ!?スティーブ!?ってカズマも!?」

おや!どうやらカズマもきたようだ

「『クリエイトアース』」

なるほど、目潰しコンボか

「おっ、おいカズマ! 危ないぞ、早く逃げろ!」

慌てたキースの声を聞きながら、カズマはそっとテイラーの右後ろに立つ。

じゃあこっちはキースの前に立つ。

「うらあああああっ! かかって来いよ、この毛玉があっ!」

叫ぶテイラーに襲い掛かる初心者殺し。

「『ウインドブレス』ッ!」

「ギャンッ!」

テイラーに飛びかかろうとしていた初心者殺しは、突然横合いから眼球に砂粒の直撃を受け蹲った。

そして、目が見えないながらもこちらに向かって大きな口を開けて威嚇し、

「フシャーッッ!」

「『ボトムレス・スワンプ』!」

目が塞がっているうちに泥沼魔法を掛けて追えないようにする

そして、呆然とするテイラー達に

「逃げるぞー!」

 

街まであと少し

初心者殺しは泥沼魔法で溺れたのか、冒険者カードの討伐モンスターの所に初心者殺しが追加されていた。あとスキルの方にも。なんで?

「ま、撒いたか?」

テイラーが呟く

「はあっ………。はあ………。ま、撒いたみたい?」

リーンが足を止め、何度も後ろを振り返りながら言う。

「……ふっ……。ふふっ……。ふへへへっ……」

唐突にキースが変な笑い声をあげ始めた。

大丈夫か?

恐怖でおかしくなったのか?

頭にヒールはいるか?

だが、キースの笑いにつられた様に。

「くっ……くっ、くっくっくっ……!」

「あはっ……。あはははっ……。あははははははっ!」

あの化け物から逃げ切れたことに、いつの間にか皆が笑っていた。

「ちょ、何だよさっきのアレ! カズマ、何しやがったんだよっ! ぶははははっ!」

テイラーがカズマの背中をバシバシ叩いている

「初級魔法だ初級魔法!俺は冒険者だぞ、スキルポイントが高くて初級魔法ぐらいしか取れねえ!わはははははっ!!」

何がそんなに面白いのだか

「こ、こんな冒険者が居てたまるかよっ! うひゃひゃひゃっ! は、腹いてえっ! 生きてるよ、俺達初心者殺しに出会って生きてるよ!」

「有り得ないよー! この人有り得ないよ、色々とー! 一体どんな知力してんのさ! ねえ二人とも、冒険者カードちょっと見せてよ!」

カズマは言われるままにリーンにカードを差し出した。「あ……、あれっ? 知力は普通だね。他のステータスも……、って、高っ!? この人幸運、超高いっ!!スティーブに至っては全部のステータスが勇者以上じゃない!!!」

リーンの言葉に、二人もどれどれとカードを覗く。

「うおっ、なんじゃこりゃ!」

「お、おい、今回こんなに都合良くクエストが上手くいったのは、カズマの幸運とスティーブのステータスのおかげじゃねえか? おい、お前ら拝んどけ拝んどけ! ご利益があるかもしれねーぞ?」

………………………ナニコレ?

 

 

ギルド前にやって来るころには、すでに夜半を回っていた。

初心者殺しは倒したし、あまり急ぐ必要もないのもあったけど。

「つ、着いたあああああっ! 今日は、なんか大冒険した気分だよ!」

リーンの声を聞きながら、俺達は笑いながらギルドのドアを開け…………

「ぐすっ………。ひぐっ………。あっ………。スティーブううう………………」

そっとドアを閉めた

「おい! ドアを閉めないでくれっ!」

ドアを開け、半泣きで食って掛かってきたのは今朝絡んできたあのキンピラ。

名をダストとか言った、アクア達のパーティの臨時のリーダーだ。

とりあえずこの場をカズマにあずけ「えっ?俺!?」クエスト報酬を貰いにいく。冒険者カードはすでに預かっている。

「………………………挙げ句の果てに………」

「カズマー。のんびり飯でも食って新パーティー結成に乾杯しようか」

「「「「おおおおおおっ!!」」」」

テイラーとキース、リーンの三人が喜びの声を上げてくれた。あとカズマ

「待ってくれ! 謝るから! 土下座でも何でもするから!もうあんな舐めたこと言わないからさ!」

本気で泣くダストに

「頑張れよ。良い女におんぶにだっこで甘い汁をすすらせてもらって、ハーレム気分で苦労もせずに金稼ぎができる、不明職以上の上級職パーティのリーダーさん」

「俺が悪かったからっ!! 今朝の事は謝るから助けてくださいっ!!」




スキル『初心者殺し』 狡猾、高速移動、を習得可能



クラフターなら装置の一つや二つ、創れて当然だよな?
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