この素晴らしい世界にMinecraftを!   作:どうにでもなれ

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なんか番外編でも書こうかな


#15 リッチーとダンジョン。あとリッチー

 

前回のあらすじ  キンピラを成敗

 

 

 

「明日はダンジョンに行きます」

「嫌です」

冬将軍討伐から一週間。

カズマ一行は、今日もギルドの片隅を溜まり場にして集まっていた。

「いいえ、行きます。どうあっても明日はダンジョンに行くぞ」

「嫌です嫌です! ダンジョンなんかに行ったら、私の出番が全くないじゃないですか!」

そんな事はめぐみんを仲間にする時に既に指摘済みだったろ。

その時『荷物持ちでも何でもする』と言ったのだが、言った本人は覚えていないのだろう。馬鹿だから。

「安心しろよ。ダンジョンに入るのは俺一人だけで良い。おまえ等には、ダンジョンまでの道中の護衛を頼みたいんだよ」

あまりにも反対するめぐみんを説得する為か、カズマは今回のダンジョン攻略の説明を始める。

そもそも今回挑戦するダンジョン攻略は、新しいスキルのテストも兼ねているのだとカズマは語った。

罠感知スキルと罠解除スキル、そして以前に仲良くなったアーチャーに千里眼スキルを伝授されたカズマは、以前から覚えていた潜伏スキルや敵感知のスキルも併用し、ダンジョン内を隠密行動でクリアする方法を思いついたのだと言う。

千里眼スキルは遠方を観測する他に、暗所を見通す副次機能がある。真っ暗なダンジョン内で潜伏スキルを行使すれば、モンスターに見つからず安全に探索が出来ると踏んだらしい。

もし上手く行ったのであれば、徐々にダンジョンのランクを上げて一獲千金を目指して行こうと言う。

カズマが珍しく冒険に行くと言ったので早速出発する事となる。

目指すはアクセルの街近郊にある初心者用ダンジョン、通称『キールのダンジョン』と言われる枯れ果てたダンジョン。

距離的には徒歩で半日なので、それなりに離れてはいる事になる。

キールとは大昔に実在した偉大なアークウィザードであり、理由は定かではないが王家に弓を引いた大悪人であったという。

まあ、めぐみんとかみたいにまともじゃない理由で犯罪者になったわけではないだろう

「よし、それじゃあ後は俺だけで行って来るから、お前達は留守番を頼むな。一日経っても戻らなければ、街に戻ってテイラー達に救援を要請してくれ」

暗に『ついて来るな』と言っているなこれ

今日はお試しだからすぐ戻るから心配するなと語り、カズマは軽快な足取りでダンジョンに入って行く。初心者用と言ってもダンジョンなんだけど?

残された側は待つ事しか出来ない。暇だ。

山の麓の岩肌をくり抜く様にしてあるダンジョン入り口の傍には、頑丈な作りのログハウスが存在している。そのログハウスには避難所と言う看板が設置してあり、そこでなら一晩過ごすぐらいは問題無いであろう。

「ん……。とりあえず小屋の中の様子を見て、後は暖を取る為の薪を集めて来ようか」

「ダクネス、大変です。アクアの姿が見えません。恐らく、カズマの話を聞いていなくて、一緒に入って行ったのではないでしょうか」

いざ行動しようと言う段になり、バカの不在に気が付く一行。だが、今更あの自称女神の奇行に慌ててもしょうがないと言うのが、メンバー内の共通認識であった。

「まあカズマが追い返して、すぐに戻ってくるだろう」

「じゃあ焚き火でもして待っとくか」

「なら私は薪を………」

焚き火を設置してマシュマロを焼く

「ダクネスはどこ行こうとしてるんだ?ほれ、マシュマロ焼けたぞ?」

「………一体どこから出しているのか………」

「もう気にしたら敗けですよダクネス。あ、ましゅまろとは何ですか?」

「ここにはマシュマロ無いんだ………。お菓子だよ。食べるか?」

「頂きます。………ダクネス!これ美味しいですよ」

「どれどれ………ッ!?」ビクンビクン

あ、火が付いてるやつ食べて興奮してやがる。

「というか、ログハウスあるんだし、その中でマシュマロパーティーしようか」

 

………………………………………………………………………………………………

 

カズマは日が陰り、夕闇が山間に被さる頃になってから帰ってきた。

ログハウスの外から声を掛けられて、一番にめぐみんが出迎えに外に出る。

その後をダクネスが追いかける。

そこにはカズマの背後でガン泣きする自称女神の姿が確認できた。

「なんとなく予感はしてましたが……、一体何があってアクアは泣いているのですか?」 

出迎えた三人の意見を代表して、質問する。てか予想してたの?

カズマは言い辛そうに頬を掻いていたが、代わりに泣き喚きながらめぐみんに縋りついた駄女神が説明してくれた。

「うあっ、うわああああああ!! ガズマがぁ! ガジュマさんがぁ!!」

訂正、説明しようとしたが言葉になって居ない。

どうしよう、これだとカズマが狼藉を働いた様にしか見えないのだが、カズマは人聞きが悪いとそれを一蹴した。

その後語られた二人の話を総合すると、少年の後に勝手に着いてきた女神は、その体から溢れる聖なるオーラでアンデッドを呼び寄せ散々苦労を掛けてくれたらしい。

他にも、罠には引っかかりそうになるわ、ハンドサインを指芸と勘違いするわ、枚挙にいとまが無い。

そんな事を暴露されても反省の色を見せない女神に、カズマは怒りを爆発させて罵り始めた。

「こいつ全然反省して居やがらねぇ! お前今すぐ戻って、あのリッチーとお嬢様の爪の垢でも探して来い! あの二人の謙虚さをちったぁ見習えよ! この駄女神!」

「女神様にアンデッドを見習えとか言ったあ!? 不敬者! 背信者! ヒキニート!」 

そして取っ組み合いを始める攻略組二人。(馬鹿)

待機組はそれを温かく見守るばかりだが、ふとダクネスが気が付いたキーワードが有った。

「リッチーとお嬢様……?」

誰だよ

「あ? ああ、その事か……。実はダンジョンの一番奥でな……」

ダクネスの疑問を耳にして、カズマは泣き喚くアクアを片手で押し止めながら、ダンジョンの奥で起こった事情を説明してくれた。

ダンジョン最深部で隠し部屋を見つけ、その奥に居たキールと名乗るリッチーに出会った事。

そのリッチーが王家から虐げられていた令嬢を連れだして、逃避行の末にこのダンジョンを作り上げた事。

そして、既に満足した死を迎えた令嬢の元へ、アクアがリッチーを浄化して送り届けた事を、聞かせてくれた。

遠い昔に在ったお伽噺の続き。

誰もが詳細を忘れてしまった物語の結末を、知る事が出来たのだった。

「私は彼女を幸せに出来たのだろうか、なんて言ってたけど、実際お嬢様はどう思っていたんだろうな」

贅沢を知っている貴族の令嬢を荒事の世界に引きずり込み、厳しい逃亡生活を強いてしまった事をリッチーは後悔して居のだろう。

しかし、話によればその令嬢はリッチーのプロポーズを喜んで受け、その死後も未練も無く成仏したとアクアが太鼓判を押している。

リッチーの後悔と心配は、全くの杞憂だろう。

そして、その話を聞いたダクネスが、少し寂しげな笑みを浮かべながら断言する。

「幸せだったに決まっているさ。そのお嬢様は、逃亡生活の間が人生で一番、幸せだったに違いない」

まるで、令嬢と自身の境遇を重ねている様な、そんな言葉だった。

 

10

「いいかアクア?何があっても暴れるなよ?喧嘩するなよ?」

「はぁ?ちょっと何言ってんのよ?私がそんな事する訳ないじゃないの。女神なのよ?カズマは私のことチンピラか何かだと言ってるの?」

そう言っていると思うのだが

「じゃ、入るぞ。」

ドアを開けるとついていた小さな鐘が軽い音を鳴らした。その音を聞きこの店の店主が出てくる。

「いらっしゃ…きゃあ!!」

「出たわね!このクソアンデッド!あんた店なんか経営するなんてリッチーのくせに生意気よ!神の名の元に浄化して、あばっ!?」

こうなると思った。まあ事前にタトに用意していた穴にアクアを埋めて解決したが。

「ようウィズ。約束通り来たぞ。」

「久しぶり」

「は、はい。ありがとうございます…」

つくづく思うがこんな人が本当にキールと同じリッチーなんだろうか。

全然アンデッドって感じがしないんだけど。

「今日はスキルを教えてもらいに来たんだよ。前に教えてくれるって言ってたから」

「!?ちょっとスティーブ!何考えてるのよ!リッチーのスキルなんてろくなものじゃないわよ!それに神の従者がリッチーのスキルを覚えるなんておかしいわよ!」

誰が従者だ

「リッチーのスキルってなんか有用そうだろ?こういうときこそカズマの『冒険者』の強みを活かさないといけないと思うんだよ。あとリッチーのスキルはすでに習得済みだぞ?」

「背信者め!」

殴りかかってきたのでまた埋めといた。蓋もした。

 

11

 

「お茶です」

「お茶出す魔道具店は初めてだよ」

なんだこの魔道具店

店内を見回してみる。鑑定眼をつかうと………うん、頭痛が痛い

 

死亡時に愛する者を守るために愛する者ごと爆発するペンダント

 

カエルの討伐報酬よりも高い使い捨てのカエルスレイヤー

 

通常よりも消費魔力が多い代わりに誰でもスティールが使えるようになる盗賊限定装備

 

………………馬鹿じゃねえの?

手近な物を取ってみる

それは小さなポーションの瓶

「あっ、それは強い衝撃を与えると爆発しますから気をつけてくださいね」

へえ、投げたら強そうだ。

「これは?」

「あっ、それは蓋を開けると爆発するので………」

「これは?」

「水に触れると爆発します」

「KOREHA?」

「暖めると爆発を………」

「爆弾魔?」

「ちち、違いますよ!そこの棚は爆発シリーズが並んでいるだけですよ!」

なんだそうだったのか

 

「そうだウィズ、この爆発系ポーションをいくつか買わせてもらうよ」

「ッ!?。ありがとうございます!これで久しぶりに固形物が食べれます!」

そんなに酷かったのか、ここの経営は

 

12

 

「じゃあ改めてスキルを教えてくれ。」

「えぇぇ…本当にリッチーのスキル覚えるの?女神としてはいろいろ許しがたいんですけど…」

穴から出てきたアクアが文句を言う。また埋めるぞ

「あの…もしかしてアクアさんは本当の女神だったりするのですか?その、前にリッチーである私を『ターンアンデッド』で平然と浄化しようとしましたし…」

ああ、やっぱリッチーとなるとなんとなく分かるものなのか?

でも明かしても大丈夫そうか?

「そうよ。貴方には特別に話してあげる。私こそ女神アクア、アクシズ教で崇められている女神アクアそのものなのよ!」

「ヒィ!」

ウィズが後ろに隠れてくる。

そういえばアクアの信者って………

「そこまで怯えなくても大丈夫だぞウィズ。確かに女神とリッチーというのは相性が悪いかもしれないけどさ。」

カズマは知らないのか?

「いえ…その、アクシズ教徒の方には頭のおかしい人が多く、なるべく関わらない方がいいっていうのが常識なので…」

「なんですって!?」

「ごめんなさいごめんなさい!アクア様を貶してる訳じゃないんです!」

「私のかわいい信者たちを貶すことこそ私を貶す事と同義よ!やっぱ浄化してやる!」

「やめてください!」

「話が進まないんだぜ……」

 

 

アクアが、いちいちウィズに絡むせいで全然話が進まず、仕方ないからアクアを連れて店内を軽く回ることに。仕方がないか………ハア

なんかうさんくさそうな名前の商品を見て回っていると突然アクアが走り出した。

「確保ー!」

「待ってください!アクア様!話を聞いてください!」

何故かアクアがウィズをがっちり、抑え込んで離さないでいた。

話を聞くと、どうやらウィズはベルディアの知り合いでしかも魔王軍幹部なんだとさ。

それを聞くやアクアはなんとしてもウィズを浄化しようとしたらしい。そんな話していたのか

幹部と言っても魔王城の結界を維持するためだけのなんちゃって幹部になっただけなんだとか。

つまり直接的な危害を加える気はないと。

「つまりアンタがいるかぎり魔王城には攻められないってことね!やっぱり浄化してやる!」

「待ってください!私倒してもまだ6人幹部がいるんです!せめて最後にしてください!というかアクア様なら2,3人で維持してる結界なら破れますからぁ!」

その後の説得によってなんとかウィズは浄化されずに済んだ。

「そういえば仮にも魔王軍幹部なんだっけ?ベルディアを倒した事に恨みとかない?」

ウィズに聞いてみると

「いえ、ベルディアさんとは特に仲良くありませんでしたよ。足元に頭を転がしてスカートの中を覗こうとするような人でしたし…幹部の中で仲が良かった方は1人だけです。それに私は…まだ心だけは人間のつもりですし。」

「そうか………」

………………………………。

「それでは私のスキルをお教えしますね。この前見逃してくれたお礼なので遠慮なく覚えていってください。あと私のスキルは相手がいないと発動できなくて…」

「それなら実験台になるぞ?」

カズマはすぐにぶっ倒れそうだしアクアはなんかやらかしそうなので

「じ、じゃあまずは『ドレインタッチ』をしてみましょう。相手から魔力や体力を吸い取るスキルなんです。も、もちろん少ししか吸いませんから!」

「いいぞー」

「失礼します………あら?」

………えっ?

「なんでしょうか………?スティーブさんの魔力なんですが、不思議な魔力を持っていますね」

………えっ?

「ウィ、ウィズ?気分とかは大丈夫なのか?」

カズマが質問する

「ええ、特に問題はないのですが………一度に複数の魔力を吸っているような………?ウプ」

「ヤベエ、ウィズが吐きそうになってる」

ウィズの手から離れる

「大丈夫か?ウィズ」

「ええ、大丈夫です」

「ならいいけど………それでカズマは『ドレインタッチ』を習得できたのか?」

話題を変える

「お、おう。習得できたぞ!」

それならよし!

「ごめんください。ウィズさんはいらっしゃいますか?」

その時、男の人が店に入ってきた。

「実はウィズさんに依頼がありまして、…ウィズさん?大丈夫ですか?具合が悪そうですが…」

「だ、大丈夫ですよ。それで内容は?」

「はぁ。ならいいのですが…それで、実は…」

話によるとこの男の人は不動産屋の仕事をしている人で、最近持っている物件に悪霊が着いているんだと。

冒険者ギルドにも依頼を出して退治してもらったのだが、それでもすぐにまた新しいのが着くらしい。

それでもう家を売るどころじゃなくなってここに来たと。

「ウィズさんは店を構える前は高名な『アークウィザード』でしてね。この商店街の人々は困った事があるとウィズさんに相談するのです。特にアンデッドに関してとても詳しい人なので私もこうして相談しに来たのです。」

リッチーはアンデッドの王だからな。そりゃ詳しくなるよ。この人はウィズがリッチーだとは知らないっぽい。まぁそうだよな。むしろウィズがリッチーであることを知られたら大騒ぎになるだろうし。

「分かりました。街の悪霊をどうにかすればいいんですね。」

「ああいや、別に全ての建物自体の悪霊を祓ってほしい訳ではなくて、例の屋敷だけでいいんですよ。」

「ああ…あそこですか。」

「あの…具合が悪いなら日を改めてまた伺いますから今は休んだ方が…」

「大丈夫ですよ。任せてください!…おっとっと」

ウィズはバランスを崩してよろめいた。

「ああ!やっぱり休んでください!無理はしなくて結構ですから!」

「大丈夫ですよ。ちょっと目眩がしただけで…」

ありゃりゃ。やっちまったか?

「ウィズ。どうせだし悪霊退治ならやってやろうか?」

「えっ?でも………」

「いや、ウィズが悪霊退治に行けなくなった責任もあるから………」

「………わかりました。では、よろしくお願いします!」




オリジナルクラフト
マシュマロ 牛乳と砂糖と卵をクラフトしたらできた。素材の数を変えるとプリンになったのはまた別のお話


アンケートありがとうございます!今のところ正解者が少ないですが!(煽りじゃないよ!)
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