ぼっち・ざ・りたーんず!   作:百合原理主義者

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第11話

 

 

 私はひとりが好きではありません

 

 

 ですが思うのです。

 

 

 ひとりをやめようと、みんなの輪の中に入ろうと努力してもひどく生きづらいと感じてしまうことがあると

 

 

 一人でいるなら平気なことも、皆といるとひどく自分がその中で劣ったように思えてしまって勝手に塞ぎ込んでしまう。

 

 矛盾するようではありますが、私はみんなでいた時こそ自分の孤独を感じてしまうような卑しい劣等感を心の隅に抱えていました。

 

 

 だからこそ本当に、本当にそういった孤独を感じずに付き合える仲間ができた時の私の喜びがどれほどのものか想像できるでしょうか?

 

 絶対にこの仲間を失ってはいけない、そのためなら苦手なことだって、なんだってやってやる。

 

 

 この人たちにだけは見捨てられたくない。

 

 私のことを役立つ人間だと認められたい。

 

 私のことを褒めて優しくしてもらいたい。

 

 

 

 でもダメでした。

 

 

 自分が皆と少しでも対等な人間になりたい私は……、どうしても信じられなかった。

 

 そんなことがなくても私を好きでいてくれるなんて、そんな自分にばかり都合のいい妄想をどうしても信じられなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Nステ……、じ、自分たちもとうとうここまで来たんですね……!」

 

 

 Nステへの出演が決まった私達結束バンドはそれはもう浮かれていました。

 

 

 確かに緊張も過分にありましたが、それ以上心に浮かぶのは憧れのあの番組に出れるという高揚感です。

 

 

 そんな中で喜多ちゃんが感慨深そうに呟いたのを聞いて、リョウさんは興味なさげな様子を装います。

 

 

「別にそんなに驚くほどのことじゃないよ、話題のバンドは呼ばれるだろうし」

 

「リョウだって声が上ずってたじゃん」

 

「階段、ふぇヘ……、あぁふ……タミさん」

 

「ぼっちちゃんも帰ってきてー」

 

「というかNステのあの階段とあの音楽とか、いつの間に無くなっちゃいましたよね」

 

「んはっ!? か、階段がない……」

 

「あっ、ぼっちが戻ってきた」

 

 

 この時に私が中学生時点で考えた、あのNステの階段を例のギターのリフで降りていくという台本……

 

 それはすでに諸事情で時代に取り残されていたことに思い至り、私はそのショックでなんとか現実に帰還します。

 

 

「でもぼっちちゃんの気持ちも、ちょっとわかるなー、あの階段は正直あこがれてたし、まぁでもいざ自分たちがってなると今は緊張の方がきてるかも」

 

「失敗はないでしょ、そもそもNステは音源流すだけで当て振りだけ間違えなければ問題ないよ」

 

「えっリョウ先輩、あれって生演奏じゃないんですか?」

 

「うーん、結構有名な話だよね、そもそもギターにアンプついてないし、ドラムの周りにもマイクないから分かりやすいっちゃ分かりやすいけど……」

 

「そ、そういえば……! って私達バンドマンですけど、それでいいんですかね……?」

 

 

 虹夏ちゃんが言う通り、確かに有名な話ではあります。

 

 Nステはよほどのことがない限りは音源を流すだけ、それに不満を持ち参加しないというバンドマンもいたりで……

 

 

「バンドマンとして伝説を残すために抵抗でもしてみる? 過去には演奏中に堂々とチューニングを始めたり、携帯を開いて操作しだしたバンドもいたけど」

 

「で、伝説……! なにかロック、ロックなことを……! やはりダイブ……!!」

 

「ぼっちちゃん、今回のNステは通常回で観客はいないからね」

 

「いいと思うけどなぁ、ぼっちも過去の偉大なロッカー達に習ってハトとかの首とか食いちぎってみたりする?」

 

「は、はと……、い、いや結束バンドのため……、や、やりますゥ!」

 

「あぁ先輩いけません、ひとりちゃんがまた変な方にふり切っちゃいそうに」

 

「えっ、じゃ、じゃあ生演奏させない番組側への抗議としてパフォーマンスを……」

 

「ちなみにさっき言ったバンドはそれやってNステから干されたらしいよ」

 

「うっ、私のせいで結束バンドが日本から追放される……!?」

 

「島流しじゃないんだから……、それって有名な話だけど作り話だって本人たちが言っているからね」

 

 

 

 こうして私たちは憧れの番組へ出演することが決まりましたが、そこから話は想像していたよりも早く進んでいきます。

 

 

 妄想で幾度となく出演したNステでしたが、当然の如くそこにでるまでの段取りなどを想像している訳がなく、やはりそこは虹夏ちゃんがうまく私達をまとめてくれます。

 

 

「結束バンドさんのステージなんですが、全体的に機械的な意匠でロックのハードさを残して、照明はこういった風に……」

 

「はい、いいと思います」

 

「いや虹夏、本当にいいのかな、機材に繋がってもいないギターを持つなんてバンドマンのプライドが許さないよ……」

 

「あっ、無視していいですよ、ウチのベースは多分それっぽいこと言ってみたかっただけだと思うので」

 

「うーん……、でしたら形だけですが機材を置いて繋ぐこともできますよ、それでも実際は当て振りになりますが」

 

「アッハイ……、ならそれでお願い致します……」

 

「リョウの言うバンドマンのプライドはそれでいいのかい!」

 

「べ、べつに……」

 

 

 正直ここら辺の話は……、というかそれ以外もほとんど皆に任せきりでした。

 

 それでもたまには何か役に立とうと機をうかがっていると……

 

 

「では次に衣装についてなんですけど……」

 

「ぼっちちゃんはコレ! 今度はコレにしましょう! この黒のヴィジュアル系のヤツ! 前からいいなと思ってて! 絶対にひとりちゃんに似合うわ!」

 

 

 この手の話で私の服を決める時、決定権を持つのは喜多ちゃんでした。

 

 普段なら言われるがままでしたが、ここは思い切って自分のことぐらい自分で決めるくらいのことはしようと奮い立ちます。

 

 

「あっ、その……」

 

「うん? どうしたのひとりちゃん」

 

 

 私は喜多ちゃんの耳元に口を寄せて囁きます。

 

 

「その衣装なんですけど、ポッケがついてる方が……」

 

「ポッケ……?」

 

「あらそう、じゃあそういう衣装を探しましょうか! 前の撮影に使ったこれとかどうかしら!」

 

「い、いえ、もっとたくさんついてる奴が……」

 

「たくさん?」

 

「えっ……? ポッケ沢山ついてた方がかっこいいですよね……? 役にも立ちますし」

 

「役に立つかしら……?」

 

「フフ、ぼっちがまた小学生男児みたいなことを……」

 

「ま、まぁ! 餅は餅屋! 衣装は喜多ちゃんに任せておけばいいよ!」

 

 

 どうやら私は黙っていた方がよかったみたいでした……

 

 

 そんな風に出演まで様々なことを決めていきましたが、とにかくNステは準備と確認が多かったです。

 

 撮影前には番組の美術セットや構成などを確認し、そして演奏時のカメラの切り替え順など、他の番組とは一線を画す念入りな準備がされて、私はみんなが決めたことを確認するのが精一杯。

 

 そうこうして私達の元に台本が届けられれば、すぐに本番前日のリハーサル、その規模の大きさと言ったら……、今まで出演した音楽番組の比ではありません。

 

 

「な、なんというか疲れるね」

 

「……正直、伝説を作るとか言える雰囲気じゃなかった」

 

「皆さん真剣で、そんなこと思うなんて烏滸がましいとすら思っちゃいました」

 

 

 リハーサルにはスタッフさんが100人以上は間違いなく居ましたし、皆さんの真剣さに圧倒されます。

 

 どうやら前日のリハーサルの参加は任意らしいのですが、折角のNステなので参加した私たちは、照明や立ち位置などで細かい修正が入る様子を眺めていました。

 

 

「思ったよりスタジオが狭いね、私達のステージのすぐ目の前に、別のステージが置かれててスシ詰め状態だよ」

 

「私、こういうのって、たくさんの別の場所で撮ってるイメージがありました」

 

「……あっ、タミさんだ」

 

「えっ、どこどこ?」

 

 

 生放送は一発勝負、当然厳密に時間をはかるため、当日のリハーサルとは別に前日にもリハーサルをするのですから、その疲労感はなかなかです。

 

 前日のリハーサルでは一つのアーティストに1時間かけて本番通りの動きを確認、そして当日にも通しのリハーサルからの本番が控えています

 

 正直、ロックバンドが当て振りなんかでいいのかという反感は、スタッフさん達の努力を見て既に霧散しかけていました。

 

 

「うん、前例を尊重して当て振りで行くべきだ……」

 

「リョウ、もうバンドマンのプライドが形無しじゃん」

 

 

 流石のリョウさんでも耐えられず、実を言うと虹夏ちゃんの声も少し不安そうでした。

 

 

「ひ、ひえっ! ……も、も、もし生演奏で失敗したら怖すぎるっ……! で、でも伝説……」

 

「ぼっちちゃんも急に大声出してどうしたの」

 

「うーん、ひとりちゃんの緊張が良くない方向に入っちゃったみたいですね」

 

「み、みミスしたら島流し……! もはや日本の土は踏めない……!」

 

「いやだからそうはならないから」

 

 

 もはやこの時点で私の脳内にあるタミさんとの小洒落た会話の脚本など消滅しかけていました。

 

 

「ほら、次は通しのリハだよぼっちちゃん、憧れのタミさんだよ」

 

「う、うぅ……!」

 

「……安心していい、トークとかは虹夏と郁代に任せればいいから、実質私たちの役目は当て振りだけ」

 

「こらリョウも頑張る! 聞かれたことを答えればいいから」

 

「き、緊張で吐き気が……」

 

「が、がんばってぼっちちゃん、もう始まるんだよ!?」

 

「う、ウプ……、だ、ダメです……」

 

 

 ついでに私たちの出番は2番目、1番目のアイドルグループのダンスから始まることを考えれば、出番はすぐでした。

 

 

「……ここは、もうあきらめて、出番の前にひとりちゃんに吐いてもらいましょう」

 

「くっ……、それしかないのか……」

 

「も、もう……」

 

 

 すでにこのことを予想していたのか、喜多ちゃんはすかさず私の眼前にエチケット袋を開きます。

 

 

「よし、これでしばらくは持ちますね!」

 

「ず、ずびま、オェッ!」

 

「はーい、全部出してスッキリしようねぼっちちゃん」

 

 

 聞くに堪えない音を立てる私に対して虹夏ちゃんは優しく背中をさすってくれますが、時間は非情であり、待ってくれません

 

 

「やばい……、みんな、もう出番だよ」

 

「えっ、あの、この袋……、ど、どこに捨てれば……」

 

「ぼっちちゃん、と、とりあえず袋の口だけはしっかり結んで……! あぁ! もう時間が!」

 

「あっ、そうだこの服、ポッケがついてました……」

 

「ひとりちゃん! 役に立ってる! 役に立ってるわよポッケ!」

 

「騒がしいな私達……」

 

 

 こうして私は懐に生暖かいモノを忍ばせたまま1時間のリハーサルを終えました。

 

 

 その結果は……、散々でした。

 

 

 

「いや、タミさんにぼっちちゃんの衣装の膨らみを指摘された時は終わりかと思いましたね」

 

「誤魔化せずに取り出したときのスタジオの空気、今でも思い出すよ……」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「ぼっち、でもタミさんすごくウケてたよ」

 

「なんかぼっちちゃん、途中からタミさんにメチャクチャいじられてなかった?」

 

「うっ……、思い描いていたNステの私じゃない……! 私達の伝説が……」

 

 

 本当ならもっとロックに決めたかった私は忸怩たる思いのまま肩を落とします。

 

 

 

 

 

 こうして前日のリハーサルに多くの不安要素、殆どは私によるものが占められますが……、どのように悩もうとXデーは訪れます。

 

 

 

 

 

 Nステ本番当日

 

 

 鳴り響くオープニングのミュージック

 

 

 

 ついに始まる本番、当然私は皆の陰に隠れながら、息を殺していました。

 

 

 勢ぞろいしたアーティストたちは有名男性アイドルグループや実力派女性ダンスグループや大人気シンガーソングライターに海外有名デュオなどそうそうたる面子で、その輝きで直視できません

 

 番組の頭からアイドル達のキレのある歌とダンスが前方のステージで行われているのを見ながら、何度も繰り返した自分たちの出番と動きを脳内で確認します。

 

 今回のNステ出演者のグループ数は6組、私達の出番は2番目であることをもう一度確認しながら深呼吸をしていると、カメラが向こうのパフォーマンスからVTRを挟み、こちらに戻ってきます。

 

 

 

「こんばんはタミヤです」

 

 

 あっタミさんの生こんばんわだ……、前も聞いたけどなんか感動……

 

 そんな風なことを思っていると、私達の出番は軽いトーク後のすぐです。

 

 短い紹介VTRを挟んでから演奏という流れでしすので一人気合を入れなおします。

 

 

 番組の進行は滞りなく、オープニングで踊った大人数の女性ダンスグループのトークの後、各アーティストの紹介や最近の音楽情報を流していきます。

 

 

 そんな中で初めに行われた出演者によるトーク、とうとう結束バンドの番が来ます。

 

 何とか皆のために爪痕を残したいと考える一方でリハーサルでの失敗が思い起こされ、私は心なしか皆の影にさらによって少しでも目立たないように立ち位置を調整しようと腐心していました。

 

 

「いやぁ皆さんお若い、そういえば結束バンドさんは初出演だそうで」

 

「はい、正直ちょっと緊張してます」

 

「えー、リーダーの虹夏さんがバンドを結成してここまで来たんだって? 凄いねぇ」

 

「周りの皆さんに恵まれて……、本当に運が良かったと思います!」

 

 

 時間厳守の番組なので話す内容や相手も大体は同じ流れであり、前回のリハの流れで言うならば、虹夏ちゃんと喜多ちゃんがメジャーレーベルに誘われた当時のエピソードを話すはずでしたが……

 

 

「へぇ、じゃあ後ろの後藤さんとか、みんなはどういう経緯で入ったの?」

 

「ヘァッ!?」

 

「おぉ、ウルトラマンみたいな声出すね後藤さん」

 

 

 カメラがこちらを向き、私を覗き込むようにレンズが動きます

 

 突然の振りに動揺して何もできない私を助けようと虹夏ちゃんがすかさずフォローに回ります。

 

 

「わ、私とリョウが初めにいて、喜多ちゃんが次に、ぼっちちゃんは最後に加入し……あっ……」

 

「ぼっちちゃん? それ後藤さんのあだ名?」

 

 

 ぼっちという、傍目には弄りを超えかねないアダ名に言及されてしまった私は、愛のある名であり、別にバンド内で不和があるわけでないことをうまく説明しようとしました。

 

 

「そうなの後藤さん?」

 

「あっあっ、あっ 愛(のある名であり、別にバンド内で不和があるわけでない)ですゥ!」

 

「ほぉ! なるほど愛ですか」

 

 

 しかし私はその言葉の一文字しか伝えられずに結果、謎の宣言をしてしまう。

 

 

「愛称って奴ですか、仲がいいですねぇ~」

 

 

 しかしなぜかタミさんには通じたので私は救われました。司会者ってすごい……

 

 

「そ、そうなんです。は、初めてつけてもらったアダ名なのですごく気にいってます……」

 

 

 私は極度の緊張のなか、全力でSOS信号を発信しながら目を彷徨わせるとリョウさんと目が合いました。

 

 

 た、たすけてリョウさん!

 

 

「ちなみに正確に言えば、ぼっちの加入は3番目ですね、ギターボーカルの郁代は確かに2番目に入りましたが初ライブ当日にバックレて一度脱退、その後再加入しました」

 

「喜多さん、破天荒だねぇ!」

 

「ヘァッ!?」

 

 

 どよめく周りの人達

 

 そして突然のリョウ先輩によるキラーパスで矛先は喜多ちゃんへ向かいます。

 

 可哀そうだと思いながら、私も必死ですので、ただひたすらに横にいる虹夏ちゃんの陰に隠れます。

 

 

「そして当日空いた穴を埋めるため、虹夏がぼっちを連れて代わりに入りました」

 

「あっはい、そうなんです。たまたま公園にいたぼっちちゃんを捕まえて……」

 

「なるほどねぇ」

 

 

 だんだんと面白がってきた様子のタミさんに、リョウさんは淡々と結束バンド結成の経緯を話します。

 

 

「なのでその後メンバーでボーカルを探していたんですけど、ぼっちが適当に勧誘したボーカルが郁代だったんです」

 

「それってすごいね」

 

「ちなみにドタキャンした理由を聞いたらギターが弾けなかったからだそうです」

 

「へぇ! 弾けないのにバンド入ったんだ!」

 

 

 周りの人たちは更にどよめきます。

 

 色々あった紆余曲折を省けばその通りなのですが、改めて考えれば確かに喜多ちゃんがすごいロックな人に聞こえます。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 箇条書きのマジックです! 私にも弁明させてください! あの時は……!」

 

「そういえば、そろそろ時間じゃないんですか」

 

「そうですね、じゃあ次はVTRに行きましょうか」

 

「待ってくださいよ!」

 

 

 そのままVTRに入り、いったん私たちからテレビ上の映像は離れます。

 

 喜多ちゃんの絶妙なタイミングに周りの人たちは笑いに包まれましたが申し訳なさを感じます。

 

 

「むむむ、ちょっとひどいんですからね先輩」

 

「ごめんね郁代」

 

「フフ、結果的に盛り上がるならいいですよ」

 

「き、喜多ちゃん、すさまじいプロ意識……!」

 

「さすが郁代、エンターテイナー」

 

 

 しかし、喜多ちゃんは意外にもそこまで気にしていないようなので少しホッとします。

 

 

「でも、私達の本業はバンドマンだからね! 早くいこ!」

 

 

 虹夏ちゃんの言葉にステージに向かわなければいけないことを思い出した私たちは駆け足で移動します。

 

 

 

「続いては結束バンドさんです よろしくお願いします」

 

 

 そしていよいよVTRが明け、タミさんの言葉を皮切りに、ステージ前のカメラが私達に近づいてきました。

 

 

 

 私達の演奏……、リョウさんの提案で機材は置かれていますが当て振りです。

 

 音源に合わせるだけなので失敗はないとはいえど、何台ものカメラに囲まれたステージでそれらしく振舞うのは緊張します。

 

 カメラワークも事前に決められているのですが、それぞれをアップに映す曲の場面も前もって分かるので、その間緊張で自分が普段どう立っているかも怪しくなってしまいました。

 

 喜多ちゃんはアップの時にはしっかりとポーズを決めますし、虹夏ちゃんやリョウさんも自然体に見せかけてドラムスティックを大きく振ったり、ベースをあおって見せます。

 

 私も当初の予定ではなにかロックなことをして伝説を作ろうなどと考えていましたが、大人しくいつも通り手元に集中し猫背になって髪をカーテンのように垂らして外界を遮断してる自分が情けないです。

 

 

 そんなことをしていれば音源が終わり、私達はようやく一息つきます。

 

 カメラの映像がタミさんたちのスタジオに移ったので、予定通り次の出演者の紹介が入っているうちにみんなで戻れば、とりあえずの結束バンドの出番は終わってしまいました。

 

 

 私は最後まで気を抜いては行けないと、勝手に弛緩する体と心をなんとか引き締めようと努力します。

 

 

「ぼっちちゃん溶けないで、もう後は座ってるだけだから! な、なにか冷やすもの……!」

 

「先輩! 冷感シップです。ぼっちちゃんの背中に張ってください」

 

「でかした郁代」

 

 

「どうなっているんだ!!」

 

 

「ば、ばれた!?」

 

「まさか溶けた一人ちゃんが映って……!?」

 

「いや、今はこっちは映ってないはず……、なんか向こうであったのかな」

 

 

 そんな風に私達がスタジオの隅でコソコソと慌てていると、にわかにステージ裾が慌ただしく動き回っていることに気づきます。

 

 もしや私達が騒がしくしているのがバレたのではと思いましたが、スタッフさん達は私達を無視して、番組プロデューサーさんの方へ集まっていくのが見えます。

 

 

「状況確認しろ! もう一回言って引っ張ってこい!! 歌が終わったらすぐCMを流せ!すぐVTRを流せるように準備しろ! 場合によっては出演順をずらすぞ!!」

 

 

 番組プロデューサーさんは遠目で見ても切羽詰まった様子で、指示を矢継ぎ早に飛ばしながらスタッフたちを動かすと、皆がいるスタジオに駆け寄ってきます。

 

 

「順番を変えます! 申し訳ないですが、歌終わった後はスタジオを挟んでCMに入ります!」

 

 

 悲鳴に近い大声を聞いて、司会のタミさんはまず指示に従い、CMへつなぐMCを行い、その後にプロデューサーさんの方に向き直りました。

 

 

「なにか、問題あったの?」

 

「実は……、次のグループのプロデューサーが急にアーティストを番組に出さないと言いまして……、理由もわからないのでとりあえず人をやって確認中です! ……とにかく番組を進行させないと、順番を前倒しして続けます!!」

 

 

 タミさんはそこまで聞くと改めて番組の進行をどうするか、皆に聞こえるように素早く話を詰めていきますが、突然のことに私は呆然としながら成り行きを見守ることしかできません。

 

 

 たしか次のグループは『t.A.B.oo.』という外国人女性デュオ

 

 彼らは特別ゲストとして、登場してくれる予定でしたが、そういえば代理の人みたいな人はいてもリハーサルでその姿を直接見ていなかったことを思い出します。

 

 

 

「な、なんだか大変なことになってきたね」

 

「まさかこのタイミングでドタキャンするなんて……」

 

「プッ……、郁代がそれ言うのおもしろ」

 

「グフッ……!」

 

 

 とりあえずの順番が終わっていた私達は、他の人達と比べてまだ余裕がありました。

 

 

「でも、なんで来ないんだろうね?」

 

「体調が悪いとかじゃなきゃいいですけど……」

 

「さぁ、気分が乗らないだけとかかもよ、ある意味ロック」

 

「そんなリョウじゃあるまいし……」

 

「ろ、ロックで先を越された……! 私達も演奏拒否を……、あっ、も、もう終わってる!」

 

 

 

 リョウさんの一言にその時の私は思わず焦りを感じてしまっていました。

 

 いえ、今に思えば全く張り合う必要もないのですが、せめて音楽で結束バンドになにか貢献したいと一人で思い込んでいた私には、その行為が必然だと思えたのです。

 

 

 

「"t.A.B.oo.”はどうだ?」

 

「だめです。向こうのプロデューサーが会わせてもくれません、理由は言う必要ないの一点張りで……」

 

「と、とにかく順番をずらして待つしか……」

 

「だめだ! もう4組目だろ! トリは向こうの事務所との約束で動かせないんだぞ!?」

 

「ならもう待つのは現実的じゃない、出ないものとして考えるしか……」

 

「だから空いた枠はどうするって話でしょう!?」

 

 

 

 

 話し合いはまとまらないまま時間だけが過ぎ、これ以上は時間の猶予はいよいよ無いとなった時、番組プロデューサーさんはスタッフでの相談を切り上げ、顔を青くしながらこちらに近づいて、頭を下げます。

 

 

「このままだと一枠空いてしまいます。……失礼を承知で、皆さん、演奏をお願いできる方はいませんでしょうか?」

 

 

 

 その一言に他のグループは難渋を示します。

 

 

 

「もう一度、彼女たちに踊ってもらえないでしょうか……?」

 

「い、今から別のダンスの振り付けはないですよ、無理です……」

 

 

「今歌ってる子に続けて2曲歌ってもらえば……!」

 

「音源がないと難しいそうです……」

 

「最悪同じ曲をやってもらえば!」

 

「さすがにそれは……」

 

 

「トリで長くパフォーマンスしていただくことは……」

 

「……難しいね」

 

「あっ、す、すみません」

 

 

 

 とにかく人気のある方達を代役にと頼みまわる番組プロデューサーさん

 

 

 目の前で繰り広げられる光景を見て、私に衝撃が走ります。

 

 

 もしや、これは私が幾度もなく妄想した展開では?

 

 

 急遽欠員が出たライブ……、そして颯爽と現れる凄腕ギタリストGotO……

 

 

「えっ、どこいくのぼっちちゃん!?」

 

 

 妄想と現実を混濁させた私の脳内は既にブレーキは壊れスパークしていました。

 

 

 頭を突き合わせながら話し合うプロデューサーさんたちの方に近づいていき……

 

 

「これはとうとう、私が歌手デビューするしかないかもしれないね、それは冗談にしても私のMCでつないで……」

 

 

 もはや目の前のことしか見えない私は、憧れのタミさんが話しているのに失礼にもその間に割って入っていきます。

 

 

「ゴッ!(後藤です!) オ゛ェッ」

 

 

 そうして私は緊張の余り嘔吐しました。

 

 

「うわっ!?」

 

「おぉ」

 

「だ、大丈夫ですか!」

 

「オ゛ッ オ゛ロロロォ」

 

 

 もうだめでした。

 

 すごいバリバリ感が出ている年配の方達の切迫した議論の輪に割って入るなんて、若輩者の私などにできるわけがなかったのです。

 

 

「タオル持ってきてあげろ!」

 

「わ、分かりました」

 

「フフッ」

 

 

 

 しかも、こんな状況でもとても優しい……、人として、器が違うと思いました。

 

 

「ウプッ、ウププ……」

 

 

 私は喜多ちゃんに汚れた口元を拭かれながら、緊張で裏返った胃からくる嗚咽をこらえ、なんとか言いたいことを伝えようとします。

 

 

 

「ウッ……、オェ……、だ、出ざぜでくだっ、さい……!」

 

「えっ、あの、い、今袋もって来るんで出すのはもう少し我慢してください」

 

 

 伝わっていない言葉を再度伝えるため、私はなんとか一呼吸分を確保してから口を開けます。

 

 

「わ、私達なら空いた枠を埋めれます……!」

 

 

 そうなんとか一言を絞り出すと、その言葉に番組スタッフさん達が顔を見合わせる。

 

 

「こちらとしても、それが可能なら、ぜひお願いしたいが……、しかし君たちガールズバンドだろ? ぶっつけ本番になるんだが」

 

 

 その一言に私は固まります。

 

 というより、何を言われてももはや分からないほどのパニックに陥っていたのですから

 

 

「いや、関係ないでしょ」

 

 

 そんな時、いつもの平坦な声でぽつりとタミさんが言葉をこぼします。

 

 集団の中からプロデューサーさんが不安そうな目をこちらに向けていましたが、隣のタミさんの一言に直ぐにはっとした顔であわてて頭を下げました。

 

 

「いや、演奏してもらえるだけでもありがたい、ですが番組プロデューサーとして確認させてください、……本当にお任せしてもよろしいでしょうか?」

 

 

 本当に大丈夫か?

 

 

 その一言だけには収まらない、重い圧を私は感じます。

 

 この番組の責任者として滞りなく番組を進行させるという、テレビマンの矜持と責任

 

 生半可な覚悟では許されない言葉の重みが確かに伝わってきます。

 

 

 正直言うならその時点で私は限界でした。

 

 

 ですが……

 

 

 

「ひ、ひとりちゃんはホントはカッコいいんですよ……!」

 

 

 もはや力尽きた私の肩にさっと喜多ちゃんの腕が回されます。

 

 

「しかし……、彼女……、体調が悪そうだが?」

 

「はい、安心してください、いつも通りです。それにこのくらいの問題は一通り経験して慣れてますから!」

 

 

「ぶっつけ本番になる。音源もないとなると同じ曲をやることもできるが……」

 

「はぁ……、それじゃ流石に見場が悪いので別のを適当に……、まぁ、私達はバンドマンなんで、段取りの悪いような、出演者が多いハコとか小さな野外フェスだとほぼぶっつけ本番も普通ですよ」

 

 

 少しムッとした様子のリョウ先輩と苦笑する虹夏ちゃんと喜多ちゃん、……そしてその肩にぶら下がる私。

 

 私のこの醜態を見れば当然不安にも思うでしょう

 

 ですが、他のみんなを見れば絶対に大丈夫だと私は確信します。

 

 

 

「……結束バンドさん、この番組のためによろしくお願いします」

 

 

 プロデューサーさんは自信をもって答える私以外の皆を見て腹が据わったのか、地面まで付くような深いお辞儀の後、あらためてスタッフさんたちに指示を飛ばします。

 

 

「話は聞いてたな! 結束バンドさんのステージの準備をしろ!」

 

 

 私たちもすぐにでもステージで準備してほしいと言われ、すぐに楽器を取りに向かいました。

 

 

 

 

 

 そんな道中、すでに息も絶え絶えな私の背中をリョウさんはポムっと叩いて忍び笑いをします。

 

 

 

「それにしてもぼっちには負けたね」

 

「えっ、あっ、すいません、か、勝手なことして……」

 

「あはは、違うよぼっちちゃん、私もね、行こうと思ってたのに怖くて動けなかったの、こんなの私たちがやるしかないじゃんって思ってたのに動けなかった。……やっぱりすごいよぼっちちゃんは」

 

「音源がないんです。あの流れで私たちバンドマンが前に行かないのは確かにダメでしたね」

 

「正直、スタッフの対応とか見て、他のアーティストから一段低く見られてるなとは思ってた」

 

「コラッ、そんなこと言わないの! ……私たちは初出演でまだ慣れてないのは本当でしょ」

 

 

 えっ、そうだったのかと私は内心思いながら、喜多ちゃんにステージへと引き摺られて行きます。

 

 

「それで、曲はどれにする……?」

 

「とにかく盛り上げないといけないし、定番でいいんじゃないの?」

 

「面白味ないね、せっかく自由にできるのに……」

 

「もぅ……、リョウも文句言うなら代案ぐらい出してよね」

 

 

 そんな風にリョウさんと虹夏ちゃんが相談していると何かを思いついたように喜多ちゃんが指をピンと立てます

 

 

「あっそうですよ! せっかくのライブなんで、ギターソロから初めません?」

 

 

 さすが結束バンドの誇るギターボーカル、こんな大舞台であっても動じないどころか貪欲に目立とうとする攻めの姿勢は尊敬を超えて畏怖の感情すら覚えます。

 

 

「それ、いいじゃん」

 

「ぼっちちゃんももそれでいい?」

 

「あっハイ」

 

「じゃあお願いひとりちゃん! カッコイイギターソロお願いね!」

 

 

 …………えっ?

 

 

 何故? 私は固まったまま皆の顔を見返します。

 

 

「まぁ言い出しっぺだからね、ぼっちには頑張ってもらおう」

 

「で、でも私なんかが……」

 

 

 そんな風に私がまごついていると、虹夏ちゃんが私の方を見ながら目を細めます。

 

 

「ぼっちちゃんなら出来るよ」

 

「えっ」

 

「いっつも結束バンドを引っ張ってきたのがぼっちちゃんだもん」

 

「私が……」

 

 

 結束バンドのメンバーとして役に立っているか不安な自分にかけられるその期待の言葉に、私は覚悟を決めます。

 

 私が結束バンドを引っ張る……、それが私に求められているというのなら……

 

 

「やります……、私が皆を引っ張ります……!」 

 

 

 

 

 

 そしてステージに立った私達

 

 

 急ピッチで進むセット、時間はなく、すぐに各々が楽器の調整にかかります。

 

 スタッフさん達の動きは手早く、大まかなセッティングは既に済んでおり、少し楽器を試せば音はできてしまいました。

 

 準備が終わってしまったの私は、みんなの方を見まわします。

 

 

 シールドを動かしながら立ち位置を確認する喜多ちゃん、さらに楽器のチューニングを細かく行うリョウさん、虹夏ちゃんは早々に自分のことを終わらせて番組のPAさん、照明さんと何かを話し合っています。

 

 

 時間がない中でのセッティング、しかもこの大舞台で一発で決めないといけないというステージに満ちた緊張感

 

 PAさんがフェーダーを上げたその瞬間で自分たちのベストを出さなければいけないという状況

 

 

「CMあけました!! いまタミさんが場をつないでくれてます!!」

 

 

 焦りで大声になるスタッフさんの声を聞き、全員合わせての音を確認する時間すらどうやらないようだと理解します。

 

 

 皆を見ていた私は前を向くと、心配そうなスタッフさんたちの顔が見えました。

 

 

 

 確かにあれだけの醜態を晒していた私のギターソロで始まると言われればこんな表情になるでしょう。

 

 

 でもこの時、私は珍しく緊張を感じてませんでした。

 

 というよりは全く別のことに集中しすぎて周りの声も聞こえていませんでした。

 

 薄情なことに、私はここにいる頑張ってくださったスタッフさん達、今画面の向こうで聞いてくれている誰かすら眼中にありません。

 

 

 私がこの結束バンドを引っ張っていく。

 

 

「聞いてください」

 

 

 スタッフさんがなにやら声を上げている。

 

 ライトの照明がこちらに向いてまぶしい。

 

 カメラの大きなレンズがこちらに向かう。

 

 

 それらを全部無視して、背後から感じるメンバーたちの視線を合図に私の手は動きました。

 

 後藤一人による全身全霊のギター演奏

 

 いつも一人で走りすぎてしまうギターもソロなら関係ない、そしてきっとみんなは私の音を音で返してくれるという予感がありました。

 

 

 最近全くできなかった。久しぶりのライブ、ギターで演奏を駆け抜けていた私は気付きます。

 

 あぁ、番組宣伝、写真撮影、雑誌の取材、最近はちっともバンドらしいことをしていなかった私は、意外なことにかなりのストレスが溜まっていたようです。

 

 

 

 そんな鬱憤を晴らすように演奏は瞬く間に過ぎていきました。

 

 

 だんだん私の音だけがやけに大きく聞こえていくような感覚

 

 そんな白んだ思考のまま駆け抜けるギター。

 

 

 いつの間にか静寂に包まれていることに私が気づくその前

 

 

 演奏中はまともな呼吸すら忘れていたのか、いつの間にか息を切らした私は後ろから虹夏ちゃんに声をかけられて、ようやく正気に戻ります。

 

 

「はぁっ……!! きっつぅ~ ぼっちちゃん、ギターソロは自由にやってとは言ったけど走りすぎっ……、ついていくだけで一苦労だよ」

 

「えっ」

 

「うふふ、一曲だけでこの疲労感はヤバいですよね」

 

「あ、あっ、わ、私はまた皆さんに迷惑を……」

 

 

 やはり、調子に乗り過ぎていたのかと私は虹夏ちゃんに謝罪しようとしますが、言葉をそのまま遮られます。

 

 

「最高だったよぼっちちゃん!!」

 

「えっ、あっ、というかカメラは……、あれもう出番終わってる?」

 

「うん、今頃は向こうのスタジオで、トリの人たちで締めてるんじゃない?」

 

「あっはい……」

 

「いい感じだったよぼっち」

 

「あ、ありがとうございますリョウさん」

 

 

 そうはいっても、こちらは必死でしたし、観客の入ってないステージでの演奏でしたのでそこまでの実感は湧きません……

 

 

「結束バンドさん……」

 

 

 そんな私たちに向かってプロデューサーさんが声をかけてきます。

 

 

「あっ、あっ、こ、国外追放だけは……!」

 

「あーもー、大丈夫だからひとりちゃん、バッチリかっこよかったわよ」

 

「えぇ、素晴らしい演奏でした! 特に後藤さんのギター!! 度肝を抜かされましたよ!」

 

「えっ、あぁ……?」

 

「ほらね、だから最高っていったでしょ、ぼっちちゃん」

 

 

 

 こうして番組は無事終わり、周りの人間がすごくチヤホヤしてくれます。

 

 

 それがたまらなく嬉しいと思う反面、番組の終わりに代わるがわる声をかけてくる人たちに圧倒され、心ここに在らずな状態の私はまともな返事一つできませんでした。

 

 

「いやー、すごかったね後藤さん、いよいよ歌手デビューと勇んだけど恥をかかないで良かったねこりゃ」

 

「た、タミさん、えっ、あ、その……!」

 

 

 そんな中で最後に声をかけてくださったタミさんでしたが、気の利いたどころかまともな返事一つできない私は俯きながら謝ります。

 

 

「す、すすすみません……! お、面白味もなくこんなに暗い私に、お、お時間を……」

 

「いや、君面白いねぇ」

 

「えっ……」

 

「気にしないほうがいいよ、人見知りしない奴に面白い奴は居ないから」

 

「あ、その……」

 

「そんでもってぼくもね、根本は人見知りなんですよ、ハハ、なんてね、今日は助かったよ後藤さん、また番組で会う日はよろしく」

 

 

 まともに会話できなかった私は、その後しばらく考えた後

 

 

「も、もしかして褒めてもらえた? ふっ、ふっ、ふへへへぇ……」

 

 

 フワフワとした心持ちで単純な私はヨイショをされるがまま、すぐに気分を良くしました。

 

 

 ……しかもこの回のNステがどうやら世間で相当話題になったとも喜多ちゃんが教えてくれました。

 

 

 結果として結束バンドの人気はさらに上がり、女性バンドと軽く見ていたような人たちすらも掌を返して、結束バンドは確かな技術を持つロックバンドとしてその立場を強固なモノとします。

 

 

 結束バンドのみんなも、周りの人たちも私をいっぱい褒めてくれます。

 

 

 自分が結束バンドの役に立てていないのではと悩んでいた私にとって、これは大きな心のよりどころとなりました。

 

 

 

 

 まぁ、なんといったらよいものでしょうか……

 

 つまりあの頃の私は調子に乗っていたのです

 

 

 

 

 

 

 

364:名無し ID:bpyzGzBaE

結束バンドの後藤ひとりってギターヒーローじゃね?

 

 

 

 

 

 そしてそれは突然のことでした。

 

 

 

 

 

 

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